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2025年8月30日土曜日

2025 INDYCAR レポート R17 ボーシェッタ・バーボン・ミュージック・シティ・グランプリ プレビュー:ファイアストンの本拠地ナッシュヴィル、またもタイヤ2種類供給!

 最終戦でいきなりシーズン初のオーヴァルでのタイヤ2種類レギュレーション

 あぁ、もう今シーズンも最終戦か。8月で閉幕は早過ぎる。シーズン、短過ぎ。

 最終戦の開催地は、またもテネシー州の”ミュージック・シティ”=ナッシュヴィル(の郊外)。またもダウンタウンではなく、スーパースピードウェイを名乗るショートオーバルでのレースだ(都市部からだと30マイル以上は離れている)。ダウンタウンの端っこからド真ん中に出世する予定だったこのイヴェントだが、再びシティ・レースとして開催される日は来るんだろうか? なんか最近、来なさそうな雰囲気になっている。まぁ、オーヴァルはオーヴァルでおもしろいからいいのだが、なんか勿体無い気がして……。


 ナッシュヴィルはファイアストンの本拠地なので、「新たな試みでレースをさらに盛り上げたい」、「多くの人々の興味を沸かせたい」って考え方はよくわかる。で、ナッシュヴィル・スーパースピードウェイでの最終戦には、オーヴァル・レースなのにプライマリーとオルタネイトと、ストリート&ロード・レースのように二番種類のタイヤが供給される。これは去年もやっていたし、さらに前の年にはゲイトウェイでもトライした実績があるので、”今年から突然!”てことではない。ただし、今シーズンのオーヴァル・レースでは、唯一ナッシュヴィルで採用されるルールだ。

 二種のタイヤを使うレースには、特別なルールも用意されていて、「オルタネイト=ソフト=レッドをレース中に2セット以上使うこと」、「プライマリー=ハード=ブラックもレースで最低1セット使用義務付け」、「どのセットでもミニマム2ラップ走ること」、「ただし、いずれのセットもフレッシュかユーズドは問わない)……と色々条件が設定されている。
 で、実際に二種類のタイヤはレースをおもしろくしていくのか? その答えは……おそらく……。コース上でのパスが653回もあり、そのうちポジションを争うものは237回と、どちらもインディーカー新記録だったのだから、”タイヤx2種類は成功した”と評するべきかもしれないのだが、先週のミルウォーキーでその記録は塗り替えられてた=タイヤ1種類の、通常運転のレースで。ミルウォーキーではトータル685回! ポジションを争ってのものは306回という大量のパスがあったのだ。

チャンピオン、パロウのとどまることのない成長に注目

 すでに今年のチャンピオンはアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)に決まっている。16戦までの8戦で勝って、3年連続、キャリア4回目のタイトル獲得となった。参戦開始から6年で4度のシリーズ制覇は驚異的。まだ28歳だというのに!
我々は今、新たな歴史的ドライヴァーの誕生を目撃している。
 そのパロウは、第16戦ミルウォーキーでポール・ポジションを獲得し、250周のうちの199周をリードした。終盤のイエロー発生で勝機を逃したが、彼がナッシュヴィルでも速いのは、ぼぼ間違いないだろう。すでにインディーカー・レコードの年間10勝には並ぶことさえできなくなっているが、9勝だって絶賛されるべき成績。そして、パロウはこれまで通り、最終戦も全力で勝ちに行く。ライヴァルたちには、少しスロー・ダウンして欲しいだろうが……。

 レースの前には当然予選が行われるが、パロウはポール・ポジションの候補でもある。今年の彼はアイオワとミルウォーキー、ふたつのオーヴァルでPPを獲得と、実績を積み重ねて来ている。その上、もし彼がナッシュビルで最速だと、シーズン7個目のPPともなる。これまた見事な数字だが、歴代最多には遠く及ばない。AJ・フォイトは1965年に10回も獲得しているので。さすがAJ、まだ塗り替えられなさそうな記録は幾つもある。

オーワード、有終の美を飾ることができるか

 ランキング2位も、パト・オーワード(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)に前戦ミルウォーキーで決まった。彼にとっては、2021年のシリーズ3位を上回るキャリア・ベストだ。ランキング4位にも2回(2020年と2023年)なっているのがオーワード。フル参戦6年目でシリーズ・トップ5以内が4回目!
これも若さに似合わぬ、素晴らしく安定した成績だ。去年のナッシュヴィルでオーワードは悔しい2位だった。今年はシーズン3勝目=自己ベスト・タイを挙げて気分良くオフ・シーズン入りをしたいところだろう。

ランキング3位争いはディクソンとルンドガールドの2人

 ミルウォーキーで今年のランキング3位になれないことが決まったのは、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)だ。彼は最終戦でクリスチャン・ルンドガールド(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)とシリーズ・トップ3を賭けた戦いを強いられることになっている。ふたりのポイント差は7点という小ささ。まだオーヴァルで本当の速さを見せて来れていないルンドガールド(ベストは6位=今年2回)だけに、彼がナッシュヴィルで勝つ可能性は小さいだろうが、ディクソンがレース展開によって不利を被ったり、トラブルに見舞われればふたりのランキング入れ替えは起こり得る。もしそうなったら、マクラーレンは年間ランキングで2、3位を占めることになるのだから、インディーカー・シリーズにおけるシヴォレー勢ナンバー・ワンという呼称は、チーム・ペンスキーからマクラーレンの元へと移る=少なくとも2025年に関しては。これは画期的かも。最終戦を迎えるペンスキー・ドライヴァーたちのランキングは、ウィル・パワーが8番手、スコット・マクロクリンは10番手で、信じられないほど不運な目に見舞われ続けて来ているジョセフ・ニューガーデンは16番手と、3人揃って芳しくない。そんな彼らだが、ナッシュヴィルで彼らの中からウィナーが生まれる可能性は十分にある。去年の彼らはニューガーデンが3位、マクロクリンが5位だった。先週のミルウォーキーでもマクロクリンが3位で、ニューガーデンは7位。この辺りがペンスキーのすごさだ。

ルーキー・オヴ・ザ・イヤー争いはフォスターがシュウォーツマンを8点リード

 ルーキー・オヴ・ザ・イヤーの栄冠の行方も最終戦で決する。ロード・アメリカでポール・ポジションを獲得したルイ・フォスター(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)が、インディー500でポール・ポジションを獲得したロバート・シュウォーツマン(プレマ・レーシング/シヴォレー)を8点リードしている。先週のミルウォーキーではフォスターがひとつ上のポジションでゴールしたが、シーズンを振り返ると、オーヴァルではシュウォーツマンの方が成績は安定している。逆転は十分に考えられる。

 去年のウィナーはコルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル・ウィズ・カーブ・アガジェニアン/ホンダ)。キャリア初のオーヴァル・レース優勝は、ゴール前24周でオーワードをパスしての大逆転で達成された。バック・マーカーの動きを読み切り、そのギリギリ内側をかすめるライン採りでの素晴らしいパスだった。アウト・アウトと回ってバック・マーカーをクリアしたオーワードは、まさかターン3進入までで抜かれるとは思ってもいなかっただろう。「ターン1進入でスロットルを少し戻し、インサイドに早めに降りて、ターン2の立ち上がりスピードを上げた」とハータはパス成功の秘訣を後に明かしている。

先週のラスムッセンのように、キャリア初優勝を飾るドライバーはあらわれるか?

 ボーシェッタ・バーボン・ミュージック・シティ・グランプリ(ビッグ・マシーン・ミュージック・グラン・プリから改名)は、全長1.33マイルのコンクリート・オーヴァルを225周して争われる。アスファルトに比べて滑る路面は、レースを難しく、そしておもしろくする要素となっているようだ。バンクはコーナー部が14度で均一とされているが、実際にはターン1〜2側の方が緩やか=ターン3〜4側の方が急らしい=で、ピット前ストレートには9度、バック・ストレッチにも6度のバンクがつけられている。

 ミルウォーキーでのクリスチャン・ラスムッセン(エド・カーペンター・レーシング/シヴォレー)のように、キャリア初優勝を飾るドライヴァー誕生はある?
 期待できそうなのは、デイヴィッド・マルーカス(AJ・フォイト・エンタープライゼス/シヴォレー)、サンティーノ・フェルッチ(AJ・フォイト・エンタープライゼス/シヴォレー)、マーカス・アームストロング(メイヤー・シャンク・レーシング・ウィズ・カーブ・アガジェニアン/ホンダ)、コナー・デイリー(フンコス・ホリンジャー・レーシング/シヴォレー)辺り。
 今季初優勝の可能性を持つ面々は、ハータ、マクロクリン、ニューガーデン、アレクサンダー・ロッシ(エド・カーペンター・レーシング/シヴォレー)ら。

参考資料:去年のナッシュヴィルと、先週のミルウォーキーでのトップ10

ナッシュヴィル2024
優勝 コルトン・ハータ
2位 パト・オーワード
3位 ジョセフ・ニューガーデン
4位 カイル・カークウッド
5位 スコット・マクロクリン
6位 サンティーノ・フェルッチ
7位 マーカス・アームストロング(CGR)
8位 リヌス・ルンドクヴィスト
9位 デイヴィッド・マルーカス(MSR)
10位 コナー・デイリー
カッコ内は昨年の所属チーム

ミルウォーキー2025
優勝 クリスチャン・ラスムッセン
2位 アレックス・パロウ
3位 スコット・マクロクリン
4位 アレクサンダー・ロッシ
5位 パト・オーワード
6位 クリスチャン・ルンドガールド
7位 ジョセフ・ニューガーデン
8位 デイヴィッド・マルーカス
9位 スコット・ディクソン
10位 マーカス・アームストロング

以上

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