2012年7月9日月曜日

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 54:R10 ホンダ・インディ・トロント 決勝 「ブレーキトラブルもあり、マシンのバランスも完璧じゃなかったけれど、何台かトラブルやアクシデントで落ちて来たクルマがいたので、それに巻き込まれないように、なおかつギリギリのところまで燃料を持たせようとして走ってました」

ホンダ・インディー・トロント
トロント市街地コース 1.75マイル×85周
Race Day 決勝 

9位完走 6秒5633差 

9番手スタートだった佐藤琢磨、1回目のピットタイミングが良く5位を走行
しかし、トラブルを抱えて戦いは苦しいものに


3回目の挑戦となるトロント、佐藤琢磨はマシンセッティングにも自信を持ち、85周のバトルを戦うことを楽しみにしていた。スタートではソフト・コンパウンドを使うライバルたち数人にポジションを譲ったが、1回目のピット・タイミングが良かったことで琢磨は5位にまでポジションアップ。レース展開も味方につけて上位フィニッシュを期待できる戦いに身を置いていた。
しかし、この頃から琢磨はマシンに発生した問題が悪化。フルコースコーションのほとんど出ないレースとなったことで燃費も苦しくなって、上位陣と同じペースを保つのがどんどん苦しくなって行った。


「ブレーキに問題が出て、かなり苦しい展開になりました」

Jack Amano(以下――):レース中盤までは展開も良く、上位を走れていましたが、かなり苦しいレースになっていたようですね?

佐藤琢磨:ウーン、まぁだから、最初をプライマリータイヤでスタートしてね、後半に追い上げて行く作戦でした。プライマリーでスタートしたんだけど、チームとしてはまわりより少し早めにピットインさせて、セカンドスティントを長く取ろうとしたんですけど、徐々にブレーキに問題が出て来て、制動距離がどんどん伸びてしまった。かなり苦しい展開でした。セカンドスティントはユーズドのオルタネートタイヤで出てったんですけど、ウーン……20周越えたあたりから、もうほとんど後ろは(グリップが)残ってなくて、ペースがガタ落ち。同時に、ブレーキもなくなって来ちゃったし、燃費もちょっと厳しくて、そこで大きく順位を落としてしまいましたね。

――ブレーキが調子悪くなっちゃった時点で、もうちゃんとは走れなくなっちゃったってことですよね? かなりフラストレーションの溜まるレースになってたワケですね?

佐藤琢磨:そう。もうコーナーにも思い切って突っ込めないし、ブレーキバイアスを走行中にどんどん変えてってましたね。だから、何とかバランス的にはごまかせても、全体的なストッピングパワーが足りないんで、まったく止まれなかったですね。このコースでは致命的。特に、ターン3とか、幾つかのコーナーで。

――せっかくオルタネートのフレッシュを最後に残していたのに、悔しいレースになりましたね。

佐藤琢磨:そう。最後にフレッシュのレッド(オルタネートタイヤ)を投入してからも、長くしようという考えだったセカンドスティントだったのを、早めにピットに入ってしまっていた。あと1、2周引っ張りたいところだったんですよね(琢磨のピットイン2回目は52周目。優勝ドライバー=シボレー使用=は55周目,。ホンダ使用の2、3位フィニッシャーは53周目にピット)。だから燃費がメチャクチャ厳しくなっちゃってた。もうフューエルセーブ、フューエルセーブで、プッシュ・トゥ・パスもうまく有効利用できなかった。ちょと厳しかったですね。マシンのバランスも完璧じゃなかったけれど、何台かトラブルやアクシデントで落ちて来たクルマがいたので、それに巻き込まれないように、なおかつギリギリのところまで燃料を持たせようとして走ってました。

「最後のリスタートは必ず何か起こると思ったので慎重に行きたかったです」

――最後のリスタートは、ターン1もターン3も大混乱になりました。よく生き残りましたね。

佐藤琢磨:はい。もう1コーナーからクラッシュがあって、結構大混乱でした。自分はチャンスが少しでもあったら……と考えていて、ひとつ順位を上げたんですけど、ダリオ・フランキッティの後ろで、バックストレートはもう右にも左にも行けない状況になってました。クルマ3台が並んでる状態でしたね。その中で、自分としては慎重に行きたかったですね。必ず何か起こると思ったので。そしたら、目の前でダリオとライアン・ブリスコーかな? 彼らがぶつかっちゃったので、それを回避するために減速してったら、後ろからマルコ・アンドレッティが追突して来た。でも、そこでのダメージは最小限だったし、僕自身はアクシデントがなかったので、少し順位を挽回してゴールできました。

――ブレーキのトラブルがなかったとして、今日のクルマはどの程度の満足がいく仕上がりになってたんでしょう?

佐藤琢磨:ウーン……フタを開けてみたら結構タイヤに厳しいクルマだったかな? ブレーキトラブルがなければ、今日はターン3のブレーキングで抜かれたシーンが何度かあったけれど、それを抑えることはできたかもしれないですね。そういう意味での順位で言えば、落とした分の半分ぐらいは抑えられてたかもしれない。でも、それ以外はスティントを均等に割って、タイヤの負荷を最小限にしてあげないと、今日は厳しかったですね。

――ブレーキのトラブルはかなり走り出してすぐから出ちゃってたってことなんですね?

佐藤琢磨:結構最初のスティントからでしたね。要するに、前がフェードなのか、マテリアルの問題なのか、制動力がどんどんなくなってって、リヤがロックしちゃってました。だから、どんどんブレーキバイアスを前に前に持ってった。そうしたら、もうフロントをロックさせることもできないぐらいに弱くなっちゃったので、リヤを落としてバランスを取るって感じになってた。だから、制動距離も2~3割増みたいになってたから、ちょっとキツかったですね。
「エドモントンは去年よりは厳しい戦いになると思います」

――日本のファンも多かったですね、トロント戦は。

佐藤琢磨:はい。日本から来てくれたファンも多かったし、トロントって街は大きいので、他のところからも日本の方が来てくれて、励みになりました。パレードラップしてて、幾つかの場所で日の丸がありました。多くの声をかけてもらって、嬉しかったですね。励みになりました。

――さぁ次は去年ポールポジションを獲得したエドモントンです。今年はどんな戦いをしたいですか?

佐藤琢磨:ハンター-レイに気をつけよう(笑)。なんか、調子良く3連勝? エドモントンは、去年は誰にとっても初めてのレースで、しかも雨のセッションが多くなってて、ドライは1回走っただけで予選を迎えたんですよね。だから、僕にとってはまったくディスアドバンテージがない状態で、それが良かったんですけど、今年は多分、去年よりも随分とコンペティティブだと思いますよ。去年より厳しい戦いになると思います。でも、ここまで自分たちはストリートで結構良いところを見せて来ているので、クルマ作りとしても、何とか今までの良いものをマシンへと反映させて、去年のリベンジというか、良い予選と決勝を戦いたいです。

――表彰台へ、行きたいところですね。

佐藤琢磨:はい。頑張って行きたいと思います。

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