2021年5月29日土曜日

2021 INDYCARレポート 第105回インディアナポリス500 プレゼンテッド・バイ・ゲインブリッジ :直言居士=ファン・パブロ・モントーヤ

スポット参戦でインディー500に臨むモントーヤ。後悔を残さないため、妥協を排し常に全力を尽くすその姿勢はいまだ不変だ Photo:INDYCAR(Karl Zemlin)クリックして拡大 

アロウ・マクラーレンSPで今年予選24位
今年のインディー500の状況を語る

 インディー500で2勝しているファン・パブロ・モントーヤは、F1のモナコGPでの優勝経験もある。フェルナンド・アロンソと同じく、トリプル・クラウンに王手をかけている状況。しかし、彼はそうした記録には興味がないようだ。もし、チーム・ペンスキーがオペレーションを委ねられたポルシェ・ワークスのLMDhプロジェクトにドライヴァーに抜擢され、2023年からル・マン24時間を走ることになったら、1972年のグレアム・ヒル以来となるトリプル・クラウンが達成される可能性は結構高い。
 今年はアロウ・マクラーレンSPに抜擢され、インディー500へのスポット参戦をしているモントーヤ。予選24位だった彼がメディア・デイにストレートな意見、見解を語った。

カーブデイは54周を走って16番手のタイム Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

「調子いいと言っていた人の走りが悪かったりする」

ファン・パブロ・モントーヤ: 正直な話、開幕前にインディアナポリスで行われたテストでアロウ・マクラーレンSPのインディーカーを走らせた時は、「なんじゃこりゃ!」って感じだった。それが先週、インディー500のプラクティスが始まった時のマシンは良くなっていた。そこから“まぁ運転できるかなっ”てレヴェルになったんだけど、トラフィック内でのハンドリングが酷かった。その後はクリーン・エアとダーティ・エアでのマシン、どちらも良くすることに努めて来た。

モントーヤの話ではマシンに手ごたえを感じているというロッシ。51周を走行してタイムは13番手 Photo:INDYCAR(Doug Mathews)クリックして拡大

 ドライヴァーたちに話を聞くと、「調子いいよ」って言ってた人のコースでの走りが酷かったり、「列の4、5番手で走ると、誰も抜けず、そこにスタックしてしまう」と言っている人もいる。アレクサンダー・ロッシが、「マシンはすごく良い。列の7番手ぐらいで走っていてもトップまで上がって行ける」なんてドライヴァーやオーナーたちに言ってたから、「前の全員がピットしたんだろ?」って言ってやった。彼は、“あれだけ問題なくパスができるんだから、今週末のレースでは優勝できる”と思ってるみたいだが、どうなるだろうね。

「マシンはよくなって着ているがまだ十分じゃない」

コースイン前にヒルデブランドと談笑するモントーヤ Photo:INDYCAR(Chris Jones)クリックして拡大

 難しいのは、トラフィック内で速く走れるマシンで、クリーン・エアを受けても本当に速く走れるかってところ。トラフィックだけ走ってるんだったら、自分にも速く走るマシンを用意する自信はある。そのマシンで少しでもクリーン・エアを受ける状況になったら、もうコクピット内の調整じゃ手に負えなくなる。トラフィックを抜け出してクリーン・エアを浴びた時、ウェイト・ジャッカーも振れるところまで振って、フロントのバーをいちばん硬くしても、1~2ラップが精一杯。「このまま走ってたらスピンする」となった。 つまり、まだ自分たちのマシンは十分に仕上がっていないということ。自分たちは1日ごとに着実にマシンを良くして来た。何かしら良いことを見つけて来た。私はセッティングにはとてもうるさい方で、自分がどんなマシンにしたいか、どんなフィーリングを得たいか、エンジニアたちへの要求は厳しい。そうやってマシンを良くして来て、競争力を付けることができたかな? っていうレヴェルに達してはいるが、まだ十分じゃない。レース前に走るカーブ・デイに幾つかトライしたことがある。

「これまでのところ、新しく参加したチームで
とても楽しく仕事をして来れている」


Photo:INDYCAR(Dana Garrett)クリックして拡大

  テクニカル・ディレクターのクレイグ・ハンプソンには、自分が望んでいた以上に厳しい態度で接してしまっているけれど、良い仕事を一緒にして来れていると思う。チームに加わった初日、「私はみんなにとって嫌な奴になるだろう」とあらかじめ言っておいた。その上で、「それでも私は敵ではないし、色々もたらすことができる。チーム内の誰かの邪魔をするつもりもない。ただ、自分がインディー500で勝ちたいだけだ。力強く戦い、でき得る最高の仕事をしたい」とも言った。その通りのことがインディーに来てからやって来れている。
 ハンプソンはアイディア・マンだ。色々と提案して来る。私はそのうちの幾つかをトライしたが、幾つかについては「やりたくない」と言った。それは彼の仕事を難しくしている面もあるだろうし、易しくしている面もあると思う。その判断は私には難しいけれどね。若いドライヴァーだったら、言われた通りに全部トライするだろう。ところが私は幾つかについては、「あー、それはダメだね」と応える。「絶対に嫌だ」ぐらい言う。それらはもう自分が過去に何千万回もトライして、効果のなかった対策だからだ。
 これまでのところ、私は新しく参加したチームで、とても楽しく仕事をして来れている。しかし、働いていれば思い通りに行かないことはあるし、怒る日もあるし、てんでダメな日だってある。予選でギヤ比が合っていないとか。チームはうまく機能していると思うし、仕事の進め方も筋が通っている。チームはいい仕事をしていると思う。

「プラクティスでは誰もポジションを上げていなかった
決勝ではいろいろな作戦にトライするチームが出るかも」


Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大

 自分たちのマシンは良い仕上がりになっているとは思う。しかし、どれぐらいコンペティティヴか、あるいは、どれぐらいダメかはレースが始まってみないとわからない。
 リスタートでパスできるかって?
 ふー……、それだって、いまのの時点ではどうなるかが見えていないよ。シヴォレーとホンダがそれぞれのレース・エンジンをどのように仕立てて来るかにもよる。
 今年は奇妙な年で、ペンスキーのドライヴァーたちは、「レース・トリムのマシンはとても速い」と言っているが、予選を通るもやっとだった。逆に、「マシンがひどい」と言っていながら予選でファスト9に入った人もいた。プラクティスで多くのマシンと一緒に走っていると、誰もポジションを上げて行っていない。そんなだから、今年のレースでは色々な作戦をトライするチームが出て来ると思う。しかし、まったくそうならない可能性もある。調子の良いマシンならオーソドックスに戦い、マシンが悪ければ何とか前に出て行こうと何か策を打つ。そういうチームはあるだろうね。
 自分たちとしては、プラクティスからとても多くのことを試して来て、予選終了後にレース・トリムで走った2時間でとうとうスタビリティが高く、高いグリップのマシンを手に入れた。そう思っている。大きな進歩だった。レースはどんなものになるだろうか。日々全力で取り組んで来たから、レースの結果がどんなものになっても、納得して、ハッピーに家に帰ることができると思っている。
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)も2勝。優勝争いが琢磨vs.JPMの”3勝目を賭けた”一騎打ちに…………そんな展開になったら興奮し過ぎて倒れてしまうかも。
以上

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