2012年8月22日水曜日

2012 INDYCAR レポート:プッシュ・トゥ・パスの作動はボタンを押してから5秒遅れに

  詳しくお知らせしてませんでしたが、ミッド・オハイオでの第12戦ホンダ・インディー200からプッシュ・トゥ・パス(P2P)のシステム変更がありました。ドライバーがボタンを押してから5秒(以上)後にP2Pが作動するように変更がされたんです。P2Pをディフェンシヴ(防御的)に使うケースが目に余り、それがレースをおもしろくなくしていることは明らか、とインディーカーは考えたわけですね。相手がP2Pのボタンを押したと見て、それに反応して自分も押す、という使い方は思い切りしにくくなったということです。
 インディーカー・シリーズとしては、今シーズンの開幕前からエンジン・マニュファクチャラーとも相談して検討して来た5秒遅れのシステムということですが、これはまぎれも無く”エリオ・ルール”とでも呼ばれるべきものですね。ミッド・オハイオ直前のエドモントンでのレース、優勝争いで佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は果敢なアタックを続けたものの、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)がP2Pをプッシュ・トゥ・ディフェンドとして使いまくり、優勝へと逃げ切った。これをインディーカーは「おもしろくない!」、「目的と異なる使用法だ」と捉えたんです。確かに、プッシュ・トゥ・ディフェンドとしての効果が大きいと、見てる側としては興醒めです。
 ところが、5秒遅れの作動は、ドライバーたちに不評でした。
 意見をストレートに言うウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、「ハッキリ言ってバカげてる。5秒後にパワーが出るなんて、使えない」とボロカスでした。その理由は、「そもそもP2Pはスロットルをある程度開けている状態でしか作動しないようになってるから、ボタンを押してからコーナーに入ってアクセルを戻すと、P2Pは自動的に解除されちゃうんだよ」と呆れ顔。「まったく有効性を見いだせなかった」と新ルールを否定していた。
 「防御的に使われていたとしても、エドモントンまでのままのP2Pの方が良かったな」と、優等生的コメントのシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)でさえ、5秒遅れの作動には反対意見だった。
 佐藤琢磨も予選後、「例えば相手がミスした時、パッとそれに反応して押してもP2Pが効かないってことでしょ? そういう状況でのオーバーテイクが無理になりましたね」と、ルール変更でオーバーテイクのチャンスがある意味潰されてしまう可能性について懸念をしていた。琢磨のこの指摘もうなずける。P2Pというシステム、そしてルールに関して、インディーカーは今後も検討、もしくは改良を重ねて行く必要がありそうだ。

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