2012年8月6日月曜日

ジャック・アマノのインディーな1日:レンタカー日記 シボレー・クルーズはシッカリしてました

今回の相棒、シボレー・クルーズはツーリングカーでの活躍が納得できる
しっかりしたクルマだった。
Photo:Masahiko Amano/Amano e Associati

キリッとしたクルーズだが、思わぬ弱点?も

 第12戦は1戦だけの渡米。週末だけをアメリカで過ごす……って、体力的にも経済的にも歓迎したくないケースなんだけど、仕方が無い。中国のレースがキャンセルされる前にエアチケットを手配しちゃっていたため、変更とか厄介だし、席が取れない可能性もあるしで、レース直後の月曜、超・朝早くから空港に向かった。6時発のフライトしか国際線に乗り継げるものがないもので。
 今回はとても小さいアクロン・カントン空港でシボレー・クルーズを借りた。ツーリングカーの世界選手権で活躍してるクルーズは、シッカリしたクルマだった。同じシボレーで、デザインもそれなりに似てるのにマリブだかがザンネンな作りなのはなんでなんだろう? あっちはふわふわと妙なライドだけど、クルーズはキリッとしてた。
 ただ、残念なことに燃料系の針の動きが信用ならなかった。だから、今回は燃費チェックはできず。そんなに悪い数字じゃあなかったと思う。ガスステーションでノズルをがちゃがちゃと何分にも渡って操作し続け、いわゆるトップ・オフをしないと、針が「F」の線より上まで行かない。これはレンタかーの場合は困りものだ。自動的に止まったところでクルマを返したら、満タン返しのルールだから、燃料代を請求されちゃう。タンクの空気の抜けが悪い構造なのかね? いまどき??

ジャック・アマノのINDYCARレポート メールマガジン・プレミアム:佐藤琢磨コメント65 ミド‐オハイオ決勝 「今回の結果はやはり残念です。来週はテストを行う予定なので、ソノマはがんばります」

ホンダ インディー200 アット ミド‐オハイオ
ミド‐オハイオ・スポーツカー・コース
オハイオ州レキシントン
コースタイプ:ロードコース
全長:2.258マイル(=約3.633km)×85周

13位 85周完走

予選17番手から4ポジションアップの13位でフィニッシュ

 タイヤマネジメント、ピットタイミング、マシンセッティング、どれもベスト中のベストと呼べるものとはできなかった佐藤琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングだったが、17番手スタートから琢磨はアグレッシブに85周を戦い抜き、4つポジションを上げて13位でゴールした。

「最初から3ストップで行こうと決めていました」

Jack Amano(以下――):3ストップ作戦で戦ったレースでしたが?

佐藤琢磨:インディーカーじゃなくなって来たね、フルコースコーションが全然入んなくて。

――自分たちの作戦はどうだったでしょう?

佐藤琢磨:2ストップで走り切るためには長いフルコースコーションが必要だったので、最初から3ストップで行こうと決めていました。うまい感じでイエローが入れば、変則的に2ストップに変更しようという考え方でした。3ストップで行くには、行くところまで行って最後に継ぎ足す方法と、序盤にピットに入る方法があるんですけど、まずはブラックタイヤでスタートしてポジションを上げられるだけ上げて行って、様子を見て、なるべく早めにピットインして、クリーンな、誰も目の前を走っていない状態でフレッシュの赤を続けて投入してタイムを稼いで前を追いかけようっていう作戦でした。

「レッドに変えてから、ポジションを上げたいときに
順位を上げることができませんでした」

――第2スティントで苦戦をしていたように見えましたが、実際はどうでしたか?

佐藤琢磨:最初はコースに泥とかが流れ出て来ていて、まったくグリップしないような状況でした。ブラックでスタートした僕らを含め得たドライバー達はかなり苦労をしました。それでも、レースが安定してからはラバーも乗ってペースも上がって、ブラックからレッドに換えてすぐからペースアップをしたかったんですけど、ちょうどピットインに入る他のドライバーとのタイミングとかがうまく行かなくて、順位を上げたい時に上げることができませんでした。レッドに換えてすぐはペースがすぐに上がって行かない感じもしていて、徐々にコースができ上がって行ってマシンのバランスが良くなって行って、僕のラップタイムも上がって行ったって感じでした。

――今日は雨は降らないと、スタート前にほぼわかっていたんでしか?

佐藤琢磨:そうですね。レースがスタートしてからも雨雲がなかったし。

――では、セッティングはもう完全なるドライ仕様だったんですね? 万が一降ったら主にタイヤ交換だけで対応しようという?

佐藤琢磨:そうでした。

――期待していた雨が最初から降らないとわかっていたんですか。

佐藤琢磨:そこらへんは残念でしたね。

――ジョルジョ・パンターノとの接触などがあったようでしたが?

佐藤琢磨:いや、ライアン・ハンター-レイでした。

――エンジントラブルの彼がヘアピン進入時に目の前で、かなり遅いペースで走っていましたね?

佐藤琢磨:そうですね。僕とジョルジョが争っていて、彼が内側にいて、僕は真ん中になった。3台並んでコーナーに入って行くことになっちゃいましたね。ライアンとしては僕のことしか見えてない。ジョルジョは2台の間隔をどう見ていたのかわからないけど、こっちとしては真ん中に入るカタチになってしまって、どうすることもできなかったですね、あれは。

――接触でマシンに問題は出ませんでしたか?

佐藤琢磨:ダメージはなかったです。

「現状ではロードコース用のタイヤでのパッケージが強くないですね」

――17番手スタートで13位フィニッシュ。自己評価としては、どうですか?

佐藤琢磨:あんまり嬉しくないです、やっぱり。残念ですね。

――タラレバになりますけど、どういうところが自分たちとして改善、あるいは違う戦い方ができた点ですか?

佐藤琢磨:シーズン前にここでテストをしたチームも幾つかあったという話だけれども、基本的に、ミド‐オハイオでの走行距離にはそんなに変わるわけじゃない。僕らも先週テストに来ていたとう中で、やっぱりスピードが足りないと感じましたね、全体的な。予選はフレッシュレッドの性能を使った何とかタイムを良くしていたけれど、総合的にクルマが出来上がってない。バーバーから数えて、今回がロードコースでのレースはわずかに2戦目なんですよね、ロードコース用のタイヤを使ってレースをするのは。その条件で自分たちはあんまり強くないですね、ロードコースのパッケージが。

――プラクティス1での苦戦を決勝まで引きずってしまったという風にも見えましたが?

佐藤琢磨:はい。そうでしたね。

「次回のソノマはエンジン交換するので10グリッド降格です」

――次のソノマに向けては、来週テストを行うことになっているんですよね?

佐藤琢磨:そうです。とても楽しみにしています。ロードコース用タイヤのコンストラクションというか、パッケージをもうちょっと理解度を深めないと。ボルティモアは自分たちも結構良いと思うんだけど、ソノマはキツそうなのでシッカリとクルマを仕上げたいです。

――次はエンジン交換ですか?

佐藤琢磨:そうです、今回でこのエンジンのマイレッジは終わったので。そうか、ソノマは頑張っても10グリッド降格なんですね、6基目のエンジンになるので。予選で頑張っても後ろからのスタートになりますね。もっとも、今日のレースで最後までエンジンが持ってくれたことは良かったと思います。

――では事前テスト、そしてソノマでの第13戦、頑張ってください。

佐藤琢磨:はい、頑張ります!

2012 INDYCAR レポート:R12 ホンダ インディー200 アット ミド‐オハイオ 決勝 スコット・ディクソンが2年連続優勝! ポイント・リーダーのライアン・ハンター-レイはエンジン・トラブルで24位 ポイント争いが一気に混沌の世界へ

ホンダ インディー200 アット ミド‐オハイオ
ミド‐オハイオ・スポーツカー・コース
オハイオ州レキシントン
コースタイプ:ロードコース
全長:2.258マイル(=約3.633km)×85周

天候:晴れ
気温:24~25℃


ディクソン、逆転での価値ある勝利
チャンピオン争いに踏みとどまる
 ポイント4位のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が4番手スタートから優勝。ポイント・リーダーのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)はエンジントラブルで24位だった。ディクソンは4位のままだがポイントトップとの差は28点にまで縮まった。
 ポイント3位でミド‐オハイオ入りしていたウィル・パワーは、2位フィニッシュでランキングトップへ復活。ポイント2位だったエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、エンジン交換のペナルティのために23番スタートという苦しい戦いで、16位でのゴール。ポイントスタンディングは3位へと戻っている。
 さぁ、残るレースはソノマ、ボルティモア、フォンタナの3戦だけ。おもしろいのは、残る3戦が常設サーキット、ストリート、オーバル3つの異なるタイプのコースで行われる点。インディーカーならではのチャンピオン争いとなる。
 今日のレースは、雨が降らなかったこと、燃費セーブ、ピットストップがポイントだった。
 驚いたことに、エドモントンに続いてフルコースコーション・ゼロのレース。それによって燃費というファクターが重要性を増していた。
 パワーはポールからトップを守り続けて2回目のピットストップを迎えた。
 そして、ここでディクソンが逆転トップに躍り出た。
 ゴールまでの28周は逃げるディクソンにパワーが激しくチャージ……という展開になると思ったが、ディクソンがピットアウトから一気に差を広げ、そのまま悠々と逃げ切った。2年連続優勝、ミド‐オハイオでの通算4勝目は、彼をチャンピオン争いに踏みとどまらせる価値あるシーズン2勝目となった。


3ストップ作戦を採用した佐藤琢磨だったが
ユーズドレッドの第2スティントで苦戦
 3位争いは予選7位から3位へと浮上する見事な走りを見せたブルデイと、シモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)が行い、パジェノーが今季3回目の表彰台に上った。最終スティントをブラックタイヤで走る作戦を採用したために、ブルデイは4位に甘んじたが、それでも今季のベストフィニッシュである。5位はジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)が3ストップ作戦組のトップとして獲得した。
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は17番手スタートから4ポジションアップの13位でゴールした。スタートから7周でピットに入る3ストップ作戦は、まずまずの効果を発揮していたが、マシンの仕上がりがまだ完璧にほど遠かったようだ。ユーズドレッドで走った第2スティントに苦戦を強いられていた。フレッシュレッドで走った終盤の2スティントは良いペースで走れていたが……。琢磨とほぼ同じ作戦で、8周目に1回目のピットストップを行った18番グリッドスタートのトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)は、12ポジションアップの6位でフィニッシュしていた。カナーンは琢磨同様にブラックでスタートしたが、中盤戦に新品のレッドを2連続で投入し、ゴール前をユーズドレッドで戦う作戦を成功させていた。
   「ポジションを4つ上げることのできたレースでしたが、この結果を喜ぶことはできませんね。自分たちのマシンは、ロードコースサーキットでスピードがない。今年は常設ロードコースでのレースがまだ2戦目ですが、自分たちは新型マシンをまだ仕上げ切れていないということです。来週、カリフォルニア州ソノマで行うテストでロードコース用のセッティングをもっと良くしたいですね」と琢磨は語った。

2012INDYCAR インサイド情報 R12 ホンダ インディー200 アット ミド-オハイオ Day3 スタートタイヤ 今回はオルタネート=15台vsプライマリー=10台

本当にスタートはドライで行われるのか?
雲に覆われたミッド・オハイオ、発表されたタイヤ・セレクション・リスト


 雨は降るのか? 降らないのか?
 とても微妙な空模様のままスタートの準備が進められて行っている。
 各チーム、マシンセッティングについてはどのような決断を下したんだろう??
 今、ピット前ストレートには30台以上のホンダS2000が並んでパレード・ラップを待っている。インディーカーは各々のピットで待機中。

 以下は、ウォームアップ終了後に各チームがインディーカーに提出した(しなかった)スタートタイヤのリスト。今回はオルタネート=15台vsプライマリー=10台。
 プライマリー装着でスタートする最上位グリッドのドライバーは、10番グリッドのオリオール・セルビア(パンサー・ドレイヤー&レインボールド・レーシング)。
 予定外のエンジン交換で10グリッド降格のペナルティを受けるのは、アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)=14番グリッドと、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)=23番グリッド。
 規定時間内にスタートタイヤをインディーカーに申告しなかったのは、カストロネベス、ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)、ジェイムズ・ジェイクス(デイル・コイン・レーシング)の3人で、彼らはインディーカーが「プライマリータイヤでのスタート」を義務づけた。
 フレッシュ・レッドを2セット持っていないのは、予選でトップ6に進んだライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)、シモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)、タグリアーニ、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、ライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)。
 チャンピオン争いを行っている面々は、ハンター-レイが7番グリッドからのスタート。ランキング2位のカストロネベスは23番手と後方。ランキング3位のパワーがポール。ランキング4位のディクソンは5番手。ランキング5位のジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)は15番手だ。
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、カストロネベスがグリッド降格のペナルティを受けたことで、予選18位だったが17番グリッドに繰り上がっている。
 これから雨が降って、ウェットタイヤ装着でのスタートへと切り替わる可能性も依然残されている。

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント64::R12 ホンダ インディー200 アット ミド-オハイオ Day3 ウォームアップ ウェットのウォーム・アップで佐藤琢磨は5番手タイムをマーク

 一度はキャンセルのアナウンスされたウォームアップだったが、天候が悪い状態は思ったほど長く続かなかった。雲の合間を使い、最初のスケジュールよりも1時間40分ほど遅れて、20分間だけだがウォーム・アップは開催された。
 赤旗が2回も出されたため、十分な走行を行えたチームはなかった。しかし、ミッド・オハイオのウェットコンディションというものを初めて体験できたドライバーは多くいた。佐藤琢磨もその一人だった。
 トップは完全ウェットセッティングで走ったライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)。女性ドライバーのシモーナ・デ・シルベストロ(ロータス・HVMレーシング)が4番手につける走りを見せた。そして、琢磨は5番手とまずまずの順位につけた。


Jack Amano(以下――):赤旗2回でまともに走れないセッションになっちゃいましたが、感触は?
佐藤琢磨:すっごい滑る。それで、滑るところと滑らないところのラインの差が激し過ぎる。ちょっと何周か走って、うまく走れる場所を見つけないと。飛んでもなく変なラインで走ることになると思うので。

――ミッド・オハイオというコースの持つキャラクターとして、ラインが変則的になっちゃうんですか?
佐藤琢磨:そう。濡れている場所によって全然グリップが違う。
――セッティングはどうでしたか?
佐藤琢磨:ちょっと、セッティング語るほどじゃなかった。でも、ちょっとくルマが固過ぎる気がした。ドライ寄りに過ぎてる感じがするから。特にライアン・ハンター-レイの後ろを走った時とか、彼のクルマは凄い柔らかくて前にスッと進んでたから。そこで僕らは彼の真後ろから横に出てしまったので、まともにトラクションのかからない状態になってしまった。
――レースはウェット期待、ですか?
佐藤琢磨:うん、そうですね。とにかく、まぁ17番手からのスタートで、ドライでは非常にパッシングが限られるコースなので、なかなか順位を上げるのは難しいと思う。だから、ウェットに期待するところは大きいです。
――実際に今、チームが掴んでいる天気の情報では、レースはどうなるとの感触を持っているんですか?
佐藤琢磨:まぁ、幾つか雲の帯が来ているんですよね。だから、それらがうまくレースのスタートの時に重なればウェットレースになると思います。
――レースを通してウェットになる、あるいは、途中からドライにって可能性もあるわけですね?
佐藤琢磨:考えられますね。
――どういうセッティングにしてスターティング・グリッドに着くべきか、判断が難しいですね? 逆に、おもしろいとも見る側としては言えてしまうわけですが?
佐藤琢磨:まぁ、おもしろいし、ギャンブル性が高まるし、そこでセッティングがピタリと合う、ヤマが当たるチームと、当たらないところが出るかもしれないですね。
――では、当たる事を祈っています。
佐藤琢磨:はい。当たらぬも八卦、当たらぬも八卦ですね。

2012 INDYCAR レポート:R12 ホンダ インディー200 アット ミド-オハイオ Day3 ウォームアップ ウェットで20分間のウォーム・アップ

 雨雲が去ったところで急遽開催されることとなったウォームアップセッションは、予定の30分間ではなく、20分間だけだが9時47分にスタートが切られた。
 セッションが始まってすぐにエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)とジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)がスピン&ストップで赤旗。
 コースがオープンされると、今度はダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)やオリオール・セルビア(パンサー・ドレイヤー&レインボールド・レーシング)がスピンしてストップ。因に、ここでカーペンターは二度目のコースアウトを今度はバックストレッチエンドのヘアピンで冒していた。
 走行再開。二度のレッドでもう残り時間は4分となっていた。
 まともに計測を行えたラップは誰もが1周か2周。トップはライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)だった。彼の出した1分32秒8638は、2位だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)より1.7116秒も速かった。
 セッション最後にもコースオフするマシンがあった。カーペンターの3回目だった。
 最終的に3番手にはトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)=1分34秒7683が来て、4番手はシモーナ・デ・シルベストロ(ロータス・HVMレーシング)=1分34秒8087! 5番手が佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)=1分35秒0640だった。
 6番手以下は、シモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)、ルーベンス・バリケロ(KVレーシング・テクノロジー)、ジェイムズ・ジェイクス(デイル・コイン・レーシング)、セバスチャン・ブルデイ(ドラゴン・レーシング)、ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)という順。レースが雨になる可能性は依然としてある。ウェットでスタートし、ドライに変わって行くというパターンも考えられる。果たして??

2012年8月5日日曜日

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント63::R12 ホンダ インディー200 アット ミド-オハイオ Day2 予選「フィーリングそのものは悪くなくて、グリップレベルの上がり方に合わせたバランスも悪くなかったのですが、いかんせんスピードが不足していました」

R12 ホンダ インディー200 アト ミド‐オハイオ
ミド‐オハイオ・スポーツカー・コース
オハイオ州レキシントン
コースタイプ:ロードコース
全長:2.258マイル(=約3.633km)×85周
Day2 予選 1分06秒4404 第1セグメント敗退 8周走行
走行レッドタイヤでのフィーリングはまずまず
決勝はレースストラテジーも重要に

   得意のはずのミド‐オハイオ、佐藤琢磨は意外にも予選18位という結果に終わった。テスト時と異なる路面コンディションが影響してなのかグリップが得にくく、スピードが伸び悩んだ。予選前のプラクティス2でマシンを大きく向上させられなかったところが今回の苦戦に繋がっている。しかし、予選で装着したレッドタイヤでは得られたフィーリングはまずまず。ここまでの走行で得られたデータを基にウォームアップ用セッティングを決定し、そこでのデータをさらに検討に加えて決勝レースへと臨む。現状からどれだけマシンを進歩させられるか? そして、レースではチームのストラテジーも大きなファクターとなりそうだ。

「プライマリータイヤで大きなベースアップが必要」

Jack Amano(以下――):第1セグメントの通過ならず、18位という結果になりました。
佐藤琢磨:非常に残念ですね。でも、プラクティスと予選を走ったところから学べるところがあるので、明日のウォームアップでどこまでマシンを仕上げられるか、ですね。プライムタイヤの方で結構大きなペースアップをしなくちゃいけない。そこがポイントです。

――レッドタイヤのフィーリング、マシンセットアップとのマッチングはどうでしたか?

佐藤琢磨:フィーリングそのものは悪くなくて、グリップレベルの上がり方なども予想通りでした。それに合わせたバランスもそんなに外してはいなかった。でも、いかんせんスピードが足りなかった。スピードトラップも遅かった。ウィングは寝かせて行ったんですけども、届かなかったですね。

――今回、エンジンの使用距離がもう終わりに近いんですよね? それが影響している可能性もありますか? ホンダとシボレー、両陣営ともライフの終わりではパワー、耐久性ともに少々心配な状況があると言われていますが?

佐藤琢磨:ちょっとわからないです。確かにエンジンのライフは終わりの方です。今回のレースに向けてエンジンを換えるところまで行けなかったんですよ、実に微妙なところで。例えば、テストで雨が降ってしまったりだとかがあって……。それで今回もこのエンジンのままで行かざるを得なくなってるんです。次のソノマでは今季6基目のエンジン投入となるので、自動的に10グリッド降格のペナルティを受ける。本当は、もしここで今回みたいにあまり予選が良くなかったら、エンジンをここで換えちゃうって10グリッドバックを受けることも考えていたんですけど、それはできなくなっています。状況は厳しいですね。

――明日に向け、明るい見通しは何があるでしょう?

佐藤琢磨:今日の予選で大幅にタイムアップをできたところ。相対的に、もうちょっとスピードが欲しかったところが今日はありましたから、それを明日のウォームアップ前までに、どうしてそうなっているのかをキッチリと見直して、決勝に向けた対処を行いたいです。

――今回は作戦でリカバーする戦い方も必要になりそうですね?

佐藤琢磨:燃費が相当厳しそうだから、多分、2ストップで走り切るにはかなりタイミング良くフルコースコーションが、それなりの長さでないとならない。2ストップで行けるところも出るかもしれないけど……。

――全員が3ストップになったとしたら、ピットタイミングを活かして上位へと進出することが可能ですね?

佐藤琢磨:そうだと思います。

2012 INDYCARレポート:R12 ホンダ インディー200 アット ミド‐オハイオ Day2 予選 ウィル・パワーが気迫でポールポジション獲得。佐藤琢磨は予選18位

好調のパワー、2位を圧倒するポールタイム
 予選はまだ暑くなり切らない午前中に行われた。30℃以下のコンディション、3段階の予選を制してポールポジションを手に入れたのはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だった。「細かい点まで徹底的に調べ上げ、マシンを速くするために全力を注いでいる」と語っていた彼は、ユーズドレッドで1分05秒6474をマーク。2位のダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)にコンマ2.5秒近い差をつけ、堂々たるポール獲得を達成した。
 昨日の時点から、パワーは「今週はポールを絶対に獲る!」と話していた。「(2年続けて逃している)チャンピオンシップを掴み取るためにポイントは全て奪い取る」と意気込んでいた。そして、そのことばの通りに予選でトップに君臨してみせた。今シーズン3個目のポールは、キャリア27個目、ミド‐オハイオでの2個目となった。
 予選2位となったフランキッティは、「ファイナルステージではタイヤのグリップがもう残されていなかった。セッティング変更でそれを補おうとしたが、フロントタイヤが摩耗し切ってしまった」と話した。彼のチームメイト、昨年度ウィナーのスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は予選5位だった。「ベストのアタックラップは、3分の2まではポール獲得ペースだった。しかし、最後のセクターでスピードを保てなかった」とディクソン。レッド・タイヤをこちらも消耗し切ってしまったようだ。
 予選3位はルーキーのシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)。アキュラで走っていたスポーツカー時代から知っているミド‐オハイオとあって、インディーカーでも速さを発揮した。


予選4位のタグリアーニはエンジン交換で14番手スタートに
 4位はアレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)。彼もこのコースを得意としている。しかし、残念なことにタグリアーニは予定外のエンジン交換を行っており、ペナルティで10グリッド降格され、14番手からのスタートとなる。
 ポイント・リーダーのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は、今回はファイナルに進めなかった。予選結果は8位。ただし、タグの降格によって7番グリッドからスタートできる。
 エドモントンで優勝してポイント2位となっているエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、朝のプラクティスでアクシデントに遭い、予選も13位と振るわなかった。しかも、予選後にエンジンを交換する羽目になり、後方23番グリッドからのスタートと厳しい状況に追い込まれた。
 こうして見て行くと、ポールからスタートするパワーは、ポイント争いで大きなゲインを今回遂げることができそうだ。ペンスキーのふたりはかなりの苦戦を余儀なくされるケースも考えられる。ポイント4位のディクソンは5番手スタートと上位にいるが‥‥。
 予選を終えたパワーの表情は充実感に満ちていた。「今日の予選は、今シーズン最も気合いが入っていた。思い切りプッシュをし続けたよ。自分はそうしなければならない立場に追い込まれているからね。全力を注ぎ込んだアタック・ラップを完成させ、ポールを手に入れた。本当に疲れた。まだ体が震えているぐらいだ。このコースはフィジカル的にキツいからね。嬉しかったのは、我々のマシンがユーズド・タイヤで速いとわかった点。マシン自体がグリップ力を備えている。だから、走っていてとても楽しいんだ」とパワーは語った。「ポール獲得は、シリーズ・ポイント1点を意味する。それを僕らは必要としているんだ。ミド‐オハイオでのレースとは、上位グリッドから思い切りプッシュし続けてゴールを目指さねば、なかなか勝つのは難しい。明日は、チャンピオンシップに繋げるためにも勝たねばならない」。


得意のミド‐オハイオだが佐藤琢磨はまだスピード不足
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、予選18位だった。前戦エドモントンでは予選4位からキャリアベストの2位フィニッシュ。得意とするミド‐オハイオでは、事前テストも行えたし、上位グリッドを確保することが期待されていた。しかし、マシンセッティングが思うように進められていない。
「予選に向けてマシンは良くなった。そこはプラス要素。でも、まだスピードが足りてない。フィーリングは良くなっているんだけどね。レッドタイヤによるグリップ上昇など、僕らの読みは合っていた。予選はこういう結果になったけれど、この走行でも得られたデータは有用で、プラクティスでのデータも共に分析し、ウォームアップでのマシンを今より更に良いものにしたいですね。決勝を走るマシンは、ウォームアップでのデータまでを総合して、より良いセットアップにしなければ!」と、琢磨は決勝での活躍を誓っていた。

2012 INDYCAR レポート&佐藤琢磨コメント62:R12 ホンダ インディー200 アット ミド‐オハイオ Day2 プラクティス2 プラクティス2最速はジャスティン・ウィルソン。佐藤琢磨は25台中の24番手と苦悶

1分06秒台に16人がひしめく
 昨年、このコースのターン1でコース・オフしたジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)は、芝生に隠れたバンプにジャンプしたマシンが引っかかって急激に停止。その大きな衝撃によって背骨を傷めた。そんなコースであるといのに、今日、ウィルソンは素晴らしい速さを見せた。一気にタイムは1分06秒3018まで縮まった。
 2番手は昨日4位のタイムを出していたたシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)、3番手は昨日トップだったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だった。4番手にはジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)が来た。昨日は17番手だったというのに。
 5番手は昨日2番目に速かったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。1分06秒台に入ったドライバーは、昨日はパワーひとりだけだったが、今日は一挙に16人にも増えた。


佐藤琢磨は昨日のタイムを超えられず
 ポイント・トップのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は昨日の16位から6位にまで大きく挽回。逆に、昨日3番手だったマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)は11番手に下がり、またもやチーム内の最下位となってしまった。
 ただし、今日のタイムの善し悪しは、セッション終了間際にクリア・ラップを取れたか否かにかかっていた。グリップが最後の最後で急上昇したかのように、多くのドライバーたちが一気にタイムが縮めていたのだ。
 ところが、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、その最後の最初の2分間を走らず、ピットに入ってマシンを降りてしまった。19周をこなしたが、今日のベストは昨日の自己ベストを上回れなかった。トラブルがあったわけでもないのに、非常にフラストレーションの溜まるプラクティスとなってしまっていた。


「マシンとしてはよくなっているが、相対的なところで速くなっていません」

Jack Amano(以下――):何が起きちゃっているのでしょうか?
佐藤琢磨:タイミングも悪かった。みんな、ほとんどがファイナルラップでしょ、ベストを出したのは。セッションの最後の10分、自分たちは先に出てって、先にピットに帰って来ちゃった。ちょっとこれは納得できない。セッションの使い方がうまく行ってない。マシンはバランスとしては昨日より良いんですよ。でも、グリップ感がない。スピードトラップを見ても僕らはやっぱり遅いんですよね。ダウンフォース的に、僕らはつけてる方だけれども、決して飛び抜けてつけてるワケじゃないし、ほとんど周りと変わらないんだけど、スピードトラップがちょっと遅過ぎるんで困ってます。
――セッション終了間際にフレッシュを2セット、パパッと投入したようでしたが?
佐藤琢磨:いや、1セットだけ。2セット入れたかったんだけど、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)がイエロー出したことで時間切れ……みたいな感じになっちゃいましたね。
――予選に向けては、セッティングに関して、今までの2セッションとは考え方を大きく変えて、ということになりますか?
佐藤琢磨:予選はレッドタイヤになるので、そこら辺で状況は大きく変わるだろうと見てます。いずれにしてもセットアップは変えなきゃいけないんですけど、この2セッションで試したかったことが試し切れていないのは辛いですね。今日のこのデータをもって明日のウォームアップに挑むんですけど、そこでどういう風に決めて行くか、次の予選でのセットアップでのマシンの反応を見て、決勝のマシンのセッティングを決めて行く事になると思います。
――難しい週末になっていますね?
佐藤琢磨:思っていたよりうまく回っていないですね、今週末は。マシンのバランスは良くなって来ているのに、相対的なところで、自分たちが速くなってなくて、周りがタイムをアップさせているということなんです。
――予選でのマシンセッティングが一気に良くできるといいですね?
佐藤琢磨:はい。頑張ります。