2011年4月16日土曜日

2011 INDYCAR レースプレビュー:琢磨にとって20戦目となるINDYCAR

Photo: Masahiko Amano(Amano e Associati)

2011 INDYCAR レースプレビュー:第3戦トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ 佐藤琢磨は予選第2グループで出走に

新ルールでブリスコーは予選2グループ目を選択

 今日=金曜日に最速だったライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)は、新ルールによって明日の予選走行グループをどちらにするかを選ぶ権利を与えられた。
彼が選んだのは2グループ目だった。その結果、今日のプラクティスで奇数順位だったドライバーたちはブリスコーと同じ2グループ目に組み入れられ、残るドライバーたち=偶数順位が1グループ目で走ることと決まった。
 出場メンバーを公平に2グループに分けたいと採用された新ルールだが、二強チームの5人のドライバーのうちの4人が偶数順位のため1グループ目に組み入れられることとなった。今回はダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)が苦戦中とはいえ、プラクティスタイムでグループ分けをした結果、1グループ目にプラクティス2位のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、4位のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、6位のエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)、そして12位のフランキッティが入ることとなったのだ。明日、もしフランキッティが予選前のプラクティスで一気にトップグループへと食い込んできた場合には、1グループ目が2グループ目よりも遥かに厳しいグループとなる。

2グループ目の琢磨はステージ2進出に有利

2011 INDYCAR R3 トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ Day1 プラクティス2レポート「初日トップはライアン・ブリスコーで2位はウィル・パワー。チーム・ペンスキーがワン・ツー」

第3戦 トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ
Round3 Toyota Grand Prix of Long Beach
Streets of Long Beach

ロングビーチ市街地コース
カリフォルニア州ロングビーチ
全長:1.968マイル(=約3.167㎞)×85周
コースタイプ:ストリート

Day1 4月15日
プラクティス2

天候:快晴
気温:30~31℃
路面温度:47~49℃
タイヤリアにヒットするなどアクシデントもあったブリスコーだったが、最後の最後にベストラップをマーク。
Photo:INDYCAR(Cris Jones)
夏を思わせる中でのプラクティス2回目、ブリスコーが最後に逆転

 朝からカリフォルニアらしい快晴に恵まれたロングビーチGP、気温も路面温度もグングン上昇して行った。プラクティス2回目は30℃以上と、真夏のような暑さ。路面温度は49℃にも達した。因みに、バーバー・モータースポーツ・パークでの路面の最高温度は、決勝中に記録された52℃だった。
 2回の異なるコンディションでのプラクティスでは、チーム・ペンスキーがトップと2番手のポジションを独占した。最速は1分10秒7403を最後のラップで記録したライアン・ブリスコー。プラクティス1回目にトップだったウィル・パワーは、1分10秒8885がベストで2番手となった。
 「トップで1日を終えることは素晴らしい。ランチタイムに施した幾つかのセッティング変更がとても良かった。午前中にはスピンを喫したが、そのロスを取り戻せた」とブリスコーは語った。
 パワーは、「このコースでは順位間のタイム差が非常に小さいね」と驚いていた。そして、「新しいタイヤで走り、とても良いプラクティスセッションをおくることができた。明日に向けてさらに幾つかのセッティング変更を行うつもりだ。それで今回もポールポジションを獲得できればうれしい」とコメントした。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント16 第3戦ロングビーチ Day1 プラクティス2 「バーバーで方向性を変えたセッティングを、今はストリート仕様にしているところ。3台でセッティングの改善を進めてはいるけれど、まだ十分じゃない」

第3戦 トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ
Round3 Toyota Grand Prix of Long Beach
Streets of Long Beach

ロングビーチ市街地コース
カリフォルニア州ロングビーチ
全長:1.968マイル(=約3.167㎞)×85周
コースタイプ:ストリート

Day1 4月15日
プラクティス2  1分11秒8077  15位  23周走行
天候:快晴
気温:30~31℃
Photo:INDYCAR(Dan Helrigel)
このセッション中にセッティングを2回変更

 プラクティス2回目は1時間のセッション。佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は自己ベストを1分11秒8077に更新し、プラクティス1回目よりもふたつ上の15番手につけた。2セッション総合での順位も15番手となった。
 ランキングのトップ10に入っているドライバーたちは30分間しか与えられなかったプラクティス1回目、ランキング8位の琢磨は16周をこなした。
 プラクティス2回目、琢磨は23周を走った。2度のセッティング変更に長めの時間がかかったこともあり、時間のわりに周回数は多くならなかった。ダラーラのフロントサスペンションはプルロッド式で、ダンパー/スプリングのユニットがフロア下にマウントされているため、変更作業にはリヤよりも長い時間が必要なのだ。
 プラクティス2回目も琢磨は1セットのタイヤで走り切った。セッション終盤にニュータイヤを投入していれば、もっとタイムを向上させることができただろうが、彼らはそうしなかった。
 トップはライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)の1分10秒7403。プラクティス1回目とほぼ同じ差を琢磨陣営は突きつけられた。なお、チームメイトのトニー・カナーンは11番手、EJ・ビソは20番手だった。KVレーシング・テクノロジー・ロータスは、明日のプラクティス、そして予選に向けてセッティングの大改造を行うこととなりそうだ。

2011 INDYCAR R3 トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ Day1 プラクティス1レポート「走り出しから抜けているパワーとハンター‐レイ」

Photo:INDYCAR(LAT)
トップ5の中でフランキッティとカストロネベスは苦戦中

 トップタイムを記録したのはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)……こう書くのは、もう何回目だろう。チャンプカー最後のレースとなった08年のロングビーチで勝ったのが彼だった。09年からチーム・ペンスキーで走る彼は、2回のロングビーチでのレースで2位1回、3位1回を記録している。
 2番手はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)。去年のウィナーだ。
 今、ロングビーチを走らせたら、この2人がとても速いということだ。ラップタイムはパワーが1分11秒4103、ハンター-レイが1分11秒6005だった。3番手はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、4番手はジャスティン・ウィルソン(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)だった。
 ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)とエリオ・カストロネベス)がトップ5に見当たらない。彼らの順位は?
 エリオは8番手、ダリオは11番手。今年もダリオはロングビーチで苦戦中か? 去年は予選12位だった。第2ステージでビリだったということ。そして、決勝も12位だった。
 チャンプカー時代にロングビーチで3連勝したことのあるセバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング)が12番手、CART時代、チャンプカーの両方でトータル4勝しているポール・トレイシーは今年初のレースだというの15番手につけてみせた。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント15 第3戦ロングビーチ Day1 プラクティス1「去年とは大きく違うセッティングで臨みましたが、フィーリングとしては悪くないです」

第3戦 トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ
Round3 Toyota Grand Prix of Long Beach
Streets of Long Beach

ロングビーチ市街地コース
カリフォルニア州ロングビーチ
全長:1.968マイル(=約3.167㎞)×85周
コースタイプ:ストリート

Day1 4月15日
プラクティス1  1分12秒5953  17位  16周走行

昨年同様、ロングビーチはやや苦しい滑り出しに

 佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は、ロングビーチでの最初のプラクティスで17番手だった。重要なのは明日の予選、そして、さらに重要なのが日曜の決勝での順位なのだが、滑り出しは決して良くはない。プラクティス2回目からの巻き返しに期待したい。

2011 INDYCAR インサイドコラム 第2戦バーバー・モーター・スポーツ・パーク 「レッドのパフォーマンスが高いという前提では、レースは一体どう変わるのか」

Photo:INDYCAR(Dan Helrigel)

2011 INDYCAR インサイドコラム 第2戦バーバー・モーター・スポーツ・パーク 「カナーンの3ストップ作戦を成功させた驚異の理由」

レースでレッドに威力を発揮させる方法とは?

2011 INDYCAR インサイド情報 第2戦バーバー・モータースポーツ・パーク “予選とレース、今シーズンのルールが生んだタイや使用法にもう一度注目!”

なぜ、カナーンの3ストップ作戦は成功したのか

 バーバー・モータースポーツ・パークでの第2戦、トニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は、24位スタートから6位でフィニッシュした。3ストップ作戦を成功させたのだ。
 通常なら2ストップで走れる距離を敢えて3ストップにすると、ふたつの大きなメリットが得られる。
 1=スタート時の搭載燃料を少なくし、軽量を武器に戦える。
 2=ピットタイミングをずらすことでトラフィックを走らず、タイムロスを減らせる。もちろん、ピットストップを1回多く行うことは決定的に不利なので、この作戦が成功するには何らかの幸運という要素が絡む必要がある。

Photo:INDYCAR(Chris Jones)
3ストップvs2ストップの戦いの予感

 第2戦では90周のレースの37周目に発生したフルコースコーションが、その幸運な要素だった。2ストップのチームは30周目あたりに給油したばかりでステイアウト。3ストップのチームは2回目のピットストップをこなせた。そしてレース終盤、最後の給油を行うのにピッタリのタイミングの58周からコーションに。ここで2ストップ組も3ストップ組も同時にピットインし、作戦の違いが消滅したのだ。
 去年までのレースで3ストップが成功した例はあったのか? あまり記憶がない。今考えればなかった方が不思議なぐらいなのだが……。カナーンとKVレーシング・テクノロジー・ロータスの成功により、今後は2ストップ対3ストップの戦いがより多く見られることになりそうだ。
 この件に関連する話を次のコラムにて。

2011 INDYCAR レースプレビュー:第3戦トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ 今季最多の27台がエントリー

Photo:INDYCAR(Chris Jones)

ロングビーチ4勝のトレーシー参戦
 開幕戦ホンダ・グランプリ・オブ・セント・ピーターズバーグへのエントリーが25台。第2戦ホンダ・グランプリ・オブ・アラバマが1台プラスの26台。そして今回の第3戦トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチは、また1台増えて27台になった。
 今回増えたのは、もうすでにお伝えしているポール・トレイシー。ドラゴン・レーシングからの出場だ。カーナンバーは「8」に決定。CARTインディカー・ワールド・シリーズと、チャンプカー・ワールド・シリーズで通算31勝。これはセバスチャン・ブルデイと並んで現役最多勝タイ。ともにIRL=現在のINDYCARでの勝利はゼロだけど……。トレイシーは93年、00年、03年、04年とロングビーチでは4回も優勝している。93年はチーム・ペンスキーからの出場で、マシンはペンスキー/イルモア・シボレー。00年はチーム・グリーンで、レイナード/ホンダ。03年からはチャンプカー時代となっていて、エントリーはフォーサイス・レーシング、マシンはローラ/フォード・コスワースだった。
 第2戦を負傷欠場したアナ・ベアトリス(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)は、1レースを休んだだけで今回復帰の予定だ。

Photo:INDYCAR(Chris Jones)

2011年4月15日金曜日

2011 INDYCAR シリーズ 大会プレビュー 第3戦ロングビーチ:プレイバック2010「あまりにも苦しいレースだったけど、ひとつの週末をコンプリートできた実感はあります」

Photo:INDYCAR(Richard Dowdy)
ハンター-レイがレースをコントロール

昨年、4月18日にシリーズ第4戦として行われたトヨタ・グランプリ・オフ・ロングビーチ。
ポールポジションは第2戦から3戦連続でウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が獲得した。第1ラウンドをブラック(ハードタイプ)使用でクリアし、ファイナルラウンドにフレッシュなレッド(ソフトタイプ)を投入する余裕の戦いぶりによる予選制覇だった。
しかし、レース最速はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)だった。レース序盤にパワーをパスしてトップに躍り出た彼は、そのままゴールまで悠々と走り切り、2位に5秒以上の大差をつける見事な勝利を飾った。2009年にはビジョン・レーシングとAJ・フォイト・レーシングで走っていたハンター-レイ。彼はアンドレッティ・オートスポート入りして初めてのレースだったサンパウロで2位フィニッシュを果たし、4戦目にして早くも優勝をチームにもたらした。単独オーナーとなったばかりのマイケル・アンドレッティにとっても、非常に嬉しい記念すべき勝利となった。
2位はジャスティン・ウィルソン(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)。彼もチーム移籍組だ。第2戦セント・ピータースバーグですでに2位フィニッシュを1回達成しているウィルソンは、ロングビーチでは予選3位からパワーをパスして2位入賞を果たした。

決勝前ウォームアップでセッティングを解決した琢磨

佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー)にとってのロングビーチは、ストリートでの3戦目だった。サンパウロが予選10位、セント・ピータースバーグが予選11位で、バーバーは常設ロードコースだが、予選で6位に食い込んだ。ロングビーチでは、ストリートでも予選ファイナルに進む活躍が期待されたが、結果はその逆で、予選第1ラウンド敗退の19位となった。プラクティスからグリップの獲得に苦しみ続けていたのだ。
それでも琢磨は、最終プラクティスとなる決勝日朝のウォームアップセッションでマシンセッティングの向上を成し遂げた。
後方グリッドだった上にスタートで順位を落とした琢磨は、遅いマシンに引っかかった状態が長く続いて大きくタイムロス。1回目のピットストップを大幅に早めるなど、作戦を切り替えることもトライすべきだったが、燃費など様々な要素を検討したチームはトップグループとほぼ同じタイミングでピットする作戦を選んだ。
悪い時は悪いことが重なるもので、琢磨は1回目のピットストップの後にコールドタイヤのアレックス・ロイド(デイル・コイン・レーシング)にヒットされる不運に見舞われ、18位でゴールすることとなった。琢磨のチームメイト2人は、マリオ・モラエスが予選15位から6位でゴールし、EJ・ビソは予選17位から15位でのフィニッシュだった。モラエスはスタートでポジションを上げ、序盤のバトルでさらに上位へ進出。ピットストップでもさらにポジション・アップに成功していた。

Photo:INDYCAR(Ron McQeeney)
やや精彩を欠いたチップ・ガナッシ勢


去年のロングビーチでは、ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)が予選12位、決勝も12位と振るわなかった。スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)も予選までは苦戦。しかし、8位からスタートしたディクソンの方は、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)、ライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)、トニー・カナーン(アンドレッティ・オートスポート)といった強豪とバトルした末に4位でゴールした。

2011年4月14日木曜日

2011 INDYCARレースプレビュー R3 トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ DATA

2011 INDYCARシリーズ 第3戦 トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ DATA
●第3戦 トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ
Round 3 Toyota Grand Prix of Long Beach
Streets of Long Beach

●スケジュール/現地時間=日本時間-16時間
4月15日   10:00〜11:15 プラクティス1 
                     (日本時間 4月16日 2:00〜3:15)
        14:25〜15:25 プラクティス2
                     (日本時間 4月16日 6:25〜7:25)
4月16日    10:25〜11:25 プラクティス3 
                     (日本時間 4月17日 2:25〜3:25)
        14:30〜15:50 予選               
                     (日本時間 4月17日 6:30〜7:50)
4月17日        9:00〜9:30 ウォームアップ 
                     (日本時間 4月18日 1:00〜1:30)
                   13:30~ 決勝(85周)              
                     (日本時間 4月18日 5:30〜)
                 
●サーキットデータ
ストリート・オブ・ロングビーチ
カリフォルニア州ロングビーチ 
全長:1.968マイル(=約3.167km)×85周
コースタイプ:ストリート
2010年勝者:ライアン・ハンター-レイ

2011 INDYCARシリーズ解説:速報! またしてもINDYCARの予選方式が変更!ロードの予選第1ラウンドのくじ引きグループ分けを廃止

長年のくじ引きを廃して合理的な方向へ

 INDYCARがまたロードコースでの予選ルールを変更した。
 今週のトヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチから、予選第1ラウンドを走るふたつのグループの分け方が、くじ引きではなく、金曜日のプラクティスタイムで決められることとなった。
 金曜日のプラクティスは2回行なわれるのが通常だが、その両セッションを通しての最速タイムを出したドライバーに、最初に走行する第1グループと、後に走行する第2グループのどちらのグループで走るかを選ぶ権利がまずは与えられる。そして、そのドライバーが選んだ方のグループにはプラクティスでのタイムが奇数順位だった者が組み入れられ、偶数順位だったドライバーたちがもう一方のグループを作る。

公平を期した変更が、予選にどんな変化をもたらすか?

 第2戦ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマでは、第1グループに速いドライバーが偏っていた(チーム・ペンスキーとターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングの合計5人のうちの4人、ガナッシのサテライトチームのドライバー2人も第1グループだった)。第2グループの方が第2ラウンドへと進むのは容易だったのだ。
 「より激しい競争を求めるドライバーたちのリクエストによって、今回の変更はなされた。新ルールによって金曜のプラクティスは価値が高められ、2グループの実力をくじ引きによりも均等ににする効果がある」とブライアン・バーンハート(INDYCARの競技及びレーシング・オペレーション担当社長)はコメントを発表しているが、くじ引きを続けていれば、バーバーのようなケースになることは必然だった。ここまで長くルール変更がされずにきたことの方が不思議。ともあれ、正しい方向へのルール変更は歓迎だ。
 ロングビーチ金曜の最速ドライバーは誰になるのか? そして、そのドライバーは先に走る第1グループと、後で走る第2グループのどちらを選ぶのだろうか。第2ラウンドにより近い路面コンディションで走れることで、第2グループで走る方にアドバンテージはあるのだろうか。

2011年4月13日水曜日

2011 INDYCAR R2 バーバー・モータースポーツ・パーク レースアナリシス5 「今回も予選では全員が全セッションでレッド使用。そして……」

今のところ、レッドとブラックの格差は広がっている

 開幕戦に続いて、今回のレースも出場者全員が予選でレッドタイヤ(ソフトタイプ)しか使わなかった。ファイアストンはロードコースでは2種類のタイヤを供給していて、予選ではどちらを使っても良いことになっている。しかし、今年からのルール変更で予選の各ステージで使えるのが1セットのみとされてからは、ブラック(ハードタイプ)で予選を走る者がいなくなった。トップチームであっても、ブラックでは第1ステージを通過できないというリスクが考えられるからだ。
 去年までは1セッション中に2種類のタイヤの両方を使うことが許されており、2セット以上を使うこともできた。そのために第1ステージで、「あわよくばブラックで通過したい。レッドを残り2ステージに温存できるから……」と考えるチームやドライバーがあった。 実際にブラックで第2ステージへと進める可能性は十分にあるように見えていた。もちろん、レッドを使わない戦略を採用して失敗に終わるケースもあったが……。それでも、見事成功させれば間違いなくアドバンテージを手に入れることができたので、トライする価値はあった。
 まだ2レースが終わったばかりだが、今年のルールではブラックで予選を戦うケースは見られないのかもしれない。どこが去年と違っているんだろうか? それはブラックとレッドのコンビネーションだ。去年はブラックとレッドの性能差が小さい時があったのだが、今年はこれまでのところ、ブラックのパフォーマンスが明確に低く……あるいは、レッドの性能が高くされている。だからブラックは予選で使えない。

予選でのレッドタイヤのマネジメントがカギ

 今後のロードコースで供給されるフィアストンタイヤは果たしてどんなものになるのか? サーキットによって両タイヤの仕様は異なるし、2種類のタイヤの性能差も違ってくる。では、2種類のタイヤの性能差が今より縮まった場合と、今より広がった場合、レースでの作戦や戦い方はどう変わるのか? おもしろみが増えるケースはどちらなんだろう?……この疑問に対する答えは、どっちに転んでも両方が考えられる。
 ただ忘れてはならないのが、レッドは決勝でも使用を義務づけられている点。最低でも2周、グリーンフラッグ下で使うことがルールで定められている。そして、レッドは各チームに3セットしか供給されない。予選で使えるのは2セットまで。1セットは予選終了後にチームへと手渡される。予選は3段階あるが、2セットのレッドで賄わねばならない。このマネジメントが勝負の分かれ目になる。第2ステージまでにどちらか1セットのタイヤでいいから、できる限り少ない周回数に納めておく。そうすればファイナルを戦う余力がタイヤに残される。
 それ以外の考え方も、実はある。その件はトニー・カナーンの6位フィニッシュに関するレポートの中で書こうと思う。


今回、予選ステージ1で敗退したカナーンがレースでとった戦略とは? 
Photos:INDYCAR(Chris Jones)


2011 INDYCAR R2 バーバー・モータースポーツ・パーク レースアナリシス4 「ファイアストンタイヤと、バーバー・モータースポーツ・パークの路面」 

なぜ、ラップタイムは昨年よりも低下したのか?

 予選までにレッド(ソフトタイプ)を試したインディカー・ドライバーたちは、ブラック(ハードタイプ)はグリップが低いという印象を受け、決勝レースはレッド―ブラック―レッドの順でタイヤを装着して戦う意志を固めたようだった。26台出場中の21台がレッドでのスタートを選んだ。
 グランダム・シリーズのサポートレースを開催していたことが、インディカーのグリップを下げていたのだろうか? その影響はゼロではなかっただろうが、他のレースと比べて明らかに大きいというケースでもなかったはずだ。それよりも今回は、バーバーのコース自体の路面のグリップ低下が大きかったようだ。経年変化で路面自体の持つグリップは下がる。それが去年から今年に向けて顕著だったと考えられる。インディライツでは約2秒、インディカーでも約1秒、去年よりレース中のラップタイムが遅くなっていた。気象を含めたコンディションの差もあっただろうが、どれだけの力が働いたかは不明。去年より今年の方が暑かったが、その差もタイムに明らかな影響を及ぼすほどには大きくなかったと思われた。
Photo:INDYCAR(LAT)
非常に興味深いパワーのタイヤインプレッション

 ウィナーとなったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、「レッドは去年と同じじゃなかった。少しだが違っていた。今回のはソノマ(インフィニオン・レースウェイ)のレッドだったと思う」という興味深いコメントをしていた。「今年供給されるタイヤは、どれも去年と同じにはならないと思う。何かコンパウンド用の物質や薬品で使えなくなったものがあると聞いている。よくはわからないけど……。今年のタイヤは、今までのところ去年のものとは違っている」とも彼は語った。
「今までのところ……」とパワーはコメントしたが、今回はまだ2戦目。このコラムで問題にしたいのは、第2戦でのタイヤだ。開幕戦でのタイヤについては、ファイアストンが「ブラックもレッドも去年からの改良バージョン」と認めているので。パワーのいうとおりに去年のものとは違うのだ。しかし、今回はファイアストンが、「ブラックは改良型だが、レッドは去年とまったく同一」と発表していた。そこでパワーのコメントを聞いた後、ファイアストンのタイヤ開発責任者であるペイジ・メイダーに聞いてみた。答えは? 「タイヤは一切変わってない。100パーセント同じだと断言します」というものが返ってきた。

結論=路面の経年劣化がラップタイム低下の真相

 ドライバーたちには優れた感覚が備わっている。パワーのそれは、出場ドライバーの中でもかなり優秀な部類に入るはずだ。今年のバーバーでのグリップの低さ、今年の路面に対してのマシンの動きから、パワー陣営は「タイヤが違っている」との答えに至った。しかし、ここはファイアストンの言い分を信じたい。変わったのはタイヤではなく、路面だった。今後のロードコースでの戦いでも、今回のような話が出てくるかもしれない。要注目だ。

2011 INDYCAR R2 バーバー・モータースポーツ・パーク レースアナリシス3 「速さと燃費を両立させるトップドライバーたちの実力」

トップを走りながら燃費セーブもしていたパワー

 レースは今年も90周。満タンで30周を走れればピットストップ2回でゴールまで走れる計算だった。去年のレースでは、燃費に気を配っていないと満タンで30周を走るのが難しい状況となっていた。しかし、今年はアクシデント多発=フルコースコーション多発だったから、燃費がかなり厳しい……という話には一切ならなかった。
 優勝したウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、一度もトップを明け渡さない走りを見せながら、同時に燃費セーブもしていた。彼が最初のスティントを終えてグリーンフラッグ下でピットに向かったのは、31周目のことだった。2位を走っていたライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)は、それより3周も早い28周目にピットインしていた。

チップ・ガナッシのふたりもパワーと同等の燃費を達成

 パワーと同じだけの好燃料を実現したのは、予選3位でレースでも3位を走行していたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)と、ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)の2人だけだった。フランキッティは予選でトップ6に入れず――ショックを受けたことでしょう――7位スタートだったが、リスタート1回目で5位にジャンプ。1回目のピットストップを終えるとブリスコーの後ろの4位までポジションを上げていた。
表彰台に立った3人の実力が光った一戦だった。Photo:INDYCAR(LAT)
 結局レースはパワーが逃げ切り、ディクソンは2位。ブリスコーはクラッシュし、フランキッティが3位でゴールした。今回明らかになったのは、トップ3でフィニッシュした実力者たちは、燃費という要素でもライバル勢に対してアドバンテージを持っていること。速く走れる上に燃費を稼ぐノウハウも持っているのだから、彼らを打ち負かすのはそうそう容易ではない。

2011 INDYCAR R2 バーバー・モータースポーツ・パーク レースアナリシス2「レース直前に決まったリスタートの改良と、新たな問題とは?」

Photo:INDYCAR(LAT)
改良2列リスタートは、ひとまず成功か

 開幕戦セント・ピータースバーグでアクシデントが多発したスタート及びリスタートは、今回、決勝直前に少しの変更が加えられた。列同士での車間を1台分以上空けて、加速前の隊列を整える時点でのスピードを少し上げ、そして加速区間の始まりをコントロールラインから遠くしたのだ。
これらは適切なルール変更だった。もっとも、バーバー・モータースポーツ・パークのレイアウト――ターン1が緩やかな左コーナーで、ターン2は大きく回り込む右コーナー――であることの方が、アクシデント回避に大きく貢献していた。
 ターン1でのアクシデントはなかった。ターン2でも小さなつばぜり合い程度だった。しかし、その先のハードブレーキングが必要なターン5ではアクシデントが起こった。タイヤが冷たく、燃料満載でマシンが重い状態でドライビングミスする者がいたからだ。
 優勝したウィル・パワー(チーム・ペンスキー)のリスタート直後のライン採りに関して、2位となったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)はレース後に不満を漏らした。しかし、レース主催者のインディカーはパワーのスタートに関して何も問題はないと見ている模様だ。

2011 INDYCAR R2 バーバー・モータースポーツ・パーク レースアナリシス1「パーフェクトウインをもたらしたパワーのセッティング調整能力、そして勝利への執念」


Photo:INDYCAR(Dan Helrigel)
一度も首位を譲らない完全な勝利

 第2戦ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマは、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)によるパーフェクトウィンだった。
 スタートからゴールまで、パワーはトップを一度も明け渡さなかった。何度もリスタートが行われたというのに。そして、2回行われたピットストップの最中もトップを保ち続けた。クルーたちのピットでの仕事ぶりもパーフェクトだった。
 レース序盤はライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)が、28周目からはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が2位を走行。彼らがトップを走るパワーを脅かすシーンは見られなかった。ブリスコーは最初のスタートと3周目のリスタートの合わせて2回、ディクソンはその後のリスタート5回でパワーの真横に並んで加速するチャンスが与えられたが、トップ逆転劇は一度も起こらなかった。
Photo:INDYCAR(Dan Helrigel)

2011年4月11日月曜日

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント14 第2戦バーバー・モータースポーツ・パーク Race Day 決勝「開幕戦以上の順位を期待できた面もあったんですけど、それが残せなくて残念です」

INDYCARシリーズ第2戦 ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマ
Round 2 Barber Motorsports Park
Honda Indy Grand Prix of Alabama
バーバー・モータースポーツパーク
アラバマ州バーミンガム
全長:2.38マイル(=約3.83km)×90周
コースタイプ:ロード
Race Day 
4月10日 決勝 16位フィニッシュ 2時間15分55秒1242

オーバーテイクを重ねるも、アクシデントもあり16位に

 11位スタートから一旦順位を下げた佐藤琢磨だったが、タイヤが磨耗してきてペースの落ちるマシンが現れ始めると、攻勢に出てポジションアップを開始した。しかし、ここでエリオ・カストロネベスと接触。これで順位を大きく落とした琢磨だったが、レース中盤までに7位まで巻き返した。琢磨は琢磨ならではのオーバーテイクを重ねたのだ。
ところが、45周目のリスタートの後にジャスティン・ウィルソンと接触。これでフロントウィングを壊してしまったのが痛かった。ピットインしてリードラップの最下位の18位まで沈むことに。
それでも諦めなかった琢磨は、14位まで挽回。しかし、今回はとことんツキがないらしく、燃料が足りないことが判明し、ゴールを目前にして給油のためにピットイン。16位でのゴールとなってしまった。

レース後、GAORAの電話取材に答える琢磨。Photo:Jack Amano(Amano e Associati)
悔やまれるカストロネベスとの接触

――序盤に7位まで上がったんですが、アクシデント、そして緊急ピットインがあって、最後には給油のピットインもして・・・・・・というレースになりました。

佐藤琢磨:今回は予選までで相当苦労をして、11番手からのスタートでした。自分のスタートはそんなに悪くなかったと思いますよ。1回目は良くて、2回目はちょっと順位を落としたけど3回目で盛り返せた。朝のウォームアップでクルマの感触はかなり良くなったので、決勝での追い上げっていうものを自分でもかなり目指していて、いいところまで行ってたんですけど、エリオ・カストロネベスとヘアピンで競り合っていて、残念ながら接触して体勢を崩して、順位を落とした。あれが悔しかったですね。
その後のスタートではジャスティン・ウィルソンとサイド・バイ・サイドになって、僕は彼を信頼してアウト側にいたんですけど、すごく寄ってこられちゃってふたりとも行き場を失って、また接触。フロントウィングにダメージを受けて緊急ピットインしなければいけなかった。あれで非常に厳しい戦いになりましたね。
その後も結構波乱含みで、順位は上がったり下がったり。最後はピットインの時に給油の計算ミスがあったみたいで、足りないというのが判明してね、ピットインしてまた順位を落としてしまった。開幕戦以上の結果を期待できた時もあったんですけど、それが残せなくて申し訳なかったです。

2011 INDYCARインサイド情報&ニュース 第2戦バーバー・モータースポーツ・パーク 決勝スタートタイヤチョイス

決勝グリッドの琢磨。Photo:Jack Amano(Amano e Associati)

上位陣はすべてレッドタイヤでスタート

予選1位  ウィル・パワー         レッド
予選2位  ライアン・ブリスコー     レッド
予選3位  スコット・ディクソン      レッド
予選4位  エリオ・カストロネベス    レッド
予選5位  ジャスティン・ウィルソン  レッド
予選6位  オリオール・セルビア    レッド
予選7位  ダリオ・フランキッティ    レッド
予選8位  ジェイムズ・ヒンチクリフ  レッド
予選9位  マルコ・アンドレッティ    レッド
予選10位 グレアム・レイホール    レッド
予選11位 佐藤琢磨            レッド
予選12位 アレックス・タグリアーニ  レッド
予選13位 シモーナ・デ・シルベストロ レッド
予選14位 ラファエル・マトス      レッド
予選15位 JR・ヒルデブランド     レッド
予選16位 マイク・コンウェイ      ブラック
予選17位 ライアン・ハンター-レイ  ブラック
予選18位 EJ・ビソ            レッド
予選19位 ビトール・メイラ        レッド
予選20位 セバスチャン・ブルデイ   レッド
予選21位 チャーリー・キンボール   レッド
予選22位 ダニカ・パトリック      ブラック
予選23位 シモン・パジェノー      ブラック
予選24位 トニー・カナーン       ブラック
予選25位 ジェイムズ・ジェイクス    レッド
予選26位 セバスチャン・サーベドラ  レッド


 各エントラントはスタート時の装着タイヤを明らかにする義務があるが、それらが新品か否かまでは問われない。
 予選13位以下のドライバーは予選を1ステージしか戦っていないため、プラクティスでもう1セットを試していない限りレッドの新品を2セット保持している。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント13 第2戦バーバー・モータースポーツ・パーク Race Day ウォームアップ「かなり思い切った変更をして、攻め込んだセッティングで臨んだら、気持ちよく走ることが出来た」

INDYCARシリーズ第2戦 ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマ
Round 2 Barber Motorsports Park
Honda Indy Grand Prix of Alabama

バーバー・モータースポーツパーク
アラバマ州バーミンガム
全長:2.38マイル(=約3.83km)×90周
コースタイプ:ロード

Day3 
ウォームアップ 1分13秒1422 3位 20周走行

上にはチップ・ガナッシの2台だけ

 予選までのパフォーマンスにはまったく満足していなかった佐藤琢磨が、レースデイのウォームアップで流れを大きく変えた。30分間のセッション、琢磨はブラック(ハード・タイプ)で決勝用に2セットをスクラブした後、昨日のプラクティス3回目を走ったブラックを装着。ほとんどのドライバーたちがブラックで走る中、7番手につける1分14秒5941のベストを出した。
 セッションの半分が終わったところで琢磨はピットに戻り、昨日の予選第1ステージで4周だけ走ったレッド(ソフトタイプ)を装着してコースに戻った。レッドで走り出した4周目、琢磨の名前が1分13秒3107という数字とともにタイム・モニターのトップに跳ね上がった。3周後には1分13秒2970へとベストを更新した。
 この後にチップ・ガナッシ・レーシング勢をレッド装着。ダリオ・フランキッティが13秒0709を出し、さらにはスコット・ディクソンが1分12秒4414をマークしてトップと2位に。琢磨はさらに1分13秒1422までタイムを更新して、3番手でウォームアップを終えた。
Photo:Masahiko Amano

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース:レースデイにリスタートに関する新ルール発表 リスタート時のスピードと加速開始点は、毎戦コースに応じて設定へ

 インディカーは第2戦ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマの決勝日に、2列でのリスタートに関するルールを発表した。開幕戦でアクシデントが多発したことから、対応策が練られたのだ。新ルールは以下の通り。

・加速開始区間はスタート/フィニッシュラインから325フィート(約99.06メートル)の地点から始めることとし、その場所にオレンジ色のコーンを置く。
・リスタート時のスピードは時速80マイル(約128.72km/h)。
・1列目と2列目など、列の間の車間距離を少なくとも1台分確保する。
・スターターがレース再開まで1周のサインを出した後で、ホンダアコードのセイフティカーがピットレーンに入る前、ドライバーたちには2列に並ぶよう指示が出される。
・レースリーダーにはレーンを選ぶ権利が与えられる。
・どのマシンもスタート/フィニッシュラインを過ぎる前に順位を上げることは許されない。

 スタート/フィニッシュラインから加速開始地点までの距離、スタート時の速度、いずれに関してもドライバーたちの代表が決定に関わった。セント・ピータースバーグでの開幕戦において、それらは200フィート(約60,96メートル)ト時速70マイル(約112.63km/h)だった。
 今後、レースの行われるコースによって、スタート時のスピードも、スタート/フィニッシュラインと加速開始点の距離はそれぞれ決定されることとなる見込みだ。

Photo:Jack Amano(Ammano e Associati)

2011 INDYCARインサイド情報&ニュース:第2戦決勝直前プレビュー「全体的なグリップレベルが低下したバーバーの路面、そして朝のウォームアップよりも熱くなりそうなコンディションでのタイヤパフォーマンスがポイントに」

オープンテストのタイムに届かなかったベストラップ

 先月のオープンテスト最速は、エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)の1分11秒9434だった。レースウィークエンドの予選前までの最速はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)の1分12秒1388だから、テスト時よりも0.1954秒遅かった。どちらもブラックタイヤ(ハードタイプ、プライマリータイヤ)で記録されたタイムだ。供給されたタイヤが同一スペックなのだから、違うのは気温や路面温度、湿度、風、路面(埃、乗っているタイヤラバー)などコンディションということになる。
 オープンテストは2日間フルに走り込むもので、エリオのタイムはその最後の最後に記録された。長い時間をかけてコンディションにマッチしたセッティングを発見したところで新品タイヤを投入。これなら好タイムが出せる。オープンテストでは他のカテゴリーのクルマは一切走っていない。テストの終盤、路面に埃などは全然なく、ファイアストンのラバーがバッチリ乗っかっている状態。好タイムが出る要素が揃いまくっていた。気温を見ると、オープンテストは13~24℃で、レースウィークエンドは25~28℃。幾分涼し目のテスト時の方がさらにタイムの出し易いコンディションだったとも考えられる。
レースウィークエンドにはサポートレースがある。今年もグランダムのスポーツプロトタイプとGT系カテゴリーのマシンがワンサカ走っている。彼らの走った後はインディカーにとって走りにくい路面になる。金曜日のプラクティスは雨が降って大幅短縮に。そもそもテストに比べてレースウィークエンドの走行時間は断然短い。その中でコンディションの変化を追っかけながらセッティングを行うわけで、好タイムを出しにくい条件が揃っている。

Photo:INDYCAR(Chris Jones)

2011年4月10日日曜日

INDYCARインサイド情報&ニュース:第2戦決勝前に確認しておきたいピットタイミングの重要性。昨年のベストタイミングはグリーン下でのピット

 今年の開幕戦ホンダ・グランプリ・オブ・セント・ピータースバーグでは、フルコースコーションが序盤に集中しただけで、ピットタイミングが勝敗を分ける展開にはならなかった。
Photo: INDYCAR(Dan Helrigel)

INDYCARインサイド情報&ニュース:第2戦Honda Indy Grand Prix of Alabamaフォトギャラリー「開幕戦で骨折のベアトリス」

決勝日のパドックでアナ・ベアトリスを発見。開幕戦負った手首の舟状骨を骨折の治療のための右手の白いギブスが痛々しいが、彼女は「来週のロングビーチには出るつもり。もう全然問題ない状態になってるはず」と笑顔でサムアップ!
Photo: Jack Amano(Amano e Associati)
関連ニュース
INDYCARインサイド情報&ニュース:開幕戦で負傷のベアトリスは第2戦欠場、代役にパジェノー
http://www.indy-amano.com/2011/04/2.html


INDYCARインサイド情報&ニュース:第2戦Honda Indy Grand Prix of Alabamaフォトギャラリー「パジェノーがINDYCARデビュー」
http://www.indy-amano.com/2011/04/indycar2honda-indy-grand-prix-of_7981.html


INDYCARインサイド情報&ニュース:第2戦Honda Indy Grand Prix of Alabamaフォトギャラリー「ウィルソンは手首にサポーターして参戦」
http://www.indy-amano.com/2011/04/indycar2honda-indy-grand-prix-of_2936.html

INDYCAR側でもバラバラで混乱しがちな用語……当サイトでは整理します

レッド=オルタネート≒ソフト、ブラック=プライマリー≒ハード、ステージ=セグメント=ラウンド……なぜか呼び名が3つずつでややこしい言葉
 まずはタイヤの区別の話。
 ファイアストンのロードコース用タイヤが2種類あるのだが、その呼び名が幾つもあって、多少混乱気味の人もいらっしゃることと思う。
 近頃のファイアストンは、プライマリーとオルタネートでタイヤの構造までも変えている場合があるので、2種類を単純にハード、ソフトという分け方をするのは厳密に言えば正しくない。

2011 INDYCARシリーズルール解説 バーバー戦のプライマリータイヤに新しいスペックを投入

バーバーでのファイアストンタイヤ

プライマリー:サイドウォール=黒(ブラック、あるいはハードとも呼ばれる)
ドライコンディション用スリック 各エントリーに6セット供給

オルタネート:サイドウォール=赤(レッド、レッズ、オプショナル、ソフトとも呼ばれる) ドライコンディション用スリック 
各エントリーに3セット供給(ただし、予選まででは2セットのみ使用可能で、予選終了後に最後の1セットが供給される)

ウェットコンディション(雨):トレッドに溝あり 各エントリーに5セット供給

Photo:Masahiko Amano
今回ファイアストンは、プライマリーに新しいスペックを用意し、オルタネートタイヤは昨年と同じ、性能がすでに実証されているものを持ち込んでいる。
プライマリーの構造は2010年のバーバーで使われたプライマリーのものと同一だが、トレッドコンパウンドはアップデイトされている。去年とほぼ同じパフォーマンスを発揮することを目指している。先月のオープンテストでは、今回とまったく同じスペックのタイヤが供給されていた。

供給されるタイヤを各セッションやレースでどのように振り分けて使うかは、各チームに任せられている。ただし、ルールは決勝レースでプリマリーを最低1セット、新品のオルタネートも最低1セット使用することを出場者全員に義務づけている。そして、両方のタイヤは最低でもグリーンラップを2周以上行なわなくてはならない。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント12 第2戦バーバー・モータースポーツ・パーク Day2 予選「自分なりにクルマを進歩させてきたつもりなんだけど、ラップタイムが昨年から大幅に下がっている。それが何なのか?」

INDYCARシリーズ第2戦 ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマ
Round 2 Barber Motorsports Park
Honda Indy Grand Prix of Alabama

バーバー・モータースポーツパーク
アラバマ州バーミンガム
全長:2.38マイル(=約3.83km)×90周
コースタイプ:ロード

Day2 
予選 11位(第2ステージ敗退) 1分12秒1667 トータル9周走行


昨年はファイナル進出を果たしたが
 昨年のバーバー、佐藤琢磨は参戦僅か3レース目だったというのに、予選ファイナルへの進出を果たした。同じチームでの2年目、さらに走り込みを重ねたコースということで、今年は予選トップ6はもちろん、さらに上位での戦いが琢磨には期待されていた。彼自身もそのつもりでいたことだろう。
 しかし、開幕前のテストで自らのセッティングを再考することとなったKVレーシング・テクノロジー・ロータスは、新しいセッティングをレースウィークエンドに試すことを決断。一歩後退したカタチでサーキットに入り、ライバルたちとの差を埋めるゲームを戦うこととなった。
 琢磨はセッションごとに自己ベストを更新して行った。しかし、ライバル勢のタイム短縮が大きく、琢磨の順位は走行セッションを重ねるたびに落ちて行く結果となった。それでも予選での彼は第1セグメントをクリア。第2セグメントを戦った。
 残念ながら、琢磨の2年連続ファイナル進出はならなかった。予選結果は11位。昨年よりも5グリッド後方から、しかし5位フィニッシュを実現した開幕戦セント・ピータースバーグと同じグリッドから決勝に臨むことが決まった。


Photo:Masahiko Amano

2011 INDYCARシリーズ解説:レースウィークエンド考察「変則的なスケジュールにも臨機応変な対応が求められる、それがインディカー」

変則的なタイスケがアメリカンレースの特徴!?
 ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマの走行2日目、予選直前のプラクティス3回目は20分という短時間に設定されていた。このようにレースごとにスケジュールが異なる場合があるのがアメリカのレースの特徴だ。プラクティスの時間帯が散らばるのはサポートレースとスケジュールを調整し合うためというのが主な理由。今回はスポーツカーのグランダムシリーズが耐久レースを土曜日に行うため、IZODインディカー・シリーズのスケジュールにしわ寄せがきた……と書くとネガティブだろうか。インディカー・シリーズがフレキシブルに対応したわけだ。
 決勝のスタート時刻がイベントによって異なるのは、確保されているテレビの放映時間帯による場合も少なくない。こちらはレース出場者の利便性よりもサーキットに訪れてくれる、あるいはテレビ観戦してくれるファンを重視したスタイルである。

走行時間がまちまちな上に、プラクティス1ではに見舞われた今回のバーバー。
予選、決勝に向けてマシンセッティングはますます難しい条件に。Photo:IRL(LAT)

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント11 第2戦バーバー・モータースポーツ・パーク Day2 プラクティス3「ちょっと確認するぐらいしかできませんでした。ラップタイムにはつながりませんでしたが、クルマはもって行きたかった方向には行ってます」

INDYCARシリーズ第2戦 ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマ
Round 2 Barber Motorsports Park
Honda Indy Grand Prix of Alabama

バーバー・モータースポーツパーク
アラバマ州バーミンガム
全長:2.38マイル(=約3.83km)×90周
コースタイプ:ロード

Day2 4月9日
プラクティス3  1分13秒0913 13位 9周走行
天候:曇り
気温:22~23℃
Photo: Masahiko Amano(Amano e Associati)