2012年5月5日土曜日

2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:シボレーが再びホンダを口撃、ターボ問題は解決……と思いきやポリティカル・バトルがスタート!

ロングビーチで勃発、ブラジルまでで解決した……かに見えていたホンダのターボ交換に関する事情とは、以下のようなものでした。
 新規定エンジンで戦われる今年のインディーカー・シリーズは、開幕前に出場マシンやエンジンのホモロゲーションが行われ、その仕様はホイホイと簡単には変更できないルールとされていました。エンジン・サプライヤーの参戦費用高騰を抑えるためのルールです。

2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:5月2日 守れるか?インディー500の伝統――現時点での最大エントリーは33台ギリギリ――

インディー500のスポット参戦エントラントの顔ぶれは?
 シボレーはアナ・ベアトリスとセバスチャン・サーベドラをアンドレッティ・オートスポート絡みでスポット参戦させるとすでに発表している。
ホンダはAJ・フォイト・エンタープライゼスがウェイド・カニンガム、サラ・フィッシャー・レーシングがブライアン・クロウソンを、そして、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)はミチェル・ジョルダインJr.をエントリーさせる話が決まっている。シュミット・ハミルトン・モータースポーツの兄弟チームとして、シュミット・ペルフレイ・モータースポーツがエントリーしている99号車には、タウンゼント・ベルが乗ることになるはずだ。
シボレーは2台追加の13台、ホンダは4台追加の14台となった。そこへ、インディーへのエントリーを済ませた後にロータスに放り出されてしまったブライアン・ハータ・オートスポートとDRRが加わる。DRRはシボレー、ハータはホンダに引き受けてもらう話になる可能性が高い。
シボレーユーザーのエド・カーペンター・レーシングは、開幕前にギリギリシボレーエンジンをゲットした身だというのに、2台目の21号車をインディーにエントリーしている。しかし、その2台目のプロジェクトには取りかからないとの決定した模様だ。同様にホンダは、RLLから出場する予定だったルカ・フィリッピをインディー以降のレースからへと参戦計画開始を延期させている。現時点でフィリッピはデトロイトからの参戦となっているが、それがさらにズレ込む可能性もあるようだ。デトロイトを逃すと次は超高速オーバルのテキサスで、ミルウォーキー、アイオワとオーバルが続く。それならいっそのこと、7月のカナダ連戦からの投入とした方が、ヨーロッパ出身ドライバーにはいいかもしれない。


伝統を守るためにも、何としても34台以上の参戦が必要なのだが さて、ここでインディー500のエントリー数をもう一度勘定し直してみよう。シボレー=14、ホンダ=15、ロータス=3・・・で32台だ。NHRを足してギリギリの33台だ。これじゃ予選落ち無し=無投票当選になってしまう。なんとしても1台プラスして34台にしないと! 予選でのバンプ・アウトがない。予選のドラマがないインディー500なんて想像できない。
これは別に、アレジの予選落ちを期待してのことではない。しかし、現実的に考えると、ロータスによるアレジ参戦計画というのは、たった1台だけ弾き出されるドライバー&マシンを自ら作り出そうとしている行為にしか見えない。
もしかしたら、更に大きな、びっくりするような変化がこの先には待ち受けているのかもしれない。
ということで来週末、私たちはアレジの顔をインディアナポリスで見ることができるんでしょうか?
 

2012年5月4日金曜日

2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:5月3日 MSRインディー,エンジン入手できずハワードをリリース

ホンダにエンジン供給を断られ、シボレーとの交渉も不調
 マイケル・シャンク率いるMSRインディーは、昨年インディー500へのデビューを果たした06年インディーライツ・チャンピオン、ジェイ・ハワードを彼らのインディー500参戦プロジェクトから解放した、と発表した。
 MSRインディーの今年のインディー500参戦を目指しているが、彼らを取り巻く状況は悪化の一途を辿っているようだ。エンジンメーカー3社と交渉を続けて来たシャンクだが、ホンダに「インディーでのエンジン供給は物理的にも無理」と告げられ、シボレーとの交渉も良い方向には進んでいないようだ。
 とても奇妙な話だが、今の彼らにとってエンジンを供給してもらえる可能性がいちばん高いのは、もしかしたらロータスかもしれない。彼らがインディー500から供給台数を減らす体制へと変わるのに対して、ホンダとシボレーは大幅増を余儀なくされるので、なおさらのことエンジンの数に余裕がなくなってしまうからだ。
 イギリス出身のハワードは、スポンサーをMSRインディーへと持ち込み、二度目のインディー500参戦を行うつもりだったが、チームが肝心のエンジンを手に入れられない状況から抜け出せずに来た。そして、その問題が解決される可能性は非常に低くなっている。
 シャンクとしては、ハワードには他チームからのインディー500出場のチャンスがあり、それを潰してしまうのはモラルに反する、との考え方だ。そのため、まだ少しの時間的余裕があるこのタイミングで、ハワードを自由の身としたのだ。
 

2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:シーズン中のチームの使用エンジン変更に制限するルールが施行

もう何度も伝えて来ている通り、ロータスは今から2週間ほど前、2チームへのエンジン供給をインディー500以降に関してギブアップした。年間エントリーを予定していたブライアン・ハータ・オートスポートはブラジル戦の欠場を余儀なくされ、DRRはブラジルこそ走ったが、インディー500からは使えるエンジンがなくなってしまう苦境に立たされてしまった。この大問題が発生した後からインディーカーがエンジンメーカーとチームの間に入り、ホンダがハータに、シボレーがDRRにインディー500から最終戦までエンジン供給を行うようにと交渉を行っているようだ。

2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:5月3日 ジャン・アレジのインディー500参戦プロジェクト急展開!に黄信号! ニューマン・ハースがエントリー放棄

ニューマン・ハースが手を引いた後、可能性あるのはHVM?
 ニューマン-ハース・レーシング(NHR)は、今年のインディー500へのエントリーを行っていた(ドライバー未登録、エンジンはロータス)が、それを取り下げたようだ。
 彼らはロータスのアンバサダー・ドライバー=ジャン・アレジを走らせるはずだったが、そのプロジェクトから手を引いたのだ。
 これでアレジのインディー500挑戦が叶う可能性は、一気に小さくなってしまった。
 47歳、フォーミュラカーレースから離れて10年以上、オーバル経験なし。元F1ドライバーなら、こうしたハンディも乗り越えて予選通過を果たすか……とも見られていたが、それを果たすためにはある程度の力を持ったチームで走ることが必要で、ロータスエンジンを使うシリーズのレギュラーチームの中には、そうした力を備えたところがない。インディーカーにおけるロータスのナンバーワンチームはHVMレーシングだが、彼らに2台目を走らせる意思はあるのだろうか?

ジャック・アマノのインディーな1日:佐藤琢磨の初表彰台に思う 〜ドライバーはチームの力が整ってこそ真の実力を発揮する〜

「ドライバーは、チームの能力を超えにくい」。「チームの力を越える成績は残せない」とも言い換えられる。トップレベルにないチームで走っていると、トップレベルに入れないドライバーであり続けてしまう。去年までの佐藤琢磨が、これに当てはままると思う。

2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:5月2日ジャン・アレジの参戦がニューマン-ハース以外からになる可能性が急浮上

ロータス体制縮小でアレジはどうなる?

 開幕から3戦で5台へのエンジン供給をギブ・アップ、3台へと体制縮小したロータスだが、元F1ドライバー、ジャン・アレジのインディー500参戦計画を破棄していない。48歳のインディー500初挑戦にそこまで拘る真意は理解し難いが……。
 ブラジルでのレース開催中、ロータスのインディーカー担当モータースポーツ・マネジャーは、「アレジの参戦計画は変わらず進行中」と明言した。しかし、本当に同プロジェクトが実現するのかどうかが微妙な状況に変わって来ているようだ。
 アレジは4月初旬、「NHRと契約」と自身で公表していた。しかし、その話=契約がもはや存在しなくなっているのかもしれない。NHRはインディー500にエントリーをしている(ドライバー未定で)が、ロータスのマネジャー氏は、「NHRからの参戦とは確定していない。他からになる可能性もある」とブラジルで話していた。
 NHRは開幕前のマシン組み立てからドラゴン・レーシングをサポートしており、ロータス最初のトップ10フィニッシュを第2戦アラバマで記録した。しかし、第3戦ロングビーチでドラゴンのピットにNHRエンジニアたちの姿はなかった。これは彼らがインディー500出場に向けての準備に取りかかったためと見られていたが、実際にはロータスに対する見切りをつけたということだったのかもしれない。アレジを走らせるパッケージが他チームに丸投げされる可能性が出て来た……という噂がブラジルのパドックには流れていた。

他に参戦の可能性があるチームといえば……

 NHR以外での参戦とは、ロータスの現有勢力=HVMとドラゴンのいずれかが参戦体制を1台分拡大してエントリーするか、彼らのドライバー3人(シモーナ・デ・シルベストロ、ブルデイ、キャサリン・レッグ)の誰かに降りてもらうことしか考えられない。インディー500に出ようと頑張って来ているのに、エンジンが手に入らないMSRインディーに、アレジを委ねるって手はないのかな? プロモーション大好きのインディーカーCEO、ランディ・バーナードとしては,元F1スターのアレジには名のあるチームで走って欲しいってことなのかもしれないけど……。

 

2012年5月3日木曜日

2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:体制縮小もいまだトラブル対応に苦慮、ロータスが2台のエンジン交換。この状態でもアレジの参戦は計画中……。

ブラジルでもロータスの苦悩は続いていた。「予定外のエンジン交換」をセバスチャン・ブルデイとオリオール・セルビアの2台で行ったのだ。今回から4台へと体制縮小した彼らだが、エンジンの信頼性不足は依然として改善されていない。

 キャサリン・レッグのエンジンは、ブラジルでは交換されなかった。しかし、彼女はロングビーチで2回交換しているので、今回も10個のグリッド降格というペナルティを受けると遠征前から決まっていた。

 そんな状態だが、彼らのジャン・アレジ参戦計画は依然として生きているという。

 ホンダも「予定外のエンジン交換」を佐藤琢磨のマシンで行った。開幕戦でのシモン・パジェノー車に続いての通算2回目である。琢磨はアラバマでのレースでもエンジントラブルに見舞われている。レース中の場合はペナルティの対象にならないが、1人で2回目のトラブルは、ホンダ勢では今のところ彼だけである。

2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:ルカ・フィリッピのインディー500参戦は白紙に。RLLは琢磨とジョルダインJr.の2カーで確定

今シーズン開幕前の3月にレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)と契約、インディー500からIZODインディーカー・シリーズへのレギュラー参戦を行う予定となっていたイタリア出身GP2ドライバーのルカ・フィリッピだが、インディー500への出場を断念したことをRLLが認めた。RLLは今年のインディー500に、レギュラーの佐藤琢磨に加えて、メキシコ出身の元チャンプカー・ドライバー、ミチェル・ジョルダインJr.をスポット参戦させることをすでに決定、発表している。彼らは2カー体制でインディーに臨み、それを3カーへと拡大することはない、ということだ。 

 では、フィリッピのインディーカー参戦はなくなってしまったのか? というと、RLLとしては、インディーはジョルダインJr.で行くが、それ以降のレースで琢磨のチームメイトを勤めさせたいのは、やはりフィリッピのままだ。現時点では、インディー500の次のシリーズ第6戦デトロイト(ストリートコース)でフィリッピをデビューさせる計画だ。

2012年5月1日火曜日

2012 INDYCAR R4 SAO PAULO INDY 300 Race Day 決勝レポート:佐藤琢磨は最後尾25番グリッドから3位で自己最上位獲得。ウィル・パワーが今季3勝目、ブラジルでは無敗

2011 IZOD INDYCAR Series ROUND 4 SAO PAULO INDY 300
第4戦 サンパウロ インディ300

Streets of Sao Pauro
ストリート・オブ・サンパウロ
ブラジル サンパウロ州
全長:2.536マイル(=約4.081km)×55周
コースタイプ:ストリート

Race Day 決勝
天候:くもり
気温:22〜23度

 日本から見て地球の裏側にあるブラジル、サンパウロでのインディーカーレースは、今年で3回目を迎えた。そして、今年もウイナーはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だった。オーストラリアンによる3年連続優勝が達成されたわけだ。今年も地元ブラジルのドライバーは勝てなかった。そればかりか、2年連続で表彰台にブラジリアンの姿はひとりも見られなかった。

2012年4月30日月曜日

2012 INDYCAR・フォトレポート:佐藤琢磨、22台抜きの3位初表彰台獲得でチームと記念撮影


Photo:Masahiko Amano(Amano e Associati)

3位表彰台獲得レースを振り返る、佐藤琢磨のインタビューは下記にて掲載。

第1弾:2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント16:R4 SAO PAULO INDY 300 Race Day その1「完走だけを目標にしていたら、3位、初表彰台という結果は得られなかったと思います。攻めるところは攻めていくという姿勢を貫いていきたかった」
http://www.indy-amano.com/2012/04/2012-indycar-16r4-sao-paulo-indy-300.html


第2弾:2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント17:R4 SAO PAULO INDY 300 Race Day その2「燃費に対する自信はあったので、フューエルセーブも続けながら、レッドタイヤのおいしいところを使うために飛ばしまくりました」
http://www.indy-amano.com/2012/04/2012-indycar-17r4-sao-paulo-indy-300.html


第3弾:2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント18:R4 SAO PAULO INDY 300 Race Day その3「ようやくっていうか、やっとリザルトがでたな、という感じですね。というか、結果が出た安堵感はあります。F1のインディーの時のように、抜いて抜いて、駆けあがっての3位なのでうれしいです」
http://www.indy-amano.com/2012/04/2012-indycar-18r4-sao-paulo-indy-300.html

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント18:R4 SAO PAULO INDY 300 Race Day その3「ようやくっていうか、やっとリザルトがでたな、という感じですね。というか、結果が出た安堵感はあります。F1のインディーの時のように、抜いて抜いて、駆けあがっての3位なのでうれしいです」

リスタートで確実にチャンスがあると思っていました

――今日のハイライトとして、最後のリスタートでエリオ・カストロネベスとダリオ・フランキッティをパス! というのがありました。あそこは狙ってましたか?

佐藤琢磨:もちろん! リスタートはいつも狙ってる。けど、自分が実際にブレーキを踏むまではわからないですね。相手のポジションとかで大きく変わって来ますから。もちろん狙ってるけれども、隣りがジェイムズ・ヒンチクリフだったし、下手したら5番手、6番手でフィニッシュする羽目になったかもしれない。でも、あそこにチャンスは確実にあるって考えてました。でも、彼らが縦列ではなくて、2ワイドになってたでしょう? だから壁のように見えてました。でも、去年のウィル・パワー相手の時もそうでしたけど、あの1コーナーに入る時のブレーキング・ポイントというのは、自分として彼らのものが早いと感じていたので、その瞬間に、あ、行けるなって思った。あとは自分自身のコントロールですよね。ダイブインしたはいいけど、あのインサイドから滑っちゃってたし、ロックしてたし、あそこでシケイン曲がり切れなかったら何の意味もないので、そこをうまく通過できたのは良かったですね。

――その次のリスタートは?

佐藤琢磨:狙ってた。同じことをやってやろうって思ってましたよ。でも、さすがにもう残り数周ってこともあったけど、本当はアクセルレーションポイントを示すコーンがあって、その間で加速をしなくちゃいけないんだけど、先頭2台はもうほとんど最終コーナーを回った瞬間から加速しちゃってたから。僕の後ろって誰もついて来れない状態だったでしょ。リプレイ見るとわかると思うんだけど、正直言って彼らのスタートはちょっと早過ぎた。僕も追いついて行けないし、成す術なかったですね。もし、しっかりとした隊列のまま行けたら、また挑戦できたかもしれないけど、こればっかりはその場になってみないとわからないですから。

今日、僕らはまた一段上のレベルのチームになれたと思います

――3位で初の表彰台、それはやっぱり気分がいいでしょう?

佐藤琢磨:はい、うれしいです。

――どういううれしさですか?

佐藤琢磨:ようやくっていうか、安堵感ていうか、やっとリザルトが出たなっていう感じですね。今日は、F1の時のインディーみたいに、攻めて攻めて……抜いて抜いて駆け上がった3位ですからうれしいですね。棚ぼたてきに入った3位とかではないので。そういう嬉しさはあります。でも、まだ2つ上の順位を狙ってるわけですから、他のライバルメーカーのクルマとかを見ていると、僕らが決してアドバンテージを持ってる状態ではないので、まだまだ課題もいっぱいあります。自分自身の課題もあるし、今日僕がミスしたところを克服して、次のレースに備えたいですね。

――インディー500の前に結果が出たのもプラスですよね?

佐藤琢磨:そうですね。流れとしては良い方向だと思います。今日もトラブルで止まっちゃったり……というレースになっていたら、チームもモチベーションが下がるところがあると思うんですけど、今日、僕らのチームはまた一段上のレベルのチームになれたと思うので、それはすごくうれしいし、インディー500はここまでの4レースとはまったく違うものですけど、また一から頑張って行きたいと思います。

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント17:R4 SAO PAULO INDY 300 Race Day その2「燃費に対する自信はあったので、フューエルセーブも続けながら、レッドタイヤのおいしいところを使うために飛ばしまくりました」

パワーが迫って来たとき、今日はもう無理かな、と思ったが
その時もハイペースを維持したことがポジションを救ってくれた


――1回目のピットは早めに行いました。そうなると、当然そこからの燃費セーブとかも大変だったと思うんですが、どうでしたか?

佐藤琢磨:レースで起こるすべてのことを予想するのは不可能なんだけど、僕らとしては、3ストップで行くとしたら12周目ぐらいからピットストップを始めていいだろうと考えてました。自分たちとしては、最後まで行けるっていう燃費に対する自信はありました。フューエルセーブもしながら、なおかつレッドタイヤのおいしいところを使うために飛ばしまくりました。単独での走行になってる時間帯は、ちょっと心もとないというか寂しかったですけどね。かなり後ろからウィル(・パワー)が迫ってた時は、今日はもう無理かな? とも思ったんだけども、その時もハイペースを維持していたことが、結果的にイエローが出た瞬間に、前の集団に追いついた時の自分たちのポジションを救ってくれたし、それから少しずつポジションを上げて行くことができましたね。

僕らのチームはレイホールの直観に対して
いろいろ動ける力を持っている


――燃費もセーブしつつ、スピードもあった。作戦通りに琢磨選手が走っていたということですよね? KVレーシング・テクノロジーは、作戦が良くなかったために3人ともピット・インを多く行い、上位フィニッシュを諦めるしかない戦いになっていたところがありました。

佐藤琢磨:はい。そのことはよく知ってます。今日の自分たちは、ストラテジーが良かったし、強力なエンジニアたちがいてくれることで、良い戦いができていましたね。僕らのチームはボビー・レイホールの直感に対して、いろいろと動ける力を持っています。それは今シーズン、すでに何度も皆さん見てきている通りです。ボビーと僕はすごく馬が合うというか、波長が合うんでね、僕もこのタイミングだなって思う時とかあるんですけど、そこでピットに呼び入れてくれてます。いい感じで来てますね。

今日は抜けるコースだったので、ミスをリカバーできたのが大きかった

――ピットスピードペナルティを受けてしまったのは、入って来る時でしたか、出て行くところでしたか?

佐藤琢磨:入りの方だったと思いますね。入るところでちょっと行き過ぎてた。でも、インディーカーだから平気かな? って思ってたんです。実際にはすごく厳しかったですね。それから、今日の僕らはピットストップは正直言って2回ともあんまり良くなかったですね。ホイールがうまく嵌らなかったりとか、大幅に順位を落とすこともありました。でも、その後にオーバーテイクができていました。今日は抜けるコースだったので、そこがすごく大きなポイントですよね。自分でポジションを挽回できたのが良かったと思います。

――ピットストップでグレアム・レイホール、シモン・パジェノーという2人にパスされたこともありましたよね?

佐藤琢磨:そうでした。今日は何度か、面倒な展開になった時がありました。多分、僕は他のドライバーにとっては面倒な存在だとも思うので……。今日はストラテジーと、自分の走りによって、ペナルティとピットでの遅れをリカバリーできてました。力強く走れたかな、と思います。
(続く)

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント16:R4 SAO PAULO INDY 300 Race Day その1「完走だけを目標にしていたら、3位、初表彰台という結果は得られなかったと思います。攻めるところは攻めていくという姿勢を貫いていきたかった」

2011 IZOD INDYCAR Series ROUND 4 SAO PAULO INDY 300
第4戦 サンパウロ インディ300


Streets of Sao Pauro
ストリート・オブ・サンパウロ
ブラジル サンパウロ州
全長:2.536マイル(=約4.081km)×55周
コースタイプ:ストリート


4月29日 決勝:3位

運が良かったわけではないですが、
不運がなくなったことでこの結果になりました

Jack Amano(以下――):25位から3位、表彰台に上りました。

佐藤琢磨:ずっとチャレンジして来た結果だと思います。これまでの3戦で常にトップグループにいたことが大事で、やっぱり、そういうレースを積み重ねても、最初の3レースではうまく行かなかったわけですよね。だから、いろんなことが複雑に絡んで来るので、今日の場合は、そういう意味でミスもなく、ミスもリカバリーが可能なピットストップや、ピットスピードペナルティで、リカバリーが可能だったし、それをものをしたっていうのは、今までずっと攻め続けて来た、やり方の結果だと思います。
 実際には、大事にとって完走だけを目標にしていたら、今日は3位になれなかったと思いますけど、攻めるところは攻めて行くっていうスタイルを貫いて行きたかったし、かといって、今日はゴールすることを絶対の目標にしていたので、無理をしたとは思ってないし、ある意味、ようやく不運がなくなって、運が良かったとも思わないですけど、不運がなくなったことが今日の結果に繋がったと思います。

キャサリン・レッグがレッドのバランスなど教えてくれました

――プラクティスで十分に走れず、クルマ作りは大変だったと思うんですが、決勝に向けてのマシンはどういう考えで作り上げて、実際のフィーリングなどはどうだったんでしょう?

佐藤琢磨:そうですね、昨日の最初のプラクティスセッションで感じたものをベースに作るしかなかったですね。あとは、ギヤレシオとウイングのレベルが非常に最後まで悩んだところで、実際には最初のスタートをしたところでは、あまりにも後方での戦いだったのでみんなには僕のレースがどんなものになっていたのかがわからなかったと思うんですけど、どのコーナーでもすごい勢いでジャスティン・ウィルソンが来ていて、何度も並ばれて、ブレーキングで抜き返すっていう戦いになってました。前に行くっていうより、後ろから来る相手を抑えるだけで精一杯でしたね。
 
  そうしているうちに、だんだんだんだん路面もできて来て、コーナーのスピードもすごく上がってね、ダウンフォースはもうちょっと削っても行けたのかもしれないけど、それはやっぱり僕らがプラクティスで十分に走ってなかったからわからなかったですね。オルタネートタイヤ(レッド)もどれぐらいのバランスチェンジとかパフォーマンスなのかがわからなかった。
   予選を見て、レッドのパフォーマンスは1周1秒ぐらい速いっていうのはわかってたんだけど、やっぱり自分で走って感じていないので、本当のところはわからないですよね。だから、今日のドライバーパレードの時にキャサリン・レッグと一緒だったんだけど、彼女にレッドにした時のバランスシフトとかを教えてもらいました。それで、仲良くしておいたので、すごく色々教えてくれたし、それをもとにブラックに換えた時のフロントウイングのアジャストメントとかを決めました。彼女は本当のことを教えてくれていました。

    だから、クルマはパーフェクトではなかったと思います。ラップタイムとか、レースの進行を見てもね、最後にヒンチクリフが来たりとか、決して速いっていうクルマにはなってなかったと思います。ただ、安定はしていて、僕が攻める受け皿というか、攻めた時にしっかりと反応してくれるクルマだったから、それはやっぱり、今までの3戦で作って来た流れの継続だと思うので、ある意味、エンジニア陣営も強力なエンジニアと一緒にやって来れているというのがひとつの結果かなと思います。
(続く)

2012年4月29日日曜日

2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース(更新):第4戦サンパウロのスペシャルカラーリング車両

今回は、これまでの3戦と大きく異なるカラーリングのマシンが何台かいるので紹介しときましょう。(2012年4月29日 23時更新)

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント15:R4 SAO PAULO INDY 300 Day1 予選「クルマのセットアップもほとんど進まない状態でエンジンブロー。レッドタイヤが3セット残っているのでメチャクチャ嬉しいと思ったら、明日は90パーセントは雨だっていうから……」

2011 IZOD INDYCAR Series ROUND 4 SAO PAULO INDY 300
第4戦 サンパウロ インディ300

Streets of Sao Pauro
ストリート・オブ・サンパウロ
ブラジル サンパウロ州
全長:2.536マイル(=約4.081km)×55周
コースタイプ:ストリート

Day1 予選
天候:曇り
気温:23〜24℃

Jack AMANO(以下——)今週見舞われたトラブルをすべて説明してください。

2012 INDYCAR R4 SAO PAULO INDY 300 Day1 予選:ウィル・パワーが今季2度目のポールポジション。佐藤琢磨はエンジントラブルで予選を走れず、最後尾スタートに

2011 IZOD INDYCAR Series ROUND 4 SAO PAULO INDY 300
第4戦 サンパウロ インディ300

Streets of Sao Pauro
ストリート・オブ・サンパウロ
ブラジル サンパウロ州
全長:2.536マイル(=約4.081km)×55周
コースタイプ:ストリート

Day1 予選
天候:曇り
気温:23〜24℃

今朝のプラクティス1回目でトップタイムを出していたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が、シリーズ第4戦イタイパーバ・サンパウロ・インディー300のポールポジションを獲得した。彼がファイナルステージでユーズドレッドを履いて記録したベストは、1分21秒4045だった。これでパワーは開幕戦セント・ピータースバーグに続いての今季2個目のポールポジションだ。通算ポール数としては26個目である。

2012 INDYCAR R4 SAO PAULO INDY 300 Day1 プラクティス2:ダリオ・フランキッティが最速。佐藤琢磨ギヤトラブルでストップ

2011 IZOD INDYCAR Series ROUND 4 SAO PAULO INDY 300
第4戦 サンパウロ インディ300

Streets of Sao Pauro
ストリート・オブ・サンパウロ
ブラジル サンパウロ州
全長:2.536マイル(=約4.081km)×55周
コースタイプ:ストリート

Day1 Practice2
天候:曇り のち 晴れ
気温:20〜24℃

サンパウロでのプラクティス2回目、最速タイムをマークしたのはダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。気温が上昇し、曇り空も随分と明るさを増した中で行われたセッション、スペシャルカラーの黒いマシンに乗ったフランキッティは、1分22秒2611とプラクティス1回目より僅かながら速いラップタイムを記録した。

2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:エンジンのあてがないまま……。MSRインディーがジェイ・ハワードをインディー500にエントリー

今年からIZODインディーカー・シリーズに参戦する予定だったマイケル・シャンク率いるMSRインディーだったが、使用するエンジンがなく、参戦を始められないでいる。10月の最終戦ラスベガスにおける彼らの参戦計画発表は、ロータスエンジンを使うチームとしての初めてのものだったが、その後、ロータスはHVMレーシング、ブライアン・ハータ・オートスポート、DRR、そしてドラゴン・レーシングとの契約を発表、MSRインディーへのエンジン供給は見送られた。

2012 INDYCAR R4 SAO PAULO INDY 300 Day1 プラクティス1:ブラジルラウンド最初のプラクティス最速はウィル・パワー。ガナッシ勢がこれに続く

2011 IZOD INDYCAR Series Round 4 SAO PAULO INDY 300
第4戦 サンパウロ インディ300


Streets of Sao Pauro
ストリート・オブ・サンパウロ
ブラジル サンパウロ州
全長:2.536マイル(=約4.081km)×55周
コースタイプ:ストリート


Day1 Practice1
天候:曇り
気温:18〜20℃


またしても週末天気が崩れるという予報のなかで
最初のプラクティスでパワーがトップタイム

 ブラジル、サンパウロでのレースは今年で3回目を迎える。インディーカーのイベントもすっかり定着し、今年はチケット完売の人気となっている。
しかし、残念なことに今週末の天気予報は良くない。今日も雨の可能性が取りざたされており、明日の決勝も快晴というわけには行かなさそうだ。
それでも、今朝のプラクティス1回目はドライコンディションで行われた。空はどんよりと曇っており、気温は20℃までしか上がらず、湿度は73%と高めという少々蒸し暑く感ずるコンディションだったが……。
サンバ会場と一般道路を使った全長2.536マイル(=約4.081km)のストリートサーキットでは、朝の8時過ぎからプラクティス1回目が行われた。そして、ポイントリーダーのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が、トップタイムとなる1分22秒3875をセッション終了間際にマークした。これは彼の21ラップ目だった。
2番手につけたのは、新マシンでのパフォーマンスが今ひとつのダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)。タイムは1分22秒3953とパワーとの差は非常に小さい。そして、3番手には同じくチップ・ガナッシ・レーシングのスコット・ディクソンがつけた。彼のベストは1分22秒7862だった。


琢磨は走行時間を有効に使うことができず20番手に
 上記3人のラップはセッション終盤の、路面コンディションもかなりグリップが高まった状態で記録された。しかし、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、プラクティス時間を15分以上も残して走行を終えざるを得ず、ポジションは20番手だった。ベストは1分24秒1547。周回数は19周と決して少ない方ではなかったが、そこまででギヤオイルの温度が上がり過ぎ、エンジンへとダメージが及ぶ心配がされたために彼らは走行をストップしたのだった。タイヤは1セットしか使っておらず、セッション終盤も走れていれば、順位はもっと上位だっただろう。
今年から使用されているダラーラDW12は、エンジンオイルとギヤオイルの冷却をひとつのオイルクーラーで賄っているため、琢磨のチームはガレージに戻り、そのオイルクーラーなどをスペアに交換した。

 4番手はシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・レーシング)、5番手はジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)と、ターボの変更を行った効果なのかホンダ勢が好調だ。
次のプラクティスは午前11時過ぎにスタートする。