2011年10月17日月曜日

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第17戦 IZOD インディーカー・ワールドグランプリ・アット・ラスベガス:追悼 ダン・ウェルドン 「今は言葉もない。ドライバー紹介の時には冗談を言い合っていたというのに、ダンはもういなくなってしまった」――ダリオ・フランキッティ

会見するインディーカーCEOランディ・バーナード
Photo:INDYCAR(Shawn Gritzmacher)
ラスベガスで起きた悲劇。ここに何人かのコメントを掲載したい。改めて、ダン・ウェルドンの冥福を祈りたい。

インディーカーCEO:ランディ・バーナードの会見での声明
「悲しいことですが、インディーカーはダン・ウェルドンが亡くなったことを発表します。生き延びることのできない負傷となってしまったのです。私たちの思いと祈りはダンの家族と共にあります。インディーカーとインディーカーのドライバーたちは、このレースを終了することを決めました。私たちは、ダンを讃えるために5ラップを走ります」

チーム・オーナーのサム・シュミットの声明
「ダン・ウェルドンはとてつもないコンペティターであり、偉大なるレーサーであり、それ以上に素晴らしい人物でした。彼をチームの一員として迎えられたことを我々チームは栄誉と感じています。サム・シュミット・モータースポーツはチームのスタッフ全員が彼を失ったことを深く悲しんでいます。サム・シュミット・モータースポーツを代表し、彼の家族、特に奥さんのスージーと、彼らのふたりの子供にダンへの哀悼の意を表します」

3年連続、4度目のインディーカー・タイトルを獲得したダリオ・フランキッティ
このような形での3年連続タイトル決定に、フランキッティも動揺を隠せない
Photo:INDYCAR(Chris Jones)
「今は言葉もない。ドライバー紹介の時には冗談を言い合っていたというのに、今、もうダンはいなくなってしまっている。ダンがまだ小さい頃から、僕は彼とゴーカートでレースをしていた。みんなも知っているとおり、彼はインディーカーにステップアップして来て、僕のチームメイトになった。僕らはまた友だちとなって、チップ・ガナッシ・レーシングでもチームメイトになった。チャンピオンシップ獲得、各レースでの優勝に向け、お互いにプレッシャーをかけ合った。それこそが、僕らがともに愛して止まないことだった。僕らの生きがいなのだから。しかし、今日のような日が来ては、それらも何の意味も持たなくなってしまう。
 私たちと、私は良い友を失った。インディーカー・シリーズでは、皆がダンの友だちだった。ダンは所謂特別な、特別な存在だった。初めて彼がインディーカーに現れた時には、少々無礼な感じもあったが、彼は魅力的な人だった。そして、後に彼は人を愛する、家族的な男になった。彼は依然としてチャーミングでありながら、新しい一面を身につけた。スージーと子供たちのことを僕は考えている」

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第17戦 IZOD インディーカー・ワールドグランプリ・アット・ラスベガス 決勝:アクシデント発生直後、ドライバーたちの反応

ラスベガス戦のダン・ウェルドン
Photo:INDYCAR(Bret Kelley)
 ダン・ウェルドン(ブライアン・ハータ・オートスポート/サム・シュミット・モータースポーツ)はアクシデントの時もスピードをほとんど下げていなかった。前方で多重クラッシュがすでに発生していたのにはもちろん気づいていたはずだが、急減速する2台に突っ込んで行った。それは、クラッシュしているマシン群の間をすり抜けてレースを続けることが可能と信じていたようだった。
 しかし、それは500万ドルという破格の賞金がかかっていたからでも、インディー500で2勝し、チャンピオンにも一度なっている彼が慢心をしていたからでもなかったはずだ。レーシングドライバーという人々は誰もが皆、「アクシデントは自分には起こらないもの」と考えて走っている。
 レースが中断されている間、ドライバーたちが語ったコメントを集めてみた。この時点で、彼らはもうウェルドンの身に何が起きていたのかをわかっていただろうが、まだ一縷の望みを持っている状況だった。

ダリオ・フランキッティ
「このコースはインディーカー・レースに向いていない。誰もが集団の中でスタックし、動きが取れなくなってしまう。それはエンジンの差でも、マシンの差でも、ドライバーのテクニックの差でもない。僕はハードにレースを戦うことは大好きだが、コレはちょっと違うと思う」。

ライアン・ブリスコー
「まるで戦場のようだった。パーツや金属片がマシンから外れて飛び散っていた。今までに見たことのない光景だった」

エディ・チーバー(元インディカー・ドライバーでインディー500ウィナー。現テレビ解説者)
「時速220マイルでの多重クラッシュ。これはまるで飛行機事故のようだ」

ダニカ・パトリック
「今日を迎えるにあたって、私は神経質になっていた。高速での接近戦で何かが起こるのは間違いないと考えていたから。自分がそれに巻き込まれる可能性は当然十分にある。アクシデント現場は映画のシーンのようだった。マシンの破片がコース全体に散らばってて、臭いを感じたし、まだ燃えているものもあった」

トニー・カナーン
「惨事の可能性は当然大きくあった。自分のキャリアの中でも最悪のアクシデントとなった」

ジェイムス・ヒンチクリフ
「アクシデント現場にスローダウンして戻って来たが、そこで見た光景をどう言葉で表現したらいいのか僕にはわからない」

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント95 第17戦 IZOD インディーカー・ワールドグランプリ・アット・ラスベガス 決勝「シーズン最後のレースを力強く戦いたかったですが、今シーズン最後まで満足のいくリザルトを残せなかったことは悔しいです。ただ、チームも含めてすごくポテンシャルを示せたという点では3年目への手ごたえを感じています」

ラスベガスで少年ファンにサインする琢磨
Photo:INDYCAR(Shawn Gritzmacher)
インディーカー2年目はランキング14位でシーズンを終了
 不幸なアクシデントが発生し、ダン・ウェルドンが亡くなった。悲しく、辛いラスベガスでの最終戦となってしまった。フィニッシュ順位によってはファイナル・ランキングでのトップ10入りも可能だった佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)だったが、最終戦がキャンセルとなったため、デビュー2シーズン目はランク14位で終えることとなると見られる。レース直後、サーキット全体が悲嘆に暮れている中だったが、琢磨選手に自らのシーズンを振り返ってもらった。

自分自身がもっと前進できるように頑張っていきたい
Jack Amano (以下――):今シーズンを振り返ってください。2回のポールポジションがありました。不幸なアクシデントの直後で申し訳ないのですが、自己評価はどのようなものになるのでしょう?
佐藤琢磨:まぁ、そうですねぇ……後はこういう形になったので何とも言えないんですけど、一個前のケンタッキーでのレースがね、スピードが伸びないマシンであったけれども、ドライバーとしてできる部分でのオーバルでのパフォーマンスは見せることができたと思います。今日はクルマも大分スピードを上げて行けていたので、シーズン最後のレースを力強く戦いたかったんですけどね……。最後まで満足の行くリザルトっていうのを残せなかった点はすごく悔しいです。チームも含め、すごくポテンシャルを示せたシーズンにできていたと思いますので、今年の経験や勢いを是非とも3年目に繋げたいなという風に希望しています。
――こんな時ですが、ファンへの言葉とか、ありますか?
佐藤琢磨:シーズンを通してずっと応援をしてくれたファンの皆さん、そしてスポンサーの方々にはとても感謝しています。今シーズンは、去年はできなかったような走りが自分でもできるようになったし、非常に自分自身としても期待値が上がるレースができたので、そういう走りができたことは本当に幸せでした。今年は日本で大きな震災があって、大変な時代になっていますが、そんな中でもレースをして、最後のインディ・ジャパンもしっかりとイベントとして行うことができて、すごく良いシーズンだったと思います。後は、自分自身がもっと前進できるように頑張って行きたいと思います。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント94 第17戦 IZOD インディーカー・ワールドグランプリ・アット・ラスベガス 決勝 「トラックはバンクが急でコーナーの半径が大きいので、集団で走っても3ワイドになりやすい面はありました。実際に、何がどういう状況で多重アクシデントに繋がってしまったのかは、僕もまだリプレイを見てないし、事故自体が僕より後ろで起きたのでわからないんですけど、お互い非常に接近してたので、こういう事故になってしまったのかな、とは感じます」

ウェルドン追悼のためのパレードラップを走る琢磨(左手前)
Photo:INDYCAR(SはwんGritzmacher)
好感触だったレース序盤。その直後にアクシデントが

 予選16位から走り出した佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は、マシンに好感触を得ていた。アンダーステア傾向はあったが、ピットでのセッティング変更などで対応可能な手応えをつかんでいたのだ。しかし、わずかに10周を走っただけで多重アクシデントが発生。名手ダン・ウェルドン(ブライアン・ハータ・オートスポート/サム・シュミット・モータースポーツ)が帰らぬ人となってしまった。レースは赤旗中断から終了、すなわち不成立となった。アクシデントに遭わず、まだ走れる状態にあったマシン郡がウェルドンに哀悼の意を示すために5周回のパレード・ラップを行った。ピット・ロードにはチームのクルーたち、ホンダやファイアストンのスタッフ、そしてファンが並び、5周を見守った。

Jack Amano(以下――):事故後にインディーカーがドライバーたちを集めたミーティングを行っていましたが、そこでは何が話し合われた、あるいはインディーカーから何かが告げられたのでしょうか?

佐藤琢磨:まずは正確な状況を伝えてもらって、その上に立って、どうするべきかというのを話し合いました。まぁ、ドライバー同士の決め事と、主催者を含め、どうするのがベストなのか……ということで。そして、ダン・ウェルドン選手への追悼の意を表するためのパレードを行なって、レースというか、シーズンを終えようということが決まりました。

――そうした決断にはドライバー側から何らかのインプットがあったのでしょうか?

佐藤琢磨:まぁ、レースをするべきだっていくことと、止めるべきだという話があって、レースをするなら、とにかくクリーンなレースをしなければいけない。いろいろなシナリオがありましたけど、最終的には追悼パレードに決まりました。

――アクシデントまで10周プラス、非常に短いレースでしたが、佐藤選手はどういう戦いぶりになっていたのでしょう? また、そこまでのレースをどう感じていたのでしょうか?

佐藤琢磨:そうですねぇ、スタートから長いレースになることはわかっていましたし、ずっと集団で行くのもわかっていたので、無理をせず、ただ、お互い接近をしている状態だったのでね、レース自体は非常にエキサイティングだったんですけど、僕自身も少しずつ、周回ごとに順位を上げて行って、クルマの調子も集団の中でとても良さそうだったし、前を追って行くことは十分だという手応えをつかんでいました。

――今までのレースとは違ったリスクは感じていましたか?

佐藤琢磨:ウーン……確かにトラックはバンクが急でコーナーの半径が大きいので、本当に集団で走っても3ワイドになりやすい面はありました。僕も今日、3~4回、3ワイドになることがあったんだけれども、お互いにリスペクトしてポジションをしっかりホールドして……タフだけれどもクリーンなレースができていました。実際に、何がどういう状況で多重アクシデントに繋がってしまったのかは、僕もまだリプレイを見てないし、事故自体が僕より後ろで起きたのでわからないんですけど、お互い非常に接近してたので、こういう事故になってしまったのかな、とは感じます。

――これまでにもインディーカー・シリーズでは不幸な事故が起きてきましたが、琢磨選手が参戦するようになってからは初めてと思います。ウェルドン選手に対して、あるいは御家族に対しての言葉はありますか?

佐藤琢磨:本当に辛いです。ダン選手はもちろんインディーカーに来る前から、彼はイギリス人で、僕はイギリスF3をやってたこともあって、まるで繋がりがないってことじゃなかったし、500のウィナーとして今年も力強いレースをしていて、家族もまだ本当に小さな子供が二人いて、非常に辛い状況だと思います。御冥福を御祈りします。本当に残念ですけど、今日こうしてパレードを行うことで、このレース自体は終えることができたし、ダン・ウェルドン選手にとっても、残された家族は辛いですけど、まずは一区切りになるのかな、と思います。これからドライバー同士ででき得るサポートっていうのは、これから何があるのかわからないですけど、最大限、彼の家族のサポートをして行きたいと思います。

2011 INDYCARレポート 第17戦 IZODインディーカー・ワールドグランプリ・アット・ラスベガス決勝:ダン・ウェルドン、ラスベガスに死す

クラッシュを逃れたマシンで行われた5周のウェルドン追悼ラップ。
これほど悲痛なインディーカーの走行がかつてあったろうか。
ダン・ウェルドンに謹んで哀悼の意を表したい。
Photo:INDYCAR(LAT)
偉大なるオーバルレーサー、ダン・ウェルドン ラスベガスに死す
 ラス・ベガス・モーター・スピードウェイでスタートが切られた2011年インディーカー・シリーズ最終戦は、11周目のターン2で多重クラッシュが発生し、15台が巻き込まれた。このアクシデントで大きく宙を舞に舞い上がり、セイファー・ウォールに激しく突っ込んだのがウィル・パワー(チーム・ペンスキー)とダン・ウェルドン(ブライアン・ハータ・オートスポート・ウィズ・サム・シュミット・モータースポーツ)で、パワーは無事だったが、ウェルドンはヘリコプターで搬送された病院で死亡した。
 レースは事故直後に赤旗となり、そのまま終了。ウェルドンを追悼する目的でアクシデントに遭わなかったマシンが1列3台ずつ並んで5周の走行を行なった。
 最終戦は成立しなかった。インディーカーから正式な発表はまだなされていないが、シリーズ・タイトル、ポイント・スタンディングは第16戦ケンタッキー終了時点でのもので決定することになるはずだ。
 ウェルドンは1996年にインディー500で初優勝し、今年2勝目を挙げた。シリーズタイトルはインディーで最初に勝った96年に獲得している。今日のレースに出場していたドライバーの中でもオーバルレーサーとしての評価はトップ・レベルにあったのだが……。偉大なるレーサーの冥福を祈る。

2011 INDYCAR レースプレビュー R17 ラスベガス:大量34台がエントリー、新しいスポンサーも登場。琢磨車にはベガスの有名ホテルがスポンサード

INDYCAR.com
 いよいよ、最終戦の決勝、このダラーラも見納めですねぇ。現役が9年間も続いた前代未聞の長寿レーシングマシン。コクピット前の盛り上がり、プルロッドのフロントサスペンションが特徴的なマシンでした。ライバルのGフォース=パノスを完全に駆逐する性能があったことで、シリーズの思惑は外れてシャシーがワンメイクになってしまいました。来年からはもっとスリックなダラーラに変わります。

2011年10月15日土曜日

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第17戦 IZOD インディカー・ワールドチャンピオンシップ・アット・ラスベガス : ポールポジション獲得のトニー・カナーンに聞く

Photo:INDYCAR(Chris Jones)
Jack Amano(以下――):トニー、ポールポジション獲得おめでとう。しかし、琢磨は16位だった。マシンのセッティングに違いはあったのかな?

トニー・カナーン:ありがとう。セッティングは同じだよ。僕らふたりのマシンには大きな差もないと思う。ほんの小さな差はもちろん存在するよ。それは他のどのマシンに対しても同じことが言える。どのチームにおいても個体差は存在する。そして、時としてそういう小さな差が大きな違いになって現れて来ることがあるってことなんだ、インディーカーの世界では。今日の場合だと、彼が2番目とか非常に早いタイミングでのアタックだったのに対して、僕はまったく逆に後ろから2番目のアタックだっただろう? この違いが天候にもたらした影響はとても大きかったはずさ。セッティングがまったく同じマシンでも大きな差になってしまう。そういうことは起こり得る。つまり、今日のことは単純に運に左右されているということだと思う。

――では、決勝用セッティングは、琢磨と同じになると見てるのかな?

カナーン:うん。まったく同じになるだろうね。間違いないと思うよ。チームは僕らドライバーたち完全にイコールのマシンを用意し、まったく同じ機会を与えてくれている。

――ケンタッキーでは悲惨な状況だったのに、ラスベガスではポールポジションだ。

カナーン:ケンタッキーのレースの後、チームはワークショップでマシンを組み直した。入念にね。それで状況が一転した。ラスベガスに来て見ると、僕らのマシンは走り出しからとても速かった。予選までの速さはエンジニアたちが頑張ってっくれたから実現できたものでもある。レースではドライバーのインプットが重要になってくる。そこで力を発揮しないと。

――チームに今季初勝利、チャンプカー・シリーズ以来の勝利をもたらすことができそうかな?

カナーン:最終戦でやっとポールポジションをチームにもたらすことができた。これで明後日、優勝できたら最高なんだけど。全力を尽くすよ。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント93 第17戦IZODインディーカー・ワールド・チャンピオンシップ・アット・ラスベガスDay2予選「昨日のプラクティス1回目はクルマの動きとしてはよかったが、純粋なスピードが伸び悩んでいる。クルマは空気抵抗、あるいは機械抵抗の差でタイムの違いができている状態で、動きとしては不満は無いけど、単純に速くない……」

第17戦 IZODインディーカー・ワールド・チャンピオンシップ・アット・ラスベガス
IZOD INDYCAR World Championships at Las Vegas

ラスベガス・モータースピードウェイ
ネバダ州ラスベガス
全長:1.5マイル(=約3.218km)×200周

Day2 予選 16位

 オーバルレーシングというのは本当に不思議な、そして技術的に奥深いものである。2011年シーズン最終戦ラスベガスの予選は、そう強く感じさせるものとなった。佐藤琢磨の予選順位は、16位という中団グリッドからのスタートを余儀なくされることとなったのだが、チームメイトのトニー・カナーンがポールポジションを獲得し、チャンピオン争いを行っているチームはというと、琢磨と同様にスピードの獲得に苦労をしていたのだ。ポイント2位のウィル・パワーは琢磨のひとつ後ろの予選17位で、ポイントリーダーのダリオ・フランキッティは、さらにもうひとつ後方、琢磨の真後ろの18番グリッドから明後日の決勝レースをスタートすることになったのだ。

2011年10月14日金曜日

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント92 第17戦IZODインディーカー・ワールド・チャンピオンシップ・アット・ラスベガスDay1プラクティス1「パックの中でどれだけダウンフォースを落として走れるかを色々やった。そんなに悪くないが凄くスピードが伸び悩んでいる傾向は改善されてないみたいで、単独でのスピードはある意味、苦しい」

Photo:INDYCAR(Bret Kelly)
第17戦 IZODインディーカー・ワールド・チャンピオンシップ・アット・ラスベガス
IZOD INDYCAR World Championships at Las Vegas

ラスベガス・モータースピードウェイ
ネバダ州ラスベガス
全長:1.5マイル(=約3.218km)×200周

天候:快晴
気温:25〜30℃
路面温度:28〜45℃

Day1 プラクティス1
17位 25秒0424 47周走行

 第16戦ケンタッキー、佐藤琢磨とKVレーシングテクノロジー・ロータスはスピード不足に悩まされた。最終戦の行われるラスベガスは、より高速の1.5マイルオーバル。KVレーシングテクノロジーは何か新しい発見をしなければライバル勢と戦うことができない。彼らは果たして、どんな秘策を今回持ち込んだのだろうか?

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース:来季ロータスエンジン採用第1号チームが 明らかに。新規参戦のマイケル・シャンク・レーシングがロータス使用を発表

来季の参戦体制を発表したマイケル・シャンク・レーシング
Photo:INDYCAR(Bret Kelly)
 今日、プラクティス終了後に午後1時半から会見が行われ、マイケル・シャンク・レーシング(MSR)が来る2012年からインディーカー・シリーズにフル参戦することを発表し、彼らがロータス・エンジンを使うことを明らかにした。

2011 INDYCAR第17戦IZODインディーカー・ワールド・チャンピオンシップ・アット・ラスベガスDay1プラクティス1レポート:ダニカがラストレースを好スタートのトップタイム、琢磨は17番手発進

Photo:INDYCAR(Bret Kelly)
第17戦 IZODインディーカー・ワールド・チャンピオンシップ・アット・ラスベガス
IZOD INDYCAR World Championships at Las Vegas

ラスベガス・モータースピードウェイ
ネバダ州ラスベガス
全長:1.5マイル(=約3.218km)×200周

天候:快晴
気温:25〜30℃
路面温度:28〜45℃

 インディーカー・シリーズはいよいよ最終戦を迎えた。ラスベガスという最高の舞台に34台という大量のエントリーが集まった。

2011 INDYCAR レースプレビュー R17 IZOD インディーカー・ワールド・チャンピオンシップ・アット・ラスベガス :今シーズン最終戦に、34台が大結集。2003年以来のダラーラシャシーも今回が見納めに

現行シャシー最後の一戦に34台

 いやー、ホントにホントだったんですね、ラスベガスのエントリー数。インディー500より1台多い34台がスピードウェイに揃ってます。
 ラスベガスは今年の最終戦で、これが終わればもう現行シャシーは御役御免。来年からは全面的にニューシャシー(やっぱりbyダラーラ)になるのでね。史上最長の9年間という現役時代を過ごし、これからはショーカーとして活躍を続けるワケだ。あ、念のために書いとくと、今回来ている34台、全部ダラーラです。
 現行ダラーラは、もうクラッシュしたっていい。マシンの保険は不要だぁ……などなどあって、出場に必要な金額がこれまでより下がったってコトなんだろね。しかし、レギュラーが26台として、プラス8台だから。すごい増え方。賑やかさは倍増ってカンジになってる。では、カーナンバー順にノンレギュラーを紹介していこう。

8号車
ポール・トレイシー。ドラゴン・レーシングからのエントリー。カナダ出身のスター、これがキャリア最後のオープンホイールレースになるのか……。

11号車デイビー・ハミルトン。ドレイヤー&レインボールド・レーシングから。スーパー・モディファイド出身のベテラン、頑張るよねぇ。まだ来年のインディー500にも出場して来そうなカンジだ。

15号車ジェイ・ハワード。イギリス人。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングから=インディー500と同じ体制。

17号車ウェイド・カニンガム。ニュー・ジーランド人。サム・シュミット・モータースポーツから。テキサス、ケンタッキーに続いて、今年3戦目=全部1.5マイルオーバルだ。

19号車アレックス・ロイド。イギリス人。デイル・コイン・レーシングからオーバルのみ、ずーっと出場してきている。今年8戦目。

22号車タウンゼント・ベル。ジャスティン・ウィルソンの代役=ケンタッキーに続く2戦目。インディー500にはサム・シュミット・モータースポーツから出ていた。

30号車
ピッパ・マン。イギリス人。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングから3戦目のエントリーとなる女性ドライバー。ただし、1戦目だったニュー・ハンプシャー・モーター・スピードウェイはプラクティス中のアクシデントで負傷して決勝に出走していない。レイホールで走る前にコンクェスト・レーシングでインディー500に参戦し、見事予選通過してインディーカー・デビュー。彼女の出場によって、今回も女性ドライバーは4人。他の3人はダニカ・パトリック、シモーナ・デ・シルベシトロ、アナ・ベアトリス。

34号車
セバスチャン・サーベドラ。もてぎ、ケンタッキーは資金ショートで出場できなかったコロンビアンだったが、最終戦に戻って来た。

44号車
バディ・ライス。パンサー・レーシングから今年3戦目(インディー500、ケンタッキーに出場)。インディー500優勝経験があるのにレギュラー・シートなし。

57号車トーマス・シェクター。南アフリカ人。なんと、今回は初めてサラ・フィッシャー・レーシングからの出場。この人、いったいキャリア何チーム目からのインディーカー・レース出場になるのか……。

67号車エド・カーペンター。ケンタッキー・ウィナー! 今年11戦目。サラ・フィッシャー・レーシングから。

77号車ダン・ウェルドン。イギリス人……・て、今回のノン・レギュラーに多いねぇ、イギリス勢。4人もいる! サム・シュミット・モータースポーツからは2戦目の出場=ケンタッキーに次いで。インディー500にはブライアン・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ/アガジェニアンから出場して優勝!! つまり今年3戦目で、今回勝てばシリーズから5ミリオン・ダラーというビッグな賞金(半分はラッキーなファンが手にする)獲得を賭けての挑戦。

98号車アレックス・タグリアーニ。カナダ人。ブライアン・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ/アガジェニアン/サム・シュミット・モータースポーツ。ケンタッキーを休んだけれど、最終戦に復活。ウェルドンとチームをスワップしたカタチ。来年も乗れるのか心配……・。

06号車ジェイムス・ヒンチクリフ。カナダ人。カナダ人は、いつもこんぐらいは出場してて欲しいって3人になってる。開幕戦に出なかったのでノン・レギュラー扱い。ニューマン・ハース・レーシングから。1戦出てないけどルーキー・オブ・ザ・イヤー・レースでトップを走っている。
 上記でインディカー・レース(CARTシリーズ、チャンプカー・シリーズ含む)優勝経験者は、トレイシー、ライス、シェクター、カーペンター、ウェルドン。みんなオーバルで勝ったコトあり。

2011年10月3日月曜日

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント91 第16戦 ケンタッキー インディ300 決勝 「本当に苦しいレースで、とにかくスピードが足りませんでした。苦しい戦いでしたがクルーがピットで本当にいい働きをしてくれて、チームにとってはよい経験になったと思います。この1週間でなぜ我々のマシンが遅かったのかを分析して、最終戦は気持ちよく走りたいと思います」

3ワイド、4ワイドとなる展開の中、集団についていく琢磨。
Photo:INDYCAR(Bret Kelley)
第16戦 ケンタッキー インディ 300
2011 IZOD INDYCAR SERIES R16 Kentucky Indy 300

ケンタッキー スピードウェイ
ケンタッキー州スパータ
コースタイプ:スーパースピードウェイ
全長:1.5マイル(=約3.218km)×200周

Race Day 10月2日
決勝 15位フィニッシュ 1時間42分04秒8991(2秒1166遅れ)


  朝から快晴が広がって路面温度が上昇。レースでのタイヤのグリップに関する心配は薄れた。22番手スタートの佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)としては、まずはトラフィック内でのハンドリングが勝負の重要なポイントだった。しかし、思惑とは逆にスタート直後から彼はトラフィック内のハンドリングに苦労を強いられたようだった。
 昨年は1周目のターン3でクラッシュした琢磨。それだけに、今年は完走に対する意識を高く持っていた。もちろん、琢磨の場合はゆっくり慎重に走って完走を目指すということはない。あくまでも全力で戦い、1台でも多くオーバーテイクをしての完走が目標であった。



スタート直後はすごいオーバーで、いつスピンしてもおかしくないような状況

Jack Amano(以下――):インフィールドでレースを見ていましたが、とても苦しそうでした。一時7位に上がったものの、また順位を下げてしまった。どんな戦いをしていたんでしょう?

佐藤琢磨:ホントにキツかった。最初にスタートしてすぐ、クルマがものすごいオーバーステアで、1周目のターン2ではステアリングをフルカウンターに2度しました。その後も、いつスピンするかわからない状態が続いてました。そんなだったから、KVレーシングのマシンは3台ともものすごい勢いで後ろ行っちゃったと思うんですよ、同じようなカタチで。まぁ、周回が少し進んで、少し路面ができて、タイヤの内圧が上がってからは良くなってったんですけど、とにかくスピードが出なかったですね。リスタートでは何台か抜いてポジションを上げることができて、シングルのポジションまで行ったんですけど、ペースが安定して来るとどんどん抜かれてっちゃう。前のクルマにとにかくくっついてって、引っ張ってもらって、それでもオーバーテイクボタンを使って何とかついて行くって感じでした。
――ピットクルーは奮闘をしていましたね?
佐藤琢磨:はい。非常に苦しいレースだったんですけど、クルーがピットでいい仕事をしてくれていました。順位が上がったり下がったり忙しいレースだったんですけど、状況を考えれば、チームとしてはすごく力強くレースを運べたので、良い経験になっていたと思います。

――レース中のセッティング変更はどんなものを施したんでしょう?
佐藤琢磨:基本的には、もうフロントウイングだけしかできないんですけど、僕のクルマは途中でウェイトジャッカーが壊れてしまって、それが使えなくなった。だから、アンチロールバーで何とか補正はしてったんだけど、すごいキツかったですね。バランスがそれで何とか調整できたとしても、単純にスピードがあんなに伸びないとはね。そういう意味ではとても苦しいレースでしたね。悔しいです。
――硬いという評価がドライバーたちから出ていたファイアストンの新タイヤですが、レースを戦ってみてどうでしたか?
佐藤琢磨:硬いコンパウンドで、そのためにマーブルがほとんどなかった。それは良かったと思います。そのおかげで、レース終盤になっても3ワイド、4ワイドとかあって怖かったんですけど(笑)、タイヤはそういう意味ではコンシスタントでしたね。ただ、リスタートだけは気をつけなきゃいけなかった。一度走り出してしまえばグリップそのものは大丈夫でした。ていうか、このコースはすごいグリップが高いので……。レースを終えた今、腕はパンパンだし、脇腹も痛いぐらいだから、かなりのGがあるってことですよ。タイヤは暖まってしまえば問題はなかったんですけど、再スタート直後のバランスが一番の鬼門というか、課題というか……。今日の場合は晴れてて路面温度が上がったので助かりましたけど、空気は冷たかったので、ペースカーの後ろを走るとどんどん温度が下がっちゃってた。それだけ気をつけないといけなかったですね。
――今回の苦戦は、新しいタイヤが導入されたことに対して、チームが調整をうまく行えなかったということですか?
佐藤琢磨:いや、違いますね。そっちではなくて、予選のスピード、決勝で自分が苦労したところを見ると、単純にスピードが足らない。
――KVレーシングテクノロジーのエアロパッケージに何か問題があると?
佐藤琢磨:そうなんでしょうけどねぇ、これ以上ダウンフォースってほどんど削れないんですよ。これ以上削ったら曲がりきれなくなる。だから、そういう意味では、やっぱりメカニカルグリップをシッカリとつけるしかない。それで取れるものは全部取って行くって方法しかないんですよ。それにしても今日、周りはすごく速かった。ホンと、何でなんだろう?

――最終戦も1.5マイルオーバルですから、何か対策を見つけないとなりませんね。
佐藤琢磨:はい。僕らのクルマがなんでこんなにスピードが出ないのか、それをこの1週間で分析して、最終戦は気持ちよく走りたいと思います。

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第16戦 ケンタッキー インディ300 レースレポート:三度目の正直、2年連続2位だったエド・カーペンターがケンタッキーで悲願の初優勝

0.0098秒差!決勝フニッシュの瞬間。
Photo:INDYCAR(Bret Kelley)
第16戦 ケンタッキー インディ 300
2011 IZOD INDYCAR SERIES R16 Kentucky Indy 300
ケンタッキー スピードウェイ
ケンタッキー州スパータ
コースタイプ:スーパースピードウェイ
全長:1.5マイル(=約3.218km)×200周

Race Day
天候:晴れ
気温:16~17℃

ケンタッキー史上最高のクローズフィニッシュで優勝 エド・カーペンター(サラ・フィッシャー・レーシング)は、ケンタッキーで2年連続して2位フィニッシュをして来ていた。09年にはライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)に0.0162秒競り負け、10年はポールポジションを獲得し、最速マシンを手にしてレースも戦ったが、燃費作戦を成功させたエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)に敗れたのだった。

喜ぶエド・カーペンターと、チームオーナーのサラ・フィッシャーの家族。
Photo:INDYCAR(Chris Jones)
 今年のエドは自分のチーム、ビジョン・レーシングが閉鎖となってしまったため、サラ・フィッシャー・レーシングで走ることになった。しかし、ケンタッキーでの速さに変りはなかった。予選は4位だったが、レースに向けてのセッティングはバッチリ進んでいた。タイヤが新しくなっても、ウィングのルールが変ってもエドは速かった。チームを変っても速いのだから、彼は何か秘密をつかんでいるのだろう。
 レースの途中からヘルメットバイザーが緩むトラブルに見舞われ、片手運転を余儀なくされたというエドだったが、それでも優勝戦線に残り続けた。彼はスプリントカーの出身で度胸の良い走りが身上。今日はそれが活かされていた。
 フランキッティは絶対にクラッシュできない状況にあり、失うもののないカーペンターは精神的な優位にもあった。しかし、最後の最後、最終ラップのターン4を回るまで切り札を切らなかった、あの戦いぶりはこの2年で味わった悔しさと、2年で得た経験によって実現されたと思う。2位との差は僅かに0.0098秒。ケンタッキーでのレース史上最も小さな差によって、エドは自らの初勝利を飾り、まだ結成されて間もないサラ・フィッシャー・レーシングにうれしい初勝利をもたらした。

2011 INDYCAR レースプレビュー 第16戦ケンタッキー インディ300 スペシャルカラーリング

シンタスのロゴをまとったカストロネベス車と、今回は水色のブリスコー車。
Photo:INDYCAR(Bred Kelly)
3 エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)
 白/赤/黒の最も多いパターン。しかし、メイン・スポンサーが今回はユニフォームメーカーのシンタス


4 JR・ヒルデブランド(パンサー・レーシング)
ピンクのカモフラージュパターンのヒルデブランド。
Photo:INDYCAR(Bred Kelly)
 ミリタリー・カモフラージュ・カラーにピンクのコンビネーション。10月は乳がん検診の啓発月間で、そのシンボル・カラーがピンクだから。また、アメリカの軍隊は20パーセントが女性なので、彼女たちの存在をより認知してもらおうとナショナル・ガードもピンクをカラーリングに採り入れることとした。
6 ライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)

マルコ・アンドレッティと並走するトランジション・アダプティブ・レンズカラーの
ライアン・ブリスコーのマシン。
Photo:INDYCAR(Bred Kelly)
白/水色/黒 スポンサーはトランジションズ・アダプティブ・レンズ。
10 ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)

今回のフランキッティ車のダウニーカラーは渋い色。
Photo:INDYCAR(Bred Kelly)
 黒/エメラルド・グリーン ダウニー・アンストッパブルがメイン・スポンサー。洗濯用柔軟材と芳香材の新製品。
17 ウェイド・カニンガム(サム・シュミット・モータースポーツ)

ARPカラーのカニンガム。ハイサイドはファジーズ・ウォッカカラーの
バディ・ライス。
Photo:INDYCAR(Chris Jones)
  カラーリングは赤/黄のAFSレーシング・カラーのまま。しかし、スポンサーはARP=Air Ride Pallet。新素材パレットのブランド(倉庫や運搬で使われるパレット)。


22 タウンゼント・ベル(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)

タウンゼント・ベル車。塗料メーカーのバスルパーがスポンサー。
Photo:INDYCAR(Bred Kelly)
30 ピッパ・マン 
スポンサーロゴはほとんど見当たらず、真っ白に近いピッパ・マン。
Photo:INDYCAR(Bred Kelly)
44 バディ・ライス (パンサー・レーシング)
 インディー500の時と同じくファジーズ・ウォッカがメイン・スポンサー。マスターズ優勝経験を持つプロ・ゴルファー、ファジー・ゼラーのブランド。
ゴルフブランドのスリクソンもスポンサーについている。

2011年10月2日日曜日

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント90 第16戦 ケンタッキー インディ 300 Day1予選「マシンには予選用のトリムを施してあってので本来であればスピードが伸びるはずだったが。プラクティスで集団の中を走っていた限りでは、マシンは悪くなかったので、それがレースでもうまく行くことを願う」

第16戦 ケンタッキー インディ 300
2011 IZOD INDYCAR SERIES R16 Kentucky Indy 300
ケンタッキー・スピードウェイ
ケンタッキー州スパータ
コースタイプ:スーパースピードウェイ
全長:1.5マイル(=約3.218km)×200周
予選  22位 49秒3662

「去年の14位という予選結果は上回る」とプラクティス2回を走った佐藤琢磨は語っていた。それだけの手応えを?んでいたのだ。しかし、予選順位は22位と、1年前よりも大きく後方となってしまった。今回は29台とエントリーが多いとはいえ、22番手グリッドは納得の行かないところだ。チームメイトたちもトニー・カナーンが19位、EJ・ビソが23位と揃って芳しくない。

2011 INDYCAR 第16戦 ケンタッキー インディ 300 予選レポート:ウィル・パワーが今シーズン8度目のポールポジション。タイトルを争うライバル、ダリオ・フランキッティは予選11位

ウィル・パワー
Photo:INDYCAR(Chris Jones)
第16戦 ケンタッキー インディ 300
2011 IZOD INDYCAR SERIES R16 Kentucky Indy 300

ケンタッキー スピードウェイ
ケンタッキー州スパータ
全長:1.5マイル(=約3.218km)×200周

天候:曇り
気温:12〜13℃

 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がケンタッキーのポールポジション獲得を達成した。オーバルでの実績はまだ少ない彼だが、ポイントリーダーに復活した直後の大事なレースでアドバンテージを握って見せた。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント89 第16戦 ケンタッキー インディ 300 Day1 プラクティス2 「かなり路面温度が低く、風も出てきているので車が不安定になって来ていますが、プログラムの進捗状況としてはステップ・バイ・ステップで悪くはないと思います」

Photo:Naoki Shigenobu
第16戦 ケンタッキー インディ 300
2011 IZOD INDYCAR SERIES R16 Kentucky Indy 300
ケンタッキー・スピードウェイ
ケンタッキー州スパータ
コースタイプ:スーパースピードウェイ
全長:1.5マイル(=約3.218km)×200周
Day1  プラクティス2 :9位 24秒3784 (平均速度218.554mph=約351.653km/h) 48周走行

変わらぬ寒さの中でスピードアップには成功

 プラクティス2回目もトップタイムはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)。佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は9番手。プラクティス1よりもスピードを伸ばすことに成功している。このセッションも寒さは変わらず。予選は夕方の6時からの開催。気温の低下が心配される。琢磨は12番手。チームメイトはEJ・ビソが10番手で、トニー・カナーンは14番手……と互いに接近しているのでドライバー同士の情報交換は難しそうな状況だ。

Jack Amano(以下――):プラクティス2回目、プログラムの進行具合はどうですか?

佐藤琢磨:まぁ、ステップ・バイ・ステップですけど、悪くはないですね。

――予選も本当に難しいコンディションとなりそうですが?

佐藤琢磨:かなり路面温度が低いのと、風も出て来てるので、ちょっとクルマが不安定になって来てますけど。でもまぁ……予選はどうでしょうねぇ? 今、完全な予選トリムってできなかったので、ちょっと予選までそれがお預けなんですけど、多分、もうちょっとスピードアップできると思います。

――バンプが大きくなっている、ピットのイン・アウトのレイアウトが変わっている……の他に、何か去年と違う印象のところはありますか?

佐藤琢磨:いや、そんなにない……っていうか、去年は……。

――レースは早く終わっちゃいましたが……。

佐藤琢磨:でも、予選もここは最悪だったから。一番悪かったので、そこからは脱出したいですね。

――それは行けそうなんですよね?

佐藤琢磨:うん、それは大丈夫だと思う。

――最後はウィッカーの変更をやってましたたが?

佐藤琢磨:あそこからは、もうドラッグはちょっとしか減らない。でもダウンフォースはすごく失うので、空力効率は悪いんですけど、今、もう外せるものは外して行かないと……っていう状態なので、予選はもうちょっと、ハーフステップぐらい行けるのかな? それでも大丈夫だと思います。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント88 第16戦 ケンタッキー インディ 300 Day1 プラクティス1 「テキサス以来の1.5マイルスーパースピードウェイなのですごく速いですね。クルマ自体はそんなに悪くないです」

Photo:Naoki Shigenobu
第16戦 ケンタッキー インディ 300
2011 IZOD INDYCAR SERIES R16 Kentucky Indy 300
ケンタッキー・スピードウェイ
ケンタッキー州スパータ
コースタイプ:スーパースピードウェイ
全長:1.5マイル(=約3.218km)×200周
Day1 プラクティス1 :24秒3925 (平均速度218.428mph=約351.451km/h) 68周走行

気温10℃!という寒さの中でのプラクティス開始

 ケンタッキー・スピードウェイでのシリーズ第16戦は、寒さの中で始まった。なんと、気温10℃でセッションは始まった。
 今日から10月だが、この寒さは少々季節外れ。セッション終了前には幾分暖かくなったものの、まだ気温は12度しかなかった。
予選は夕方の6時スタートなので、日中に気温が上がったとしても、そのころにはまた寒くなっているだろう。
そして、明日のレースも気温はあまり高くない中でのものとなりそうだ。スタートは午後2時45分だ。


Jack Amano(以下――)どうだったでしょう、68ラップも走れたプラクティスは?

――朝からのこの寒さはどうですか? 影響は出てますか?
佐藤琢磨:かなりありますよ。タイヤの暖まりが悪いし、ピットへのエントリーとピットからの出口が去年までとレイアウトが変わっちゃってて、ものすごく危ないっていうか、怖いっていうか……。もうピット出口は1車線あるかないかで、路面も右と左で違うし、結構危険ですけど、寒さはそういうところでタイヤに対して特に気をつけないといけない。走り出してしまえば、そんなに酷くはないんですけどね。
――風の影響はいかがでしょう?
佐藤琢磨:風もちょっとありましたけど、でも、思ったほどは悪くなかった。風もそんなに今回のセッションでは強くなかったので。
佐藤琢磨:久しぶり。スゴイ久しぶり。テキサスでのダブルヘッダー以来でしょう、1.5マイルは? ずーっとショートオーバルだったんで。だから、速い。速くて怖いね(笑)。けど、まぁクルマとしては悪くない。先週テストをやった人からの情報だと、なんかすごいバンピーで、タイヤのコンパウンドが今回ものすごく硬くて、リヤ・ウィングのアングルも去年12度だったのが10度になってて……と、コンビネーションとしてはものすごく滑り易い方向に全部行っちゃってる。それで最初、結構コンサバティブにダウンフォース着けてったんですけど、意外に周りが速くて、どんどんセッション中にスピードを上げて行く方向でした。最終的に出たベストっていうのは、ドラフティングを使ってのタイムだったけど、クルマとしてはそんなには悪くない。まだちょっとクルマの動きが不安定なところはあるので、まぁ次のセッションは予選トリムもやるけれど、ちょっとそこらへんを見直します。

2011 INDYCAR レースプレビュー R16 ケンタッキー インディ300:シーズン終盤に来てさらに活況、インディーカー。ケンタッキーのエントリーは29台! もてぎで活躍のタグリアーニはウェルドンにシートを譲り今回欠場。最終戦はインディー500のウェルドンと体制を交換して参戦へ

今回登場のパンサー・レーシングの44号車は、新たなカモフラージュパターン
かと思いきや、スポンサーのスリクソンのゴルフボールをモチーフとした
ユニークなもの。はたしてこのマシンのドライバーは??
Photo:INDYCAR(Chris Jones)
 人気です、ケンタッキーが。なんと29台もがエントリーして来てる。テキサスの30台には惜しくも届かなかったものの、ソノマとボルティモアの28台を抜いて今シーズン3番目のエントリー数に。あ、一番はもちろんインディー500です、33台が決勝に出場。今回のノンレギュラーは以下の通り。

2011年9月30日金曜日

2011 INDYCAR レースプレビュー R16 ケンタッキー インディ300

Photo:INDYCAR
第16戦 ケンタッキー インディ 300
2011 IZOD INDYCAR SERIES R16 Kentucky Indy 300

ケンタッキー スピードウェイ
ケンタッキー州スパータ

コースタイプ:スーパースピードウェイ
全長:1.5マイル(=約3.218km)×200周
2010年ウイナー:エリオ・カストロネベス

ウィークエンドスケジュール

Day1 10月1日(土)
12:00~13:15(日本時間10月2日2:00~3:15) プラクティス1
14:45~15:45(日本時間10月2日4:45~5:45) プラクティス2
18:00~19:00(日本時間10月2日8:00~9:00) 予選

Race Day 10月2日(日)
14:45~(日本時間10月3日4:45~) 決勝(85周)

2011年9月24日土曜日

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース:アンドレッティがシボレー陣営に加入。琢磨擁するKVはホンダかロータスか? シボレー採用の噂も!?


Photo:INDYCAR

 アンドレッティ・オートスポーツの来季からのエンジンがシボレーになることが発表された。彼らがシボレーユーザーになる話はこれまでにも噂には上っていたが、2003年からIRLのインディーカー・シリーズへとスイッチした際にはホンダのワークスチームだったというのに、来年からはシボレーの第二チームとなるのだ。

2011年9月21日水曜日

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント87 第15戦インディ ジャパン ザ ファイナル Race Day 決勝レース後記者会見 「僕としては非常に苦い最後のインディジャパンになった。だから、次こそファンのみんなに思い切り「ありがとう!」と言えるレースを見せたいというか気持ちが強くなっています。それが今後、インディジャパンで叶えられないのは残念です」

Photo:Naoki Shigenobu

アクシデントがなければ上位進出は十分可能だった……

 予選11位からレッドタイヤ装着でスタートした佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)だったが、実はそのレッドは予選で使ったユーズドのレッドだった。予選のトップから9位までがフレッシュレッドを装着。琢磨はちょっとしたギャンブルに出たのである。もっとも、彼の前からスタートしたマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・グリーン・レーシング)は、それ以上に大胆なフレッシュブラックでのスタートを切っていたが……。
 琢磨は最初のスタートでそのアンドレッティの前に出るつもりだったが、それには失敗した。二列スタートはツインリンクもてぎの最終コーナーがS字状のため、トップから3列ぐらいまでしか整列しないうちにグリーンフラッグとなるからだった。

2011年9月18日日曜日

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day3 決勝 武藤英紀コメント 「あのフルコースコーションがなければどうなっていたのかな、というのはあります。苦しい展開になりましたが、お客さんにも支えられて最後まで本気で走りきることができました」

Photo:INDYCAR(Chris Jones)
不運で潰えた3ストップ作戦

 予選22位だった武藤英紀(AFS/サム・シュミット・モータースポーツ)は、スタート前から3ストップ作戦で行くことを決めていた。その作戦は見事に当たったかと思われたが、レースコントロールの不可解なタイミングでのフルコースコーション提示によってチャンスを潰されてしまった。最終コーナー付近のランオフエリアにマシンがストップした時、すぐさまイエローを出さず、トップグループがピット作業を終えたタイミングでフルコースコーションになったのだ。
 そのタイミングで武藤は2回目のピットに向かってしまった。武藤のすぐ後ろを走っていたドライバーは7位までポジションを上げたというのに、武藤は25位まで順位を下げ、そこからもう一度追い上げなくてはならなくなった。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント86 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day3 決勝「最後のリスタートのチャンスをつかめなかったことが悔しいです。今日は目指すところまで行けませんでした。応援してくれているファンのみんなのために、もうちょっと良いところを見せたかったですが、最後のインディ ジャパン、難しい中でゴールまで走り切れたことは良かったかなと思います」

Photo:INDYCAR(LAT)
第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル
2011 IZOD INDYCAR SERIES Round15 INDY JAPAN THE FINAL

栃木県 ツインリンクもてぎロードコース
コースタイプ:ロードコース
全長:4.801㎞×63周

Day3 9月18日
決勝 10位 1時間56分51秒1294(10秒1187遅れ) 63周完走

2011 INDYCAR レースプレビュー 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル:タイヤと燃料 ピットウインドウは20~22周

満タンスタートなら2ストップが可能

 全エントラントにエンジンを供給しているホンダ・パフォーマンス・デベロップメントによると、今日のレース、ピットウィンドウは20~22周になるという。
 レース周回数は63周なので、満タンでスタートすれば2ストップで走り切ることが可能ということだ。
 しかし、武藤英紀はウォームアップ後に3ストップ作戦について話していた。
 これは、今回のレースが実に珍しい状況にあることを意味している。燃料が空になる前に、タイヤのグリップが大きく下がって、ラップタイムも大ダウンという可能性が考えられるのである。3ストップにした方が有利かもしれない。
 今日はレースウィークエンドで気温、路面温度ともに一番高い。タイヤにとっては益々厳しいコンディションだ。
 ランオフエリアが広いツインリンクもてぎだけに、フルコース・コーションが出る回数は少ないかもしれない。レース展開に適した作戦をベストのタイミングで採用できるか否かが勝敗を分けることとなるかもしれない。

2011 INDYCAR レースプレビュー R15 インディ ジャパン ザ ファイナル 決勝スタートタイヤ

1    9    スコット・ディクソン            オルタネート
2    12    ウィル・パワー                 オルタネート
3    38    グラハム・レイホール           オルタネート
4    6    ライアン・ブリスコー            オルタネート
5    06    ジェイムス・ヒンチクリフ       ユーズド・オルタネート
6    3    エリオ・カストロネベス          オルタネート
7    83    チャーリー・キンボール         オルタネート
8    18    ジェイムス・ジェイクス         オルタネート
9    10    ダリオ・フランキッティ         オルタネート
10    26    マルコ・アンドレッティ              プライマリ-
11    5    佐藤琢磨                             ユーズド・オルタネート
12    34    ジャアオ・パオロ・デ・オリベイラ    オルタネート
13    59    EJ.ビソ                         オルタネート
14    19    セバスチャン・ブルデー          オルタネート
15    77    アレックス・タグリアーニ        プライマリー
16    2    オリオール・セルビア             プライマリー
17    28    ライアン・ハンター-レイ        プライマリー
18    22    ジョルジョ・パンターノ          プライマリー
19    4    JR.ヒルデブランド                プライマリー
20    27    マイク・コンウェイ              プライマリー
21    24    アナ・ベアトリス                プライマリー
22    17    武藤英紀                        プライマリー
23    7    ダニカ・パトリック               プライマリー
24    14    ヴィトール・メイラ              プライマリー
25    82    トニー・カナーン                プライマリー
26    26    シモーナ・デ・シルベストロ      プライマリー

特記ないものはすべて新品タイヤ

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラインタビュー「フォーミュラ・ニッポンのマシンはロードコース用で、インディカーはもともとオーバル用。だからフォーミュラ・ニッポンのマシンのほうがインディーカーよりもハンドリングはずっと良いし、ドライビングもインディーカーより簡単だと思う。インディカー・ドライバーたちはそういうマシンをうまく操って早く走らせている」

Photo:INDYCAR(Brian Simpson)
初挑戦の予選でレッドタイヤにも素早く順応

 今回がインディーカー・デビューのジョアオ・パウロ・デ・オリベイラ=フォーミュラ・ニッポン・チャンピオンは、走り慣れたツインリンクもてぎのロードコースで目覚しい活躍を見せている。
 3回あったプラクティスを総合しての順位は20番手だったが、初挑戦となった予選では、初めて使うレッドタイヤにも素早く順応し、第1セグメントのグループ1で4番手につけ、第2セグメント進出を果たしたのだ。同じグループで第一セグメント敗退を喫した中には、ロードコースでの優勝経験を持つトニー・カナーンやライアン・ハンター-レイもいた。
 デ・オリベイロの走るコンクェスト・レーシングは1台体制。アドバイスをくれる先輩もいないし、情報交換を行うチームメイトも存在しない。第2セグメントでの彼は12人中の12位となったが、幾らメンバーに恵まれたグループ1だったとはいえ、初挑戦での第1セグメント突破は高く評価されるべきものだ。

 
Jack Amano(以下――)::初挑戦のインディーカー、この2日間はどんな感じで進行して来てますか?

ジョアオ・パウロ・デ・オリベイラ:まったく新しい経験となっている。インディーカーというマシンは、僕が今まで乗って来たものと完全に違っているから。昨日のプラクティスからマシンを学ぶことに努め、走行を重ねるに連れてその理解を少しずつ深めて来ている。自分としては、僕らの仕事ぶりは良いと感じている。着実に進歩を遂げて来ているからね。

――予選では初めてレッドタイヤをトライしていましたね。一度も試したことのないタイヤでしたが、どうでしたか? タイヤのフィーリング、そして自分の走りやマシンセッティングに対する評価を教えてください。
オリベイラ:レッドタイヤについては、自分に経験がゼロだったが、第1セグメントでは良い走りができていたと思う。グループ1で4位になれたんだからね。そして第2セグメントに進んだワケだけれど、第1セグメントよりプッシュして走ろうと思っていたら、多分、自分がマシンを振り回し過ぎてしまったんだろうね、タイムロスをしちゃっていたようだった。

――12位というポジションをどう思いますか?
オリベイラ:今日の予選では、ライバルたちとのラップタイムが本当に接近していたね。僕があとコンマ2秒良くできていたら、ポジションはトップ8に入れていた。でも、そんなに自分を責めるべきでもないと思う。僕にとっては初めてのレースなんだからね。

――今回インディーカーにチャレンジしたのは、将来的にアメリカでインディーカー・シリーズに参戦したいということなのかな?

――フォーミュラ・ニッポンの競争も激しいと思うけれど、インディーカーで実際に走ってみて、どういう印象を持ちましたか?
オリベイラ:フォーミュラ・ニッポンのマシンの方が、インディーカーよりもハンドリングはずっと良くて、だからドライビングもインディーカーよりもずっと簡単だと思う。マシンのグリップも断然高い。タイヤもフォーミュラ・ニッポンのものの方が路面への食いつきが良い。今のインディーカーはオーバル用に設計されたものと聞いている。それで、フォーミュラ・ニッポンのマシンの方がロードコース用に正しく設計されたマシンになっている。でも、そういうインディーカーに慣れ、そのマシンをうまく操ることが僕らの仕事だ。インディーカー・ドライバーたちは、そうやってこのマシンを速く走らせている。
――インディーカーは重く、それが問題?
オリベイラ:いや、重さによってドライビングがしにくくなっているとは思わない。実際、マシンの重さというものはそれほど感じないんだ。その理由は、マシンに大きなグリップがないから。ドライブすることに対しては軽く感ずるぐらいだ。ブレーキングでマシンは止まらない。フォーミュラ・ニッポンのマシンと比べても。

――インディーカーはブレーキのキャパシティが小さい?
オリベイラ:そうだね。車重に対してブレーキが小さい。今回供給されていいるタイヤのグリップ力も関係しているのかもしれない。
――来年からインディーカーは新しいシャシーになる。エンジンの競争も始まるし、そのマシンならもっと楽しく走れるのでは?
オリベイラ:新シャシーの方がおもしろいだろうね。
オリベイラ:将来のことはわからない。僕は日本で走っているけれど、自分の置かれている状況にとても満足しているから。

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day3 ウォームアップ:武藤英紀、ウォームアップ14番手に「ブラックでスタートして赤、赤、赤でつなぐ作戦で行こうと考えています」

武藤英紀は決勝4スティント作戦を想定してウォームアップを走行。
Photo:Naoki Shigenobu
チームメイトともども着実にセットアップ向上を果たす

 予選は22番手だった武藤英紀(AFS/サム・シュミット・モータースポーツ)だが、決勝日朝のウォームアップでは14番手につけた。チームメイトのアレックス・タグリアーニも15番手とほぼ同じ位置にいた。久しぶりのインディーカー・レースとなる武藤だが、決勝に向けての準備は着々と進めることができている様子だった。

――この30分間で何をやったんですか? いいウォームアップにできましたか?

武藤英紀:満タンで走ることが今回やることの最初でした。それと、レッドタイヤを試したかったんですけど、決勝に取っておくことになりました。というのは、今日のレースがおそらく3ストップの、つまり4スティントになるから、ブラックでスタートして赤、赤、赤で繋ぐ作戦で行こうと考えてます。

――ブラック、レッドの耐久性はどうなってるんでしょう?

武藤:英紀:耐久性というか、黒は表面でどんどん滑ってっちゃって内圧が上がっちゃうんですよ。赤の方は、スライドが少ない分、内圧のコントロールはし易いですね。ブラックだと結構滑るんでね、滑らない時は内圧が上がらなくて、滑り出すと一気に上がっちゃう。

――ブラックでの周回数を減らす。そういう作戦が良いと考えられるんですね?

武藤英紀:そう思いますね。僕らはそう考えてます。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント85 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day3 ウォームアップ 「予定していたセッティングの確認や調整などができませんでした」

Photo:Naoki Shogenobu
第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル
2011 IZOD INDYCAR SERIES Round15 INDY JAPAN THE FINAL

栃木県 ツインリンクもてぎロードコース
コースタイプ:ロードコース
全長:4.801㎞×63周

Day3 9月18日
ウォームアップ 1分40秒7471 20位 9周走行

佐藤琢磨、ウォームアップも不完全燃焼の20位

 快晴の空の下、昨日までより蒸し暑いコンディションでファイナルプラクティス=ウォームアップセッションは行われた。燃料を多く積んだ決勝用セッティングの最終確認、ブラックとレッドの両タイヤの評価、決勝用のタイヤのスクラビングなどが行なわれる重要なセッションだが、これは30分間と短い。しかも、今回は2台のマシンのコースオフにより、実際に与えられた走行時間は12分程度となっていた。
 佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)はいつも通りにブラックタイヤの新品を履いてセッション開始。1ラップでスクラビングを終え、ユーズドのブラックへとタイヤを交換。マシンのチェックを始めた。しかし、4周を走ってピットインすると、ここで長い時間ストップ。この間にイエローが出て、それが解除されてコースに復帰すると、すぐさま2回目のコーション。最後は残り1分プラスでの走行再開となったが、ここからは走れたのは2連続のラップだけ。結局、琢磨は9周が計測されたが、ベストは最終ラップの1分40秒7471で、26台数中の20番手にランクされるものだった。このラップがなければ彼は今週2回目のセッション最下位となるところだった。チームメイトのEJ・ビソは18番手、トニー・カナーンは21番手と、3人揃って決勝直前のプラクティスでのパフォーマンスは芳しくなかった。


Jack Amano(以下――):あまり走れませんでしたね?

佐藤琢磨:そうなんですよ。

――ピットに長く留まっていましたが、何かマシンにトラブルが出たんですか?

佐藤琢磨:トラブルっていえばトラブルでした。自分たちが考えていたプログラムで、替えるべきものがあったんですけど、それが準備されていなかったんです。

――決勝に向け、タイヤの評価、セッティングの確認や調整などができなかったということですね?

佐藤琢磨:全然できなかった。タイムを取れたラップはハッキリ言って最後の1ラップだけだったから……。

――最後はレッドタイヤを装着しての走行でした。その1周で得た感触は?

佐藤琢磨:それはそこそこに良かった。でも20番手ですよ。

――決勝を前に苦しい状況になってしまっていましたが、頑張ってください。

佐藤琢磨:はい。頑張ります。

ウォームアップの最後、レットタイヤで走行する佐藤琢磨。
Photo:Naoki Shigenobu

2011 INDYCAR インサイド情報&レポート 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル:コンクエスト・レーシングオーナー、エリック・バシェラールインタビュー「オリベイラのパフォーマンスはファンタスティック!」

Photo:INDYCAR
オリベイラの起用で今シーズン初のQ2進出

 エリック・バシェラールは、全日本F3選手権への出場経験も持つベルギー人。アメリカでは91年にインディライツでチャンピオンになっている。初めて走ったオーバル=フェニックスの1マイルでいきなり優勝しちゃったのは衝撃的だった。その後CARTシリーズにステップアップし、97年からはチーム・オーナーとしてCART、その後インディーカーにコンクェスト・レーシングを出場させている。

Jack Amano(以下――):日本でJP・デ・オリベイラを走らせることになったのは?

バシェラール:私たちは開幕戦からルーキーのセバスチャン・サーベドラを走らせて来ましたが、インディ ジャパンからのシーズン終盤の3レースでは彼を使わないことになっていたんです。我々のチームはドライバーを探していて、ロジャー安川がJP・デ・オリベイラとの間を取り持ってくれました。交渉はスムーズに進み、今回の参戦に漕ぎ着けることができました。セレモニーがサポートをしてくれることが決まり、JPにインディーカーデビューのチャンスを用意することができました。JPは毎年インディジャパンを見に来てたんです。このレースへの出場に強い興味を持っていました。

――サーベドラの予算はボルティモアまでだったんですね?

バシェラール:そうです。

――ケンタッキーとラスベガスでは誰を走らせるのか決まっていますか?

バシェラール:ケンタッキーではインディライツで走っている若手を起用する計画です。ラスベガスは未だ決まっていません。

予選でオリベイラはフォーミュラ・ニッポン王者の実力を見せつける。
Photo:INDYCAR(Brian Simpson)
――今週起用しているJPのパフォーマンスはすごく良いですね?

バシェラール:私たちも大変満足しています。確かに彼はツインリンックもてぎのコースをよく知っています。しかし、インディーカーというマシンのことは知りません。タイヤについても知りません。今週インディーカーに初めて乗ったということを考えると、3回のプラクティス、そして予選で彼が見せたパフォーマンスはファンタスティックと表現して良いでしょう。インディーカー・シリーズの競争は本当に激しいというのに、事前のテストも一切行なえず、金曜に初めてインディーカーを走らせたのですから。


――ドライバー経験も豊富に持つ身として、レッドタイヤをどう捉えていますか? 
ユニークなアイディアであることは間違いありませんが、レースをおもしろくする要素となっていると考えていますか? テストができないし、ちょっと未知の部分が多く過ぎているとは思いませんか? ルーキーには大きな不利となりますよね?

バシェラール:私はレッドタイヤは良いと考えています。使い方は作戦にも関わってくるし、おもしろいと思います。もちろん、ルーキーにとっては難しいものですが、我々チームはブラック、レッドの両タイヤについての情報やデータを持っています。それらはサーキット毎に異なりますし、ブラックとレッドのコンビネーションもコースによって変って来ますが、どのレースでも走行前にある程度がわかっている、あるいは、ある程度の予測がついています。これらの状況を考えても、今週のJPの仕事ぶりが素晴らしいと言えるんです。初めてレッドタイヤを使った予選で第2セグメントに進んだんですから。


――金曜の時点で、JPはレッドタイヤについて、予選前のプラクティスで性能を試したいと言っていましたが、実際にはそうしなかったようでしたね?

 バシェラール:私たちは予選で第2セグメントに進める可能性が高いと考え、レッドタイヤは予選用に残すことに決めました。もし予選前のプラクティスで使っていたら、そのセットは予選で最高のパフォーマンスを発揮できなくなりますからね。

――レースも楽しみですね。

バシェラール:はい。JPは経験も豊富ですし、このコースをよく知っていますから、レースでも良い走りが期待できると思います。

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦インディ ジャパン ザ ファイナル:ポール・シッターのスコット・ディクソンに聞く

Photo:Naoki Shigenobu

「正統派のサーキットを走り、戦うということは最高の喜びだよ」
――昨日のプラクティス1回目は15番手タイム。そこから今日のポールポジションへと上り詰めたプログラムとは?

スコット・ディクソン:昨日のプラクティスでは路面がまだ全然悪かった。そういう状況では走り出しの数周が微妙かつ重要で、そこで僕はうまいことラップをまとめ上げられなかった。だから僕のポジションは悪かったんだ。昨日のプラクティスでは、多分大多数のチームが2セット目のタイヤを投入していたと思う。でも、僕らは1セットだけにしたんだ。
――昨日の順位、タイムは全然気にしていなかったと。
スコット・ディクソン:そのとおり。僕らは1セットだけの使用だった。全員のラップを1セット目だけで比較したら、僕はトップ3に入れていたはずだよ、ベストのラップを完成させられなかったというのにね。そして、みんなが2セット目を使い始めてから、彼らのラップタイムが僕らのものより良くなった。だから、僕らとしては他チームのことは一切気にせずに、段階的にマシンを良くして行くよう走行を重ねていたんだ。今回のコースは誰にとっても初めてのコース。自分たちとしては、最初っからジックリと時間をかけてコースを学んで行こうって考えを持っていたんだ。それに、ダリオ(・フランキッティ)が走り始めからとても速くて、そこからマシンを進歩させることもできていた。僕らは少しずつマシンのセッティングに変更を施して行き、着々とマシンを良くして行くことができていたんだ。
Photo:Naoki Shigenobu
――ツインリンクもてぎのコースは、実際に走ってみてどうですか? 映像やコース図などのデータだけから想像、想定していたものとイメージはかなり近かった?スコット・ディクソン:僕は2、3年前に乗用車でだけれど、ここを走ったことがあったんだ。でも、やっぱりシミュレーターとかを使っても、実際に自分で走ってみないと目印だとか、色々なことがわからないものだね。それを改めて感じたよ。コースのグリップレベルがどのくらいあるのか、タイヤのパフォーマンスはどの程度なのか、といった部分はわからない。自分たちの想定と違っていたのは、例えばターン4だね。あそこは簡単にアクセル全開で回れると見てたんだけど、実際に来て見たらブラックのニュータイヤでも、レッドであってもフラットアウトでは行けなかった。そういう違いはたくさんあった。でも、正しく作られたサーキットを走るというのは、本当に楽しいことだよ。アップ&ダウンがあって、低速から高速までバラエティ豊富なコーナーがあって……という正統派のロードコースを走り、そこでレースを戦うっていうのは最高の喜びだね。

2011年9月17日土曜日

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント84 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day3  予選 「予選11位は非常に悔しいです。ファスト6進出を目指していましたが、それを叶えられなかった。ど真ん中のグリッドなので明日は追い上げのレースを行いますが、今日に関しては残念な結果でした」

険しい表情を見せる佐藤琢磨。
Photo:Naoki Shigenobu
第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル
2011 IZOD INDYCAR SERIES Round15 INDY JAPAN THE FINAL

栃木県 ツインリンクもてぎロードコース
コースタイプ:ロードコース
全長:4.801㎞×63周

Day2 9月17日
予選 11位(第2セグメント敗退) 1分38秒9124 トータル9周走行

スコット・ディクソンがポールポジション
予選2位はウィル・パワーで、ダリオ・フランキッティは9位に低迷
佐藤琢磨は11位、武藤英紀は22位


 雲が広がって幾分涼しくなったコンディションで予選は行われた。ポールポジションはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が獲得し、予選2位はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)のものとなった。その一方でダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)は9位に沈み、ポイント・リーダーの座が危うくなった。
日本勢は佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)が11番手、武藤英紀(AFS/サム・シュミット・モータースポーツ)は22番手だった。佐藤はKVレーシングで唯一、予選の第2ステージに進んだのだが、ファイナルへと駒を進めることは果たせなかった。レッドタイヤのパフォーマンスをフルに引き出すことができなかったのだ。


Jack Amano(以下――):朝のプラクティス2で一気に苦戦モードとなりましたね?

佐藤琢磨:今日は結構厳しいスタートになっていましたね。昨日の状態はそんなに悪くはなかったんですけど、まぁクルマが滑る状態で、対策を施して今日のプラクティス2に臨んだつもりだったんですけど、朝のプラクティスでまさか最下位になるとは思っていなかった。あそこで大きな課題が幾つかできましたね。それでも、予選直前のプラクティス3回目で何とか課題を幾つか克服できました。チームの3台のデータを照らし合わせて、ポジティブなものをピックアップするという、これまで僕らがずっと戦ってきた作業をしました。苦しい展開がずっと続いていましたが、予選前のプラクティスの最後になってニュータイヤでアタックをしてみたら、そこそこ手応えをつかめた。あれは良かったですね。

――昨日と今日、違いは何だったんですか?

佐藤琢磨:セッティングを変えていました。昨日見た方向性に合わせて、3台がそれぞれ役割分担をやったんですけど、僕らが良いと思っていたことがうまく働かなかった。それが残念でしたね。プラクティス2とプラクティス3では、結構順位がガラッと変っていたりしていましたよね。今日は朝一番の空気が重かった。路面温度も低い状態で、そこで動きの良かったクルマが、温度が上がって来たら不具合を出すようになった。逆に僕らのクルマは、午前中には乗りづらかったんだけれども、午後に向けては少しずつ良い状態が戻って来っていう感じでした。

――KVレーシング・テクノロジーととしては、3台を使ってのセットアッププログラムを行ったが、今回は少しずつズレてしまった感じでしたか?

佐藤琢磨:そうですね。3台でプログラムを分けるのはいつものことなんですけど、どちらかというとTK(トニー・カナーン)と僕はいつも同じようなクルマを好んで、EJ・ビソだけちょっと違うところにいたりします。それが今回は、EJのスピードが乗っていたし、僕はもちろんEJの好みのクルマでも乗ることができるので、それは去年もやっていたことなので、そのあたりでお互いに良いところを出し合って予選に挑みました。ただ、いつもと同じですけども、予選で使うソフトコンパウンドのレッドタイヤを事前にトライすることができないので、その辺り、どこに目標において行くのかっていうのは、いつもどおりに難しかったです。

レッドタイヤ装着のマシンに乗り込み、予選に臨む。
Photo:Naoki Shigenobu
――ブラックでは滑って苦労しましたが、予選は初めて使ったレッドはどうでしたか?

佐藤琢磨:午前中はライバル勢について行けない状態でしたが、午後になって路面も大分でき上がって来た。路面温度が低い時にはグリップが高いんですけど、温度が上がって来たらグリップが落ちて、プラクティスの最後の方では路面が良くなってって、自分のクルマがポジティブな感じで動き出しました。それを持って僕らはレッドタイヤを使う予選用のクルマ作りというものをやってみたんですけど、うーん、難しい予選でしたね。第1ステージをクリアするのも本当にギリギリだった。バランスとしては、そんなにプラクティスの時と大きく変らないまま、グリップレベルだけが上がった。もちろん、タイヤが持つグリップが前後で比率が異なるので、クルマは予選トリムといってソフトタイヤに合わせたセットアップを施さないといけないんですけど、それは今まで行って来たのと同じフィルターでやって、ほぼバランスが変らなかったっていう点では自分たちの狙いどおりだったんですけど、純粋なスピードっていう意味で今の僕らはかなり苦労をしていますね。

――予選結果は11位でした。率直な感想は?

佐藤琢磨:悔しいです、非常に。昨日は現実的な目標として、もちろん走るからにはトップを目指すけれども、現実的には予選でファイナルステージに進むっていうのが大きな目標というか、かなり困難だけれども、それを目標に頑張りたいっていうことを言ったんですけど、それを叶えられなかったのは残念だし、11番手というのはど真ん中なので、明日は追い上げのレースを行いますけど、今日に関しては残念な結果でした。

――明日、レッドタイヤのレースでのパフォーマンスはどうなりそうですか? ブラックとの性能差が非常に大きいのですよね?

佐藤琢磨:ブラックはファイアストンが持っている一番硬いコンパウンドなんじゃないですかね? 本当にどうしちゃったんだろうっていうぐらいにグリップしないんですよね。でも、今日、あまり変らないだろうと言われていたモテギの路面が、ラバーが乗って来たことによって結構変って行ったんです。予選直前のプラクティスの最後の方では、ブラックでも1周目から結構タイムは出せてました。そして、その後数周はコンシスタントなラップがあって、その後には大分落ち込んでしまうっていう傾向でした。レッドの方は、グリップも高いですし、かなりコンシスタントでしたね。各ドライバーが1周目、2周目だけじゃなくて、4周目とかにタイムアップをするドライバーも多かったし、自分自身も最後はタイヤの内圧の関係とかで良いところに来なかったんですけど、最初のアタックではかなりコンシスタントなラップを刻めてました。走った感じ、おそらくレッドはレースタイヤとしてのポテンシャルはずっと高いと思います。周回を重ねてフロントがなくなるか、リヤがなくなるかはそれぞれのマシンのバランス次第という感じ。明日の朝、どれぐらいのロングランができるかわからないけれども、そこで見極めをしたいと思います。

――オーバーテイクポイントは?

佐藤琢磨:昨日、今日走った感じだと1~2コーナーは割りと進入で態勢を崩し易いというか、どんなクルマでもニュートラル傾向になるんですね。それで2コーナーでアンダーが出るっていう症状はあんま変ってなくて、その辺り、みんなエイペックスを1コーナーに取ったり、2コーナーに取ったりと結構分かれてたんですけど、そこでうまく先行するクルマに合わせて行くことができれば、3コーナーのブレーキは結構ハードなので、そこでの可能性はあるかもしれないし、同じように、3コーナーから4コーナーへの立ち上がりが非常に滑り易くてなかなか踏んで行けないので、その先の5コーナーでもチャンスはあるかもしれない。あとはまぁ、最も一般的なバックストレートエンドのブレーキング。でも、どうだろう? 走った感じでは、あそこで飛び込んで行くのは結構難しいかもしれない。それから、このコースはブレーキにかなり厳しいので、スティント後半とか、レース終盤にはオーバーテイクのチャンスが増えるかもしれないです。

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day2:トニー・カナーン、もてぎロードコースで苦戦中

プラクティス3でコースアウトするカナーン。
Photo:Naoki Shigenobu

「全然グリップが得られていない」と苦悩するカナーン

 ツインリンクもてぎのロードコースでトニー・カナーンが大苦戦中だ。プラクティス1から上位に顔を出せないままの戦いが続いている。チームメイト2人は何とかトップ10入りを争う状況にいるのだが、カナーンだけが予選での第1セグメント通過が難しそうな状況に陥っている。

Jack Amano(以下――):セッション苦戦が続いてますが、何が問題となってるんですか?

トニー・カナーン:セットアップが良くないんだが、なんでそうなってしまっているのかがわかっていないんだ。

――トラクション不足?

トニー・カナーン:そうなんだ。でも、問題がこのコースの路面自体にあるわけじゃない。自分たちとしては、路面なのか、タイヤなのか、マシンなのか、原因は何にせよグリップが全然得られていないんだよ。今の僕らは、何が悪いのかが全然判明していないという厳しい状況なんだ。

――今回初登場のブラックタイヤが、もてぎのコースに対して硬過ぎると感じていますか?

トニー・カナーン:そうだね、そう思う。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント83 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル Day3 プラクティス3 「今のプラクティスで大分戻って来たので、次の予選、レッドタイヤは未知数ですけど、どこまで行けるか」

Photo:Naoki Shigenobu
第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル
2011 IZOD INDYCAR SERIES Round15 INDY JAPAN THE FINAL
栃木県 ツインリンクもてぎロードコース
コースタイプ:ロードコース
全長:4.801㎞×63周

Day2 9月17日
プラクティス2 1分40秒4353 26位 17周走行
プラクティス3 1分39秒6641 11位 20周走行
プラクティス1~3総合 13位

今度はニューマン・ハース・レーシングがワン・ツー

 プラクティス1はチーム・ペンスキーが1-2、プラクティス2は一転してチップ・ガナッシ・レーシングが1-2。予選直前のプラクティス3では、今度はニューマン・ハース・レーシングが1-2だった。トップはルーキーのジェイムス・ヒンチクリフ。タイムは1分39秒1074。ベテランのオリオール・セルビアは、プラクティス1が19番手だったが、プラクティス2で7番手まで上げ、プラクティス3で2番手と、見事な進歩ぶりを見せている。
 3番手につけたのはポイントリーダーのダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)。4番手はプラクティス3回すべてで4番手と、渋い安定ぶりだ。
 プラクティス1でトップだったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、このセッションで珍しく2回もコースオフ。それでも6番手につけた。そして、プラクティス2最速だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、このセッションでは5番手だった。


佐藤琢磨はトップと0.5567秒差の11位まで挽回

 佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は、プラクティス1で10番手につけながら、プラクティス2では再開の26番手と大苦戦。ところが、プラクティス3では11番手まで挽回してみせたのだ。チームメイトのEJ・ビソはプラクティス2に続いて10番手。心配なのはトニー・カナーンで、プラクティス1が14番手、プラクティス2が24番手、プラクティス3が22番手といいところがない。 

Jack Amano(以下――):プラクティス2では苦戦していた様子でしたが、プラクティス3で挽回しましたね?

佐藤琢磨:プラクティス2でトライしたセッティングの方向性がコンディションにそぐわなかったんです。それでも、今のプラクティスで大分戻って来たので、次の予選、レッドタイヤは未知数ですけど、どこまで行けるか。最初のセッションよりクルマは今回の走行で随分と良くなっています。

――ブラックタイヤの扱いが難しいんですか?

佐藤琢磨:そうですね、かなりハードコンパウントでグリップが得にくいというか。ただ、今のセッションで路面がまた随分とできあがって来たので、そうなって来るに従ってクルマの反応も良くなって来てました。

――レッドタイヤはこのコースだと1秒以上ラップ・タイムが速くなるという読みですか?

佐藤琢磨:はい。おそらく1秒は上がると思います。

――レッドでの走りに対する自信は?

佐藤琢磨:今のままじゃ行けないから、またセッティングを変更します。

――予選に向けて、セッティングはもう1ステップ上がる必要があるという状況なんですね。

佐藤琢磨:そうですね。

2011 INDYCAR フォト 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル カラーリング特集 その6 コンクェスト・レーシング オリベイラ車


セレモニーカラーのオリベイラ車。
Photo:Naoki Shigenobu


2011 INDYCAR フォト 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル カラーリング特集 その5 サム・シュミット・モータースポーツ 武藤英紀車 

2日目のプラクティス2でジャンプアップを果たした武藤。赤/白カラーが映える。
Photo:Naoki Shigenobu

2011 INDYCAR フォト 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル カラーリング特集 その4 ドレイヤー・アンド・レインボールド・レーシング パンターノ車

直前までドライバーが確定しなかったドレイヤーの22号車は
結局パンターノがドライブすることに。ブルーのKona Deep カラーが爽やか。
Photo:Naoki Shigenobu

2011 INDYCAR フォト 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル カラーリング特集 その3 デイル・コイン・レーシング ジェイクス車

走行初日からファンの目を釘付けにする衝撃のテリヤキエクスペリエンスロゴを
まとったジェイムス・ジェイクスのマシン。ジェイクス本人も、
このところ好調で注目されている。
Photo:Naoki Shigenobu

2011 INDYCAR フォト 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル カラーリング特集 その2 アンドレッティ・オートスポーツ コンウェイ車

マイク・コンウェイは黒面積の多いカラーリングバージョンでもてぎに登場。
Photo:Naoki Shigenobu

2011 INDYCAR フォト 第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル カラーリング特集 その1 チーム・ペンスキー カストロネベス車

サイドポンツーンに大きくHITACHIロゴが。
Photo:Naoki Shigenobu

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦インディ ジャパン ザ ファイナル Day2 プラクティス2レポート:KVレーシング・テクノロジー・ロータス、突然の苦戦

Photo:Naoki Shigenobu
チップ・ガナッシレーシングがワンツー

 土曜日、プラクティス2回目は、昨日以上の晴天の下で朝9時に始まった。気温は28℃プラスでスタートし、すぐに30度以上へと到達。昨日のプラクティス1回目より暑いコンディションとなった。しかも、今日は湿度が高く、蒸し暑い。
 トップはスコット・ディクソンで、2番手はダリオ・フランキッティだった。昨日とは一転、今度はチップ・ガナッシ・レーシングが1、2位を独占した。
 佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は17周を走ったが、ベストは1分40秒4353で昨日からの進歩が非常に小さかった。順位は26台の最後尾となる26位だった。トニー・カナーンは24番手と琢磨同様に大苦戦。EJ・ビソだけは1分39秒台に入ってセッションの10番手につけたが、トップのディクソンが1分38秒台まで一気にタイムを詰めたことを考えると、KVレーシングは昨日から急転、窮地に立たされた感がある。もちろん、まだ予選までにはもう1セッションあるので、そこでの挽回は可能なのだが……。
 走行を終えた琢磨は、次のプラクティスまでのインターバルが短いため、ピットからガレージへとレースエンジニアのギャレット・マザーシードと話しながら足早に直行。そこでチームのテクニカル・ディレクターで、カナーンのレース・エンジニアを兼務しているジョン・ディックに話を聞いた。

「昨日とそんなに違わないセッティングだったが……」

Jack Amano(以下――):今日のセッションは何が悪かったんですか?

ジョン・ディック:3台のデータをしっかり見ないといけないね。今朝のプラクティス・セッションで何が起きたのか、まだ我々は理解ができていない状況なので。

――昨日から今日へのマシンセッティングの変更は?

ジョン・ディック:そんなに大きな変更はしていないんだ。それなのに昨日とフィーリングが違っていたので、ちょっと驚いている。

――路面が大きく変わったということなのでしょうか?

ジョン・ディック:いや、路面は昨日と似ていたと思う。EJ・ビソはまずまずのタイムを出せていたので、彼の走行データをチェックすることから始めようと考えている。

2011INDYCAR インサイド情報&ニュース 第15戦インディ ジャパン ザ ファイナル:もてぎでのカラーリング

ペンスキーの2台にHITACHIロゴが!

 インディ・ジャパン仕様のカラーリング、新スポンサー、主だったところを紹介しましょう。
 チーム・ペンスキーは、ウィル・パワーは1シーズンを通じてベライゾン・カラーだから何の変更もナシ。その分、他の2台は結構目まぐるしくスポンサーが変わって来ていて、今回はエリオ・カストロネベスとライアン・ブリスコーの2台が黒/白/赤のベーシックカラーながらサイドポッドにドドーンとHITACHIのロゴ入りで走っている。
 チップ・ガナッシ・レーシングの9、10号車は、今回は両方ともターゲットの真っ赤。サテライトの若手ふたりも普段通りのカラーリングだ。
 アンドレッティ・オートスポートはというと、マルコ・アンドレッティは黒いベノム・カラーに戻って、マイク・コンウェイは黒ベースの@Followandrettiカラーで来日。ライアン・ハンター-レイはサン・ドロップ、DHL、サークルKと、いつもの黄色&白カラーで、ダニカ・パトリックはゴー・ダディの蛍光グリーン&黒だ。

テリヤキカラーのマシンが登場
 目新しいものとしては、ジェイムス・ジェイクス(デイル・コイン・レーシング)のマシンがTERIYAKI EXPERIENCE(テリヤキ・エクスペリエンス)という初登場スポンサーでモテギ入り。ショッピングモールなんかのフード・コートとかに出店している和食系レストランチェーン。アメリカ、カナダ、プエルトリコなどで店舗展開中で、照り焼きだけじゃなく寿司なんぞも扱ってるという話だが、アメリカでもカナダでも私は見たことがない。まだ創業して時間が短いのか? アメリカ人はテリヤキ、好きだから。アメリカでテリヤキを頼むと、大抵ちょっと甘さが強過ぎるけど……。
 ドレイヤー&レインボールド・レーシングの22号車=ジョルジョ・パンターノ搭乗は、Kona Deep(コナ・ディプ)という新スポンサーでやって来た。海洋深層水のブランドだ。色々新しい業種、会社が次々出て来るなぁ、と感心させられる。3000フィート以上の深さから汲み上げた水……は塩辛くないのか? なんて心配は無用で、それが水のおいしさに繋がってるらしい。

赤/白が目を惹く武藤のマシン
 武藤英紀の17号車(AFS/サム・シュミット・モータースポーツ)は、赤/白でキリッと目立つカラーリングで、オートバックス、フォーミュラ・ドリーム、NTSなどがスポンサー。
 もう1人のスポット参戦組=ジョアオ・パウロ・デ・オリベイラの34号車は白と薄紫のカラーリング。スポンサーはセレモニー。英語とカタカラの両方の表記がしてあるので日本の会社なんだろうなぁと思ったら、なんと! さいたまの冠婚葬祭会社なんだって。

2011年9月16日金曜日

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント82 第15戦インディ ジャパン ザ ファイナル Day1 プラクティス1 「トップ10というのは、そこそこいいかなという感じですね。手放しで喜べるような状況ではないですが、課題もしっかり見えています。明日は、当然予選最上位を狙いたいんですが、現実的な線でまずはプラクティスをシッカリと走って、予選では少なくともファイナルに進むことを目指します」

Photo:Naoki Shigenobu

第15戦 インディ ジャパン ザ ファイナル
2011 IZOD INDYCAR SERIES Round15 INDY JAPAN THE FINAL
栃木県 ツインリンクもてぎロードコース
コースタイプ:ロードコース
全長:4.801㎞×63周
Day1 9月16日
プラクティス1 1分40秒4435 10位 25周走行

初セッションから精力的に走行

 インディーカー・ドライバー、佐藤琢磨にとって2回目となる凱旋レースが始まった。今日はプラクティスが1回。彼が母国でのレースに大きな意気込みを持っていることは、このプラクティスから感じ取ることができた。1時間15分のセッションで25周も走り込んだのだ。最多ラップこそルーキーのアナ・ベアトリス(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)の27周に譲ったが、25周はその次に多い数字だった。同じく25周を走ったのは、いつも多く走ることで知られているビットール・メイラ(AJ・フォイト・レーシング)、今回がインディーカー・デビューとなるスポット参戦のジョアオ・パウロ・デ・オリベイラ(コンクェスト・レーシング)のふたりだった。
 琢磨のベストは25周走ったうちの24周目。タイムは1分40秒4435で、トップのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)との間には0.9690秒と大きな差があった。予選のファイナルに進む=3列目より前からスタートすることを目標としている琢磨とすれば、6番手までに食い込むことが必要になる。そこで今日6番手だったアレックス・タグリアーニ(サム・シュミット・モータースポーツ)との差を見ると、わずかに0.1745秒しかなかった。


Jack Amano(以下――):走行初日はどうでしたか?

佐藤琢磨:オープニングセレモニーが朝の9時からありましたが、本当に多くのファンの人たちが朝の9時から来てくれて、お昼前にまたすごく増えて、サイン会では並んでくれた人たちの半分ぐらいにしかサインできなかったんだけれど、すごく応援をしてもらって、やっぱり日本で走るのはいいなって改めて感じました。

Photo:Naoki Shigenobu
――もてぎのコースはどんな印象ですか?

佐藤琢磨:F1マシンでのデモランで走ったことはありましたが、インディーカーで走ってみると全然景色も違ってました。今日のプラクティスはとてもスムーズなセッションになってました。トラブルもなく、今日は初めてのサーキットに行った時にやるべき幾つかの項目、ライドハイトを合わせる、全体的なバランスを整えるといったことをこなしていました。今日のために用意していたプログラムはスムーズにこなせましたね。今日は初日っていうこともあるのか、持ってきたタイヤと路面のバランスなのか非常に滑り易くて、クルマをコントロールするのにかなり苦労してました。そうした中でギリギリ、トップ10につけました。まずは、そこそこの手応えをつかめた初日だったと思います。

――コースのどこがおもしろく、どこが難しいですか?

佐藤琢磨:もてぎの路面は恐ろしくスムーズですね。今回は軽トラックに乗っての下見が許されていて、エンジニアたちと乗りました。普段は歩いて、見えるバンプとかをチェックするんですけど、もてぎでは見えるバンプっていうのはほぼゼロで、軽トラックで走ってもすごくスムーズで、エンジニアも驚いていた。だから、これまでのアメリカでのコースにおけるセットアップというか、アプローチとは大分違う。車高なんかはものすごく下げられるし、必然的にバネレートも上がって行く。そういう意味で今までとは違う感じですよね。それと、普段走っているアメリカのロードコースよりもグリップ感がない。非常にサラサラしてるというか……。それは、今回ファイアストンが持って来たタイヤのスペックにもよると思うんですけど、少なくともブラックタイヤに関して言えば、非常に硬そうなコンパウンドですね。これだけ気温が高いのでウォームアップさせることにはそれほど苦労はしないし、コースも広く使えるのですが、全体的にグリップ感は乏しいので、クルマを操るのに苦労をしてました。今後、そのあたりをセッティングでどの程度良くできるのか……。路面のコンディションがどれぐらい良くなるのかもわからない状況です。

――楽しいと感じたところは?

佐藤琢磨:やっぱりファンの皆さんの応援ですね。プラクティス走っていても、いろんなコーナーで見えるんですけどね、みんながフラッグを振ってくれたり、裏の方でジャンプをしてくれてたりとか、そういうのを見るのはうれしいですね。本当に良い走りをしたいな、という思いを強くしました。

――今日の10番手というポジションについては、どう捉えてますか?

佐藤琢磨:トップ10というのは、そこそこにいいかな……という感じですね。そんなに手放しで喜べる状況ではないですけども、悪くも無いって感じです。直さなければ行けない課題っていうのはすでに結構明確になっています。まだチームメイト2人のデータは見てなくて、軽く話をした程度だから、彼らの得たフィーリングぐらいしかわかってないんですけどね。それでも、明日に向けて、ジャンプアップをできる要素っていうのは幾つか持っています。その部分を明日はキチッと押さえたいです。もちろん、他のチームも今日は走行初日で色々と探っている状態で、不具合とかもあったところだと思います。その辺り、明日はさらにコンペティティブなセッションになるでしょうね。予選前に2回プラクティスがあるので、そこでキッチリとしたクルマ作りをして予選に臨めるようにしたいですね。今日、初日にシッカリとデータが取れた。それは良いことだったと思います。

――予選での目標は?

佐藤琢磨:レッドタイヤでどれぐらいのパフォーマンスアップするのか。おそらく、タイヤを換えるだけで1秒は速くなると思うんですよ。というのも、ブラック・タイヤが今回はかなりハード傾向だと思えるので。タイヤだけで多分1秒以上速くなるだろうし、明日は路面のコンディションももっと良くなるはずです。そうなった時には、またクルマのフィーリングとかも変わるでしょう。そこも難しいところです。自分としては、当然予選で最上位を狙いたいんですけど、今日の感覚からすると、チーム・ペンスキー勢がかなり速そうなので、まずはプラクティスをシッカリと走って、予選では少なくともファイナルに進むことを目指します。それは現実的な目標だと思います。