2020年8月15日土曜日

2020 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第104回インディー500 Day3 :「目標はファスト9」

 
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「タイヤが4周持たない」

――予選用ブーストで、今日は何回シミュレーションできたんでしょうか?

佐藤琢磨:7回やったと思うんだけど、1回はちょっとトラブルがあったんですよね?

――メカニカルな?

佐藤琢磨:そうです。7回のアタックも全部が全部走れたわけじゃなかった。4周しっかり走り切れたのって2本しかなかったんじゃないかな?

――前に誰か入っちゃったり……とか?

佐藤琢磨:それもあったし、曲がり切れないとかで止めちゃった、とか。タイヤが4周持たない。

――え? タイヤが持たないんですか? 3周目から一気にグリップが下がるとか?

佐藤琢磨:そうそう。毎周のコーナーごとにグリップは変わって行くんだけど、2周目まではなんとかペースとフラット(スロットル全開)を保てたとしても、3周目からはもうスロットルを戻さなければいけなくて、4周目はフロント・エンドがなくなるか、リヤがなくなるか……で、リヤがなくなる場合はもうすぐピット・インですね、危ないから。とても難しかったですね、バランスを取るのが。

2020 INDYCARレポート 第104回インディー500 Day3 予選アタック順決定:佐藤琢磨は2番目のアタッカーと決定

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キャリア初のインディー500PPを狙うマルコ
明日のアタックは33台中28番手に
 予選だけターボのブースト圧を上げ、50〜75馬力アップしたエンジンとなったことで、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート・ウィズ・マルコ・アンドレッティ・アンド・カーブ・アガジェニアン)は今日、インディアナポリス・モーター・スピードウェイ(=全長2.5マイル)で233.491mph平均の1ラップを完成させ、予選前日の最速ランナーとなった。

2020 INDYCARレポート 第104回インディー500 Day3 プラクティス3:ファスト・フライデイでマルコ・アンドレッティが最速

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ノー・トウではハンター‐レイがトップタイム!
アンドレッティ・オートスポート好調!


 2日間の予選直前の金曜日はファスト・フライデイと呼ばれている。ターボのブースト圧が上げられる近頃のルールでは、明確なスピード・アップが見られる。昨日のプラクティスでの最速は226.102mphだったが、今日は223.491mphにまで上がった。朝から太陽が照り続け、最高気温が31℃と昨日より暑いコンディションになっていたにも関わらずだ。
 べストラップをマークしたのは、インディアナポリスを得意とするマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート・ウィズ・マルコ・アンドレッティ・アンド・カーブ・アガジェニアン)だった。少しのトウがあったため、ドラフティングなしでのラップだと彼は4番手にランクされたが、今年の彼はポール・ポジション候補だ。
 

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 トウなしの、純粋なスピードでトップだったのは、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)の232.124mphだった。3日間の走行で2回目のノー・トウ・トップ。彼もPPの有力候補だ。彼らのチームメイトたち、アレクサンダー・ロッシやジェイムズ・ヒンチクリフも速い。

2020 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 第104回インディー500 Day2 プラクティス2: 「相当緊張感を高めて車を作っていっています。自分たちの中ではよい方向に行っている手ごたえはあります」

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「トップタイムに行けてるという過程が大事」

――ほぼ1日トップでしたね。それだけのスピードが出たのは、マシンの仕上がりが良いってことですか?

佐藤琢磨:トップ・タイムに大きな意味はないかもしれないけど、そこに行けてるっていう過程が大事で、クルマが悪ければ、当然スリップを使って相手のクルマに近づいてタイムを出すことはできないので、そういう意味では、昨日から僕らは着実に前進したと思います。

2020年8月14日金曜日

2020 INDYCARレポート 第104回インディー500 Day2 プラクティス2:フェルナンド・アロンソがクラッシュ! 最速はスコット・ディクソン

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暑い中、レース用セッティング出しに各車集中

 プラクティス2日目は、昨日より蒸し暑いコンディション。走行開始の午前11時の気温は26℃だったが、日中には30℃にまで上がった。明日はターボのブースト・アップがなされ、土曜、日曜の2日間に渡る予選に備えたセッティングを行う日。今日の走行、6時間半はレース用セッティングを向上させるために非常に重要な意味を持つ。


アロンソ、ターン4で単独クラッシュ!
マシンは大破するも本人は無事
 

レッカーされるアロンソのマシン Photo:INDYCAR (Matt Fraver) クリックして拡大
 走行初日はアクシデントがなかったが、今日の夕方4時41分に2020年インディー500プラクティスでの最初のアクシデントが発生した。ターン4で単独クラッシュしたのはフェルナンド・アロンソ(アロウ・マクラーレンSP)だった。精力的に、そして快調に120周以上もこなしてきていた彼は、6番手のスピードもマークしていたが、自身の127周目、ターン4でのライン採りを僅かに乱してしまった。白線を超えるラインは誰もが走っているが、このラップのアロンソはインに寄せすぎたと感じたのかアクセルを僅かに緩めた。しかし、縁石的な部分に左前輪が乗った直後にバランスを崩し、外側のウォールまで滑って行った。壁とマシン側面が並行に近い状態でヒットしたため、サイド・ポッドと右フロント・サスペンションは大破。それでもマシン左側とリヤ・ウィングにはダメージなし。フロント・ノーズはピット・ロードに滑り込んだ後にイン側の壁にぶつかって壊した。アロンソに怪我はなく、メディカル・センターで検査を受け、ドライヴ続行の許可が降りた。

好走中のクラッシュを悔やむアロンソ
「エンジンが無事であるといいんだが……」


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 「残念なことに、またミスを冒してしまった。このコースではマシンのコントロールを失うとすぐに壁が近づいてくる」とアロンソ。去年に続いてのアクシデントをF1チャンピオンは悔やんでいた。同じことを二度やらないようにしないと。明日また再スタートだ。バックアップ・カーに変える必要があるかは、まだわからない。エンジンが無事であるといいんだが」ともアロンソはコメントした。

佐藤琢磨、セッション大半でトップタイムをキープ
ディクソン、夕方になってクルマがよくなり逆転

 

初日、2日目とディクソンは順調にプラクティスを進めている Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 今日の最速ラップはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)の226.102mphだった。走行時間が残り30分を切ってから彼がトップに躍り出た。「今日はとにかくマシンのバランス採りに終始した。日中一度、あまり良くない感じになったこともあったが、夕方になって良い状態になった。明日はブースト・アップでスピードも大きく上がるはずだから、エキサイティングな1日になる。楽しみだ」とディクソンは話していた。

「まだ前を行くマシンを思うように抜けない」と語る佐藤琢磨
「決勝用セッティングの完成度は90パーセントぐらい」
 
セッションの大半で首位をキープしていた佐藤琢磨。まだ決勝用セッティングは100%ではないというが、順調にプログラムをこなしている Photo:INDYCAR (Matt Fraver) クリックして拡大

  午後1時半頃から225.693mphでずっとトップにいたのは佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)だった。しかし、彼はディクソンに抜かれて今日の2番手となった。122周の走り込みを行ない、マシンの仕上がり具合は上々の様子だった。

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 「スピードが出せたとおり、マシンは良くなっている。でも、まだ前を行くマシンを抜くことが思うようにできなかった。相手がミスするとかじゃないとパスはほとんどできなかった。タイヤの持ちが良いのは、コース表面のトリートメントによるものかもしれない。タイヤのグリップが周回を重ねても落ち込まないので、ニュー・タイヤで出て行ってもなかなか抜けない。まだ決勝用セッティングは100パーセントじゃない。でも、90パーセントぐらいは行っていると思う。明日は予選用のセッティングを行う日。今年のマシンで空力をどれだけトリムできるかはわからないが、メカニカル・グリップを高める必要があるから、そのセッティングを試す中で決勝用セッティングに応用できるヒントを何か掴めたらいいと思う」と語っていた。

走行初日からホンダ勢が2日連続でトップ4独占
ペンスキーはトラフィックの中での動きは良い……

 
 3番手はコナー・デイリー(エド・カーペンター・レーシング)の225.106mphで、4番手にはルーキーのアレックス・パロウ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チーム・ゴー)が224.947mphで食い込んだ。
 走行初日にトップ4を独占したホンダは、走行2日目も1-2だった。今年はパワーで優位にあるのか?
 琢磨は、「2012年からシヴォレーは予選日直前まで力をすべて見せない戦い方をして来ているので、今年も明日になってみないと本当のところはわからない」と語っている。


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 シヴォレーのトップ・チームはもちろんチーム・ペンスキーだが、今日の彼らはエリオ・カストロネヴェスの16番手=223.633mphが最上位で、ジョセフ・ニューガーデンは223.617mphで18番手。ウィル・パワーは222.978mphで23番手で、昨年度ウィナーのシモン・パジェノーは222.216mphのベストで27番手だった。
 
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  彼らのマシンはトラフィックの中での動きが良く、前のマシンにも近づいて走れている様子だったが、トップ・スピードは遅い。ダウンフォースの多いセッティングになっているようで、それが今年のレースでは有利に繋がると彼らは読んでいるようだ。決勝日のコンディションが暑くなることも想定してのことだろうか。

ノー・トウでの最速はハーヴィー
アンドレッティ・オートスポーツ陣営が1-2-3

 

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 ドラフティングの助けを借りない”ノー・トウ”での周回スピードでは、ジャック・ハーヴィー(メイヤー・シャンク・レーシング)が今日のトップだった。2番手はコルトン・ハータ((アンドレッティ・ハーディング・スタインブレナー・オートスポート)、3番手はライアン・ハンター-レイだった。ハーヴィーはアンドレッティ・オートスポートと技術提携しているチームからのエントリーだから、アンドレッティ・オートスポート勢の1−2−3ということ。昨日のノー・トウ・スピードでも、トップがアレクサンダー・ロッシ、2番手がハンター-レイ、3番手がジェイムズ・ヒンチクリフで、4番手はハータ、5番手はハーヴィーとアンドレッティ・オートスポート勢がトップ5独占。予選での彼らは速そうだ。
 しかし、レース用セッティングは今ひとつなのか、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート・ウィズ・マルコ・アンドレッティ・アンド・カーブ・アガジェニアン)が225.249mphで3番手につけ、ハータが6番手につけたものの、その他のドライヴァーたちはトップ10に入って来ていない。
以上

2020年8月13日木曜日

2020 INDYCARレポート 第104回インディー500 Day1 プラクティス1:プラクティス初日、最速はジェイムズ・ヒンチクリフ

無観客のインディー500がいよいよ始まった。観客席の「THE RACING CAPITAL OF THE WORLD」の巨大な横断幕の下をインディー500にスポット参戦のカストロネヴェスが疾走する Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大 
曇り空の下、無観客でのインディー500がスタート
 パンデミック下で無観客での開催となる第104回インディー500のプラクティスが今日始まった。
 走行開始の午前11時は曇りがちの空。気温24℃。グリーン・フラッグが振り下ろされるや、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が一番手でコースに飛び出して行った。ファンはスタンドにいなくとも、インディ500にかける思いは皆非常に強く、テレビでその勇姿を見てもらいたいと考えている。


今年のペースカー、コーヴェット・スティングレーがお披露目された Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 無観客なのでメディアも大幅縮小。走行開始時にメディア・センター4階にいたレポーターは11人だけだった。10人は座れる席に2人ずつ。テレビ、ラジオはお客さんが入らないことで空いている場所にスタジオなどを設定している。