2012年6月16日土曜日

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント43:第8戦ミルウォーキー Day1 予選「不完全燃焼。決勝ではフューエル・セービングよりも、ポジションを上げてリードラップにいることが大事。なるべくハイペースを維持したい」

去年は予選で5位につけた佐藤琢磨だったが、今年は予選14位だった。インディー500の後に多くのチームがテストを行ったが、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングはテストを行えなかった。予選の前に与えられた走行時間は2時間だけだった。その中で決勝用セッティングを完成させ、予選でも速く走れるマシンを作る……というのは容易なことではない。ましてやRLLは1カー体制だ。決勝を重視するプログラムを組み立てて琢磨は2回のプラクティスを走り、そこから予選用セットアップを導き出した。

Jack AMANO(以下——)予選は14位という厳しい結果になりました。


佐藤琢磨:悔しい。ホントに悔しい。うーん、不完全燃焼って感じです。

2012 INDYCAR ニュース:10グリッド降格しても高性能エンジンを使いたい、戦略的降格も。ミルウォーキーでのエンジン交換選手

ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)、マイク・コンウェイ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)のエンジンが、テキサスとミルウォーキーの間に行われたアイオワでのプライベートテスト中にトラブルを出した。彼らは"予定外のエンジン交換”を行うため、ミルウォーキーで10個のスターティンググリッド降格のペナルティを受け入れることとなった。

 上記の他にも3人、ミルウォーキーでペナルティを受けるドライバーがいる。佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、ジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)そしてライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)だ。琢磨とニューガーデンはテキサスでの予定外のエンジン交換が今回のペナルティの対象だ。彼らは新スペックへのスイッチを行った。インディー500の予選までで使用していた初期スペックは規定の1850マイルを走り切るまで使う義務があるが、インディー500決勝から投入された第二スペックの方が性能が高いため、そちらを使うべくマイレッジの余った初期スペックを使わないことしたのだ。テキサス入り前にエンジン交換を行っていたコンウェイも新スペックを導入していたという。ブリスコーはミルウォーキーでのプラクティス2回の後、エンジンにトラブルが発覚して急遽交換した。

2012 INDYCARレポート:6月15日 第8戦ミルウォーキー Day1 予選 ダリオ・フランキッティが今季初ポールポジション

第8戦 ミルウォーキー・インディーフェスト

ウィスコンシン州ウエスト・アリス
ザ・ミルウォーキー・マイル

6月15日 Day1 予選
天候:晴れ
気温:摂氏31℃

アル・アンサーJr.に並ぶ27回目のポール獲得
 
 伝説のオーバルでの予選、ポールポジションはダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)が獲得した。今季初のポールとは、ディフェンディング・チャンピオンとしては少々遅い気もする。しかし、去年も実はそうだった。そして、そのレースで彼は優勝している。キャリア27個目のポールは、アル・アンサーJr.に並ぶもの。インディーカーの歴代7位タイにつけるポール獲得数だ。
 フランキッティは 25人中の22番目にアタックし、2周平均168.737mphをマークした。43秒3100で2ラップを完成し、その時点でトップにいたジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)を2位へと引き摺り下ろした。両社の差は僅かに0.1157秒しかなかった。
 予選3位はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、予選4位はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)のものとなった。
 ただし、ウィルソンとパワーは「予定外のエンジン交換」のペナルティにより、10個のグリッド降格をさせられる。
 ポールはフランキッティのままだが、明日のレースはハンター-レイがその横からスタートし、2列目にはルーベンス・バリケロ(KVレーシング・テクノロジー)とエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が並ぶ。バリケロは自己ベストとなる予選5位に食い込んだのだ。2人のチームメイトよりアタック順が遅かったこと、順番が遅いことで若干路面温度が下がっていたことなどがプラスに働いたようだった。

佐藤琢磨はグリップ不足で14番手にとどまる
 
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、予選14位だった。多くのチームが事前にテストを行ったが、RLLはテストに来れなかった。それが今週末の苦戦の大きな一員となっている。テキサスでの後に予定していたアイオワでのテストも、テキサスでマシンが壊れたために実現できなかった。ショート・オーバル用マシンを走らせるのが、RLLと琢磨は今日が今シーズン初めてだった。ライバル勢との間には、走り出す前から大きな差があったのだ。そして、その差を埋めることは難しかった。
 予選前に得たデータでマシンセッティングした琢磨だったが、グリップ不足でターン4でマシンがスライドしていた。「今日のプラクティスでは時間が足りず、試したいことを全てやれなかった。予選でのマシンはセッティングがカンペキでなく、オーバーステアが出ていた」と琢磨は悔しがっていた。

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント42:第8戦ミルウォーキー Day1 プラクティス2 「タイムは11番手ですが、満足度は半分も行ってない。少なくとも2回のセッションでデータは取れているのでそれを元にセットアップします。後は予選しかないので、思い切り行くだけです」

予選前のプラクティス2、佐藤琢磨は11番手

 プラクティス1終了から2時間プラスのインターバルを置いて、プラクティス2が開催された。快晴の下、ザ・ミルウォーキー・マイルの気温はいよいよ摂氏30度を越えた。暑さのためかトップのタイムはプラクティス1の方が速かったが、全体的にはタイムが向上していた。因に、トップはテキサス・ウィナーのジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)の22ボユ1744=164.785mphだった。
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、22秒5021へとコンマ1秒ほどタイムを縮めた。1時間のセッションで65ラップと周回数が多いのは、ロング・ランをトライしていたからだ。このセッションでの順位は11番手だった。
 上位陣を見ていても、フレッシュ・タイヤでは22秒台が出るものの、ロング・ランでは25秒台にまでトラフィックの状況によって落ちることがあった。明日のレースは、各スティントのレベルを全体的に上げるマシン・セッティング、タイヤをケアしつつハイペースを保つ走り、そして、トラフィックをうまく利用したオーバーテイク術が必要となる。

――予選を前にしたセッション、マシンの仕上がり具合はどうですか?

佐藤琢磨:まずは午前中からの続きで、レースセットアップを行いました。ひとつのスティントの中でクルマが安定してないといけない。それだけに基本は集中していました。今日は午後になって気温が上がったせいもあると思うんですけど、全体的にグリップが低くなってました。欲しかったバランスのグリップが出てなくて、それを追いかけて自分たちとしては幾つかセットアップを変更しました。そして、セミロングランみたいなカタチで走っていて、かなりスピードも落ちてましたけど、バランスをチェックしました。そして最後は、ニュータイヤで予選シミュレーションに近い走りをやりました。

――タイムで見ると11番手でしたが、満足度はどうですか?

佐藤琢磨:うーん……半分も行ってない。全体的なスタビリティが足りないし、その中で、1コーナー側と3コーナー側で全然バランスが違うし、バンプを越えた時の動きとか、トラフィックの中の動きとか、すべての部分で満足は行ってないですね。

――レースに向けては、クルマをどうしようと考えていますか?

佐藤琢磨:少なくとも、この2回のセッションで幾つかデータはちゃんと取れているので、それを基にセットアップします。もう後は予選しかないけれどね。予選は思い切り行きます。全開では絶対に行けないだろうけど、少なくとも僕らのクルマでは。なるべく行けるように頑張るけども。それで、そこでの変更がポジティブであれば、それをレース用セットアップに反映させるっていうアプローチになると思います。

――この2セッションで走ったものからガラリとマシンを変更させる可能性もありますか?

佐藤琢磨:いや、もう大きくは変えられないです。ここからはもうファインチューニングだけ。大きく変えたいけども、時間もないし、それだけのリソースもデータもないですね。だから、もうここからはファインチューニングで、決勝に向けてクルマを作るためにもシッカリとデータを分析しないとダメだと思います。

――ロングランでの自分たちのマシンのフィーリング、仕上がりはどうですか?

佐藤琢磨:スピード自体はそんなに悪くないと思うんですね。ロングランをやっていた他のクルマも150mph前後でホバリングしてたので、スピード的に大きな差はないんですけど、とにかく近づけない。他のクルマに。だから、近づこうとするとダウンフォースを大きく失うし、去年みたいに半車身内側につけてコーナーを回ろうとしても、内側に行くと、コーナーのイン側の黒いターマックの部分は非常に滑り易くなってて、あそこに行くとラインをトレースできない。それのいたちごっこで、全然他のマシンに近づけないんですよ。

――ロングランでのラップタイムの落ちが少ないことが重要。しかし、オーバーテイクも至難……では、非常に難しい戦いになりますね?

佐藤琢磨:そうですね。とにかくタイヤがどういう風にギブ・アップして行くのか、それが今回のセッションでは見たかった。自分たちとしては、通しでの40~50ラップというのはできなかったんですよね。10、10、20周というように、何度かヒートサイクルを繰り返しながらなんで、タイヤとしてはラクな感じなんですけど、それでもやっぱりスティントの最後の方はフラついて来てました。なおかつ、フロントはアンダーステアが強いので、その辺をどういう風にバランスを縮めて行くかというのが課題だと思います。

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント41 第8戦 ミルウォーキー Day1 プラクティス1「マシンの最初の土台作りに時間がかかり過ぎました。ますはレース用の車作りに集中します」

ザ・ミルウォーキー・マイルは午後10時からのプラクティス1で走行開始。この後、もう1回プラクティスを行って予選を迎える。走行時間が少ないだけに各セッション、各ラップの重要性は非常に高い。佐藤琢磨とレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、このプラクティス1で47周を走り、40周目に自己ベストとなる22秒6154をマークした。これは25台エントリー中の9番手につけるものだった。トップはジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)の22秒0232と、琢磨との差は0.5922秒と決して小さくはなかった。このセッションでの最多ラップはEJ・ビソ(KVレーシング・テクノロジー)の67周=22秒2776のベストで3番手。最少はライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)の26周=ベストは22秒8484で17番手だった。

Jack Amano(以下――):47周を走ったセッションでしたが、どういう自己評価ですか?
佐藤琢磨:最初のうちのイン&アウトが多過ぎましたね。ちょっとイニシャルのセットアップが狂い過ぎてた、テキサスと一緒で。だから、結構クルマを大きく変更しなくちゃいけなくて、それで最初の土台作りに時間がかかり過ぎました。それでも、一度ペースに乗ってからは徐々にコンフィデンスも上がって来て、大分踏めるようにはなって来たんだけども、ニュータイヤのフレッシュラバーの時だけ、数ラップ、何とかスピードとしては伸びてるんだけど、それ以外、足回りが全然できてなく、あんまりハッピーじゃない。
――タイヤ2セット投入はプラン通りですか?
佐藤琢磨:そうですね。僕らはトップ10から外れてるので、最初の30分の走行、プラス1セットがある。そういう意味では、今回の順位っていうのは、僕らの本当のスピードっていうのを示してなくて、その前までは20番手前後をホバリングしてたから、実質16、17番手ってところだと思います。
――今回また10グリッド降格のペナルティを受けるようですが、それによって予選に対する考え方、戦い方はどうなりますか?
佐藤琢磨:テキサスとは違って、ここはとてもオーバーテイクがすごく難しい。オーバーテイクができないワケではないけれど、ほとんどロードコースと同じと考えていい。そうすると予選順位はひとつでも上の方がいい。まぁ、もちろんその前のレース用セットアップというか、レースのクルマが決まっていないとどうしようもないので、そこにまずは集中します。そして、予選では予選用トリム、予選に向けたセッティングというのは一切やらないつもりです。予選はニュータイヤをつけて、ローフューエルにして……ということを、次のセッションで得たデータを使って全力で行くしかないですね。とにかく、今は自分たちの望んでいる状態からあまりにもかけ離れているので、そこをまず改善したいです。
――今週のタイヤの持ちはどうですか?
佐藤琢磨:今走った感じ、この暑さだとあまり良くないですね。フレッシュラバーの数周はいいけど、その後のタイヤデグラデーションは結構大きいし、ロング・ランをやってみないと何とも言えないんだけれど、結構スティント後半は苦しくなりそうですね。
――レースとしては、テキサスに少し似た感じになるということですか?
佐藤琢磨:ダウンフォースが効いてるとか、状況はテキサスとは大分違うけれども、タイヤが去年見たく早くギブアップしなければ、純粋なタイヤデグラデーションだけで行けると思います。

2012年6月15日金曜日

2012 INDYCAR レースプレビュー:第8戦ミルウォーキー・インディーフェスト

IMSより長い歴史を持つミルウォーキー。バンクが小さいショートオーバルだ。
Photo:INDYCAR
伝説のオーバル、マイケルのおかげで今年も無事開催に

 インディー500に次いで欠かせないイベントじゃないだろうか、伝説のオーバル=ザ・ミルウォーキー・マイルでのレースは。ウィスコンシン州ミルウォーキー郊外にあるインディアナポリス・モーター・スピードウェイより長い歴史を持つコースは、ダートトラック転じてペイブド(舗装)オーバルとなったショートトラック=全長1マイル。バンクは6度しかない、ほとんどフラットに見えるオーバルだ。
「ありがとう、マイケル・アンドレッティ!」と、ここで言っておきたい。ミルウォーキーのレースは今年は開催されないこととなってしまっていたが、それを復活させてくれたのがマイケルのレースプロモーション会社だからだ。自身が5勝を挙げているレースの難しさとおもしろさ、歴史的意義、シリーズにとっての重要性……など全部を理解している彼だからできたことだろう。マイケルは、去年初開催で大盛況だったのに今年のカレンダーから落ちる危機に瀕していたボルティモア戦も救ってくれている。感謝したい。


 ミルウォーキーは一度カレンダーから外れたため、テキサスとアイオワの間の週に押し込まれた。おかげでインディーカー・シリーズは、インディー500の決勝から5週連続でのレース開催となってしまった。インディーの予選、プラクティスまで含めると7週末連続で休みナーシ! これはクルーたちにとって非常に過酷だ。メディアにとっても酷だが、クルーたちは、この間に行われた2回のプライベートテストにも参加している者がいる。お疲れさま、である。

ショートオーバルでのDW12の走りに注目

 DW12でのショートオーバル戦、いったいどうなるだろうか? インディー、テキサスと好レースが続いているので、1マイルオーバルでもエキサイティングなバトルとなることが期待される。いや、ショートトラックならではのスリリングな接近戦が、より一層激しいものとなることが望まれる。
 去年はダリオ・フランキッティが優勝、グレアム・レイホールが2位、オリオール・セルビアが3位だった。レース中の路面の変化にベテラン勢ですら手を焼く、大変おもしろいバトルを我々は堪能した。今年も似た内容のレースとなるとの予想がつく。テクニカルで、ドライバーのスキルがものを言うバトルになるはずだ。
佐藤琢磨にとっては伝説のオーバルでの初レースだったが、予選5位、決勝8位というグッドファイト&グッドリザルトだった。今年はさらにレベルアップした戦いぶりを見せてくれるに違いない。
レースは土曜日の昼過ぎスタート。日曜日は父の日で、家族がみんなで過ごせるように……というシリーズとプロモーターの配慮からだ。ハードスケジュールをこなして来ているクルーたちのためにも、それは嬉しいことのはずだ。
金曜の予選の前にはプラクティスが2回行われる。しかし、土曜にウォームアップセッションはない。予選順位も重要なレースでありながら、決勝に向けたセッティングを行う時間もかなり制約を受けるスケジュールということ。レース距離は225ラップだ。

本日12時30分配信のINDYCARレポート無料メールマガジンはミルウォーキー戦のプレビュー

本日6月15日12:30にジャック・アマノのINDYCARレポートメールマガジン(無料版)を配信します。今回の配信ではジャック・アマノも「インディー500に次いで欠かせないイベント」とおすすめのミルウォーキーのレースプレビューです。名ドライバーがカレンダー落ちの危機から救ったという伝統のトラックでのレース、今週末のレースの前にチェックしておきたいですね。

2012年6月14日木曜日

2012 INDYCAR ニュース:6月13日 緊急速報!中国、青島でのインディーカー・レースがキャンセルに

代替イベントは最終戦フォンタナの後か?
 インディーカーは6月13日、この8月19日に決勝レースを開催予定だった中国、青島市街地コースでのインディーカー・レースをキャンセルすると発表した。
 「中国でのレースが開催され、成功するよう全力を注いだが、レースプロモーターから2012年のイベントのキャンセルを告げられた」とインディーカーCEOのランディー・バーナードはリリースでコメントしている。
 中国のプロモーターは、イベントの開催日時と開催場所を変更することも検討していたようだ。それらについてもインディーカーと彼らは議論を行い、イベントのキャンセルという結論に至った。「この決断は、インディーカーとその出場者がシーズン後半についての計画を立て直すためにも下される必要があった」とするバーナードは、「将来の中国でのレース開催について扉を閉ざすことはしない」とも言っている。
 バーナードは、「青島でのレースの代替イベント開催についても検討を行う」と付け加え、「シーズン後半のレースを開催するプロモーターたちと協力し、新しいイベントの開催が現在のカレンダー及び予定されているイベントに与える影響についての検証に関する報告を行う」とも語っている。シリーズのタイトルスポンサーであるIZODとインディーカーの契約で、最低開催レース数は「16」と規定されていると言われている。今年の最終戦は9月15日決勝のフォンタナとスケジュールされているが、同レースとシリーズの契約には、「最終戦としての開催」という条項はないという。今から青島でのレース開催予定週に代替イベントを押し込むのは不可能だが、フォンタナ以降にレースを追加、となる可能性は十分にあるわけだ。後は、それが果たしてどこのサーキットになるのか、である。イベントのプロモーション、チケットの販売などから考えても、今からのイベント追加はそうそう簡単ではない。
 そこで提案。もう1回テキサス・モーター・スピードウェイ(TMS)で開催してはどうだろう? 先週のレースは実にホットだったから、チャンピオンを決める最終戦に相応しいバトルが秋の開催でも期待できそうだ。テキサスなら9月末や10月でもまだ十分に暖かい。以前にTMSは年に2戦を行っていた実績もあることだし。

2012年6月13日水曜日

2012 INDYCAR レースアナリシス:第7戦テキサス ファイアストン550 ポイントリーダーのウィル・パワーがブロッキングで失ったもの

オーバルを苦手としていたウィルソンがついに優勝!
Photo:INDYCAR\LAT USA
あと少しの冷静さを欠いたパワー
ガナッシ勢不振の大チャンスを生かせず……


 テキサスでは、ロングランで安定していたジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)が大逆転優勝を飾った。もうあと2周とちょっと……というところでグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)はウォールにヒット。08年以来となるキャリア2勝目を逃した。最後の勝負は、ニューマン・ハース・レーシングに籍を置いたことのある長身ドライバーたちによって繰り広げられていた。
 悔しい思いをしたドライバーはもう一人いた。ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だ。228周のレースが184周目にリスタートとなった後、パワーはチームメイトのライアン・ブリスコーとトップ争いをしていた。そこへトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)がうまいことドラフティングを捕まえてアタック。それに自然と反応して、パワーはラインをインへ大きく寄せた。今年はブロッキングのルールがかなり緩和されているけれど、あの動きは「完全アウト」と判定され、パワーはペナルティのピット・ドライブ・スルー。勝利の権利を失った。
 「アレは受け入れられない危険なブロッキング」とレース後のカナーン。パワーも、「トニーの1日を台無しにしてしまった。申し訳ない」と全面的に非を認めた。
 テキサスでのパワーは、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がクラッシュしていなくなった時点で優勝候補の筆頭に浮上。しかし、あと少しの冷静さを彼は欠いていた。ファイター・タイプのレーサーは、ああいう反応をしてしまいがちだ。パワーは結局8位でゴールした。

痛恨のドライブスルーペナルティを受けたパワー。この一戦が
今後のシリーズタイトルの行方にどんな影響を及ぼすのだろうか?
Photo:INDYCAR\LAT USA
 ペナルティがなければ、パワーは悪くとも4位にはなれていたと思う。ポイント2位のディクソンがリアイア(18位)、ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)はラップダウンに陥る珍しいほどのメロメロぶり(14位)。パワーは彼ら二人よりは上位でフィニッシュできたものの、もっともっとシリーズポイントで大きな差を彼らにつけられるチャンスも逃した。優勝ができなかったとしても、3位だったら35点、4位だったら32点が手に入るところだったのに、加算できたのは24点。フランキッティとディクソンが獲得したのは、それぞれ16点と14点だった。

2012 INDYCAR ニュース:テキサスのサポートイベントにラリークロス!

Xゲーム、ナイトロサーカスなどで大人気のトラビス・パストラーナ。
GRC参戦だけでなく、金曜日にはマリオ・アンドレッティのドライブで
インディーカーのタンデム走行も体験!
Photo:INDYCAR/LAT USA
その名もグローバル・ラリークロス・チャンピオンシップ テキサス・モーター・スピードウェイ(TMS)はプロモーターとして頑張っている。今年の新企画はグローバル・ラリークロス・チャンピオンシップ(GRC)。オーバルコースがカクッツカクッと2回緩やかに曲がるグランドスタンド前の部分と、ピットロードを使ってツィスティなロードコースを造ってのロードレース。ジャンプ台が幾つかセットしてあった。「意外なもん持ってくるなー」、「さすがだなー」と思ったら、TMSの親会社(スピードウェイ・モータースポーツInc.=SMI)の方針だった。彼らの所有するシャーロット、ニュー・ハンプシャーでのNASCARイベントでも共催というスケジュール。グローバルって銘打ってるけどアメリカだけでの開催。
 ラリーの知名度は低い。ないに近い。でも、こういうエンターテンメントに仕立てちゃえばアメリカじゃウケる可能性がある。そんなGRCにはフォードが力を入れてて、エースドライバーには元WRCチャンピオンのマーカス・グロンホルムを起用している。当然、彼がシャーロット、テキサスと2連勝(マシンはフォード・フィエスタ)。
 アメリカじゃXゲームって近年かなりの人気で、そこ出身の全国区スター=トラビス・パストラーナがGRCではレッドブルのフルスポンサーでダッジ・ダートを走らせてる。彼はテキサスでの木曜日、巨大ジャンプで飛び過ぎてクルマを壊しちゃった。で、そのいかにもテキサスなジャンプ台は危険過ぎってコトで撤去、コース変更がされた。
 優勝会見でグロンホルムは言っていた。「パストラーナはとても速い。でも、少々壁にぶつかり過ぎだ」と。モトクロス出身、Xゲームのフリースタイル=スタントジャンプで人気を博し、ラリーへ進出して、さらにはNASCARのネイションワイド・シリーズに出ちゃうまでになってるパストラーナ。彼がウケてるのは、アクシデントをまったく恐れないから。自分を信じて100パーセントでプッシュ。チャレンジしてんだな、思いっきり。いつでも。誰かとキャラ被るね。

2012年6月12日火曜日

ジャック・アマノのインディな一日:やっぱり燃費は大事

テキサス戦を共にした2012年型シボレー・マリブ。エンジンは3.6リッターV6。
最近のシボレーの外観デザインはなかなかいいんだけど……。
Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati
サーキット外でシボレーの燃費に泣く…… やっぱりなー。でも、思ってたより断然ヒドかった、シボレーの燃費。
……ってインディーカーの話じゃないよ、レンタルしたシボレー・マリブって4ドア・セダン。
 乗るのは俺一人。しかも荷物は飛行機のキャリーオンできるものだけ。小さいクルマで十分こと足りる。ところがダラス空港のダラー・レンタカー、小さいのが出払っちゃってたんだな。
 フォード・フォーカスか、それに似たものって頼んでたのに、出て来たのはうすらデカいマリブ。で、「値段同じでアップグレードしてさしあげましょう!」だって。こういう時のこういう口上、ヤだね。『♪大きいことは、いいことだ~♬」(コレ知ってる人、50歳近い)がいつでも誰でもに通じるコトじゃないのだよ、アメリカン・ピーポー!
 滞在中に1回大渋滞に捕まった。それは確か。でも、燃費3.1km/リッターはないでしょ。2デイイベントで良かった。
 ミルウォーキー用には「ヒュンダイ・ソナタか、それに似たクルマ」をリクエスト。あ、またダラーだ。じゃ、出て来ないか? 一度乗ってみたいんだが、デザイン頑張ってる近頃のコリアンカー。
 あ、写真後ろはテキサスのハンバーガー・チェーン、Whataburger(ワタバーガー)のお店っす。

2012 INDYCAR レースアナリシス:R7テキサスファイアストン500 選手も観客も楽しめた「質の高いパス」インディーカー新時代の幕開け

テキサスのインディーカー第7戦、実に良かった。見応えあるバトル、そしてオーバーテイクをたくさん見ることができた。ああいうのを“クォリティ・パス”って言うんだな。いくつものドラマもあった。

2012年6月11日月曜日

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント40 R7テキサス決勝「リスタートをうまく決めたことで上位に行け、無理はしてないけど上位陣の速いペースに食いついて行こうとしてた。落ち着いて走れてたつもりなんだけど、悔しい。次のショート・オーバルはまだこのクルマで走ったことがないので何とも言えないが、これまでショート・オーバルは楽しく走れているので、挽回したい」

6位まで順位を上げた佐藤琢磨だったが、悔しいアクシデントによるリタイヤ
予選結果は10位。しかし、ファイナルプラクティスでエンジントラブル発生。佐藤琢磨は10グリッド降格のペナルティを受け、25台出走中の20番手からスタートを切った。
インディーカーの狙い通り、接近戦が難しいレースになっていた。グリップを失ったタイヤで誰もコントロールに苦しみ、ラップタイムは1スティントの中で大きく下がって行った。

2012年6月10日日曜日

2012 INDYCARレポート R7テキサス決勝:上位陣が次々と脱落する大激戦、ウィルソンがオーバル初優勝。ホンダエンジン3連勝

ジャスティン・ウィルソンがテキサスを制す
佐藤琢磨はアクシデントでリタイア

 ジャスティン・ウィルソンとデイル・コイン・レーシングがまたしても見事な勝利を記録した。どちらにとっても2009年のワトキンス・グレン以来となる優勝は、双方にとってのオーバル初勝利でもあった。開幕から6戦、チーム・ペンスキーとチップ・ガナッシ・レーシングが優勝を独占して来たが、ポールポジションはアレックス・タグリアーニとブライアン・ハータ・オートスポートが、そして優勝はウィルソンとコインのチーム、どちらも小さなチームが素晴らしい結果を手に入れた。

2012 INDYCARニュース:第7戦テキサス新カラーリング車両

テキサスでも新カラーリングが登場してます。レース開催地域に応じたマーケティングが進んでいるということ。広大なアメリカならでは、ですね。

では、カーナンバー順に紹介します。

2012 INDYCAR インサイド情報&ニュース:厳しすぎるエアロ規制が予選後に緩和/第7戦テキサス専用エアロルール

テキサス用エアロルールはドライバーの意見を取り入れて変更に

 テキサスでのイベントを前にインディーカーが発表したルールは以下の通り。

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント39 R7テキサスDay1ファイナルプラクティス「ようやくまともなにレースできる状態に近づき、クルマは安定してた。エンジントラブルは、次のレースでグリッド降格なるよりもここの方が良い」

佐藤琢磨はファイナルプラクティスで4番手と好調
しかし、エンジントラブルで10グリッド降格に


 太陽が西に傾いた中、夜7時前から30分間のファイナルプラクティスが行われた。コンディションは日中に比べて明らかにレースに近く、出場全車が一斉に走り、レースに向けた最後のセッティング確認を行っていた。

2012 INDYCARレポート R7テキサスDay1予選:タグリアーニが2強のポール独占を食い止める快挙。佐藤琢磨はP1から大きく進歩の10番手

アレックス・タグリアーニとブライアン・ハータ・オートスポート(BHA)が大仕事をやってのけた。今シーズンはデトロイトまでの6戦すべてでチーム・ペンスキーとチップ・ガナッシ・レーシングの二強がポールポジションを独占して来たが、第7戦テキサスはアレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)がダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)を0.0102秒差でトップから弾き出し、予選最速となった。