2018年7月14日土曜日

2018 INDYCARレポート R12 ホンダ・インディー・トロント Day1 プラクティス2:2セッション連続でスコット・ディクソンが最速!佐藤琢磨は2番手!!

ターン7を攻めるディクソン。全体が大きくタイムアップしたセッション2もトップタイムをマーク Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
ディクソンと佐藤琢磨を軸に展開された激しいトップタイム争い

 トロントでのプラクティス2は午後2時半スタート。気温は29℃まで、路面温度は52℃度に達していたが、それは最初だけ。時間が経過すると共に雲と風が出て気温は28℃にダウンし、路面は最終的に47℃まで下がった。
 他カテゴリーの走行も重なって路面のグリップが全体的に向上。プラクティス2は走行開始早々から1分00秒台が出された。プラクティス1で3番手のタイムを出していたアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が3周目にして1分00秒1481でP1となったが、プラクティス1で4番手だった佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が59秒7615を3周目にマークしてトップに立ち、その後にスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が59秒6152を5周目にして記録し、トップの座を奪ったが、琢磨は8周目に59秒5117で再びトップに躍り出た。


ターン7を立ち上がる佐藤琢磨 Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
  プラクティス1で5番手と好調だったマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)が59秒5277で2番手に食い込んだり、アイオワで2位フィニッシュしたスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)が59秒6350でシボレー軍団最速の4番手に来たり……とトップ5だけでも目まぐるしい順位変動が見られた。セッション半ばからレッド・タイヤ装着でタイムを大幅短縮するチームが出たからだ。 
ホンダ勢、またしてもトップ5を独占!
「ホンダは低回転からパワーが出ているので強い」とディクソン


 ディクソンは17周目に59秒0251をレッド・タイヤでトップを奪還。2回のプラクティス両方で最速ドライバーとなった。琢磨はレッド装着ではブラックで記録した自己ベスト更新がならなかったものの2番手。アンドレッティは最終的に3番手。4番手はグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)=59秒5308で、5番手はロッシの59秒5846だった。トップ5はチップ・ガナッシ・レーシング、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング、アンドレッティ・オートスポート系が占めることとなったのだ。
 

シボレー勢のトップとなる6番手につけたピゴット。ペンスキー勢は7番手にニューガーデンが付けるが、パジェノー、パワーはトップ10入りならず Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大 
 ピゴットは6番手で持ち堪え、シボレー最速に。彼の後ろの7番手が昨年度トロント・ウィナーで、プラクティス1は13番手だったジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)。プラクティス1にシボレー最上位の7番手だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、プラクティス2では1分を切れずに16番手と振るわなかった。

Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 「エンジンが違えばキャラクターも違う。ホンダは低回転からでもパワーが出ているため、ストリートで強い状況になっているんだと思う」とトップのディクソンは説明していた。ペンスキー・ドライバーが2セッション続けてトップ6に一人も入れなかった。ピゴットはプラクティス2で6番手につけたが……。
 「この4、5年、コースの再舗装が進められて来たが、10年前ぐらいから必要と感じていたメイン・ストレートの再舗装がついになされ、コースは非常にスムーズになった。ターン1はブレーキングでミスを冒すドライバーが減るだろうが、昨年まで以上に激しいバトルが繰り広げられることになるだろう。このセッションではブラック装着時に、そのパフォーマンスがベストのタイミングで速いラップをまとめ上げられなかったが、その後にセッティングを向上させ、終盤にレッドで好いラップを記録できた。マシンはとても良い。1,400ポンドというダウンフォース大幅減少でもこのスピードが出せたのには驚いている。明日は今日以上に戦いが激しくなり、タイム差はさらに縮まるだろう」と話した。
 
佐藤琢磨「とてもポジティブな一日」

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 2番手になった琢磨は、「好い1日でした。とてもポジティブな日とできました。去年のマシン・セッティングをベースとしているマシンは、走り始めから良かった。最初からグリップ感があった。ファイアストン・タイヤは去年のものとほぼ同じのはず。コンパウンドには少し成分の変更があったと思う。それでタイヤの温まりが去年より早く、グリップも高いと感じている。適正温度の幅も広く、タイヤのレベルが上がっている。当然のことだけれど、プラクティスを通して路面は変化する。今年はメイン・ストレートの再舗装などがあり、去年までとはキャラクターの異なるコースになっている。バンピーさがなくなり、ドライバーとしては走っていて随分と快適になっている。安全にもなったと思う。マシンのボトミング、ブレーキのロックも減った。順位間のラップ・タイム差はとても小さい。そんな状況下で多くのライバルたちより上位につけることができたのは嬉しい。ディクソンは素晴らしいラップ・タイムをレッド・タイヤで記録した。私たちレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングとしては、チームメイトのグレアム・レイホールとともにスピードを見せているのでハッピーだ」と琢磨は話した。
 8、9、10番手もホンダ勢だった。デトロイト/レース2ウィナーライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、セント・ピーターズバーグ・ウィナーのセバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)、アイオワ・ウィナーのジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)の順だった。

以上

2018 INDYCAR 佐藤琢磨コメント R12 ホンダ・インディー・トロント Day1 プラクティス1:「路面の再舗装でライドハイトをすごく落とせた。それでダウンフォースはすごく落ちてるはずなのに、去年の最初のセッションより速いラップ・タイムが出ています」

コースの再舗装で、去年よりも高いグリップ考えられている Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
「このセッションがよかったといっても喜びすぎないようにしないと」

――2台とも好調で、好い滑り出しの週末になってますね?

佐藤琢磨:ぬか喜びをしないようにしないと。まだまだ始まったばっかりで、セッションを重ねる度にグリップが上がって行くので、その時にクルマのバランスで先手を打って合わせ込めるかが大事になるから、このセッションが良かったからと喜び過ぎないようにしないと。でも、少なくともイニシャルのバランスというかグリップ感は非常に良かった。

2018 INDYCARレポート R12 ホンダ・インディー・トロント Day1 プラクティス1:トロントのプラクティス1最速はスコット・ディクソン

2013年のダブル・ヘダーをスゥイープした経験のあるディクソンが、ユニバーサルエアロ初のトロントで好発進! Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
ディクソン、走り始めからセットアップ良好!
 午前10時40分から45分間行われたトロントでのプラクティス1は、セッションと通して気温は26℃で変わらなかったものの、照りつける日差しがとても強く、日向では立っているだけで少し汗ばむほどだった。
 このセッションで最速ラップをマークしたのはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)。マシン・セッティングが最初から良かったのは明らかで、2番手に0.19秒以上の差をつける幸先良い週末のスタートを切った。

2018 INDYCARレポート R12 ホンダ・インディー・トロント:ポイント・スタンディング & 過去のウィナー

去年のトロントはニューガーデンが2014年以来2年ぶりの勝利。ロッシとヒンチクリフが表彰台に Photo:INDYCAR (Joe Skibinski)
ランキングトップのディクソンと2位ニューガーデンの差は33ポイント
 カナダ、オンタリオ州トロントにやって来た。 今年は暑い。金、土曜は午後に雨が少し降る可能性も。

*第11戦アイオワを終えてのポイントスタンディング
1 スコット・ディクソン 411  2勝
2 ジョセフ・ニューガーデン 378  3勝  3PP
3 アレクサンダー・ロッシ 370  1勝  2PP
4 ライアン・ハンター-レイ 359 1勝
5 ウィル・パワー 358  2勝  2PP
6 ロバート・ウィッケンズ(R) 304  1PP
7 グレアム・レイホール 304
8 ジェイムズ・ヒンチクリフ 280  1勝
9 シモン・パジェノー 279
10 セバスチャン・ブルデイ 254  1勝  1PP
11 マルコ・アンドレッティ 246  1PP
12 佐藤琢磨 237
13 エド・ジョーンズ 222
14 スペンサー・ピゴット 211
15 トニー・カナーン 186
16 チャーリー・キンボール 167
17 ザック・ヴィーチ(R) 165
18 ギャビー・シャヴェス 158
19 マテウス・レイスト(R) 156
20 マックス・チルトン 149
21 エド・カーペンター 148  1PP
22 ザカリー・クラマン・デメロ(R) 106
23 ジョーダン・キング 88
PP=ポール・ポジション
(R)=ルーキー
以下省略

2018年7月9日月曜日

2018 INDYCAR 佐藤琢磨コメント R11 アイオワ・コーン300 アット・アイオワ・スピードウェイ Race Day 決勝:「クルマを感じながら攻めつつも、コントロールして走ることができたので、ここまで順位を上げられたと思います」

Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
「正直言って、ポディウムを争えるほどの
スピードが僕たちにあるかどうかはわからなかった」


Jack Amano(以下――):3位入賞、おめでとうございます!

佐藤琢磨:ありがとうございます!

――シングル・フィニッシュを目指すと言っていたのが、表彰台フィニッシュとなりました。

佐藤琢磨:正直言って、ここまでは期待していなかったですよね。レースに参加する以上、常にもちろん勝利は意識するし、トップは目指すけども、まぁ現実的に考えてジュニア・フォーミュラでもあるまいし、これだけのトップ・フォーミュラであまり奇跡っていうものは起こらないし、ましてオーヴァルは雨のレースがないわけだから、ここまでのクルマの完成度を見る限り、もちろんトップ10と言いつつトップ5は狙っていたけれども、ただ正直言ってポディウムを争えるほどのスピードが僕たちにあるかどうかはわからなかった。ただ、昨日の夜、実は僕たち結構色々やったんですよ。クルマのセッティングを変えました。どれだけ御存知かはわからないですけど、何度もガレージの方に出てっていろんなクルマを見て、取れる情報は全部とって、そこから導き出した自分たちのクルマの状態と、速いクルマのセッティングを見比べたんです。

2018 INDYCARレポート R11 アイオワ・コーン300 アット・アイオワ・スピードウェイ Race Day 決勝:アイオワでジェイムズ・ヒンチクリフが今季初優勝 佐藤琢磨が3位で今シーズン初表彰台

レース終盤に圧倒的な速さを見せたヒンチクリフは、256周目にコース上でニューガーデンをオーバーテイク! インディー500予選落ちの屈辱を晴らす勝利だ Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
ヒンチクリフ、予選11位から5年ぶりのアイオワ制覇
ピゴットは予選18位から3位表彰台に!


 今年で12回目の開催となったアイオワ・コーン300(最初は7回はアイオワ・コーン250)では、予選11位だったジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が優勝した。今シーズン初、キャリア6勝目、アイオワでの2勝目(2013年に優勝)を挙げた。


2018 INDYCARレポート R11 アイオワ・コーン300 アット・アイオワ・スピードウェイ Day1 ファイナル・プラクティス:最速はジョセフ・ニューガーデン

予選では2番手に甘んじたがファイナル・プラクティスでは再びニューガーデンが首位に Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
レースよりも遅い=涼しい時間帯のファイナル・プラクティス
 ファイナル・プラクティスは予選後の夕方に1時間行われた。レースが午後2時前のスタートであることを考えると、この時間帯の走行だとレースより気温、路面温ともにかなり低くなる。午後2時半スタートだった予選が気温26~27℃/路面49~50℃だったのに対して、ファイナル・プラクティスは開始時ですでに気温が23℃、路面温度は44℃まで下がっていた。
 このセッションで最速ラップ=18秒2065/平均時速176.772mphをマークしたのはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)で、2番手は予選5位だったアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)の18秒2583/176.271mphだった。予選3位のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が3番手=18秒4284/12011年にト74.643mph。

2018年7月8日日曜日

2018 INDYCARレポート R11 アイオワ・コーン300 アット・アイオワ・スピードウェイ Day1 予選:アイオワのポール・ポジションはウィル・パワー

インディーカー歴代2位のAJ・フォイトにあと1回と迫る通算52回目のポール・ポジションを獲得したパワー。決勝で優勝すれば自身20コース目の勝利となる Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大 
パワー、ニューガーデンを引き離し今シーズン2度目のPP

 気温が26~27℃、路面温度が49~50℃というコンディションで予選は行われ、プラクティス1で2番時計だったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が2ラップ平均182.391mphでポール・ポジションを獲得した。今シーズン2回目のPPはキャリア52回目のPPで、歴代2位のAJ・フォイトに並ぶまであと「1」に迫った。
 パワーの予選パフォーマンスにはただただ驚かされる。今シーズンのPPはまだ2回と少ないが、11レースでトップ3に入るのが10回目!
トップ3に入れなかったのはデトロイト/レース1での6位1回だけだ。予選トップ10入は今回で21戦連続となった。

2018 INDYCAR 佐藤琢磨のコメント R11 アイオワ・コーン300 アット・アイオワ・スピードウェイ Day1 プラクティス1:「今日のクルマはまだいいレベルに達していない」

Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
「今年のエアロだとダンフォースが無さ過ぎ」
Jack Amano(以下――):プラクティス1、16番手、トップと0.4637秒差でしたが?
佐藤琢磨:全然踏めてない。これで予選を走れっていうのは拷問だね。

――路面のバンピーさが難しさを拡大してますか?
佐藤琢磨:今年のエアロだとダウンフォースがない。無さ過ぎ。去年の予選に比べて500ポンド近く、決勝セットだと1,000ポンド少ない。去年のレースでもすでに足りないレべルだったのに。ないものねだりなのかもしれないけど、足りな過ぎる、全部が。時間も足りない、スピードも足りない、グリップも足りない。

2018 INDYCARレポート R11 アイオワ・コーン300 アット・アイオワ・スピードウェイ Day1 プラクティス1:ジョセフ・ニューガーデンが今季4勝目に向けプラクティス 1でトップ・タイム

Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
一昨年のウイナー、ニューガーデンがトップタイム

 暑い……はずがそうでもなかったアイオワ・スピードウェイでのプラクティス1、最速ラップをマークしたのはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)だった。タイムは17秒5188。
 ここでの一昨年のレース、ニューガーデン(当時はエド・カーペンター・レーシング)は手を骨折してたのに痛みを乗り越えて優勝!
あのガッツ溢れる走りがペンスキー入りに繋がった。去年は6位。
 2番手につけたのはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。17秒5447と差はほとんど無し=0.00259秒。パワーはアイオワで成績を残して来れていない。一昨年、ニューガーデンが勝った時の2位があるけれど、それがベスト・リザルト。しかも、唯一の表彰台。

2018 INDYCARレポート R11 アイオワ・コーン300 アット・アイオワ・スピードウェイ:2018年 ポイント・スタンディング

 ロード・アメリカからアイオワ、久しぶりのインターバル。私はワトキンス・グレン・インターナショナルにスポーツカー取材に行ってましたからオフじゃなかったんですが……。
 もうインディーカーはシーズン後半戦。アイオワでの第11戦を前にポイント・スタンディングを見ておきましょう。