2021年2月4日木曜日

2021 INDYCAR ニュース 2月1日 :デイトナ24時間でカストロネヴェスとロッシがウィナーに

アメリカのクラシック耐久イベントでついにアキュラDPiが優勝! Photo:Rolex クリックして拡大

アキュラ、ついにデイトナ24時間を制す!

 ウェイン・テイラー・レーシング(WTR)がアメリカン・スポーツ・カー・レースのビッグ・イヴェント=第59回ロレックス24・アット・デイトナ(=デイトナ24時間レース)での3連勝を飾った。だだし、過去2年とは違い、彼らがヴィクトリー・レーンに乗り付けたのはキャディラックDPi-V.R.ではなく、アキュラARX-05だった。

今年もGM、ホンダ、マツダの3メーカーが激突!

 アメリカ最高峰のスポーツ・カー・シリーズ=IMSAウェザーテック・スポーツ・カー・チャンピオンシップのトップ・カテゴリーであるデイトナ・プロトタイプ・インターナショナル(DPi)にはキャディラック(GM)、アキュラ(ホンダ)、マツダの3メーカーが出場中で、DPiの発足した2017年数から激しい戦いが各レースで繰り広げられて来ている。今年の開幕戦であるデイトナでの耐久レースでも3メーカーの5台がスタートから一歩も譲らず、フロリダ州デイトナ・ビーチにあるストックカー用オーヴァル=全長2.5マイルにインフィード・セクションを組み合わせた全長3.560マイルのコースを使ったレースはリード・ラップで5台がチェッカード・フラッグを受けるハード・バトルになった。

デイトナプロトがひしめく迫力のスタートシーン Photo:Rolex クリックして拡大


 ゴール前30分と少し前、トップを走っていたのは今年からDPiに参戦し始めたばかりのチップ・ガナッシ・レーシングのキャディラックだった。そして、2番手にはアクション・エクスプレス・レーシング(AXR)のキャディラックがつけていた。1-2体制だったキャディラック勢はここで最後のピット・イン。フェリペ・アルバカーキの乗るWTRのコニカ・ミノルタ/アキュラがトップに躍り出、2番手にはマツダRT-24Pが浮上した。
 1、2番手となったアキュラとマツダもゴールまでにはあと1回ピット・ストップをこなす必要があった。しかし、彼らはそれを短いストップで済ませ、レースに1、2番手を保って復帰した。
 WTRがトップを保てたのはタイヤ交換を2本に抑えたためでもあり、少し前だが4本ともフレッシュ・タイヤに履き替えていたチップ・ガナッシ・レーシングのキャディラック=カー・ナンバー01、過去2年連続でデイトナ24時間で優勝しているランガー・ヴァン・ダー・ザンデがドライヴするマシンが猛チャージをスタートさせてマツダをパス、アキュラの背後に迫った。この後、3番手にはヴァン・ダー・ザンデ同様にデイトナ24時間で2連勝中の小林可夢偉が乗るAXRのキャディラックが浮上した。

 アルバカーキはトップを何とかリードし続けたが、ヴァン・ダー・ザンデの勢いが凄まじく、残り15分を切る頃には両車がテール・トゥ・ノーズに。逆転は時間の問題か……と思われた。ところが、残り8分を切った時点でカー・ナンバー01はスピードを落とし、ピットに向かった。カットした右リヤ・タイヤを交換するためだ。路面に落ちていた何かを踏んでしまう不運に遭ったのか、攻める走りで縁石に接触させてしまったためか……。彼らは最終的に5位でゴールすることになった。

ディクソンが乗るチップ・ガナッシのキャディラックDPiの01号車 Photo:Rolex クリックして拡大

 ガナッシのプレッシャーから開放されたアルバカーキはトップを保ってゴール。小林のキャディラックは最後の追い上げを実現できず、4秒704差で2位となった。
 アルバカーキとウィニング・マシンのアキュラARX-05をシェアしたのはリッキー・テイラー、エリオ・カストロネヴェス、アレクサンダー・ロッシだった。カストロネヴェスとロッシはこれがデイトナ24時間での初勝利だ。

可夢偉、ジョンソン、パジェノーの乗ったキャディラック Photo:Rolex クリックして拡大

  2位となったキャディラックに小林と共に乗っていたのは、今年からインディーカーに参戦する元NASCARチャンピオンのジミー・ジョンソン、シモン・パジェノー、マイク・ロッケンフェラー。昨年11月に延期開催されたセブリング12時間のウィナー=マツダはデイトナでは3位に。1台のみのエントリーをドライヴしていたのはオリヴァー・ジャービス、ハリー・ティンクネル、ジョナサン・ボマリリートのトリオだった。

 4位でゴールしたのもアキュラ。メイヤー・シャンク・レーシング(MSR)がエントリーしたマシンにはファン・パブロ・モントーヤ、デイン・キャメロン、オリヴィエ・プラ、AJ・アルメンディンガーが搭乗していた。そして、5位となったキャディラック。ガナッシは2006、2007、2008、2011、2013、2015年に続く7勝目をあと一歩のところで逃した。
 WTRのデイトナ優勝はこれで5回目(2005年が初で2017年にも勝っている)。3連勝は2006~2008年のガナッシ以来となる快挙だ。

 

優勝したKonica Minolta Acura ARX-05 Acura DPi 10号車のドライバーたち Photo:Rolex クリックして拡大
 ホンダのデイトナ24時間レース総合優勝は、2016年にエクストリーム・スピード・モータースポーツのリジェJSP2・ホンダHPD(スコット・シャープ/エド・ブラウン/ヨハネス・ヴァン・オーヴァービーク/ピポ・デラーニ)によって記録されているが、アキュラのデイトナ24時間制覇は今回が初めてだ。1991年、今のLMP2的なカテゴリーだったキャメル・ライトでアキュラはデイトナ24時間でのデビュー・ウィンを飾り、翌年には連覇を達成しているが。

 2017年の最終戦プチ・ル・マンで始まったアキュラのDPiプロジェクトは、3年間に渡ってチーム・ペンスキーがマシン開発とレース・オペレーションを担当し、2019、2020年と2年連続でチャンピオンとなった。しかし、デイトナ24時間、セブリング12時間というアメリカ伝統の耐久イヴェントではとうとう一度も勝利を収めることができず、2020年いっぱいで関係を解消していた。
 2021年、チーム・ペンスキーの走らせていた2台のARX-05はWTRとMSRに委ねられることになった。WTRはキャディラックからのスイッチで、MSRはGTDからのクラス変更を行なったのだ。そして、その初戦で1台が優勝、もう1台がトップと同一周回の4位フィニッシュという素晴らしい結果を残した。
 アキュラの優勝により、キャディラックのデイトナ24時間での5連勝は阻まれ、ヴァン・ダー・ザンデと小林の3連勝もならなかった。
 LMP2クラスはエラ・モータースポーツのオレカLMP2
07が総合6位に入って優勝し、GTLMクラスはコルヴェット・レーシングのシヴォレー・コルヴェットC8.Rが1-2フィニッシュ。LMP3クラスはライリー・モータースポーツのリジェJS
P320、GTDクラスはウィンウォード・レーシングのメルセデスAMG GT-3が優勝した。


デイル・コイン・レーシング

レギュラー2台プラス、スポット参戦1台へと体制拡大か?!

 2台ともドライバーが決まらない……という状況が長く続いていたが、それから一転、デイル・コイン・レーシングはレギュラー2台プラス1台という体制での参戦へと拡大する方向で動いているようだ。チーム・ゴーとの提携は1シーズンで終わったが、今度はNASCARのカップ・シリーズに参戦しているリック・ウェア・レーシングと手を組み、リック・ウェアの息子であるコーディ・ウェアをインディーカーで走らせるというのだ。アレックス・パロウが乗っていたカー・ナンバー51はフル・エントリーし、カー・ナンバー52を何戦かで走らせようという計画が進められている。元F1ドライヴァーのロマイン・グロジャンとコーディ、どちらがフル・シーズン・エントリーを行なうのかはまだ明らかになっていない。
 コーディは現在25歳。アジアン・ル・マン・シリーズで2019年にLMP2でチャンピイオンになったキャリアの持ち主だが、スポーツ・カーよりもストック・カーでの活動をメインとして来ており、2014年からNASCARエクシフィニティ・シリーズ、カップ・シリーズで戦って来ていた。
以上