2011年4月2日土曜日

2011 INDYCAR シリーズ 大会プレビュー2-1 第2戦バーバー・モータースポーツパーク:昨年、琢磨は予選ファイナル進出6番手もマシントラブルでリタイア

2010 アラバマ(バーバー・モータースポーツパーク)レビュー

佐藤琢磨は予選ファイナル進出6番手もマシントラブルでリタイア
カストロネベスがシーズン初勝利、パワー3連勝を逃す

 去年のバーバー・モータースポーツパーク(BMP)、天候は予選・決勝ともに快晴に恵まれた。最高気温は予選日が摂氏23度で、決勝日はそれより少し高くなった26度だった。
 去年は第3戦としての開催で、出場は25台。開幕2連勝でノリノリのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がポールポジションを獲得。バーバーも制する勢いを誇っていた。しかし、90周のレースで勝ったのは予選3位のエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)。
2010 バーバー・モータースポーツパーク
Photo: INDYCAR(Dan Helrigel)

2011年3月31日木曜日

INDYCARインサイド情報&ニュース カナーンが新チームメイト、佐藤琢磨を語る「大きく役立っている。レースで僕はタクのダンパーセッティングを使ってた」

 開幕戦の直前に急きょ、KVレーシング・テクノロジー・ロータスに加入、琢磨のチームメイトとなったトニー・カナーン。INDYCARのトップドライバーとして戦うカナーンから見ても琢磨は「油断できない相手」だという。

Jack AMANO(以下——)トニー、3位入賞おめでとう。で、琢磨との初めての仕事はどんな感じだった?
第1戦セント・ピーターズバーグではカナーンのピットで琢磨とエンジニアが話し込む姿が見られた。
Photo: INDYCAR(Dana Garrett)

2011年3月30日水曜日

INDYCARインサイド情報&ニュース シェクターがインディ500にKVから参戦、琢磨を含め4台態勢に

今年もKVはインディ500に4台エントリー
 いやぁ、驚いた。開幕直前に2台が3台に増えたばかりだっていうのに、今度はトーマス・シェクターもKVレーシング・テクノロジーからインディ500参戦決定! こっちはロータス・カラーにはならないんだろうけど、4台ですよ、今年もKVは。いやはや。好きなんだなぁ、いっぱい走らせるの。それってジミー・バッサーが? それともケビン・カルクホーベンが??
トーマス・シェクター
Photo: INDYCAR(Chris Jones)

2011 INDYCAR R1セント・ピーターズバーグ レースアナリシス PART2 「新レギュレーション、ダブル・ファイル・リスタートは是か非か?」 

エキサイティングなレース実現のための2列スタート化

 今年から採用の新ルールのひとつとして、ダブル・ファイル・リスタート(=リスタートの2列化)がある。オーバルでもロードでも、リスタートはレースでのポジション順にイン・アウトと2列に並んでスタートさせるというのだ。昨年までのINDYCARのリスタートは、順位の通りに1列に並んで行っていた。
 新ルール採用の意図は、「接戦の激化」にある。マシン同士の順位間の距離を狭めれば、当然競争は激しさを増す。同時に、アクシデントの起こる危険度も増える。
 ルールは「よりエキサイティングなレースをファンにお届けする!」ために書き換えられた。

スタート直後の1コーナー。この後、マルチクラッシュが発生する。
Photo:INDYCAR(Chris Jones)

2011年3月29日火曜日

2011 INDYCAR R1セント・ピーターズバーグ レースアナリシス 「新レギュレーションがもたらした超ハイレベルなタイヤタクティクス」

4台のみだったブラックタイヤでの決勝スタート 

 ウォームアップセッションの後に各エントラントはスタート時の使用タイヤを申告しなくてはならない。今回のレースでは、ほぼ全員がオルタネート(=ソフトコンパウンド=レッド)を選んでいた。25台のうちでプライマリー(=ハードコンパウンド=ブラック)にしたのは5人だけで、そのうちの1人、セバスチャン・ボーデー(デイル・コイン・レーシング)はマシン修復が間に合わずにDNSとなったから、アナ・ベアトリス(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)、EJ・ビソ(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)、ジェイムズ・ジェイクス(デイル・コイン・レーシング)、JR・ヒルデブランド(パンサー・レーシング)の4人だけがブラックでスタートを切ることとなった。
1回目のピットストップでカナーンは中古のレッドに交換してピットアウトする。Photo:INDYCAR(Dana Garrett)

2011 INDYCAR R1セント・ピーターズバーグ インサイド情報&ニュース「名門ニューマン・ハース、土曜日にようやくスポンサー獲得」

 インディライツ出身のカナダ人ドライバー、ジェイムズ・ヒンチクリフは開幕前テストで速いところを見せていたが、参戦資金が足りずにセント・ピーターズバーグでのレースに出場ができなかった。名門ニューマン・ハース・レーシングは、同じくテストで走らせていたベテランのオリオール・セルビア(スペイン……本人はカタルーニャ出身と言うが)による1台エントリーを行うことになった。
 彼のマシンは、テスト時からブルーにペイントされていたが、一切のスポンサーロゴがなかった。それが、開幕戦のプラクティス2日目からサイドポッドに大きく“TELEMUNDO”のロゴが乗っかることとなった。アメリカのヒスパニック系住民をターゲットとした通信会社で、スペイン語圏出身のセルビアはピッタリの存在だ。
フロントウィングのフラップにTELEMUNDOのロゴ。しかしまだマシン全体がさびしい感じは否めない……。
Photo:INDYCAR(Dana Garrett)

2011 INDYCAR R1セント・ピーターズバーグ インサイド情報&ニュース コロンビアのルーキー、サべードラ、真っ白なマシンで出走

 コロンビア出身のルーキー、コンクェスト・レーシングで走るセバスチャン・サベードラは、昨日の予選でクラッシュを喫した。マシンはモノコックまでダメージが及んでいると判明したため、スペアカーで決勝に出場することになった。

2011 INDYCARインサイド情報&ニュース デイル・コインはレース前のウォームアップで2台がクラッシュ、“ニコイチ”でぎりぎり出場したジェイクス

 レース日のウォームアップでアクシデントを起こしたセバスチャン・ボーデー(デイル・コイン・レーシング)は、マシンの修復ができずにレースへの出場を果たせなかった。ターン11のイン側の壁に接触してコントロールを見出し、ターン13の壁に激しく突っ込んだマシンには火災も発生し、ダメージは大きなものとなった。
Photo: INDYCAR(Dan Helrigel)

2011年3月28日月曜日

2011 INDYCARインサイド情報&ニュース 開幕戦のカナーンvs.シルベストロのバトルの裏にはエンジニアを巻き込んだ因縁が!?

エンジニアの激しい引き抜き合戦が開幕直前に勃発
 開幕はもう目前というところで突如発表されトニー・カナーン=TKのKVレーシング・テクノロジー・ロータスからの参戦。彼の担当エンジニアにはマイケル・キャノンが起用されることになった。昨年HVMレーシングで走った女性スイス人ドライバー=シモーナ・デ・シルベストロにインディ500とシリーズのルーキー・オブ・ザ・イヤー賞を取らせた担当エンジニアだ。
 キャノンの採用が発表された時、彼とカナーンは以前に一緒に働いたことあるのとか考えたが、そういう過去はなかった。今回の仕事には彼が適役だと、KVが見つけてきたのだった。
シモーナ・デ・シルベストロ
Photo: INDYCAR(Dan Helrigel)

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント8 第1戦セント・ピーターズバーグ Race Day 決勝 「自己ベスト更新を成し遂げなくちゃいけない。そう思っていたので、シングルフィニッシュは絶対にしたかったんです。今日はサバイバル・レースになるとわかってました。最後までプッシュし続けたことがリザルトに残りました」

RaceDay
3月27日
決勝 5位 2時間01分29秒6321

佐藤琢磨、インディカーキャリア初のトップ5フィニッシュ達成!

 2011年シーズンも最初のレースは一瞬のミスが大きなクラッシュに繋がりかねないストリートコースだ。しかも、スピードを落とした状態からの2列スタート、多くのルーキーの存在など、ただでさえ展開の読みにくい開幕戦に今年はいつも以上に未知の要素が加わっていた。琢磨は去年のセント・ピーターズバーグと同じ11番手グリッドから100周のレースのスタートを切った。

スタート直後に上位陣を巻き込むマルチクラッシュ発生 Photo:INDYCAR(Chris Jones)

2011 INDYCARインサイド情報&ニュース 琢磨が音頭取り、全ドライバーのグローブを集めてチャリティー

 佐藤琢磨が日本の震災支援に立ち上げたプロジェクト=ウィズ・ユー・ジャパンにIZODインディカー・シリーズは賛同し、出場全ドライバーも協力してくれることとなった。今日、ドライバーズ・ミーティングの後にウィズ・ユー・ジャパンのロゴの後ろに全ドライバーがレーシング・グローブで手を組んで並び、集合写真の撮影が行なわれた。「手と手をとって援助をして行こう」という意味だ。撮影後にドライバーたちはロゴの周囲にサインをし、グローブを琢磨に委ねた。琢磨とINDYCARはこれからもチャリティ活動を展開して行く。
Photo: INDYCAR(LAT)

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント7 第1戦セント・ピーターズバーグ Race Day ウォームアップ 「昨日のクルマよりもだいぶ乗り易くなっているので、レースを見据えたセットアップとしては正しい方向に進んだと思います」

Race Day 3月27日
ウォームアップ  1分4秒1137  16位  15周走行

レッドで長く走り、セッション最後にはベストラップを更新

 今年のセント・ピーターズバーグは天候に恵まれている。今日も朝から快晴。日差しが強過ぎると感ずるほどだ。
 決勝前の最後の走行セッション、ウォームアップは8時40分から始まった。30分間と短いが、ここでレースに向けた最後の確認作業は行うことになる。
 佐藤琢磨はトータルで15周を走行。レースに向けて2セットをスクラブし、昨日使ったタイヤで走り始めた……と思ったらセバスチャン・ボーデーが大きなクラッシュ。彼のチームメイト、ルーキーのジェイムズ・ジェイクスもクラッシュ。デイル・コイン・レーシングは決勝まで大忙しの時間を過ごすこととなった。こういう時に限って決勝スタート時刻が早い。今日は午後12時30分だ。
 長いフルコースコーションの間に、琢磨のマシンには昨日使ったレッドタイヤが装着された。そして、残り時間はそのタイヤで連続周回を行った。
 琢磨のベストは1分4秒1137で、16番手だった。トップはライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)の1分3秒1384。16番手というポジションは喜べないものだが、中古のレッドで走りながら、セッションを締めくくる最終ラップに自己ベストを記録するところはいかにも琢磨らしかった。


2011 INDYCARシリーズ解説 “未知のレッドタイヤ”で走る予選はバトルを盛り上げたのか?

レッドタイヤの使用はブッツケ本番
 今年のロードレースに向けて、INDYCARとファイアストンは予選方式をモディファイして、その新ルールでの初めての予選が、昨日(3月26日)行われた。
 ロードレースでタイヤが2種類供給されるようになったのは、2009年。グリップの高いがライフは短い。コレはレースと予選にスパイスを効かせることになった。厚みが増した感じ。
Photo: INDYCAR(Shawn Gritzmacher)

2011 INDYCARシリーズ解説 「26台ルール、いきなり消滅へ!」

フル参戦優遇策から生まれた台数制限だったが……

 いやぁ、相変わらずですねぇ、IRL……じゃなかったINDYCAR。
 「インディ500以外の参戦台数は最大26台と定める」……新しいCEOのランディ・バーナードが発表したのはいつだったか? そのルールがもうなくなった。「開幕戦に25台エントリー。あと2台増えたら予選落ちが出る」って書いたばっかりだっていうのに。
 セント・ピーターズバーグに集まったのは25台。この全員がシーズンにフル出場を果たす予定だから、マックスの26台まで残り1台という状況になった。そして、ルールはサッサと撤廃された。
 出場台数は多い方がいい。NASCARはどのレースでも43台が走ることになっている。それ以上のエントリーを常に集めているということだ。インディカーをそこまで多く集めるのは大変だ。現状ではハッキリいって無理だろう。

2011年3月27日日曜日

2011 INDYCARシリーズ 解説—オーバーテイクボタンはレースごとに設定が違う

一時的にパワーアップ、追い抜きをしやすくする“ホンダボタン”
 ステアリングに装備されたボタンを押すとホンダ・インディV8の最高エンジン回転数が200rpm高められ、それによって約10馬力のパワーアップが実現される。一般的にオーバーテイクボタン、プッシュ・トゥ・パスなどと呼ばれるシステムだ。
 INDYCARシリーズはホンダ・インディV8のワンメイク状態が続いており、このシステムもホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)が開発したものなので“ホンダボタン”という名前がつけられてもいる。コース上でのオーバーテイクが増えるようにと、2009年のケンタッキーでのレース(1.5マイル・オーバル)で使用が始められた。
Photo: INDYCAR

2011 INDYCARシリーズ 解説—ピットでの燃料補給を安全にするシステム「リフューエリング・セイフティ・インターロック・システム」

今年から全マシンに装備される燃料供給安全システム
 アメリカン・ホンダとホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)は、インディカー・レースの安全性を高める「リフューエリング・セイフティ・インターロック・システム」の開発を完了し、今年の開幕戦から導入する。

 このシステムが出場全マシンに装備されることにより、ピットでの火災や、マシン火災、そしてピット・クルーたちの怪我はかなりの確率で防がれることになるはずだ。インディカーは燃料補給ホースが外れないうちにピット・ボックスから発進することができなくなるからである。
 燃料ホースがマシンの給油口に繋がった状態でマシンが急発進すると、ホースが引きちぎられて燃料が撒き散らされる。これまでに多くの火災が、そのようにして起きてきた。燃料補給は少し前まではふたりが担当していたが、クルーの周囲への視認性を高めて安全を向上させようと、近年では燃料補給装置に改善がなされ、担当はひとりに減らされていた。
Photo: INDYCAR(Ron McQueeney)

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント6 第1戦セント・ピーターズバーグ Day2 予選 「1セグメントに対して、使うタイヤを決定しなくてはならず、タイヤ交換も出来ない新レギュレーションは、いろいろトライしながらマシンを作っていくチームにとっては難しいですね」

Day2  3月26日
予選 ラウンド1 1分03秒0722  グループ1 5位  7周走行
ラウンド2 1分02秒9312  11位  6周走行

第1セグメント、第2セグメントともにレッドタイヤ投入

 佐藤琢磨は、開幕戦セント・ピーターズバーグの予選で、第1セグメントのグループ1で5位に入り、第2セグメントへと進出を果たした。しかし、この予選第1セッションで初めて使用したレッドタイヤに対してマシンが詰め切れておらず、第2セグメントで敗退した。

――第1セグメントを戦うタイヤは、レッドを選びました。レッドはこの予選セッションで初めて試したわけですが、フィーリングはどんなものでしたか?

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント5 第1戦セント・ピーターズバーグ Day2 プラクティス3 「イエローが出て、最後は確認できなかったんだけれども、昨日より確実に進化しています。もうちょっとスピードは欲しいところですけど」

Day2  3月26日
プラクティス3 1分3秒5953  10位  25周走行

EJ.ビソのクラッシュでアタック完了できず

 昨日のプラクティス2回目で16ラップを走ったタイヤセットを装着し、プラクティス3回目に佐藤琢磨は臨んだ。路面温度、気温ともに昨日の最初のプラクティスとほぼ同じコンディションだったが、朝方のセント・ピーターズバーグは靄に包まれていたため、湿度が高く、やや蒸し暑く感じる天候だった。
 琢磨は周回数を多くこなしているタイヤで新たに施したマシンセッティングの確認を行い、調整を加えながら10周を走った。ここまでのベストは1分4秒台半ばで、ポジションは12番手だった。
 そしてニュータイヤへと交換。路面温度がジリジリと上昇し、グリップも高まってくる中、ゆっくりとタイヤに熱を入れ、トラフィックに引っかからないスペースを確保。5ラップ目に1分3秒5959まで一気にベストを1秒短縮。タイムモニターの上から3番目へとジャンプアップした。

 ライバル勢もタイムを縮め続け、琢磨は走り続けていたがポジションは10番手までダウン。ここでさらにもう1セットのニュータイヤを投入した。
 もうセッションの残り時間はわずかしか残っていない。この時、コースインの前に琢磨はリヤサスペンションに小さな変更を施しており、タイム更新が期待された。しかし、またしてもチームメイトのEJ・ビソがクラッシュ(今週3回目のプラクティスで3回目!)。イエローフラッグが出されたためにアタックを完了することができず、セッションも終了となった。

――セッションの最後、新しいタイヤでタイムを出したいところでしたが、イエローが出てしまいましたね?