2012年6月23日土曜日

2012 INDYCARレポート:第9戦アイオワ 予選レースは事前の予想に反して(?)後方グリッド決定レースの方がパッシングありの見応えのあるレースに。

初めての予選レースでダリオ・フランキッティがポールポジション獲得
佐藤琢磨は予選24位


予選レースという新しい試みは、成功だった……と思う。もちろん改良の余地はある。しかし、それは何に対しても言えることなので。
今回インディーカーが試した方式では、2回目のプラクティスタイムで25台が3グループに分けられた。ここで肝心なのは、トップ8で構成されるグループ以外、予選レースはあまり大きな意味を持たない点。トップ8はポールポジションを争い、フロントロウからの4列目までという、勝利に手を届かせる可能性が高いグリッドを競い合う。おのずとバトルも熱くなる。上位陣の方が順位同士のタイム差も小さいので尚更だ。しかし、他の2レースは9位以下のグリッドを決めるだけのため、緊迫感に欠ける。奇数順位と偶数順位に分けるので、順位間のタイム差も大きく、バトルになりにくい事情を抱えてもいた。さらに言えば、これら2レースに参加するドライバーたちは、敢えて大きなリスクを冒してまでポジションアップを実現したいと考えていなかっただろう。マシンを壊せば、クルーたちに負担をかけ、チームのバジェットにも悪影響を与える。幸い、今日の3レースでは誰もアクシデントを起こさなかった。

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント46:第9戦アイオワ プラクティス2「僕はもう抜かれるだけだった。レースセッティングを重視したが、クルマは不具合もありまったく走れない。まだ、もう1回セッションがあるだけでも救われてる。どれだけスピードが上げられるのかっていうのがひとつのチャレンジになると思う」

アイオワでのプラクティス2終了
チームのミスもあって佐藤琢磨は24番手に低迷したまま


プラクティス1で得られたデータを基に、佐藤琢磨はプラクティス2では上位陣と肩を並べるところまで一気にマシンをレベル・アップしたい考えだったはずだ。しかし、その意向とはまったく逆に、思惑通りにマシンを進歩させることができなかった。

Jack AMANO(以下——)予選レースに向け、トップ8入りを目指した走りをするというよりは、レースセッティングを重視したセッションとしたのでしょうか?

佐藤琢磨:はい、そのつもりでした。

2012 INDYCARレポート:第9戦アイオワ 初めての試みの予選レース、3つのレース組み合わせが決定

新トライ=予選レースの組み分けが決定
スタートは夕方、アメリカ中部時間(サマータイム)の6時15分


予選ヒート1は
38 グレアム・レイホール
67 ジョセフ・ニューガーデン
5 EJ・ビソ
4 JR・ヒルデブランド
22 オリオール・セルビア
14 マイク・コンウェイ
20 エド・カーペンター
15 佐藤琢磨

このレースの結果が、10位以降の偶数グリッドとなる。

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント45:第9戦アイオワ プラクティス1・アイオワでは人気急上昇!?「プロモーションが7本位あって、それはいいこと。走りは予想通り苦戦で次のセッションは決勝のマシン作りを優先させないといけない。クルマが出来上がっているマシンとのスピード差でやりづらいセッションになると思う」

アイオワ走行初日、予選前のプラクティス1回目が終了
トップはマルコ・アンドレッティ、佐藤琢磨は23番手スタート


やって来ました、アイオワ州ニュートン。デ・モインの東およそ40マイルにある0.894マイルのショート・オーバルに。

2012年6月22日金曜日

本日14時00分配信のINDYCARレポート無料メールマガジンはアイオワ戦のプレビュー

本日6月22日14:00にジャック・アマノのINDYCARレポートメールマガジン(無料版)を配信します。今回の配信では今回から初めて導入される予選方式を中心に、週末のアイオワ戦のプレビューを展開しています。このほかダウンフォースの減少など、マシンレギュレーションの変更もあるので、インディから続く5連戦の最終戦アイオワは、見逃せません!今週末のレースの前にチェックしておきたいですね。

2012 INDYCAR ニュース:ミルウォーキーを救済で見せたマイケル・アンドレッティの名プロモーターぶり

ドライバーとして5勝したミルウォーキーで、マイケル・アンドレッティはチームオーナーとしての4勝目をマークした。しかも、今回のレースは自らがイベント・プロモーターを務めていた。
「自分たちにとっては初開催のミルウォーキー、観客動員数はまだわかってない。しかし、パッと見た感じの印象は良かった。多くのファンが来てくれた。1回目としては大成功だったと思う」とレース後のマイケルは喜んでいた。

2012年6月21日木曜日

2012 INDYCAR レースアナリシス:R8 ミルウォーキー Part2 ライアン・ハンター-レイの今季初勝利 シボレーがトップ6独占で今季5勝目


Photo:INDYCAR\LAT USA
 今回、燃費競争はシボレーが若干優位

 去年のミルウォーキーでは1周目にクラッシュしたライアン・ハンター-レイ=RHR(アンドレッティ・オートスポート)。さすがに今年は慎重だった。スタート前の雨で路面が悪くなってもいたし、序盤はポールスタートのダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)の後ろで様子を見ていた。
 リードを奪いに行ったがそれを阻まれ、RHRはタイヤ&燃料セーブに作戦を。ところが、1ラップ先にピットしたのはシボレー搭載のRHRで、ダリオ(ホンダ搭載)よりもっと燃費の良かったEJ・ビソ、ルーベンス・バリケロのKVレーシング・テクノロジー(どちらもシボレー)勢ふたりが第2スティントで1-2体制に。RHRは3番手で我慢の走行。ダリオはここから下り坂に。
 今回の燃費競争はほぼ互角か、シボレーが若干有利だった。
 第3スティントはステイアウト作戦に出てエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)がトップを走った。RHRはピットでバリケロをパスし、リスタートでビソを抜いて2位へと浮上。残り84周となる142周目に大きくリヤを滑らしたエリオを抜いてリーダーの座にようやく躍り出た。超ロングスティントになっていたエリオはタイヤが終了。トップに立ったRHRはそのままゴールへと突っ走った。今シーズン初勝利=通算6勝目。アンドレッティ・オートスポートも今季初勝利。ついでに書けば、アメリカ人ドライバーも今季初優勝!


マイケル譲りのタイヤマネジメントが功を奏した

 しかし、RHRは楽勝ではなかったという。「トップに立ってからもリスタートが何度かあった。あれは嬉しくなかった。グリーンでずーっと行って欲しかった」。しかし、リスタートでもトップをキッチリ守っていた。彼は勝利の要因として、タイヤを大事にしていたこと、いつ攻めて、いつ流すかメリハリをつけていた点を挙げた。ピットで指揮を取るマイケル・アンドレッティ(今季途中から)について、「彼はこのコースを、そしてミルウォーキーでのレースを知っている(5勝の実績)。彼からのアドバイスが僕の耳には常にあった」とも話した。「グリップが必要な時にちゃんとあるように」というのがマイケルのアドバイス。RHRはタイヤを労ることに注意を払い、しかし、スタートやその他の時でも必要と考えた時には思い切りアグレッシブに走った。また、1スティントの中でマシンが大きく変化する点がショートトラックレースの難しさ&おもしろさで、今回そのアジャストもRHRとアンドレッティ・オートスポートは実にうまく行っていた。

シボレー・エンジンはタレる? 気になるカナーンのコメント

 RHRが最後に戦う相手となったのは、トニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)だった。リスタートの旨さに定評のあるベテランファイターだ。RHRはその件に関して、「トニーが相手で良かった。なぜなら、僕らはクリーンにレースを戦う仲だからだ」と答えた。えぇっ!? それってまさか、「トニーのリスタートなんて何とも思っちゃいないサ」って意味ではないよね? 「相手によってクリーンだったり、そうでなかったりしまーす」ってことでも……ないよね?
 そのTKだが、チームメイト2人には差を見せつけたものの、RHRには手が出なかった。最後のピットストップとその後の5周で4台をパスしたのは、クルーのピット作業、TKのかけたスパートの両方が良かったため。
 気になったのは、「自分たちのマシンはスピードがなかった」とTKがシェビーV6のパワーダウンがあったかのようなコメントをしていた点。同じシェビー・ドライバーのマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートポート)に至っては、「ウチのエンジンは疲れちゃってたみたいでサ」と、パフォーマンスの悪かった理由としてエンジンのパワーダウンを挙げていた。規定マイレッジ間近になるとシェビー・エンジン、性能ダウンが大きいのか?? だからカナーンとビソ、ペナルティ覚悟でアイオワ前にエンジン交換を決断?? マルコのエンジンはこのレースでマイル完了なのか?? 交換の話はまだ出ていない。


ともあれ、シボレーは1位から6位を独占

 不満を漏らす者もいるが、シボレーはミルウォーキーで1-2-3-4-5-6フィニッシュ。3連敗の後に今季5勝目。ホンダに4勝のタイには持ち込ませなかった。ホンダ勢トップはインディーから1戦ずつフィニッシュ順位を上げて来ているアレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)の7位。意外や、3連勝の後に今シーズンのここまでで最悪のリザルトをホンダは記録することとなった。トップ10にもう一人入れたのが9位のグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)。トップ15までで見ても、11位のスコット・ディクソン(ガナッシ)と13位のシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)が加わるのみ。トップ15の11人までがシェビー・ユーザーに占められた。シーズン半分終了、マニュファクチャラー・ポイントはシボレー63点に対して、ホンダ56点。ロータスは32点。

2012 INDYCAR レースアナリシス:R8 ミルウォーキー Part1 それにしても……のミスジャッジ

今年からの新競技担当が犯したミス
Photo:INDYCAR\LAT USA
 今年からインディーカーの競技担当社長に就任しているのが、ボー・バーフィールドという男。前任者は傲慢で、権力欲の塊で、批判を許さない恐怖政治を行おうとしていた。思ったより長くその座にいたが、去年限りでようやくいなくなってくれた。もう雨が降ってる中でオーバルレースにリスタートが指示されることは二度とないだろう。何より嬉しいのは、後ろを走ってる人に優先権を与える、レースってものを根本から揺るがすような頓珍漢なルールが消えてなくなっている点。
 バーフィールドは、テキサスでのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の走りにビシッとブロッキングのペナルティを下した。あれは実に正しく、毅然としたものだった。
 リスタートは1列か、2列か? これは難しい問題だ。ルールをもっと詳細に定める必要があるように見える。彼に与えられた今後の課題だろう。
 今回、バーフィールドは大きなミス・ジャッジを冒した。それも、チャンピオン争いをしているスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)に対して。


なんと、1周前のビデオを誤って確認していた!?
 103周目のリスタートでディクソンがフライングをした、というのが彼らの判断だった。ペナルティ通達が少々遅れたのは、バーフィールドらレース・コントロールがタイミング&スコアリングシステムの一部である時計と、ビデオ映像を併用して確認をしていたから。ところが、彼ら(バーフィールドのブレインとして働いているアリー・ルイェンダイクやジョニー・アンサーらのはず)がジックリとチェックしてたのは102周目の映像だった。バーフィールドは進行し続けるレースに注意を払い、フライングの判断は彼のグループに委ねた。
 なんでこんなミスが起きたのか? 「本当のスタート時刻と、計時用時計のスタート時刻が36秒ほどズレていたため」というのがバーフィールドの説明。レースにグリーンフラッグが振り下ろされ、トップのマシンがコントロールラインを横切るタイミングで動き出すはずの時計が、36秒後に動き出したという。このズレが、見事に2回のリスタートの間隔にほぼ合ってしまったところがディクソンにとって実に不幸だった。
 102周でのリスートを見ると、そこでディクソンは確かにフライングをしていた。でも、イエロースタートだった。スタートは切られなかったということ。リスタート実現せず=レースは再開されてないのだからフライングじゃないのでは? ターン1行く前にディクソンは抜いた相手にポジション譲ってたし=イエロー中の追い越しにも当たらない。こうした指摘に対してバーフィールドは、「そうとは限らない」と言った。イエロースタートの原因になる動きをした責任を取らされる場合もあるという。もしそうだとしたら、102周目ディクソンの動きがそれに当たると強弁して、ペナルティの訂正などしなければ良かった。でもそうしなかった。彼のここでの解答は誤り。他の点では全部正直に自分の非を認めてたけれど。


ディクソンは意地を見せたが、後味に悪さは残る
 103周目にディクソンはフライングをしたのか? その疑いがあったからテープを見た。バーフィールドたちが間違いに気づいたのはレース後だったという。そこで彼らは103周目のリスタートをチェックし直し、ディクソンがフライングをしていなかったことを確認したということだ。
 リードラップ最下位の17位まで落ちたディクソン。11位まで挽回してのゴールは見事だった。しかし、21位スタートから3位までグイグイと順位を上げていったレース前半の走りを、ペナルティ後に再び見ることはなかった。ハンドリングが悪くなっていたようだ。それでも、最後にポイントトップのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)をパスして意地を見せた。


2012年6月19日火曜日

ジャック・アマノのインディな1日:アクロン、ミルウォーキー往復。ローカル空港の移動でネット難民になる

ハロー、エブリワン!
ミルウォーキーはまたしてもガックリなレースとなってしまった、for 琢磨&琢磨ファン。
アグレッシブにガンガン行ってたんだがね。
クラッシュが多いって言う人はいる。実際否めない。でも、インディーカーに来てからの彼が実現したオーバーテイクの数、桁違いに多いよ。近年のメジャーどころと比べても、楽勝で上回ってる。

レースは、テキサス見た後だけにオーバーテイクシーンが少なめと感じたな。ちょっと期待し過ぎた? 欲張り過ぎか。ドライバー的には、難しさのレベルからも今回の状況でオッケーって人と、も少し接近できる方が良いのでは? という意見、両方あった。

と、レースの話はまた後ほど。
今回は、インディー前とインディー後に基地にしているアクロンとミルウォーキーの往復だった。

 ミルウォーキーってエアトランのハブなんだね。初めて知った。アクロンとの間に直行便が飛んでた。乗り換えナシはありがたい。
 アクロンもミルウォーキーも空港が小さいので、チェックインもセキュリティも列が短い。あ、ここでの比較対象はクリーブランドとシカゴ・オヘア。アクロンからクリーブランド空港は60分程度で、オヘアからミルウォーキーは90分程度の距離なんで。どちらも巨大都市で、便数は断然多いけど、空港の混雑はローカル空港とは段違い。

 レンタカーは、やっぱり頼んでたヒュンダイ・ソナタが出て来ず、しかもシボレー・マリブをまたも押し付けれそうになったんで、「なにとぞ小さいクルマに!」と哀願。そしたら、ニッサン・ヴェルサを貸してもらえた。さすがに日本車のコンパクトサイズは燃費いいね。発進加速がエンジンの唸り声にマッチしてなかったけど、リッターあたり14.7kmならマンモスハッピー。
 アクロンへと帰る日曜日、ミルウォーキーの空港にいつもの如く早く到着したんで、ネットでもと思ったらシカゴと同じくケチ組だった。1時間で4ドル50(税抜き)は高~い!
そこで、フライト内Wi-Fiがエアトランにはあったではないか、と試そうとしたんだが、コレがまた有料。4ドル95セントは2時間弱のフライトにしちゃ高過ぎ。アクロン空港はタダなのに。フロリダのタンパもタダだった。ボストンだったか、ボルティモアだったかは、タダだけどコマーシャル見てからじゃないと繋がらないようになってた。短いの1本だけだったけど。

次は連戦の最後=アイオワ。シカゴまで飛んで、そこからはクルマでトコトコ行く。5時間ぐらいのドライブだったか……。2年前は凄い暴風雨に遭った。今年はダイジョブか? リクエスト入れてるソナタは出て来るだろか?? 今度はダラーじゃなく、スリフティにしてみてたが???

2012年6月18日月曜日

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント44 「順調にポジションアップしていましたが、こういう形での4戦連続リタイヤは厳しいです。アイオワもとにかく一生懸命にがんばるしかないです」

周回遅れのマシンと接触して悔しいリタイヤ

 インディー500では優勝争いを演じ、デトロイトでもテキサスでもスタートポジションから大きくポジション・アップしていた佐藤琢磨だったが、今回は周回後れのマシンとターン1で接触し、スピン&クラッシュ! リタイアの憂き目に遭った。
 スコット・ディクソンやウィル・パワーら、琢磨と同じように「予定外のエンジン交換」で10個のグリッド降格というシビアなペナルティを受けたドライバーたちが、ミルウォーキーのレースでは奮闘を見せていた。
 しかし、琢磨のレースは折り返し点にあと僅かという108周目で幕切れとなった。

クルマはベストではなかったけれども順調にポジションアップできていました

Jack Amano(以下――):順調に進んでいたレースと見えてたんですが、実際はどうでしたか?

佐藤琢磨:いや、本当に残念! スタートから話しましょうか? スタートはすぐ前のマシンがなかなかスタートの列にくっついてくれなくて、全然追いつかないバラけたまんまのスタートになっちゃってました。そこからレースが落ち着くまでには数周がかかったんですけど、その後も少しずつポジションアップしてって、何台かを抜くのには結構苦しんでたこともありましたけど、その後はクリーンエアが当たるようになって、そこからはペースもグッと上がって、トップグループというか何というか、先頭集団を追いかけて、追いついて、イエローになる前にピットストップに入りました。

――順位を上げていってましたよね?

佐藤琢磨:そこまではすごく順調だったと思います。ポジションも上がっていってた。クルマはベストの状態ではなかったけれども、他のみんなもかなりドライビングに苦労をしていたみたいでしたね。

――路面コンディションは悪かったですか?

佐藤琢磨:今日はスタート前に雨が降ったので、グリップが低くなって、オーバーステアが強くなってましたね。

――ピットでのセッティング変更は?

佐藤琢磨:ピットで多少の作業をして(セッティング変更をして)、クルマも良くなって、そこから再アタックっていう感じでした。

――2列でのリスタートはどうでしたか?

佐藤琢磨:2回リスタートがあったのかな? どちらもで感じたのは、すごいペースが遅かったことでしたね。非常に大混乱のスタートになってました。1コーナーに4ワイド、5ワイドとかになってた。

――ポジションアップができてましたよね?

佐藤琢磨:5ワイドとかになっても何とか切り抜けて行けていたので、ピット・ストップで順位を落とした時もあったけど、トップ10に近づいて行けて、12位まで上がってたのかな? そんなに悪くはなかったと思いまね。まだレースは先が長い状態だったし。

パワーと争っていたときに、ジェイクスと遭遇

――しかし、アクシデントは起きてしまった。

佐藤琢磨:はい。再スタートを切った後にウィル・パワーとの争いになってて、今年からブロックというかディフェンスはオッケーになったワケで、彼もかなりディフェンスしながらの走りだった。それで2台ともスピードが落ちて、後ろにいたジェイムス・ジェイクスがアウト側から並んで来た。ウィルはちょっと前を走って、その後ろで僕とジェイクスは並んだ。ちょっとよくわからないのは、彼はもう完全にラップダウンだったので、僕としては彼とレースをしてない状況だったわけですよね。で、1コーナーに入る前に完全に並んでいたので、そこで譲る意味もないし、そのまま1コーナーに入ってったワケだけど、結果的にはかなりラインがタイトな状態で入って行って、非常に滑り易くなってたんでしょうね、1コーナーのイン側は。それで最初に前のグリップが抜けて、次に後ろも抜けて、フラフラになってしまってポジションをホールドできなくなって、コンタクトって状況でした。ラップダウンの彼があそこまでガムシャラに張り合う必要ってないと思う。スンナリ行かせないまでも、僕はインサイドだったし、ラインをホールドしたかったんですけど、それができない状況になってしまっていた。

――同じタイミングでJR・ヒルデブランドがストップしていました。

佐藤琢磨:彼はエンジンブローしてて、わからないけど、その影響もあったのかもしれませんね。オイルは落ちてたんでね、それを拾ってる可能性はあります。ともかく、色んなものが複合的に重なっちゃって、それまではあぁいう状況でもまったく問題なかった。

――今回も大きく順位を上げていたのに……という展開ですが?

佐藤琢磨:全体の流れとして、あのポジションからのスタートだったから、本当に少しずつ、少しずつ順位を上げて行くって感じだった。それでも真ん中あたりまでは順位を上げることができていたので、そこからの展開次第では良かったと思ってるんですけど。すごい残念!

他車の後ろにつくとダウンフォースの抜けが大きい

――ショートオーバル用マシンの現行仕様では、ミルウォーキーのレースはかなり難しかったですか?

佐藤琢磨:タービュランスはかなりすごくて、他のマシンの後ろにつくとダウンフォースの抜けがすごかったですね。それは感じた。だから、去年よりこのコースでの追い抜きは難しくなってたと思います。

――雨で一端気温は下がりましたが、結局は暑くなってましたね?

佐藤琢磨:あの雨で路面コンディションは劇的に悪くなってました、。雨が降って、しかも温度が上がりましたからね。そうした中で、みんなのタイムの落ち込み具合に比べて、僕らはそんなに劇的に悪くはなかった。その視点からすると、今回の僕らのレースは決して悪くないものになってたんですよね。

――パフォーマンスは良いのに4戦連続のアクシデントでのリタイア。歯痒いところと思いますが、どうですか?

佐藤琢磨:歯痒いです。非常に残念。とにかく良いレースをして完走をしたかった。こういうカタチで4戦連続リタイアっていうのは、ちょっと厳しいですね。

「ここでのクルマ作りがアイオワに反映することを期待します」

――次戦アイオワは去年良い戦いを見せたコースです。

佐藤琢磨:そうですね。テストに行けてないのでわからないけども、ショートオーバルは今回が初めてだったけれど、決勝には何とか帳尻を合わせることができていたと思うんですよ。だから、ワンステップ遅いところからスタートしてて、テストできてない分厳しいところは確かにありますけど、アイオワではここでのクルマ作りっていうのが反映されることを願って、走行開始から順調に行くことを願ってます。それと、アイオワは予選の方式がいつもと違うものになるんですよね? ヒート制のレースになる。そこでクルマ作りという面では何とかなるチャンスがある。僕にとっては、単独走行の予選よりは、そっちの方がやり易いかもしれない。今のチームの環境では、そっちの方が良いかもしれないですよね。予選までに良いクルマができるとは思わないから。わずか1時間とか1時間半のプラクティスでは。ということで、アイオワからもとにかく一生懸命に頑張るしかないです。

2012年6月17日日曜日

2012 INDYCARレポート:第8戦ミルウォーキー 決勝 優勝はライアン・ハンター-レイ


   ライアン・ハンター-レイの速さはレースを通して安定していた。序盤はダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)の、中盤からはエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)やEJ・ビソ(KVレーシング・テクノロジー)の後ろを走ったが、落ち着いた戦いぶりで、燃費セーブとタイヤ・セーブを心がけていたようだった。 フランキッティはテキサスに続いてハンドリングトラブルに悩み、ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)はエンジンブローでレースを終えた。
 スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は21番手スタートから3位まで順位を上げたが、フライングの判定を受けてピットをドライブスルー。17位までポジションダウンさせられ、11位フィニッシュに甘んじた。そして残念なことに、インディーカーの下した判定=「ディクソンのフライング」は誤りだった。
 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は序盤こそポジションを上げて行っていたが、最終的にはハンドリングが悪化し、12位でゴールした。
 ハンター-レイがトップに躍り出たのは148周目。その後は誰にも背後を脅かされなかった。トニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)は5秒以上遅れてゴールした。
 3位争いは最終ラップでジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)がオリオール・セルビア(パンサー-ドレイヤー・レインボールド・レーシング)をパスし、表彰台の最後の段に上った。
 ハンター-レイにとってディクソンは脅威となり得たか? その可能性は少なからずある。インディーカーの判定ミスは非常に残念なことだ。
  佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、24番手スタートから12位まで順位を上げたが、108周目にジェイムズ・ジェイクス(デイル・コイン・レーシング)と接触、リタイアとなった。ジェイクスは周回遅れだった。

2012 INDYCAR スペシャルコンテンツ:「テキサスでペナルティだったのに、なんで琢磨は今回も10グリッド降格なの?」皆様の質問にお答えしま〜す!

本日(6月17日)2:40に配信のジャック・アマノのINDYCARレポート メールマガジン・プレミアムでは、皆様からの質問にお答えして、佐藤琢磨が2戦連続でグリッド降格ペナルティを受けることになった理由、青島での開催がキャンセルになり候補に挙がっている代替開催場所、なぜかうまくいかない中国開催のお話を配信しました。
 いろいろ話題が広がりすぎて、2600文字を超える(雑誌だと3〜4ページ級)の長編になってしまったので、ここではダイジェストをお送りします。

全文はメールマガジンにて(これまでに配信されたバックナンバーも全部読めます)ご覧下さい。

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皆様の質問にお答えしま〜す!
 インディーカー・ファンの皆さん、コメントやクェスチョン、ありがとうございます。
メールマガジン・プレミアムでは皆さんからの質問にできる限り、お答えして行く所存です。

今回、サイトの方にコメントいただいたものにお答えします。

2012 INDYCARニュース:トイレットペーパーブランドの弱々しいカラーリングがポールポジション、今大会は微妙なマシンが多い?/第8戦ミルウォーキー新カラーリング車両

第8戦ミルウォーキー・インディーフェスト マシン・カラー・ガイド

Photo:INDYCAR\LAT USA
ライアン・ブリスコーは今回も日立がメイン。ウィル・パワーのヴェライゾン号との見分け方はウィングのエンドプレートの色。ブリスコーは赤で、パワーは黒。ノーズのカーナンバーも、ブリスコーは赤。パワーは黒に赤枠。個人的にペンスキーのこの2台のカラーリング・センス、あんまり評価してないんだなー。

エリオ・カストロネベス白/黄/青のペンスキー・トラックレンタル・カラー。個人的に、このカラーリングは好き。ちょっとノスタルジー入って……なのか。