2011年4月23日土曜日

2011 INDYCARインサイドコラム4 R3ロングビーチ “ビソのクラッシュは実にこれで今シーズン5回目”

ビソといえばクラッシュ、というイメージがいまや定着

 KVレーシング・テクノロジー・ロータスのEJ・ビソは、一昨年のデビュー以来、クラッシュを重ねてきている。その数を正確に数えてきてはいないが、ライバルたちよりもかなり多いのは確かだろう。今年のセント・ピーターズバーグでの開幕戦で、彼は走行開始からのプラクティス3 回で3回クラッシュした。

2011 INDYCARインサイドコラム3 R3ロングビーチ “ザ・スリル=ポール・トレイシー、今回は不発”

Photo:INDYCAR(Chris Jones)

2011年4月20日水曜日

2011 INDYCARインサイド&ニュース R3 ロングビーチ “プラクティスにレッドを投入するケースが増加中。その理由は?”

新スペックとなったロングビーチのレッドタイヤ
 ファイアストンは、ロングビーチに新しいストリート用レッドタイヤ(ソフトタイプ)を持ち込んだ。
 レッドはブラック(ハードタイプ)よりグリップが高く、ファイアストンとしては1周につ0.3秒~0.5秒程度速いラップタイムで走ることが可能という性能を目指している。ただし、レッドの耐久性はブラックに劣る。

2011年4月19日火曜日

2011 INDYCARレースアナリシス R3ロングビーチ 隠れた勝負のアヤ、23周目のピットタイミング考察

実はもうひとつあった琢磨上位進出のための選択肢

 レース後に佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は、「2ストップでも3ストップでも行けるよう幅を持たせていた」と彼らのを作戦を語った。スタート用に選んだタイヤはブラック(ハードタイプ)。出走27台で予選22位という後方グリッドからの発進だったのだから、このチョイスは極めて妥当だった。
 琢磨陣営は2ストップで戦って10位までポジションアップし、フロントグループでのアクシデント発生で6位を走った。その直後に追突されて上位フィニッシュを潰されたワケだが……。

2011年4月18日月曜日

2011 INDYCARインサイドコラム2 R3ロングビーチ “ロングビーチのリスタート、その評価と反省”

レースデイのドライバースミーティングで、スタート時に列と列の間隔を1車身空けることを指示された結果、最初のスタートは2列スタートとは思えないほどバラけたものになってしまった。
Photo:INDYCAR(LAT)

2011 INDYCARインサイドコラム R3ロングビーチ “なぜマイク・コンウェイは衝撃的な逆転でINDYCAR初勝利を遂げられたのか?”

INDYCAR25戦目での初優勝は堂々たる内容であった。Photo:INDYCAR(LAT)

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント20 R3 ロングビーチ Race Day 決勝「最後のスティントは燃料の心配もなく、タイヤもレッドの新品で完璧だっただけに、結果につなげれられなかったことはとても悔しい。ただ、チームも自分もベストを尽くせていたと思います」

第3戦 トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ
Round3 Toyota Grand Prix of Long Beach
Streets of Long Beach

ロングビーチ市街地コース
カリフォルニア州ロングビーチ
全長:1.968マイル(=約3.167㎞)×85周
コースタイプ:ストリート
Race Day 4月17日
決勝 21位フィニッシュ 1時間53分53秒0446(4周遅れ)

ブラックからレッド、そしてまたレッドへ。今日のKVレーシング・テクノロジー・ロータスはタイヤチョイスも完璧で、ピットストップもまた確実かつ迅速だった。
Photo: Jack Amano

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース R3ロングビーチ Race Day “決勝スタート方法は第2戦バーバーと基本的に同じに”

ポールシッターのパワーは左側スタートを選択

 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、今日のレースを進行方向の左側からスタートする。ポールシッターにはスタートする再度を選ぶ権利が与えられているのだ。
 決勝日のドライバーズミーティングでINDYCARのオフィシャルから出された注意事項は、
「リスタートは基本的に同じ」
「重要なのは列と列の間の間隔」
「バーバーと同じように少なくとも1車身のスペースを保つように。「だいたい1車身~1.5車身あればよいと思う」
「ヘアピンではペースカーと同じスピードを保ち、“ブレーキチェック”はしないように」
など。
 スタート、リスタートでの加速開始位置は路面に2本の白線が引かれた部分で、コース右側のフェンスと、コース左側のコース上にコーンもセットされる。

最終ターンを回った直後に2列隊列を組むことに

 ロングビーチは最終ターンが非常にタイトなヘアピンなので、1列で通過する。最終ターンを回った直後に隊列を2列にしなくてはならない。加速開始地点に至るまで全車は等速を保ち、できる限り多くの列が最終ターンをクリアしてストレート上に出てスタート準備を整えられるようにする。
 スタート&フィニッシュラインを超えたらオーバーテイクも、ライン変更もOK。ターン1付近では、ピットレーンとメインストレートを隔てる壁が終わった後でも、ピットレーンの延長線上のスペースまでワイドな走行ラインを採ることは禁止。
 なお、ターン1を曲がれず、ターン5側へショートカットしてレースに戻った場合は、ピットで15秒停止のペナルティを受ける。
 

2011 INDYCAR インサイド情報&ニュース R3ロングビーチ Race Day 決勝タイヤリスト 琢磨はブラックでスタート

上位陣は順当にレッド、ブラックは7台がチョイス
 ウォームアップが終わり、各チームのスタートタイヤの申告が終わり、INDYCARがリストを発表した。
 予選上位陣は、今シーズンのこれまでの2戦と同じようにレッドタイヤ(ソフトタイプ)でスタートする。ブラックを選んだ中で最上位グリッドのドライバーは、予選12位のライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)で、彼の他に6人がレッドを選んだ。それらは、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)ラファエル・マトス(AFSレーシング)、ダニカ・パトリック(アンドレッティ・オートスポート)、。佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)、ポール・トレイシー(ドラゴン・レーシング)、アナ・ベアトリス(ドレイヤー&レインボールド・レーシング)だ。
 因みに……だが、開幕戦セント・ピータースバーグでは4台、第2戦バーバーでは5台がブラックでスタート。今回はそれが7台となった。スタート台数に対するブラック選択の割合はほとんど変わっていない。
 アンドレッティ・オートスポートは予選で上位につけた2人と、そうでない2人で作戦を分けた。ダニカはバーバーに続いてのブラックスタートでリベンジを狙う。

KVレーシングはビソと琢磨がブラック、カナーンはレッド
 KVレーシング・テクノロジー・ロータスは、予選10位のトニー・カナーンが他の上位陣同様のレッドでのスタートを選択。予選17位のEJ・ビソはレッドでスタートし、予選22位の琢磨はブラックでスタートと、敢えて作戦を分けたようだ。どちらが吉と出るか。
 なお、各チームの申請はレッドとブラック(ハード・タイプ)のどちらを使うかのみで、新品か、ユーズド(プラクティスや予選で何周かを走ったもの)かは、実際にレースが始まる時になってみないとわからない。また、ユーズドであっても、1周のスクラブのみでほぼ新品というケースもある。
 
第3戦 スタートタイヤチョイス予選1位 ウィル・パワー          レッド
予選2位 ライアン・ハンター-レイ      レッド
予選3位 マイク・コンウェイ        レッド
予選4位 オリオール・セルビア       レッド
予選5位 ジャスティン・ウィルソン     レッド
予選6位 エリオ・カストロネベス      レッド
予選7位 ダリオ・フランキッティ       レッド
予選8位 スコット・ディクソン        レッド
予選9位 アレックス・タグリアーニ    レッド
予選10位 トニー・カナーン        レッド
予選11位 ジェイムズ・ヒンチクリフ    レッド
予選12位 ライアン・ブリスコー     ブラック
予選13位 ビトール・メイラ          レッド
予選14位 マルコ・アンドレッティ     ブラック
予選15位 セバスチャン・サーベドラ     レッド
予選16位 グレアム・レイホール      レッド
予選17位 EJ・ビソ              レッド
予選18位 シモーナ・デ・シルベストロ   レッド
予選19位 ラファエル・マトス         ブラック
予選20位 ダニカ・パトリック         ブラック
予選21位 セバスチャン・ブルデイ    レッド
予選22位 佐藤琢磨            ブラック
予選23位 ジェイムズ・ジェイクス     レッド
予選24位 チャーリー・キンボール    レッド
予選25位 ポール・トレイシー       ブラック
予選26位 アナ・ベアトリス        ブラック
予選27位 JR・ヒルデブランド       レッド

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント19 R3 ロングビーチ Race Day ウォームアップ 「レースに向けて安定したクルマを作るという課題は、かなり達成できたと思います。ただ、今日のウォーウアップ気温が決勝ともまったく異なるでしょうから、そこは気をつけないといけないですね」

第3戦 トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ
Round3 Toyota Grand Prix of Long Beach
Streets of Long Beach

ロングビーチ市街地コース
カリフォルニア州ロングビーチ
全長:1.968マイル(=約3.167㎞)×85周
コースタイプ:ストリート

Race Day  4月17日
ウォームアップ  1分11秒3091  12位  18周走行

天候:曇り
気温:17℃
路面温度:24℃
朝もやがかかった決勝日のロングビーチ。ウォームアップは曇天のまま終了。
Photo: Jack Amano
曇天下のウォームアップ、気温も低いコンディションに

 金曜日、土曜日と朝から快晴だったロングビーチだが、決勝日の朝はコースもダウンタウン・ロングビーチも朝靄に包まれた。曇が空を覆ったままで、肌寒さを感じるコンディションでウォームアップは始まった。曇り空の下、昨日の予選時と比べると気温は14℃低く、路面温度は24℃低いまま30分間のセッションは終了した。
 佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は、新しいブラックタイヤ(ハードタイプ)で走り出て1周。次に新品のレッドタイヤ(ソフトタイプ)を装着して1周。その後に昨日のプラクティス3回目で最後に使ったブラックで走り、最後に昨日の予選で6周を走ったレッドを投入。両タイヤでのセッティングのチェックを行っていた。
 全部で18周を走った琢磨は、17周目にベストとなる1分10秒3091をマークした。27台出走中の12番手のタイムだった。トップはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の1分10秒3019だった。
 今週のKVレーシング・テクノロジー・ロータスはマシンを思うようにスムーズに仕上げてこられなかったが、決勝日に向けてのセッティング変更は成功だったようだ。昨日までのセッティングからさらに変更を施したマシンは、フィーリングが向上。予選では不本意なパフォーマンスしか見せることができなかったが、決勝を前に彼らはは再び勢いを取り戻した印象だ。


決勝ブラックスタートの可能性も

 琢磨のウォームアップは、いつもレースに備えたタイヤのスクラビングで始まる。今回はブラックとレッドを1セットずつスクラブ。レッドの皮むきをするのは今回が初めてのことだった。また、ブラックは1セットしかスクラブしなかったので、チームとしてはレースをレッド主体で戦うことをすでに決めていると見られる。そして、琢磨がブラックでスタートと切ることも十分に考えられる。

ウォームアップを終えてエンジニア、バッサーとマシンフィールを説明する琢磨。
Photo:Jack Amano
「レッドとブラック、両方のチェックが出来ました」

――ウォームアップは良い成果を得られましたか?

佐藤琢磨:はい。昨日から前進することができました。レースに向けて安定したクルマを作るというのが課題でしたが、そこは結構うまくいったと思います。

――昨日よりもマシンに安定感が出たのですか?

琢磨:そうですね。アグレッシブに攻めて走る方向性から、このコースはものすごくバンピーな上に路面のコンディションも変わっていくので、どんな状況でも安定したクルマとなるような方向性にマシンを変えようと考えて、それが今のウォームアップでは達成できていたと思います。

――今回もウォームアップではブラックとレッドの両方をトライしていましたが、どちらのタイヤでも良いフィーリングを得られたのですか?

琢磨:昨日の予選から得た感覚っていうのかな? そのままで、ロングランとまでは行かないまでも、セミロングランぐらいはできたので、両方のタイヤのチェックは一応できて、フィードバックをしました。でも、昨日も話した通り、今のウォームアップは昨日とは気温が全然違っていて、多分決勝とも全く違うものとなるはずだから、そこらへんはレース用のセッティングを決める際に十分に気をつけないといけないですね。

――ウォームアップでもチームメイトたちは琢磨選手と違うことをトライしているんでしょうか?

琢磨:はい。違うことをやっています……というか、それぞれが自分のレースカーになっていますね。
――決勝用のマシンセッティングには、今のセッションでのチームメイトからの情報もさらに盛り込んで行くことになりますか?

琢磨:はい。そうなると思います。

――今日は22番グリッドからのスタートですが?

琢磨:スタートは特に気をつけて、できる限りポジションアップをしていきたいですね。

Photo:Jack Amano

2011 INDYCAR レースプレビュー 第3戦ロングビーチ決勝直前プレビュー:レースでのタイヤチョイス考察

バーバー以上にオーバーテイクが難しいロングビーチ

 第2戦ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマでトニー・カナーン(KVレーシング・テクノロジー)はブラックタイヤ(ハードタイプ)で24位スタートし、6位まで順位を上げてフィニッシュした。ロングビーチではブラックでスタートするドライバーが結構いるかもしれない。ここはアラバマ以上にオーバーテイクが難しいし、アクシデント発生の可能性が高いとなれば、3ストップが功を奏する可能性が高いんじゃないだろうか?

セオリーはレッド→ブラック→中古レッドだが

 今、ドライバーやチームの間に定着しつつあるセオリーは、新品のレッド(ソフトタイプ)でスタートし、中盤をブラックで凌いで、終盤を中古のレッドで戦うというもの。レースが進むにつれて路面ができあがってくるので、中古であるためにライフが少し短く、グリップも少し低くなっているレッドでも大きな問題にはならないという考え方だ。
 しかし! 本当にレッドでのスタートが正解なのだろうか? もうひとつ疑問。スタート時のレッドは本当に新品を投入するべきなのか?
 オーバーテイクが難しいロングビーチのようなコースであれば、ブラックでスタートすることが効果を発揮する可能性が高いんじゃなかろうか? せめて、ブラックを選ばないならレッドは中古にするのがいいのでは?? 

3ストップ作戦が功を奏す予感も

 スタート直後は確かに順位を上げるチャンスだ。レッドの新品で最大のパフォーマンスを手に入れたいとドライバーたちが考えるのも理解できる。しかし、序盤はフルコースコーションが出る可能性が高い。そして、レース中盤はロングランになるケースが多いのではないか。だったら、新品のレッド、そっちにとっておいた方が良いんじゃないですか?
 ブラックでスタートして、レッドを続けて2セット投入する2ストップ作戦にするか、バーバーでのカナーンのように、ブラックスタートでの3ストップ作戦にして、3セットのレッドを次々と注ぎ込む。予選の第1ラウンド敗退でレッドが2セット残っているなら、ロングビーチでもこの作戦、トライしてみる価値があると思う。3ストップにするなら、スタート時の搭載燃料は少なめにできるので、ブラックの不利を少しは減らすことができるだろうし。
 

2011年4月17日日曜日

2011 INDYCAR レースプレビュー:ロングビーチの歴代ウイナー……アンドレッティ家にアンサー家、現役最多はトレイシー

 CARTインディカー・ワールド・シリーズによるトヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチは、マリオ・アンドレッティの連勝(彼はF1時代にも1勝している)で始まった。息子マイケルの勝利(キャリア初優勝)を挟んでマリオが3勝目を飾ると、その後にはアル・アンサーJr.の4連勝があって……と、CART時代となってから8年間に渡ってアンドレッティ家とアンサー家のドライバーたちだけがロングビーチの勝利を独占した。

2011 INDYCAR R3 トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ Day2 予選レポート ペンスキーに明暗。パワー3連続ポール獲得、ブリスコーはファイナルステージに進めず

Photo: INDYCAR(LAT)

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント18 第3戦ロングビーチ Day2 予選「レッドのグリップがすごく上がり曲がらないクルマになった。決勝に向けてレッドとブラックのバランスの違いを見てクルマを仕上げていく」


Photo: Masahiko Amano(Amano e Associati)


2011 INDYCAR インサイド情報:ロングビーチ戦のタイヤおよびオーバーテイク機能の仕様を公開

 レッドタイヤは新スペックのストリート用が投入される。オーバーテイクボタンの使用は20回まで可能。

2011 INDYCAR 佐藤琢磨コメント17 第3戦ロングビーチ Day2 プラクティス3「昨日よりもずっと良く、攻め込んでいける状態にきた。予選では新しくなったタイヤにあわせていけるかがカギになる」

3回のプラクティスではフロントサスペンションの変更が頻繁に行われた。ボディ下面にマウントされているダンパー/スプリングユニットの調整、交換が繰り返されていた。
Photo: Masahiko Amano(Amano e Associati)

2011 INDYCAR レースプレビュー:ロングビーチ プラクティス3の前に再確認。P1からP2で調子を上げた選手、落ち込んだ選手

アンドレッティ・オートスポーツ勢はコンウェイを除いてハンター-レイ(写真)のセッティングを利用し状況を改善。
Photo: INDYCAR(LAT)

2011 INDYCAR インサイド情報:ロングビーチで琢磨のセレクトした14番ピットは穴場ポジション!? 選手のピット選択権の話

今回琢磨は、ほぼ真ん中の14番ピットを選んだ。真後ろがタイミング&スコアリングで、アレックス・タグリアーニとのピットとは大きく離れているため、ピットインをスムーズに行えるアドバンテージあり。前はアナ・ベアトリスだ。
Photo: Masahiko Amano(Amano e Associati)