2012年7月14日土曜日

ジャック・アマノのインディーな一日:エドモントン カナダの休日 その3 エドモントンを黄色く彩る一面のキャノーラ畑

一面に広がるキャノーラ畑。エドモントンの郊外に出ると、
まるで絵画のような光景が広がります。
Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati
絵画のような光景はあの油の原料!?

 エドモントンて、フラットな地形をしてるんです。西に300kmとか400km行くとロッキー山脈があるんだけど、この辺りはペターッと平ら。で、郊外に行くと一面黄色! というシーンに出くわす。少し黄緑に近い黄色。これが太陽の光を浴びると、かなりの鮮やかさ。
 この花がキャノーラなんだって。今日、初めて知った。すり潰せば食用油ができる花。キャノーラ油ってコトバは、もう随分前にテレビCMとかで聞いたことがあったけれど、原料が名前の由来なんだろな‥‥ぐらいで止まってて、その正体が何なのかとかはまーったく気にしてなかった。今日、地元の人に「ところで、あの黄色い花はな~に?」と聞いたら、教えてくれた。
 菜種油なんてコトバもあるけれど、キャノーラはカナダが原産で、菜の花よりも含んでる成分が健康的なんだって。
 まだエドモントンのレースまで時間があるんで、カナディアン・ロッキーにでも出かけて来ようと思ってるところデス。では~っ!


フラットな地形に広がるキャノーラの地平線
Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati

ジャック・アマノのインディーな一日:エドモントン カナダの休日 その2 レンタカー日記 at エドモントン 長逗留なのでエコノミー指向のフォード・フィエスタ

ホンダ・フィットをほうふつとさせるフォード・フィエスタ。
後ろは宿泊しているトラベロッジ。古風なモーテルだ。
Photo:Masahiko Amano\Amano e Associati
ハーツといえばフォード!?

 今回はエコノミーな車をリクエストしてみた。ヒュンダイ・ソナタに執着し、一切報われなかったことも影響して。運よくキア・リオとかが出て来ないかなーなんて期待しつつエドモントン入り。
 スリフティとかバジェットとかは保険料プラスで結局高いものに、なんてこともあるし、今回はレンタル期間が長いから、ド新車が出て来る確率の高いハーツにしてみた。ゴールド・サービス・メンバーだと、レンタル手続きとかもナシで楽々だし。
 ハーツのロットで待っていたのは、フォード・フィエスタだった。ホンダ・フィットに似てるなと思わない? 走りもソコソコ気に入りました。これには2週間も乗る予定だし、ちょっとした遠出も計画してるので、そのへんは大事。
  現在の泊まりは、モーテルの原型みたいな建物のトラベロッジ。築何年だろ?

ジャック・アマノのインディーな一日:エドモントン カナダの休日 その1 ティム・ホートンズのドーナツをトライ


ティム・ホートンズのメイプル・ディップドーナツ。習慣化が怖くなるほどの
おいしさ。さすがはメイプルシロップの本場だ。
Photo:Jack Amano\Amano e Associati
メイプルシロップの本場でドーナツを食す


 カナダといえばティム・ホートンズ。近頃はアメリカにも進出しているカナダをルーツとするドーナツメインのファストフード・チェーンだ。カナダだけで3000以上と、3,400万の人口に対してメチャ多い店舗数を展開中。何年も前だけれど、ニューヨーク州バッファローからトロントまで走った時、その行程の高速の全出口に店があった。ホントの話。街中でも、「こんなに必要か?」って思うぐらいアチコチで見かける。一時の東京のスターバックス以上。アメリカ、ジョージア州アトランタ界隈におけるワッフルハウス以上の多さ。今はエドモントン郊外に泊まってるけれど、ホテルから右に行くと1ブロックぐらいで1軒あって、左に行っても1km以内に1軒ある。
 トロントでは、ホテルから2ブロック歩いた角に結構大きなティム・ホートンズがあった。で、そこで見つけたのが、写真の「メイプル・ディップ」というドーナツ。チョコ・ディップやハニー・ディップの存在は知ってたが、メイプル・シロップものがあると初めて知った。さすがカナダの名産。コレはトライするしかないだろうと頼んでみたが、正解だった。実に美味しかった。しかし、習慣化が怖いので、エドモントンに来てからは店に近づかないようにしている。

2012年7月13日金曜日

2012 INDYCAR ニュース:インディカー・モラルハザード! トロントのレース後、またも発覚した車検での違反! さらにインディー500でも主要チームが違反

トロント3位のコンウェイ、燃料タンク容量違反が発覚
 トロントで3位フィニッシュしたマイク・コンウェイ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)。彼はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)や、ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)と同様に、序盤のフルコース・コーションまで燃費良く走っており、その後にピットストップせねばならない状況に陥って大きく順位を下げた一人だった(4位~16位)。
 その位置から表彰台まで挽回したコンウェイのドライビングは見事の一言に尽きる。しかし、彼の奮闘に残念ながらケチがつけられた。レース後の車検で14号車の燃料タンクは規定サイズ・オーバーと判明。インディーカーは彼らのエントラント・ポイントを10点剥奪し、15,000ドルの罰金を課すと発表した。


しかし、その処分はまたもお手盛り!?

 14号車のタンクは、規定=18.5USガロンよりどれだけ大きかったのか? その数字をインディーカーは明らかにしない。同じ違反をアイオワで取られたシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)のケースでも、どれだけ大きなタンクを使っていたかは発表されなかった。ただ、パジェノーの時は、「レース結果に影響を与えたとは考えられない」とインディーカーはコメント。コンウェイのケースでは、「順位に影響を与えた可能性がある」とした。その差がペナルティに現れたということだ。パジェノーの罰金は5,000ドルで、コンウェイはその3倍。しかも、10点剥奪のオマケつき。しかし、燃料タンクの容量が大きいというのは、かなり重大な違反。即・失格となるべきだと思う。コンウェイは第一スティントを長く走ったことで不利に陥ったのだから、燃料タンクが大きかったのはマイナスに作用したとも考えられるが……。

なんとインディー500で11台が事前に禁止を通告されていた違反を!! 
 インディー500の予選で、11台ものマシンが、事前に「禁止」と通告されていたブレーキ・キャリパー内のピストンを中へと押し込む違反をやっていた。ブレーキ・ディスクとブレーキ・パッドの間隔を広げると空力的フリクションが減る。しかし、パッドが押し広げられていると、ブレーキはすぐに効かない=かなり危険なコトなのだ。
 あまり違反の話ばっかり書いていても……と思ってインディーの時にはこの件を紹介しなかったが、その後も違反がアレコレ頻発しているのと、インディーカーが弱腰で、出場チームが傲慢という目に余る状態が続いているので、インディーで上記のインチキをしていた11台をここで紹介しておこう。

2012 INDYCARニュース:7月12日 ドラゴン・レーシングがソノマでプライベート・テスト

 カナダ2連戦は、今年は1週のインターバルあり。そこで明日(7月12日)、次の次のレースが行われるカリフォルニア州のソノマ.・レースウェイでドラゴン・レーシングがテストを行う。彼らがインディー500以降1カーへ縮小したのは、チームの予算の事情も影響していなくはないが、それよりもシボレーが2カーへの供給を行いたくなかったことが、より大きな理由だったということ。ロジャー・ペンスキーの息子がオーナーでも、物事はそうそう簡単には行かないんです。
*本レポートは、ジャック・アマノのINDYCARメールマガジン・プレミアムで7月12日(日本時間)に配信したものです。

2012年7月9日月曜日

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 54:R10 ホンダ・インディ・トロント 決勝 「ブレーキトラブルもあり、マシンのバランスも完璧じゃなかったけれど、何台かトラブルやアクシデントで落ちて来たクルマがいたので、それに巻き込まれないように、なおかつギリギリのところまで燃料を持たせようとして走ってました」

ホンダ・インディー・トロント
トロント市街地コース 1.75マイル×85周
Race Day 決勝 

9位完走 6秒5633差 

9番手スタートだった佐藤琢磨、1回目のピットタイミングが良く5位を走行
しかし、トラブルを抱えて戦いは苦しいものに


3回目の挑戦となるトロント、佐藤琢磨はマシンセッティングにも自信を持ち、85周のバトルを戦うことを楽しみにしていた。スタートではソフト・コンパウンドを使うライバルたち数人にポジションを譲ったが、1回目のピット・タイミングが良かったことで琢磨は5位にまでポジションアップ。レース展開も味方につけて上位フィニッシュを期待できる戦いに身を置いていた。
しかし、この頃から琢磨はマシンに発生した問題が悪化。フルコースコーションのほとんど出ないレースとなったことで燃費も苦しくなって、上位陣と同じペースを保つのがどんどん苦しくなって行った。


「ブレーキに問題が出て、かなり苦しい展開になりました」

Jack Amano(以下――):レース中盤までは展開も良く、上位を走れていましたが、かなり苦しいレースになっていたようですね?

佐藤琢磨:ウーン、まぁだから、最初をプライマリータイヤでスタートしてね、後半に追い上げて行く作戦でした。プライマリーでスタートしたんだけど、チームとしてはまわりより少し早めにピットインさせて、セカンドスティントを長く取ろうとしたんですけど、徐々にブレーキに問題が出て来て、制動距離がどんどん伸びてしまった。かなり苦しい展開でした。セカンドスティントはユーズドのオルタネートタイヤで出てったんですけど、ウーン……20周越えたあたりから、もうほとんど後ろは(グリップが)残ってなくて、ペースがガタ落ち。同時に、ブレーキもなくなって来ちゃったし、燃費もちょっと厳しくて、そこで大きく順位を落としてしまいましたね。

――ブレーキが調子悪くなっちゃった時点で、もうちゃんとは走れなくなっちゃったってことですよね? かなりフラストレーションの溜まるレースになってたワケですね?

佐藤琢磨:そう。もうコーナーにも思い切って突っ込めないし、ブレーキバイアスを走行中にどんどん変えてってましたね。だから、何とかバランス的にはごまかせても、全体的なストッピングパワーが足りないんで、まったく止まれなかったですね。このコースでは致命的。特に、ターン3とか、幾つかのコーナーで。

――せっかくオルタネートのフレッシュを最後に残していたのに、悔しいレースになりましたね。

佐藤琢磨:そう。最後にフレッシュのレッド(オルタネートタイヤ)を投入してからも、長くしようという考えだったセカンドスティントだったのを、早めにピットに入ってしまっていた。あと1、2周引っ張りたいところだったんですよね(琢磨のピットイン2回目は52周目。優勝ドライバー=シボレー使用=は55周目,。ホンダ使用の2、3位フィニッシャーは53周目にピット)。だから燃費がメチャクチャ厳しくなっちゃってた。もうフューエルセーブ、フューエルセーブで、プッシュ・トゥ・パスもうまく有効利用できなかった。ちょと厳しかったですね。マシンのバランスも完璧じゃなかったけれど、何台かトラブルやアクシデントで落ちて来たクルマがいたので、それに巻き込まれないように、なおかつギリギリのところまで燃料を持たせようとして走ってました。

「最後のリスタートは必ず何か起こると思ったので慎重に行きたかったです」

――最後のリスタートは、ターン1もターン3も大混乱になりました。よく生き残りましたね。

佐藤琢磨:はい。もう1コーナーからクラッシュがあって、結構大混乱でした。自分はチャンスが少しでもあったら……と考えていて、ひとつ順位を上げたんですけど、ダリオ・フランキッティの後ろで、バックストレートはもう右にも左にも行けない状況になってました。クルマ3台が並んでる状態でしたね。その中で、自分としては慎重に行きたかったですね。必ず何か起こると思ったので。そしたら、目の前でダリオとライアン・ブリスコーかな? 彼らがぶつかっちゃったので、それを回避するために減速してったら、後ろからマルコ・アンドレッティが追突して来た。でも、そこでのダメージは最小限だったし、僕自身はアクシデントがなかったので、少し順位を挽回してゴールできました。

――ブレーキのトラブルがなかったとして、今日のクルマはどの程度の満足がいく仕上がりになってたんでしょう?

佐藤琢磨:ウーン……フタを開けてみたら結構タイヤに厳しいクルマだったかな? ブレーキトラブルがなければ、今日はターン3のブレーキングで抜かれたシーンが何度かあったけれど、それを抑えることはできたかもしれないですね。そういう意味での順位で言えば、落とした分の半分ぐらいは抑えられてたかもしれない。でも、それ以外はスティントを均等に割って、タイヤの負荷を最小限にしてあげないと、今日は厳しかったですね。

――ブレーキのトラブルはかなり走り出してすぐから出ちゃってたってことなんですね?

佐藤琢磨:結構最初のスティントからでしたね。要するに、前がフェードなのか、マテリアルの問題なのか、制動力がどんどんなくなってって、リヤがロックしちゃってました。だから、どんどんブレーキバイアスを前に前に持ってった。そうしたら、もうフロントをロックさせることもできないぐらいに弱くなっちゃったので、リヤを落としてバランスを取るって感じになってた。だから、制動距離も2~3割増みたいになってたから、ちょっとキツかったですね。
「エドモントンは去年よりは厳しい戦いになると思います」

――日本のファンも多かったですね、トロント戦は。

佐藤琢磨:はい。日本から来てくれたファンも多かったし、トロントって街は大きいので、他のところからも日本の方が来てくれて、励みになりました。パレードラップしてて、幾つかの場所で日の丸がありました。多くの声をかけてもらって、嬉しかったですね。励みになりました。

――さぁ次は去年ポールポジションを獲得したエドモントンです。今年はどんな戦いをしたいですか?

佐藤琢磨:ハンター-レイに気をつけよう(笑)。なんか、調子良く3連勝? エドモントンは、去年は誰にとっても初めてのレースで、しかも雨のセッションが多くなってて、ドライは1回走っただけで予選を迎えたんですよね。だから、僕にとってはまったくディスアドバンテージがない状態で、それが良かったんですけど、今年は多分、去年よりも随分とコンペティティブだと思いますよ。去年より厳しい戦いになると思います。でも、ここまで自分たちはストリートで結構良いところを見せて来ているので、クルマ作りとしても、何とか今までの良いものをマシンへと反映させて、去年のリベンジというか、良い予選と決勝を戦いたいです。

――表彰台へ、行きたいところですね。

佐藤琢磨:はい。頑張って行きたいと思います。

2012 INDYCARレポート:R10 ホンダ・インディー・トロント Race Day:ライアン・ハンター-レイ優勝でミルウォーキーから3連勝

ポイントランキングもパワーを抜いてハンター‐レイが首位に

 6番グリッドからプライマリー・タイヤ装着でスタートしたライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)がホンダ・インディー・トロントを制した。ミルウォーキー、アイオワとショートオーバルで2連勝して来た彼は、これで3連勝。一気にポイントトップに躍り出た。最初のピット・ストップを行ったのがグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)のクラッシュの直前という運の良さに加えて、第2スティントはユーズドのプライマリーを使用し、最後にフレッシュレッドを投入と作戦もまんまと嵌っての勝利だった。

レースっぷりに問題あるハンター‐レイ、今後の戦いに一抹の不安
 1シーズンで3勝もしたら、間違いなくチャンピオン候補だ。しかし、ハンター-レイといえば、去年のエドモントンと今年のロングビーチと、なぜだか佐藤琢磨にばかり超楽観主義なオーバーテイクを仕掛け、衝突したお騒がせドライバー。そのレースっぷりは、およそチャンピオンに相応しくない。チャンプカーで走り出したのが03年というから、もうトップカテゴリーで走るようになって10年にもなる。しかし、このアメリカ人ドライバーは自動車レースというものにおいて、いかにしてオーバーテイクが実現されるのか、そのルールも物理もまるで理解できていない。前述の2回のアクシデントはどちらも、相手が消えてでもしまわない限り達成不可能なオーバーテイクを仕掛けたことで発生した。
 ロングビーチからはまだ3ヵ月弱しか経っていない。この短い期間で彼がオーバーテイクに対する理解度を深めたり、改めたりしたとは考えにくい。そこで心配されるのが、今以上に傲慢になった彼が、これまで以上に理不尽なオーバーテイクをアチコチで仕掛けるだろうこと。「チャンピオン争いをしている自分は優遇されるべき」なんて考え方も、彼は必要以上に強く持って行動することになる可能性が高い。ブツケられて非難されたんじゃ合わない。そうした不幸な被害者がシーズン終盤戦に多く生まれないことを祈りたい。


ドライビングスキルは誰もが認めるが……
 ストリートでもガンガン攻めて走るハンター-レイは、チームメイトのマルコ・アンドレッティ以上に怖いもの知らずの、超アグレッシブなスタイルの持ち主だ。クイッ、クイッとシャープに反応するマシンで壁などまったく恐れずに走る姿が非常に魅力的だ。彼が非常に優れたマシン・コントロール能力を備えていることは、シリーズのライバルたちも全面的に認めている。しかし、もはや若手でもないのに、競争相手に十分な敬意を払った走りを体得できていない点は、いかがなものか? 去年のことだが、彼のオーバルでの走りに対して実績豊富な某ベテラン・ドライバーが、「ヤツはまるでなってない」と厳しく批判していた。

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント53:R10 ホンダ・インディ・トロント Race Day ウォームアップ「レースが進む中で路面が変わって行く感じとかっていうのを少しはわかっているので、後半に勝負を持って行ければいいなって思ってます」

赤旗の影響でレッドでの周回数を稼げず
 予選は11位、スターティング・グリッドは9番手となる予定の佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)。決勝前の最後の走行セッション=ファイナル・プラクティスでは、ブラックとレッド、両タイヤを使って決勝用セッティングの確認を行っていた。ソフトコンパウンドのレッドでの走行周回数が、赤旗の影響もあって予定よりも大幅に少なくなり、そちらのタイヤでベストをマークできなかったため、このセッションでの順位は19番手と芳しいものとはならなかった。しかし、貴重な走行データをまたしても積み重ねることができた。

「決勝は極力ポジションを落とさないようにしっかり走りたいです」

Jack Amano(以下――):ブラックで14周、レッドで5周ほどの走行を行ったファイナルプラクティスでしたが、どういう感触でしたか?佐藤琢磨:レッドはまともなクリアラップが無かったですね。
――両タイヤの印象など、どうでしたか?
佐藤琢磨:印象としては悪くないんですけど、昨日からちょっと、何と言ったらいいんですかね、バランス? そこで手こずってたんです。それが直り切ってなくて、逆にそれが助長されちゃってる感じなんですよ。ウーン、あんまり良くなかったですね、このセッションは。その点をレースに向けて直します。まわりと比べて、相対的にあんまり速くなかったから、プラクティスセッション3に似ちゃってますよね。
――ちょっと足踏み状態ですか?
佐藤琢磨:そうですね。良いだろうと思ってた方向性が、ちょっと変わってしまっていた。まぁ、今朝は路面温度が結構低かったんですけど、それでもシックリは来なかった。
――午後のレースも意外に涼しめのコンディションになりそうですよね? 金曜のような蒸し暑さにはならなさそうな。
佐藤琢磨:はい。そうですね。一昨日ほどには気温、路面温度ともに上がらないということになりそうです。そういう意味では、タイヤには少し優しいから、コンシスタントな走りにできると思います。
――5列目イン側からのスタートは、どんな感じのレースができそうですか?
佐藤琢磨:トロントはとにかくバンピーだし、路面が舗装が変わることによって態勢を崩し易い。それでアクシデントに繋がるっていうケースが多いので、スタートから1コーナー、2コーナー、3コーナーまではとにかくアクシデントに巻き込まれないように、クリアに抜けたい。だから、1列でも前からスタートできる(予選順位通りなら6列目)のは大きいですよ。で、後半勝負になって来ると思います。トロントは去年だっけか、数周のラップダウンではありましたけど最後まで走ったので、レースが進む中で路面が変わって行く感じとかっていうのを少しはわかっているので、後半に勝負を持って行ければいいなって思ってます。
――5列目ってことは、トップが見えているポジションということで、作戦的にはフォロー・ザ・リーダーって感じになりますかね? 余程遅い人に引っかかっちゃうとかにならない限りは?
佐藤琢磨:うん、そうですね。ガンガン順位を上げてくって感じではないと思いますから。とにかくポジションキープは絶対で、そこから幾つ上げられるか? っていうところですね。その後は作戦だったり、展開だったりっていうところも多いと思うので、極力ポジションを落とさないようにシッカリ走りたいです。

2012 INDYCAR レポート:R10 ホンダ・インディ・トロント Race Day ウォームアップ  最速はスコット・ディクソン。佐藤琢磨は19番手

ホンダ勢がウォームアップで1‐2‐3
 気温=23℃と涼しめのコンディションで始まったファイナルプラクティス=ウォームアップセッション、59秒9117のトップタイムをマークしたのはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)だった。予選はファスト・ラップをまとめ上げることができずに5位と今ひとつの結果に終わったディクソンだが、マシンの状態は相変わらず良いようだ。
 2番手にはシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)が来た。予選ではセッティング変更が裏目に出てトップ6入りに失敗していたが、レースに向けてのマシンセッティングは良好と見える。
 3番手はマイク・コンウェイ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)。ホンダ勢が1-2-3だった。ポールシッターのダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)はレッドタイヤでのロングランを徹底して行っていた。15番手とポジションは決して良くなかったが、ブラックのデータ収集はもはや十分ということなのだろう。
 4番手はトロントで3年連続表彰台のライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)だった。彼はセッション開始からすぐに、ターン3でウィル・パワー(チーム・ペンスキー)に追突! 右フロント・ウィングを壊した。パワーの左リヤバンパーも弾け飛ぶほどの衝突だった。
このアクシデントで両車ともにピットでリペアを行って大幅にタイムロスをしていた。


佐藤琢磨は赤旗によって予定周回数を走れず
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、ブラックで14周の連続走行を行い、レッドへとスイッチ。しかし、赤旗が出されてレッドでの走行は予定していたより少ないラップ数となっていた。セッション内の自己ベストはブラックでの10周目に記録した1分00秒9577だったため、ポジションは19番手だった。
 赤旗の原因は、シモーナ・デ・シルベストロ(ロータス-HVMレーシング)のクラッシュ。ターン1イン側の縁石に乗り上げ過ぎぬよう置かれている白く塗られた古タイヤが他のドライバーによってコースのド真ん中へと放り出され、それに見事に乗り上げてしまった彼女は空中へ飛び上がり、着地と同時にコンクリートウォールにヒットした。実に不運なアクシデントだった。
 赤旗が解除されてからのセッションは、もう残り時間が1分を切っていた。
 このセッションでの活躍が目立ったのはコンウェイだけでなく、チャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング)も5番手につける好パフォーマンスだった。インディーカー参戦2年目を迎えて安定感を増している彼は、すでに4回のトップ10フィニッシュを記録している。
 ジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)も7番時計と良い走りを見せていた。
 逆に大いなる苦戦模様に陥っているのがKVレーシング・テクノロジーと、マルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)だ。KVRTはベストがトニー・カナーンの17番手で、EJ・ビソは18番手、ルーベンス・バリケロは25台出走中の24番手だった。予選24位だったアンドレッティは、ファイナル・プラクティスでも22番手と浮上して来る気配すらない。去年は4位フィニッシュをしているトロント、父マイケルは7回も勝っているというのに‥‥。

2012年7月8日日曜日

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント52:R10 ホンダ・インディー・トロント Day2 予選 「7位か8位になれていたと思いますが、ペナルティはしょうがないですね。でも、プラクティス3からここまで復活できたのはよかったです」

ホンダ・インディー・トロント
トロント市街地コース 1.75マイル×85周
Day2 予選
第2セグメント敗退 59秒8197 11位 


トロントでの予選結果は、不運なペナルティもあって11位
スターティンググリッドは9番手に繰り上がる予定


 3段階の予選に臨む前、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は第1セグメントの突破と第2セグメントでの健闘を誓っていた。金曜のプラクティスでトップ10につけたが、予選前のセッションではあと少しのところで足踏み状態に陥ったため、ファイアストン・ファスト6への進出までは少々難しいとみていたようだった。
 それでも、レッドタイヤ使用での予選用セッティングは良いものを実現していたようで、実際に予選が始まってみるとトップコンテンダーたちも59秒台前半が今日のコンディションでは限界。琢磨にもトップ6に食い込む可能性はあるように映っていた。
あとコンマ1秒のゲインでそれは達成されていただろう。トップ6を争えるレベルへと琢磨とRLLのマシンはパフォーマンスアップを果たしたのだ。しかし、コースオフからの復帰でライバルの走行を妨害したとの判定が下され、ベスト2ラップが剥奪されるペナルティを受けた。それによって予選結果は11位となった。

 ただし、アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)とジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)がエンジン交換のペナルティで10グリッド降格となるため、琢磨の明日のスターティンググリッドは5列目イン側となるはずだ。

「ベストではないですが順調にクルマ作りはできています」

Jack Amano(以下――):予選11位。第2セグメントでブロッキングのペナルティを取られたようですが?佐藤琢磨:まぁ、しょうがないですね。1コーナーのバンプでタイヤをロックさせてエスケープに出て、誰も来てなかったんだけどマーシャルが止めたんで、その指示通りに一度止まって、それから出てったんですけど、かなりタイヤがゴミを拾ってたので、チームからの情報もなくって、コースに入るところでウィル・パワーがものすごい勢いで近づいて来ちゃったんです。自分としてはベストを尽くしたんですが、ペナルティを取られてしまいましたね。
――59秒5が出てたんですよね?
佐藤琢磨:そうです。7位か8位にはなれてましたね。
――それより少しグリッドは下がってしまったということですね。
佐藤琢磨:はい。でもしょうがない。ここまでプラクティス3から復活できたのは良かったです。少なくとも、これまでのトロントの中では一番攻められた。それは良しとしたいです。
――プラクティス3までのデータから予選用のマシンをセッティングしたわけですが、予選でのマシンはどれぐらいの仕上がりでしたか?
佐藤琢磨:順調にクルマ作りはできていたと思います。もちろんベストにまではなっていなかったですけど、いい感じに来てたので、明日の最後のウォームアップで最後の確認をしたいですね。
――ウォームアップで行うべきことは?
佐藤琢磨:いつもと同じですが、ロングランがどれぐらいできるか、時間を見ながら、二種類あるタイヤを、セミロングランでどれぐらいのパフォーマンスやシフトがあるのかを見たいと考えています。
――レッドタイヤのトロントのコースでの性能はどうですか?
佐藤琢磨:レッドは結構コンシスタントなんです。逆にプライマリーが結構落ち込みが大きかったので、そこをどれだけ抑え込めるか、ですね。

2012 INDYCAR レポート:R10 ホンダ・インディー・トロント Day3 予選 佐藤琢磨、第2セグメントで思わぬペナルティ! 激戦の予選を制したのはダリオ・フランキッティが逆転で制す

天候:快晴
気温:25~27℃


フランキッティ、記念すべきトロントで3戦連続ポールポジション獲得

 今年のロードレース予選であまり良いところを見せて来ていないダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)が、トロントでは金曜のプラクティスから絶好調を維持。予選で最も重要なファイナルステージでベストラップを叩き出し、ポールポジション獲得を果たした。
 ミルウォーキーで今季初のポールを手にしたフランキッティは、アイオワでの予選レースを制してポールポジションに着き、今回のトロントで3戦連続のポール獲得を達成した。
 フランキッティのアメリカンオープンホイールでの初ポールは、1997年のトロントだった。ドイツのDTMからスイッチして来た最初のシーズンで、ホーガン・レーシングのレイナード/メルセデスベンツ・イルモアを駆ってのことだった。実に、もう15年も前になる。フランキッティは15年間の長きに渡って自らをトップレベルに保ち続けている。

 トロントでの予選でファイアストン・ファスト6に残ったドライバーたちを第2セグメントのタイム順に並べると、

1 ジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)
2 スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)
3 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)
4 セバスチャン・ブルデイ(ドラゴン・レーシング)
5 アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)
6 ダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)

となる。
 フランキッティはギリギリでのファイナル進出だったのである。なお、第2セグメント7位で悔しい思いをしたのはライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)。8位はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)だった。
 6人で戦うファイナルステージは、全員がユーズドレッドを使う。路面のグリップは高まるが、タイヤのグリップは第2セグメントより低くなった状態での戦いとなるワケだ。
 10分間の予選が半分終了した時点でトップにいたのは、ウィルソンだった。まだラップタイムは1分を切れていなかった。2分後、タグリアーニがついに59秒台をマークしてトップへ。しかし、すぐさまウィルソンがその座を奪い返した。タイムは59秒4506まで削られていた。もう残り時間は2分となっていた。
 さらに1分が経過したところで、パワーが59秒3757でトップに躍り出た。もう残り時間は1分を切り、彼の2年連続ポールか? と思われた。そしてチェッカードフラッグが振り下ろされた。そのすぐ後、最後の計測ラップを走っていたフランキッティが59秒3510で大逆転! トロントのポールを手に入れた。


思わぬペナルティで佐藤琢磨は予選11位に

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、第2セグメントへと進出し、予選11位となった。8位となれる59秒5281をアタック4周目に記録した琢磨だったが、セッション終盤にターン1でコースオフ。コースに戻る際にパワーのはアタックを妨害したとしてベスト2周剥奪のペナルティを受けた。それでも、琢磨より上位で予選を終えた中のタグリアーニとジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)がエンジン交換による10グリッド降格となるため、明日のレースに琢磨は9番グリッドから出走する事になる予定だ。

2012 INDYCAR 佐藤琢磨コメント 51:R10 ホンダ・インディー・トロント Day2 プラクティス2 ドライのセッティングで昨日からのゲインはありましたが、全体的にタイムが上がったので相対的に後ろに行ってしまいました。予選はレッドタイヤでの戦いとなりますが、そんなに大きく心配していません」

ホンダ・インディー・トロント
トロント市街地コース 1.75マイル×85周
Day2 プラクティス3
1分01秒5618 22位 20周走行


ウェット・コンディションで好パフォーマンスを見せた佐藤琢磨
しかし、ドライ・コンディションでは伸び悩み、22番手タイム


 朝方の雨でウェットコンディションで始まったプラクティス3、ドライ・コンディションになるまで走らなかったチームもある中、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)はファイアストンの新ウェット装着でコース・イン。路面の濡れた状況ではトップタイムをマークしていた。しかし、路面が乾き出してからはラップタイムを縮めるのに苦労。自身の最終ラップでベストをマークしたが、それは22番手と決して満足の行くものではなかった。午後の予選はどうやら完全ドライコンディションで行われることとなりそうだ。琢磨陣営がレッド・タイヤ向けのセッティングをどこまで向上させることができるだろうか

「最後の4ラップぐらい、ニュードライで走れましたが……」
Jack Amano(以下――):予選の前のセッションがウェットで始まるという難しい状況になりました。どんなことができて、どんな収穫のあったセッションでしたか?
佐藤琢磨:そうですね。えーっと、基本的にウェットの確認は良かったと思いますね。ウェットでのパフォーマンスは悪くなかった。ただ、サーキットがどんどん乾いて行く中で、少しずつドライ寄りのセッティングに戻して行きました。そういう意味で結構難しいセッションになっていましたね。安定した走行を続けることができないセッションだったために、自分たちの目指していた比較テストみたいなものはうまくできなくて、最後の4ラップぐらい、ニュードライで走れたんだけれども、そこではトラフィックがあったのと、ハンドリングでも少し満足の行かない部分があって、タイムは伸び悩みました。
――予選はどうなりそうですか?

佐藤琢磨:予選はレッドタイヤでの戦いになりますからね。おそらく今あるバランスとは相当違うものでの戦いになる。僕らとしては、そんなに大きく心配はしてません。ただ、昨日からずっとコンペティティブに来てて、このセッションの最後の最後だけスピードが伸び悩んでしまったのはちょっと残念です。
――最後の最後、ドライでの短い時間帯に良いタイムを出せなかった。それはトラフィックの影響が大きかったということですか?
佐藤琢磨:いや、トラフィックもあったけれど、それはほんのちょっと影響してるけど、それがすべてではなかったんです。
――ドライのセッティングで、昨日からのゲインはありましたか?
佐藤琢磨:そうですね。昨日の自分たちとの比較では良い部分がありました。ただ、全体的に昨日よりもタイムが大きく上がったので、相対的に後ろに行っちゃいましたね。
――レッドタイヤは今年使って来たものなので、データもあるところですが、このコースでもおよそ1
秒ぐらいのタイムアップがなされるんでしょうか?
佐藤琢磨:まぁ、ここは結構短いコースですけど、おそらく1秒近くは行くかな? と思います。

2012 INDYCAR レポート:R10 ホンダ・インディー・トロント Day2 プラクティス3 ウェット路面が乾いていくコンディション下で、ディクソンがトップタイムをマーク

プラクティス3はウェット・タイヤでスタート
 土曜日、トロントの空は灰色の雲で覆われていた。走行開始前に強く雨が降り、それが止んだもののコースに水が残っている状態でプラクティス3は始まった。グリーンフラッグと同時に、昨日一切走れなかったジョセフ・ニューガーデン(サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシング)が勢い良くピットから飛び出して行った。
 ウェット・コンディションで走ることは極限まで避ける。それがインディーカー流。雨の予選、雨のレースになる可能性は絶対にゼロじゃないのに、その確率がかなり高くないと各チームとも走らせない。今日のプラクティスでも、例えばターゲット・チップ・ガナッシ・レーシングは、二人のベテランドライバーたちにウェットタイヤでの走行を一切させなかった。ドライセッティングのままのマシンで彼らは待機。コースが乾き、昨日のプラクティスとほぼ同じラップタイムをセバスチャン・ブルデイ(ドラゴン・レーシング)が記録したのを確認してからコースイン。気温は24℃と涼しいと感ずるぐらいのコンディション下、ディクソンはトップタイムとなる1分00秒3841を6周目=彼自身の最終ラップに記録した。
 2番手につけたのはライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)で、タイムは1分00秒3940。3番手はシモン・パジェノー(シュミット・ハミルトン・モータースポーツ)の1分00秒6065で、4番手はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)の1分00秒6151だった。
 ブルデイは多くのドライバーがベストを記録したセッション最後の時間帯にはすでに走行を終えていたが、それでも5番手につけた。昨日の2セッションでトップだったダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)は6番手だった。


琢磨は22位に終わるが、ウェットタイヤでの時間帯はトップに
 トップから8番手のオリオール・セルビア(パンサー-DRR)までがコンマ5秒以内におり、12番手のエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)までが1分00秒台を記録した。
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は22番手だった。ベストは1分01秒5618。ウェットタイヤで、路面の状態が悪いコンディションでの走行中にはトップに君臨していたが、路面が乾いて来てからの時間帯に入ってから思うようにタイムを縮められなかった。

2012 INDYCARシリーズ解説:ご質問にお答えします!

ちょっと遅くなりましたが、ウェブに寄せていただいたご質問にお答えいたします。

hiroさんからのクエスチョンQ:佐藤琢磨選手のマシンでアンチロールバーが正しく結合されていなかったり(アイオワ)、サスペンションの組み立てにミスがあった(セント・ピータースバーグ)。こういうことって、これほどの頻度で起こるものでしょうか? 二強は別にして、他のチームでも確認されているトラブルですか。それともRLLだけでしょうか?

Jack Amano:どちらも非常に珍しいミスだったと思います。開幕戦では、まだクルーたちが新型マシンに完全に慣れていなかったと多少同情できる余地があったんですが、アイオワでのミスはちょっと‥‥‥。ガレージに戻ってから、トム・アンダーソンの雷が落ちたことと思います。同じミスが起こらぬよう、エンジニアとメカニックのコミュニケーションについて、改めて確認作業が行われたはずです。
他チームでは、コースによって異なるエアロパーツルールを間違えて装着禁止のパーツを着けてレースを走ってしまったとか、搭載すべきウェイトを積まないで走ったり‥‥と、ミスをしてペナルティを受けた例もあります。RLLだけがミスが多い、というワケではないと思います。

Lemony Smahltさんからのクエスチョン

 「RLLのセカンド・ドライバーに内定していたルカ・フィリッピはどうなってしまったのか?」という質問を頂きました。
 この件、レポートしてませんでしたっけ?
 ルカとRLLとの契約は解消されました。インディー500の頃だったかと思います。
 その後、彼には他チームからもオファーがあったということでしたが、残念ながらデビューはまだ果たされていません。ルカには少しのスポンサーマネーがあるようですが、それだけでは乗せてもらえないんですね、今年のチームは新車を購入してますから、ライド料金も値上げしてるワケです。
 Lemony Smahltさんが御指摘されている通り、RLLが優秀なドライバーを起用しての2台体制への拡張したら、それはチームにとっても、佐藤琢磨選手にとっても大きな大きなプラスとなるでしょう。しかし、残念ながら今シーズン中の2カー実現はどうやら難しそうな状況となっています。もうインディー500が終わっちゃってますからね。
 ルカはホンダ陣営からの評価も非常に高いので、来シーズン再び候補に挙がる可能性はあるでしょう。彼のインディーカー参戦、是非ともRLLで叶うことを期待したいところです。
 ルカの走れなかったインディー500に出場したのがミチェル・ジョルダインJr.でした。彼はスポット参戦の難しさを痛感し、「フルシーズンは当然考えてるよ」とインディーで言ってましたから、彼が琢磨のチームメイトとなって‥‥という可能性もゼロではないでしょう。
 その他のホンダ・チーム、シュミット・ハミルトン・モータースポーツ、AJ・フォイト・エンタープライゼス、サラ・フィッシャー・ハートマン・レーシングも2カーへと活動を広げたい考えを持っています。しかし、それを実現するためには大型のスポンサー獲得が必要なのです。