2012年10月30日火曜日

2012-13 INDYCAR オフシーズン情報 10月25日 タイヤに関するうわさ

2015年にコンチネンタルがサプライヤーに!?
 少し前の話になるけれど、「インディーカーが将来のタイヤサプライヤーを探している」との記事がイギリスのモータースポーツ誌などに掲載された。インディーカーとファイアストンの契約は2014年いっぱいなので、まだ少し遠い先の話の気がするが、その後、「2015年以降はコンチネンタルに取って替わられるのでは?」と具体的な候補社名まで上がった。
 1995年にPPG/CARTインディーカー・ワールド・シリーズに参入し、強敵グッドイヤーと闘って勝利! グッドイヤーはオープンホイールを諦め、ストックカーメインでやって行くことに方針転換を余儀なくされた。以来、「インディーカーのタイヤといえばファイアストン」となっていて、ドライバーやチームからの信頼はブ厚い。その上、ファイアストンはインディーカー自前の登竜門シリーズ=インディーライツのサポートもずっと続けて来ている。
それでも違うタイヤメーカーへの交代というウワサが出たのには、何かがウラがあるはずだ。

 まず考えられるのは、インディーカーの意向として、つまりはCEOのランディ・バーナードの構想として、次の会社への移行計画が実在する可能性。「インディーカーが今よりさらに高い人気を獲得するためには、現在のファイアストン以上の協力、支援が必要!」との考え方を彼が持っていても不思議はない。
 どこかファイアストン以外のメーカーが、高額のスポンサーマネーを長期間に渡って供出し続ける話や、より積極的、大々的な広告活動を展開してレース及びシリーズを盛り上げるといったオファーを出して来たら、バーナードでなくとも検討をするのは当然だ。ただし、実際にそういう話をコンチネンタルがすでに提出した、あるいはインディーカーとの話を始めているという証拠はないし、果たしてコンチネンタルがインディーカー・レースに対して強い興味を持っているのかも現時点では明らかになっていない。

コンチネンタルの実力を考えると現実性は?


 現実的な話として、ドイツが本社のコンチネンタルには、オーバルという超・特殊な高速レースでの経験が一切ない。これはドライバーにとって大きな不安材料だ。特に、インディー500という最高速400km/hに近いスピードでの長距離レースや、テキサスでのスピードが高い上に巨大な縦Gがかかるレースなどでのアクシデントが心配される。観客席が超満員になるインディーで大きなアクシデントが起これば、大勢の観客が危険に晒される。
 ウワサの発端がインディーカー側からのリークにある可能性は十分にあるが、まったく逆のケースも考えられる。アンチ・バーナード派が、「インディーカーの安全性を失わせ、アメリカのタイヤ・メーカーとシリーズの良好かつ長期的な関係を破壊しようと動いているバーナードとはとんでもない男だ」という印象を世間に与える目的で噂を流したパターンだ(バーナードのシリーズ運営に不満を持つチーム・オーナーたちの話は、近々お届けします)。

ファイアストンへの刺激がウワサの根源?? 

 いずれにせよ、長きに渡って供給を続けて来ているメーカー、それも技術力という最も重要な部分で他の追随を許さない実績を持っている企業であっても、インディーカー・シリーズへの単独サプライヤーという地位が自動的に与えられ続けるとは限らない。厳しいデスね、世の中は。「@アメリカン・トップ・オープンホイール・レースを本来あるべき人気、盛況ぶりに復活させるためには、あと少しの踏ん張りが必要!」というのが現状でもあるし。
 

 新タイヤ・メーカーが登場しても、ファイアストンとの対決は単独サプライヤーの地位を賭けて行うだけで、実際にレースで2メーカーが競い合うことにはならないと思う。インディーカーは、もうずーっと1ブランドのタイヤで争われて行くことになるはずだから。ストックカー200勝のリチャード・ペティが言う通り、「タイヤと燃料に競争は要らない」のです。
 それでも、今回の噂はファイアストンにそれなりの負担をかけることになる。彼らが2015年以降も供給を行なう意向があるとしたら、どんな体制で行くべきか、新しいプロジェクトをどの分野でどのぐらいのスケールで展開すべきなのかなど、色々と考えねばならなくなったからだ。より魅力的なシリーズの実現に向け、タイヤ・サプライヤーの立場から、側面からもサポートして行くことを現状以上に求められる。単独サプライヤーの広告戦略は難しいけれど、自分たちのスポーツの価値を高めることに名案をひねり出さなくてはならない。
 インディーカーとしたら、ファイアストンに供給を継続してもらい、プロモーションのスケールなどを今より大きくしてもらうのが理想。実は、今回の噂はそれを狙ってのものだったのかもしれない。

以上

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