2014年11月15日土曜日

2014 INDYCAR レポート:2015年、体制拡充したAJ・フォイト・レーシングの課題は? 読者の質問に答えて


10月31日に配信した「AJ・フォイト・レーシング 2カー体制は成績向上への大きなステップ」という記事に対して、匿名さんから次のような投稿をいただきました。
匿名さんの投稿
琢磨&ジャックとても楽しみだけどピット作業をもっと素早くやらないとね!
そうそう!!!今シーズンを見ている限り、ピットワークは下手だった・・・もう1秒でも早ければ、琢磨選手も無理をしたり、強引にならなかったり、不運な事故に巻き込まれる事が少なかっただろうと思います。選手の強化イコール、チームの強化も♪


来シーズンのAJ・フォイト・レーシングのチーム力は、読者の皆さんも一番気になっているところだと思うので、今回はこちらで回答いたします。


ピット・ストップの弱点克服は来年の大きなテーマ

 2014年シーズンのAJ・フォイト・エンタープライゼス、確かにピット・ストップが弱点になっていました。チーム事情として痛かったのは、左リヤのタイヤ・チェンジャーを担当していた”キッド”というメカニックがシーズン途中で離脱してしまったところ。個人的な事情が背景にあったよう ですが、佐藤琢磨選手が初優勝したシーズンにチーム入りした若手で、成長著しいメカニックだっただけに、彼がいなくなってしまったのはマイナスで したね。シーズン途中に優れた人材を急遽雇い入れるのが難しいのは当然の話で、チームはシーズンの終盤戦でさらにピット・ストップが足かせになっ てしまっていました。


 彼らもその点は充分に理解していて、このオフの間の強化ポイントのひとつに掲げています。ビデオでライバル・チーム、そして自分たちの作業をチェックし、改善点を見出して、それらをひとつひとつ実現して行くのです。作業の確実性を引き上げ、スピードもアップ。目標達成は容易ではありませんが、チーム・ペンスキーにできて彼らにできないという理由はありません。レースで勝つためには、少なくともライバルと同等の実力を身につけ る必要があります。フォイトのクルーたちがどこまでレベルを向上させて来るか注目したいと思います。

クルーたちを疲弊させないチーム・マネジメントがポイント

 2014年のフォイト・チームは、マシンのメインテナンスの不備が原因と思われるトラブルも少なからずありました。バジェットの小さなチームですから、雇用人員もギリギリになっているのは致し方のないところ。メカニックひとりひとりにかかる負担が大きっくなり過ぎていたようです。タイトなスケジュールで自宅のあるテキサスまで戻れず、クルーたちのリフレッシュするチャンスが少なかったことも悪い影響を及ぼしていたと思います。
 2015年のフォイト・チームは2カーへと拡大しますから、当然人員は増えます。しかし、2014年の状態よりも1台につく人数を増やす体制の 更なる強化が必要でしょう。

 彼らはこのオフの間にインディアナポリスに第二のワークショップを構えることを決めました。インディアナポリス・モーターン・スピードウェイま で歩いてもすぐの場所です。ただし、本拠地はテキサス州ヒューストン近郊に置いたままとするそうです。インディーにも拠点を置くことは、連戦中のメインテナンスを行なう場を確保するという点ではプラスでしょうが、各人が自宅に帰れる時間が増えることには繋がりません。2拠点を持つことをいかなるメリットとして活用して行くのか非常に興味深いところです。
 インディアナポリスにショップを開くことで、新たに採用するスタッフも出て来ることでしょう。彼らにどのような仕事を与え、テキサスのクルーたちを含め、全体のシフトをどうするんでしょうか。インディアナポリス採用組もレースを転戦するレギュラー・スタッフとするのか、しないの か……。少々オペレーションが複雑になりますから、チーム・ディレクター、ラリー・フォイトのお手並み拝見ですね。

新エアロ導入など、2015年はよりチーム力が試される年に

 2015年はすべての出場チームにとって大変なシーズンになります。新しいエアロ・キットが導入されるためです。ブラジルでの開幕戦は2014 年までとほぼ同仕様のマシンで戦えますが、その後に新エアロ・キットが届くや、それらを組み付けてオープン・テストに参加し、セント・ピーターズ バーグでの第2戦に雪崩れ込みます。その後、4月1日までにインディー500用=スーパー・スピードウェイ用のキットが届きます。これまでなら シーズン開幕前のオフの間にジックリと時間をかけてパーツの細かい調整などを行い、インディー500用マシンを入念に組み上げていましたが、 2015年はロング・ビーチやバーバーといったレースを戦いつつ、ビッグ・レース用のマシン造りを行なわなくてはなりません。メカニックたちには昨年まで以上に過酷な戦いが待ち受けている状況だと言えます。

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