2017年3月27日月曜日

2017 INDYCAR レポート R1 セント・ピーターズ・バーグ レースレビュー:セバスチャン・ブルデイ “超創造的になるか、空前絶後の幸運でも手にしない限りチャンスはない戦い” を制す

Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
「またやらかした」予選

  このオフにKVSHレーシングが消滅し、デイル・コイン・レーシング(=DCR)に移籍したセバスチャン・ブルデイだったが、冬の間のテストからマシンは速く、セント・ピーターズバーグでの開幕戦が始まるとプラクティス2、プラクティス3で5番手につけた。ところが、勇躍臨んだ予選でベテランらしからぬドライビング・ミスを冒し、アタック・ラップはゼロ。ブルデイはおおいに落ち込んだ。


「レールの上を走っているかのように順調な週末を送っていたが、土曜日に事件は起きた。“またやらかした”と思った。予選が終わった時には惨めさを感じていたほどだった」。
彼のスターティグ・グリッドは最後尾の21番手と決まった。
 「予選の後に作戦についてデイル・コイン、エンジニアのクレイグ・ハンプソンとオリヴィエ・ボアッソンと相談したが、ここセント・ピーターズバーグのコースでは超創造的になるか、空前絶後の幸運でも手にしない限りチャンスはない。“レースではベストを尽くすが、上位に食い込むチャンスは大きくない”という結論になった。

DCR得意のグリッド後方スタートからのピット戦略

 マシンの仕上がりは良いため、ブルデイは作戦を使って前方に出ることを目指した。それはDCRが得意とする戦いだ。
「レースがスタートすると、すぐさま多重クラッシュ発生。それを潜り抜けた僕は16番手に浮上した。その後の2周で14番手に上がり、リスタートも上々で2台をパス。そして、予定していたとおりに早めのピット・ストップを行った。イエローに捕まって不利に陥ることは避けたかったからね」とブルデイはレース序盤を振り返った。幸運も彼の側にあった。アクシデントは中団で起きたため、最後尾スタートのブルデイにとっては何の問題ともならなかった。
「1回目のピット・ストップを終えた後にイエローが出た。トップ・グループのドライバーたちがピットすると僕らは2番手に浮上した。そして、僕らのマシンはとても速かった。前日のミスはもう何の意味も持たなくなっていた。“2番手なら完全に満足。今日はこれで十分だ”と僕は考えたが、前を走っていたサイモンはリヤ・バンパーに小さなダメージを負っており、苦しんでいる様子だった。燃料のセーブもしていたんだろう。僕はサイモンを追いかけ、彼をパスした」。

新品レッド3セット! 予選Q1敗退も奏功

ニューレッドを連投してレースを支配することに成功 Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
  Q1敗退は決勝では逆にプラスに作用した。タイヤに関してだ。
「僕らのタイヤは全部新品だった。予選を走れなかったことが逆にメリットになった。レッドの新品が3セットもあった点は他チームと大きく違っていた。だからレース中盤にP2に浮上した時、“大きなチャンスが来た”と思った。その時点でも僕らには新品のブラック、新品のレッドがまだ残されていた。そして、僕らのマシンは特にブラックで速かった。レッドでも充分に速かった上に、だ」。
 トップに立ったブルデイは振り返ることなくゴールを目指した。「最後のピット・ストップを終えた後、僕らはまたトップに立った。マシンはとても速く、ピット作業もクルーたちが完璧にこなしてくれた」。

結果にフォーカスするのではない
ベストを尽くし、それがどういう結果につながるか


 今回のような勝利がなったのは、ブルデイチーム造りに関してコインと深く話し合い、合意に達していたからだろう。彼らは長期的なビジョンを共有している。
「僕らは結果にフォーカスしていない。ベストを尽くし、それがどういう結果に繋がるかという戦い方をしている。今シーズンを迎えるにあたり、今日のような日が訪れることを願っていた。それが最初のレースで実現するとは思ってもいなかった。今後、安定感を確保し、勝利を重ねる、あるいは毎レースを優勝候補として戦うレベルに達するまでには時間が必要だと思う」とブルデイ。彼は所属していたKVSHレーシングが消滅したが、DCRにより強力な体制を整えることに成功した。チーム史上最強のエンジニアリング・スタッフを揃えたと言っていい。

クレイグ・ハンプソン(右)と表彰台で喜びあうブルデイPhoto:INDYCAR (Chris Jones) 
  「僕とクレイグ(・ハンプソン)、僕とオリヴィエ(・ボアッソン)の関係は言葉で説明するのが難しい。彼らは、世界で僕のことを最も理解してくれている人たちで、その2人が今年の僕にはついてくれている。彼らとの仕事は本当にうまく行っている。お互いが最大の力を発揮するよう求める状況で攻撃的な態度にならずにいることは難しい。若い頃の僕はそういう時に嫌な奴になっていた。勝ちたくてしょうがない。自分はすべてを注ぎ込んでいる。そんな状況では相手に過剰な要求をしてしまうものだ。自分の感覚や、発する言葉を常に気を配ることができていなかった。それでも僕とクレイグは常に友だちであり続けて来た。そして、また一緒に働くチャンスが来た時、クレイグは少し心配していた。一緒に作り上げた素晴らしい思い出に傷をつけることになるかもしれないと考えたからだと思う。僕はそれを恐れるなと彼に告げた。僕は君ともう一度一緒に働きたい。君の持っている力のすべて出して欲しいけれど、その一段階下でもいい。彼は働き過ぎる性分だから。彼は僕にとって特別な存在で、それはオリヴィエも同じだ。彼ら2人はお互いを補い合って働いてくれている。オリヴィエはデイル・コイン・レーシングがかつて行ったことのないプログラムを持ち込んだ。これはひとつの始まりでしかなく、もっと先へと進めて行って欲しいと僕は彼に言っている。進歩のフェイズ1というところだ」とブルデイ。
全幅の信頼を置くエンジニア2人と仕事ができる喜びを彼は感じている。

「僕らがチャンスを得られるのはストリートコース」
 
 移籍のタイミングも結果的に的確だった。新エアロで2シーズン苦戦をして来たホンダ陣営だが、2017年には逆襲に出るための力を身につけたようなのだ。
「まだ時期尚早だが、ホンダのエンジンにはアドバンテージがあると見ていいかもしれない。去年のホンダがどんな状況だったのかは知らないが、今年はハイ・ダウンフォースのコースで速く、スーパー・スピードウェイ仕様でも去年同様に速いと思う。フェニックスのようなコースでは少々ドラッグが大きいのか厳しいが、全タイプのコースで速いなんて有り得ない。とても良い日もあれば、そんなに良くない日もある。シーズンを通して見れば、僕らは良い日の方が悪い日より多くなりそうだ」とブルデイは現状を分析し、近い将来についての予想も口にした。


決勝日、朝のウォームアップでコースインを待つブルデイ。視線の向こうには最後尾からの勝利のシナリオがすでに像を結びつつあったのだろう Photo:INDYCAR (Joe Skibinski)クリックして拡大
「僕らDCRがチャンスを得られるのは、おそらくストリート・コースでだろう。ストリートでこそ僕らは経験を活かし、差をつけることができる。マシンが跳ねてホイールが路面から浮上がるような状況、マシンが思い通りの動きをしてくれない時には経験が生きるものなんだ」とチャンプカーで4度タイトルを手にしている彼は自信のほどを覗かせた。ブルデイとDCRが開幕から2連勝? その可能性は決して低くない。チャンプカー時代に彼はロング・ビーチで3回も優勝しているのだ。
以上

1 件のコメント:

  1. 今気付いたのですが開幕戦で最終ラップ最終コーナーで琢磨選手がハンターレイに抜かれてレース後のインタビューでPTP押し間違えて残って無かったと言ってましたがレース中の松田さんと村田さんの会話にPTPはラスト二週からは作動しないからそれまでに使いきらないと無駄になると解説してましたから琢磨選手は今シーズンからPTPが変わった事知らなかったつまりやっちゃった事件発生です村田さん天野さん琢磨選手に教えないとだめです。

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