2018年7月15日日曜日

2018 INDYCARレポート R12 ホンダ・インディー・トロント Day2 予選:ジョセフ・ニューガーデンがPP! スコット・ディクソンが予選2位

コンディションの変化に見事に対応したニューガーデンがポール・ポジション獲得。ペンスキーのタイヤマネジメントはやはりすごかった Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大
ニューガーデン、今シーズン4回目のポール・ポジション

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が昨日話していた通り、チーム・ペンスキーはユーズド・レッド・タイヤでのパフォーマンスが優れている。そしてジョセフ・ニューガーデンというドライバーは、持てる力を出すべきタイミングでキッチリ出し切る能力を備えている。ペンスキー入り初年度にチャンピオンになれたのも、その力があってのことだった。
 今日はアタックを行うタイミングの取り方が結果的に最高のものとなった。そこには天候という要素が大いに絡んでいたのだから、多分にラッキーでもあったとも考えられなくもないが、結局は彼らの読みと、任務遂行力がライバルたちに勝り、トロントのポール・ポジション獲得を果たした。今シーズン早くも4回目のPP。このペースでPPを重ねて行くと、現在歴代3位のウィル・パワーのPP獲得回数を上回ることも可能になる。


予選でターン1にアプローチするニューガーデン Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
やはり来たペンスキー! ファスト6に3台進出
 
 昨日ホンダ勢が手にしていた大きな優位は、一晩でチーム・ペンスキーがマシンの大幅レベル・アップを達成したことによって、ほぼ無きものにされた。セッション・トップの牙城は佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が保っていたが、彼らは予選中に変化するコンディションの読みが外れ、持てる力を発揮し切れずに予選7位となった。自分たちが有利になるコンディションへと変化して行って欲しいという”希望”が先立って、現実のコンディション変化に対する”予測”で冷静さを欠いてしまった。予選直前に降り出した雨は、コンディションへの対応など、予選をチーム全体の能力を試すものとし、ペンスキーとガナッシによる勝負になった。そして、ペンスキーの1台がPP、ガナッシの1台がフロント・ロウ外側のグリッドから明日のレースのスタートを切ることとなった。

悔しがる佐藤琢磨「もっと路面が乾くと思った」


Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
  「ファイナル・ラウンドに進めなかったのは悔しい。もっと路面が乾くと思ったからブラックで行った。しかし、弱いものだけれど小雨が降り続けたために路面温度が低いままで、タイヤの温度がワーキング・レンジに届かなかった。それでタイヤが滑っていた」と琢磨は話した。「でも、7位は悪いポジションじゃない。悔しいだけで、十分に戦えるポジションだ」と明日のレースに向けて琢磨は強い意欲を見せた。この2日間のプラクティス3回で4番手、2番手、トップのタイムをマークして来ている彼らはマシンの仕上がり具合に大きな自信を持っているのだ。

路面コンディションの変化を読み切ったニューガーデン
「ターン3のブレーキングは行くしかないと思って突っ込んだ」


 三段階の予選は最初から最後まで小雨が降ったり止んだりで、路面が完全にドライになることはなかった。ファイアストン・ファスト6によるファイナルでは、セッション終盤に雨が止んだため、計測終了ギリギリのタイミングでファイナル・ラップを始めたドライバーが有利となった。計測地点を最後に通過した2人はディクソンとニューガーデンだった。ディクソンはその前のラップで59秒6920を出してトップに立っており、最終ラップにその更新を目指したが、1分00秒を切ることはできなかった。逆転PPを実現する最後のチャンス、ニューガーデンは持てる力を出しきって59秒4956を叩き出し、PP獲得を決めた。
 「少ないラップで勝負すべきだと考えて遅めにコース・インしたが、それは失敗と思った。雨が強くなったら大失敗となる作戦で、実際にセッション半ばまでは雨が強まって行っていたから。しかし、幸運にも路面は終盤に乾いて行き、最後の2周、路面は急激に向上。最後の計測ラップが勝負になると確信した。バック・ストレッチ・エンドのターン3ではブレーキングをできる限り奥まで遅らせた。少し前まで雨で滑りまくっていたから、あのラップであのブレーキングを試して、本当に止まれるかどうかはわからなかった。グリップ・レベルがどれぐらい回復しているかは誰にもわからない状況だった。しかし、そのラップを走っている間にグリップがどんどん上がって行っているのを感じていたので、あのコーナーへのブレーキングは”行くしかない!”と思い切って突っ込んだ。それがPP獲得に繋がったと思う」と語った。
 ニューガーデンはマシン・コントロールだけでなく、観察力、洞察力、実行力でライバルたちを上回っていた。

明日の決勝に切り替えるディクソン
「最後のラップの5ターンで大きなミスした」

 
Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
  予選2位となったディクソンは、「正直なところ、今日の予選結果については自分自身に腹を立てている。最後のラップはかなり良いものになるはずだったが、ターン5でミスを冒してしまった。それだけでもうそのラップは諦めなきゃならないぐらい大きなミスだった。悔しいね。マシンは非常に良かった。チームが頑張ってくれた。しかし、そのマシンの力を出し切って結果を出すことができなかった。フロント・ロウという良い位置からスタートできるのだから、勝つチャンスは十分にある。マシンは週末を通して非常に速いのだからね」と話した。

 予選3位はシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)=59秒7630。4位はパワー=59秒8818と、ペンスキー勢は昨日の苦戦が嘘のように3人が予選トップ4に入った。5、6位はアンドレッティ・オートスポートのアレクサンダー・ロッシとライアン・ハンター-レイだった。

 前述の通り琢磨はこの後ろの7番グリッド。8位はルーキーのジョーダン・キング(エド・カーペンター・レーシング)。9、10位はシュミット・ピーターソン・モータースポーツのジェイムズ・ヒンチクリフ、ロバート・ウィッケンズだった。

 スポット参戦のコナー・デイリーが大健闘の予選11位。ルーキーのマテウス・レイスト(AJ・フォイト・エンタープライゼス)も頑張って予選12位となった。

 逆に、プラクティス3までの速さを予選で発揮できずにセグメント1で敗退したのがグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)とスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)だった。レイホールはウェット・コンディションでグリップが得られず13位に終わり、ピゴットはグループ2で最初からレッド・タイヤで走り出したが、2セット投入を惜しんで走り続けたためにセッション後半のタイムが出せるコンディションでタイヤの寿命が終わっていた。

 明日、インディーカーは4回目のプラクティス=ファイナル・プラクティスを午前11時40分から30分間行ない、決勝スタートは午後3時40分過ぎを予定している。
以上

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