2013年1月29日火曜日

2013 INDYCAR オフシーズン情報 1月29日 シュミット・ハミルトン・モータースポーツのチーム名、チーム体制変更

チーム名はシュミット・ピーターソン・モータースポーツに

 前回、エンジニアの移籍をお伝えしましたが、実績あるエンジニアのアレン・マクドナルドを再び雇い入れることとなったのはシュミット・ピーターソン・モータースポーツ(SPM)です。これは、2013年はシュミット・ハミルトン・モータースポーツとして戦っていたチームです。母体はサム・シュミット・モータースポーツ(SSM)で、元ドライバーのサム(テストでのクラッシュで半身不随に)が興したチームは、今やインディーライツの最強チームとなっています。2004年に長身のブラジリアン、チアゴ・メデイロスが初タイトルをゲット。その後は2006年にジェイ・ハワード、2007年にアレックス・ロイド(この年のランキング2位が武藤英紀でしたよねぇ)と連覇。そして、2シーズン続けてアンドレッティのチームに敗れた後、2010年からはJK・バーネイ、ジョセフ・ニューガーデン、トゥリスタン・バウティエールによって3年連続タイトル奪取を果たしているんです。

石油関係の事業経営者、リック・ピーターソンが経営陣に参画

 彼らのチームは、2012年限りで元インディーカー・ドライバーのデイビー・ハミルトンが共同オーナーでなくなって、その代わりにカナダのビジネスマン、リック・ピーターソン(若き日にはプロフェッショナル・オープンホイール・レーサーを目指した)が経営陣に加って、チーム名がシュミット・ハミルトン・モータースポーツから変更になったのです。ハミルトンがいなくなるとhp(ヒューレット・パッカード)のスポンサーマネーを失ってしまうのでは? と心配されます。まぁ、そのマイナスをアルバータ州カルガリーで石油関連ビジネスを成功させているピーターソンが埋めてくれるという見込みなんでしょうが……。
 前回書いたとおり、2011年のインディー500直後にSSMはチームの主要メンバーとも言えたエンジニアのマクドナルドをアンドレッティ・オートスポートによって引っこ抜かれてしまいました。そんなイザコザがあったのに、マクドナルドはまたシュミットのチームで働くことになるというのだから、世の中不思議です。彼らの間にわだかまりとかはないんでしょうか?


今シーズン、2台体制実現の可能性も??

 今のところ、SPMが2013年シーズンに走らせると決めているのは2012年のIZODインディーカー・シリーズでルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたシモン・パジェノーだけ。そして、彼の担当エンジニアは2013年も引き続きベン・ブレッツマンが務めることとなっています。すると、マクドナルドの招聘はテクニカル・ディレクターとしてエンジニアリング部門を強化するって目的だけでしょうか? それとも、2カー体制への拡大を2013年に実現しようっていうことでしょうか? もしそうできた場合、2台目のレースエンジニアをマクドナルドが兼務するってパターンはアリでしょう。
 で、その2台目なんですが、前述の2012年インディーライツ・チャンピオン=バウティエールが起用されるって噂があります。SSMでインディライツ・チャンピオンになった上、12月にSSMが与えたチャンス=セブリング・インターナショナル・レースウェイでのプライベートテストでバウティエールは初めてのインディーカー搭乗ながらウィル・パワーに次ぐ素晴らしいタイムを記録したんです。「この才能を手放しちゃイカン!」てコトなんでしょうね? 他のチームに取られちゃいたくない。彼はフルシーズンを戦うのに十分なスポンサーマネーを持ち込めないという話でしたが、SPMとしてはバウティエールの才能に期待をかけ、ずっと目指して来ている2カー体制へと一気に突き進みそうな勢いにも見えます。
 おもしろいのは、もしもバウティエールのフル参戦が実現した場合、2013年のSPMはフランス人ドライバーのみによる2カーチームとして戦うところ。これっておそらく、インディーカー史上初めてのことでしょうね。

アレン・マクドナルドのチーム移籍がもたらすものは?

 2012年シーズンからIZODインディーカー・シリーズではエンジン競争が行なわれています。そうした状況下、アレン・マクドナルドはディレクター・オブ・エンジニアリングを務めていたアンドレッティ・オートスポート(=シボレー・エンジン・ユーザー)を離れ、2013年シーズンにはホンダ・エンジンを使うシュミット・ピーターソン・モータースポーツで働きます。これはつまり、シボレー陣営の2012年の情報がSSMを通じてホンダ側に筒抜けになってしまうということです。
 これからの参戦自動車メーカーは、自陣営のチームが雇っているエンジニアたちにまで目を配って行かねばなりません。引き抜き合戦が起こらぬよう、エンジンの設計及び開発に関わる自分たちの社員エンジニアに関する紳士協定が結ばれた事はCART時代にもありましたが、チームのエンジニアとなると、そちらはチームマターで紳士協定の実現は難しいでしょう。

以上

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