2019年8月24日土曜日

2019 INDYCAR R15 ボマリート・オートモーティブ・グループ500 Day1 予選:ポイント・リーダーのジョセフ・ニューガーデンがゲイトウェイのポール・ポジション獲得



Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

エキサイティングな展開の予選
ザック・ビーチが182mph!


 目まぐるしくトップが入れ替わるエキサイティングな予選となった。
 気温はプラクティス時と変わらない28℃。しかし、路面は42℃まで下がっていた。今日のセントルイス界隈は涼し目のコンディションで、風も適度に吹いていて非常に過ごし易い。


 夕方5時15分スタートの予選、カーリンからスポット参戦するコナー・デイリーが最初のアタッカーとしてコース・イン。彼は2ラップ平均179.399mphを記録した。これをザック・ヴィーチ(アンドレッティ・オートスポート)が182.294mphと大きく上回ってトップに立った。”これはアンドレッティ勢の仕上がりが良いということなのか?”と期待されたマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・ウィズ・マルコ・アンド・カーブ・アガジェニアン)が次にコース・インしたが、アタック1周目のターン1で大きくマシンをスライドさせてしまい、計測1ラップ目が172mph台と期待より10mph以上も遅く、結果的に予選最下位の22番手グリッドとなった。
 ヴィーチの天下は長くは続かず、プラクティス1で2番手の速さだったルーキーのマーカス・エリクソン(アロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が183.180mphでトップへ。しかし、彼の次のアタッカー、こちらもルーキーのコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)が183.399mph平均で、今日4人目のトップとなった。
 近頃スピードの出ていないオーヴァル・スペシャリストのエド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング)は181.334mphで、この時点の4番手止まり。

フェルッチ、素晴らしい走りで暫定首位に
しかし、2人あとのアタッカー、ブルデイが奪首


プラクティス1でのフェルッチのコメント通り、予選でもデイル・コインはハイ・パフォーマンスを発揮 Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 11人目のアタッカーは朝のプラクティスでトップだったサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)。彼は期待された通りに素晴らしい走りを見せ、計測1周目が184.535mphと、この時点でトップのハータの2ラップ平均より1mph以上速かった。そして2ラップ目を1ラップ目より速い185.126mphとして、平均は184.830mph。堂々たるトップ・ポジション獲得を果たした。



ブルデイはラストアタッカー、ニューガーデンの走行まで暫定PPをキープ Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 しかし、フェルッチの初ポール・ポジション獲得とはならなかった。彼の次に走ったジェイムズ・ヒンチクリフ(アロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)は184.493mph、184.412mphと見事に安定した2ラップを記録したものの2番手で、その次に走った13人目のアタッカー、セバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)が1ラップ目=185.770mphとこの時点までの最速ラップを記録し、2ラップ目はそれより更に速い186.927mph(!)
2ラップ平均を185.927mphとして若きチームメイトからトップを奪った。

佐藤琢磨、デイル・コイン勢の間に割って入り2番手に!
 

Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 デイル・コイン・レーシングの1-2。これを打ち破ったのが佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)で、2ラップ平均185.050mphをマークして二人の間の2番手に割って入った。
 続いて走った琢磨のチームメイト、グレアム・レイホールは182mph台しか出せず、この時点の10番手。最終的に彼のグリッドは16番手と決まった。
 ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は184.206mphと思ったほどスピードが乗せられず、5番手。彼は最終的に予選9位となった。
 アタック順はランキングの逆。いよいよポイント・トップ5の登場となった。その最初のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が2周平均185.896mphを出し、琢磨を上回って2番手に食い込んだ。
 スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は1ラップ目が183mph台と振るわなかったことから、184.293mphで6番手=最終的に予選8位。シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)は185.143mphと僅かに琢磨を上回り、この時点での3番手となった。

ロッシのアタックは不発

 残るはロッシとニューガーデンの二人。
 ロッシはプラクティス1でアンドレッティ勢のトップではあったが、総合では6番手。予選でのチームメイトたちの走りを見る限りポール・ポジション獲得は難しい状況と見えていた。しかし、4人もいるチームメイトたちからの情報を得て、セッティングをファイン・チューニングし、彼ならではのアグレッシヴなドライビングでポール・ポジションか、それに近いグリッドを獲得する可能性は十分に合った。
 注目されたロッシのアタックだったが、ウォーム・アップ・ラップが177mph台と遅かった。琢磨は182mph台、パワーは183mph台だったのだ。そのせいもあってか、1ラップ目が183.816mphと遅く、2ラップ目を184mph台に引き上げたが、平均がギリギリ184mph台に乗るものだったため、ポジションはこの時点での10番手となった。

ニューガーデン、最後の最後でPP獲得 

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 そして最後のアタッカー、ポイント・リーダーのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)がコースへと出て行った。ゲイトウェイの彼のマシンはPPGペイントがスポンサーの白/青のカラーリングだ。プラクティス1で4番手だった彼は、1ラップ目に186.610mphという素晴らしいスピードを記録し、2ラップ目もほとんど変わらない186.406mphで走り切り、2ラップ平均は186.508mph。6人目のトップとして長くその座にあったブルデイを予選2位に押し下げ、ニューガーデンの今シーズン2回目(ポイント・スタンディングでのグリッド決定となったポコノを含めると3回目だが……)、キャリア8回目のPP獲得がなった。今日の最速ラップこそブルデイの計測2周目=186.927mphに及ばなかったが、ニューガーデンは出場22人中でただ一人2ラップ両方を186mph台に乗せ、見事なPP獲得を成し遂げた。

 最後の最後でニューガーデンがトップに入ったことで、2位以下はブルデイ、パワー、パジェノー、琢磨、フェルッチ、ヒンチクリフ、ディクソン、ハンター-レイ、フェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)というトップ10になった。ロッシは予選11位。ハータは12位。

 ニューガーデンの奮闘でシボレーのPPとなり、彼のチームメイトのパワーが3位、パジェノーが4位となってシボレー勢がトップ4に3人を食い込ませることにもなった。しかし、予選5位の琢磨から12位のハータまでの8人がホンダ勢。13位のスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)を挟んで、予選14、15、16位もホンダ勢。アンドレッティが予選アタックで大きくスライドして最下位となったが、その上の17位から21位までにズラリとシボレー・ユーザーが5人並んでおり、シボレーは”ペンスキー頼り”に逆戻りしている。

「ライバルとの接触を気にしないですむレースになることを期待」


 
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 PPを獲得したニューガーデンは、「レースに向けたのマシンも非常に仕上がりは良い。シボレー・エンジンもコースに合わせたチューニングが良く、高い戦闘力を発揮している。ポール・ポジションから後続を引き離すことができれば、ライバルとの接触を心配しないで済む。そういうレースになることを期待する。レースがどんな気温、路面温度での戦いになるのかがわからないので、オーバーテイクが多い戦いになるのか、そうならないのかの予測は現時点ではつかない。今晩のファイナル・プラクティスでかなりのことが見えるだろうけれどね」と話した。
 惜しくも予選2位となったブルデイは、「チームが本当に奮闘してくれている。今週もマシンが走り出しから良いんだ。去年はテストに来たが、今年は来なかった。それでもマシンはトレーラーから降ろしてすぐから速かった。若いチームメイトのサンティーノ(・フェルッチ)も頑張っていて、良いフィードバックをくれているから、更にマシンを向上させることができた。予選でのマシンも非常に速かった。レースに向けてのマシンセッティングも、すでに良いレヴェルに達していると思う」とコメントした。
 ポイント・リーダーのニューガーデンがPPを獲得し、ランキング2番手につけているロッシとのポイント差は36点となった。予選11位と大きく出遅れたロッシは、「去年の我々はここゲイトウェイで非常に速いマシンを手にしていた。プラクティス2セッション両方でトップ・タイムを出せたほどだった。今年は状況が少し違う。しかし、マシンのチューニングを良くするためのセッションがもう1回残されている。予選までの時点では、僕らのマシンはまだ望むレベルに達していない」と話していた。

予選5番手、3列目スタートを決めた佐藤琢磨
「ウォームアップからスピードを上げてハンドリングを確認しました」


 予選5位と上々のパフォーマンスを見せた琢磨は、「プラクティスでのマシンは良かったが、予選シミュレーションを思う通りに行えなかったので、予選ではウォーム・アップ・ラップからスピードを上げてマシンのハンドリングを確認しました。1ラップ目から良い走りができました。2ラップ目はターン3のバンプでマシンが弾かれたので、少しアクセルを戻しました。5番手、3列目グリッドからのスタートなら、スタート直後のターン1、ターン2をトラブルに巻き込まれることなくクリアできる可能性が高いでしょう。今晩のファイナル・プラクティスでレースに向け、マシンの準備を更に進めたい」と琢磨は話した。
以上

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