2018年2月14日水曜日

2018 INDYCARレポート 2月14日:2018年のドライバー&エンジニア・コンビネーション


Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
2018年シーズン参戦の11チームをチェック
 2018年のインディーカー・シリーズに参戦予定の11チームのエンジニア体制がフェニックスでのオープン・テストで明らかになった。なお、チームの数え方だが、アンドレッティ・オートスポートとアンドレッティ・ブライアン・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアンは同一チーム、デイル・コイン・レーシングとデイル・コイン・レーシング・ウィズ・バッサー・サリヴァンも同一チームと考えることとした。




フェニックステストでパワーと談笑するパジェノー、ベン・ブレッツマン Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
ペンスキー、3台体制となるもコンビネーションは不変
 チーム・ペンスキーは3カーに縮小。エンジニアは各ドライバーとも昨年と変わらず。ジョセフ・ニューガーデンはブライアン・キャンピ、シモン・パジェノーはベン・ブレッツマン、ウィル・パワーはデイヴ・ファウスティーノ。インディーカーは1台減ったがスポーツカーにアキュラと2台体制で参戦開始したため、エリオ・カストロネヴェス担当エンジニアらはそちらに異動している。最強チームはユニバーサル・エアロ・キットのパフォーマンスを引き出すという点でライバル勢をスタートからリードすることができるか?

2台ともに勝てる体制を目指すチップ・ガナッシ
昨年のレースエンジニアリング統括をジョーンズの担当に


 チップ・ガナッシ・レーシングは4台から2台に半減。当然、雇っているエンジニアの数も減っている。例えばマックス・チルトンとチャーリー・キンボールを担当していたレース・エンジニアたちは他チームへ移籍した。スコット・ディクソン担当はクリス・シモンズで変わらず。そしてジョーンズだが、「2台ともに優勝を狙える体制を!」という荷の重いテーマを実現するために、これまでチームのエンジニアリングを統括していたジュリアン・ロバートソンがレース・エンジニアとして就くことになった。

6台体制のアンドレッティ・オートスポート
エリック・ブレッツマン就任2年目でチーム力アップなるか?

 

今シーズンのマルコ・アンドレッティはブライアン・ハータの下で98号車を駆る Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
  アンドレッティ・オートスポートは今年もレギュラーが4台。インディー500には更にカルロス・ムニョスとステファン・ウィルソンの2人追加で2年連続の6台エントリー(!!)
去年、スコット・ディクソンの4回のタイトル&1回のインディー500優勝に貢献したエリック・ブレッツマンをテクニカル・ディレクターとして迎え入れた彼らは、新体制での2年目により高い力が発揮されるものと期待ができるが、ドライバーの陣容はルーキーが1人入っているので去年より弱体化しているとも言える。ライアン・ハンター-レイはレイ・ガスリン、アレクサンダー・ロッシはジェレミー・ミレス、マルコ・アンドレッティはネイサン・オールークと残留組のエンジニアは変わらず。去年佐藤琢磨とインディー500で優勝したギャレット・マザーセッドがルーキーのザック・ヴィーチの担当になる。インディーでの追加2人の担当エンジニアは不明。

充実した体制を実現したレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング
佐藤琢磨の作戦をボビー・レイホールが担当するのも大きな強みに

 レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、何年もかけて着々とエンジニアリング・チームを強化して来た。佐藤琢磨曰く、「入って行くエンジニアはいても、出て行く人はいない」。元ペンスキーで、一昨年アンドレッティ・オートスポートがアレクサンダー・ロッシを急遽走らせる時に現場復帰したトム・ジャーマンを2017年シーズンに向けて獲得。今年から彼はテクニカル・ディレクターに昇格。ジャーマン加入前にチームを優勝争いのできるレベルまで引き上げたエディー・ジョーンズは、今年から琢磨の担当エンジニアを務める。ジョーンズは服部尚貴がチーム・グリーンでインディー・ライツを戦った時のエンジニア。そして、このチームの"ヴィークル・ライド・コントロール・エンジニア”(=ショック・アブソーバーなどを担当)はマーティン・パレ。中野信治がウォーカー・レーシングでインディーカーを戦った時の担当エンジニアだ。琢磨陣営ではもう一つ大きなニュースがある。ピットで作戦をコールするのがチーム・オーナーのボビー・レイホールになるというのだ。琢磨はこれを契約の際にリクエストしたという。レイホールはチームが成績を出なかった時期にピット・スタンドから離れてオーナー業に専念していたが(息子のチームのコールをするのは非常に難しいのだ)、作戦力、状況変化への対応力は業界トップ・レベル。琢磨にとっては非常に強い味方になりそうだ。

ブルデイ車のマネージメントに加わったヴァッサ―とサリバン
近年好調のデイル・コイン・レーシングにシナジーは生まれるか?

 

デイル・コインに乗り込んだジェームズ・サリバンとジミー・ヴァッサ―。この二人の加入がブルデイの走りにどう影響するのか? Photo:INDYCAR (Stephen King) クリックして拡大 
  デイル・コイン・レーシングはエース=セバスチャン・ブルデイの18号車にジミー・ヴァッサーとジェイムズ・”サリー”・サリヴァンがマネジメント・スタッフとして加わった(=スポンサー持ち込みってことなんだと思う)。ブルデイとヴァッサーはCART時代からの馴染みで、サリーもKVSHレーシングで一緒だった。彼らのプラスはDCRの体制強化となるか。1994年にホンダ・エンジンを使う最初のインディーカー・チャンピオンとなったヴァッサーがやっとホンダ・チームに戻って来るというのは嬉しい話だが、反面、彼がレースをコールするとなるとレイホールのケースとは真逆で少々心配な気も……。エンジニアはクレイグ・ハンプソンで変わらず。ブルデイがCARTで4年連続チャンピオンになった時のエンジニアだ。2台目=19号車はピエトロ・フィッティパルディとザカリー・クラマン・デメロのルーキー2人がシェアするが、こちらはマイケル・キャノンが担当エンジニア。今年もこのチームのパフォーマンスは要チェックだ。

SPMは2018年シーズンでチーム体制を大幅に一新
ヒンチクリフ担当にはインディーカー史上初の女性エンジニアを起用

 

ヒンチクリフを担当する女性エンジニア、リーナ・ゲイド(右) Photo:INDYCAR (Stephen King) クリックして拡大
  トップ・コンテンダーとなるまであともう一押し……という状態が続いているシュミット・ピーターソン・モータースポーツ。今年はドライバー・ライン・アップにもエンジニアリング体制にも変更を施した。長年テクニカル・ディレクターを務めて来たアレン・マクドナルドは離脱。代わりにチップ・ガナッシ・レーシングを出たトッド・マロイ(最後はキンボール担当)がそのポジションに迎えられた。ドライバーはカナダ人2人になった。チームの共同オーナー=リック・ピーターソンがカナダ人だからというワケではなく、ジェイムズ・ヒンチクリフとロバート・ウィッケンズが旧知の間柄で、お互いの能力も認め合っているのでチームメイトとして協力体制を築くのにベストという事情から。エンジニアはヒンチ担当にアウディ・シュポルト・チーム・ヨーストでル・マン24時間レース3勝のリーナ・ゲイドが抜擢されている。これまでにも女性エンジニアは何人かいたが、いずれもデータ担当などだった。ゲイドはインディーカー史上初めて、1台を任せられる女性エンジニアとなる。ウィッケンズ担当はブレアー・パーチバッカー。武藤英紀がパンサー・レーシングでインディー・ライツを走った時のエンジニアだ。
マイケル・シャンク Photo:INDYCAR (Joe Skibinski)

  マイケル・シャンク・レーシングとのコラボレーションで走らせるジャック・ハーヴィーの担当エンジニアは不明。去年彼がアンドレッティ・オートスポートでインディー500を走った時のエンジニアはザック・イーキンだったが、彼はステファン・ウィルソン担当になるか??

エド・カーペンター・レーシングも

エンジニアを変更
 エド・カーペンター・レーシングはシュミット・ピーターソン・モータースポーツを離れたヴェテラン・エンジニアのアレン・マクドナルドを獲得。テクニカル・ディレクター兼エド・カーペンター(&ジョーダン・キング)担当に据えている。去年までエドと組んでいたマット・バーンズはフル・シーズン・エントリーに昇格したスペンサー・ピゴットに付く。去年のフェニックス・テスト最速で、レースでも3位(ともにJR・ヒルデブランド)とパフォーマンスが高かったエド・カーペンター・レーシングだが、新体制&新エアロでの今年は2日間の総合で14番手&21番手と今ひとつ。実力発揮までには少し時間がかかりそうだ。

 シボレー陣営はユーザー数こそ8台から11台に増えたが、チーム・ペンスキーだけに頼り切る体制が強まった感あり。

カナーン加入でチーム大改造のAJフォイト
ブラジリアンドライバー2人のコンビネーションは良好

 
ラリー・フォイトの傍らに立つレイスト。故国の先輩、カナーンとのコンビネーションで、AJ・フォイト・エンタープライゼスを浮揚させることができるか Photo:Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

  琢磨との優勝から4年以上が経過。苦闘を続けているAJ・フォイト・エンタープライゼスは、2年連続で大幅な体制変更を断行した。チーム体制に継続性がないと伸びるものも伸びないが、そうせずにはいられないシーズンを昨年は送っていた。変更の原動力は新リーディング・ドライバーとなったトニー・カナーン。彼は体制作りに積極的に関与するタイプ(それでチームが結構引っ掻き回されるケースも……)。チップ・ガナッシ・レーシングから旧知のエンジニア=エリック・カウデンを引き連れて来て、テクニカル・ディレクター兼14号車エンジニアだったウィル・フィリップスは放出の憂き目に。辛うじて2台目=4号車のエンジニアだったマイク・コリアーは残留。ただし、担当ドライバーはコナー・デイリーからルーキーのマテウス・”マット”・レイストに変わった。シュミット・ピーターソン・モータースポーツがカナディアン・コンビなら、フォイトはブラジリアン・コンビということ。そして、こちらのコンビネーションもうまく機能しそうだ。兄貴肌のTKと、彼のレースを見て育ち敬意を抱いているマットという主従関係だからだ。TKは今年はインディアナポリスに住むということで、14号車のメインテナンスがインディで行われることにもなった。テキサスの本家ショップは4号車担当に。「14号車はテキサス」という伝統が消えてしまうワケだ。そればかりか、AJとラリーのフォイト親子が4号車を担当することになるから、14号車のピットにフォイトと名の付く人が誰もいなくなる。コレはビックリだし、ちょっと寂しい気もする。

チームの伝統を覆す変革を受け入れたAJ・フォイト御大だが、威光はいささかも衰えない。フェニックステストには、なんとあの ”ザ・ライト・スタッフ”、チャック・イエーガー!を招いてともに走行を観閲 Photo:INDYCAR (Shawn Gritzmacher) クリックして拡大 
   14号車の作戦をコールするのは去年チーム入りしたジョージ・クロッツ。彼とTKはアンドレッティ・オートスポート時代に一緒に働いていてツーカーだ。AJは、「テキサスもインディも自分にとっては故郷」と気にしていないそうだが……。

ブライアン・バーンハートがチームプレジデントのハーディング・レーシング
一昨年の琢磨担当エンジニアがシャヴェスを受け持つ


インディーカー競技長時代とはちょっと風貌が変わったバーンハート。チームプレジデントとしてどんな手腕を見せるのだろうか? Photo:INDYCAR (Chris Owens)
  去年3レースに出場したハーディング・レーシングは、今年もギャビー・シャヴェスをドライバーに起用。去年までインディーカーで競技長などをやっていた悪名高き(?)ブライアン・バーンハートがチーム・プレジデントに就任し、その下に辣腕マネジャー(?)のラリー・カリーという陣容。ドライバー・コーチ兼エグゼクティヴ・コンサルタントという何やらビミョーな肩書きでアル・アンサーJr.も在籍している。エンジニアは一昨年フォイトでインディー500から琢磨を担当したマット・カリー。彼はマネジャーのラリーの息子だ。

今シーズンからインディーカーにステップアップの
2チームの体制にも注目

 

トレバー・カーリンPhoto:INDYCAR (Joe Skibinski)
  インディー・ライツからのステップ・アップ組その1=カーリン。マックス・チルトンとチャーリー・キンボールと、チップ・ガナッシ・レーシング・チームズのG2と呼ばれたセカンド・チームから2人が揃って移籍。それぞれのスポンサーも変わらず。ただし、カー・ナンバーはチルトンが59、キンボールが23と去年までとはまるで違ったものになる。エンジニアはチルトン担当がダニエレ・クッキアローニ(2016年にフォイトでジャック・ホウクスワース担当だったイタリアン)。キンボール担当はマット・グリースリー。
 インディー・ライツからのステップ・アップ組その2は、2009年からアメリカで頑張って来ているフンコス・レーシング。オーナーはアルゼンチン出身のリカルド・フンコス。去年はインディー・ライツとプロ・マツダ、インディーカーの真下に位置する2シリーズでタイトルを獲得し、インディー・ライツ・チャンピオンのカイル・カイザーとともにインディーカーにステップ・アップして来る……が、まだ17戦中の8戦しか出場予定はない(カイザーが4戦、オーストリア出身のルネ・ビンダーが4戦)。エンジニアは去年彼らがインディー500に2カー・エントリーした時にテクニカル・ディレクターを務めたヴェテランのトム・ブラウン。ペンスキーで働いた後にベッテンハウゼン・モータースポーツに移籍し、服部茂章の担当だったこともあるエンジニアだ。
以上

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