2019年3月23日土曜日

2019 INDYCARレポート R2 インディーカー・クラシック:COTA最初のプラクティス最速は開幕戦ウィナー、ジョセフ・ニューガーデン

ニューガーデン、開幕を制した勢いか、第2戦COTAのプラクティスでも好スタート Photo:INDYCAR (Stephen King) クリックして拡大
インディーカー・クラシック、歴史の第一歩
 テキサス州オースティンに2012年にオープンしたサーキット・オブ・ジ・アメリカス(COTA)での初レース、NTTインディーカー・シリーズ第2戦が始まった。イヴェント名は”インディーカー・クラシック”。さすがはF1アメリカン・グランプリ開催トラック。大きく出た。名前にそぐう歴史を積み重ねて行ってくれることを祈るばかり。
 ヒューストンとダラスとサン・アントニオの間にあるオースティン。このエリアにインディーカー・ファンは果たしてどれだけいるのか?
AJ・フォイトの生まれ故郷はヒューストンで、チームの本部は今もヒューストンの北20マイルにあるが……。







プラクティス1でスピンを喫するもハータは速さを見せつけた Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
プラクティス1はハータのスピンで赤旗
しかし当のハータは2番手タイムをマーク
 晴れ。しかし気温は17℃と肌寒いコンディションでプラクティス1はスタート。「路面がキレイになって、グリップが高まるまでは走りたくない」というチームが多く、そうした面々が「さぁ、走ろう」となったタイミングでコルトン・ハータのエンジン・トラブルによるスピン&ストップし、赤旗中断。マシンの移動と路面の清掃に時間がかかって、走行開始はセッション終了2分前。「ピット・アウトしたら1ラップのアタックは保証しましょう」というインディーカーの寛大なる措置により、ここでコース・インしなかった3台を除く21台は互いに十分なスペースを取って1周のタイムド・ラップを記録した。
 セッション最速はレッド・フラッグ前にベスト=1分48秒6567を出していたジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シヴォレー)。2週間前の開幕戦優勝を黒/白/赤のHITACHIがメイン・スポンサーのマシンで飾った彼は、今回はPPGペイントの青/黒/白のマシンに乗っている。ベストは6周を走ったうちの3周目に記録されていた。
 2番手はコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング/ホンダ)。ニューガーデンとは0.1372秒差。合同テストで最速だった彼のスピードは本物だったと評価すべきなのだろう。ベスト記録は4周目で、彼は走行6周目にトラブルに見舞われた。
 3番手はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)=1分49秒0456。4番手はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)=1分49秒5011。5番手はグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)=1分49秒5076だった。

ローゼンクヴィスト、COTAでも速さをアピール
基本的には合同テストと同じようなオーダーに



ローゼンクヴィストはこのセッション6番手。ディクソンを上回るポジションにつける Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 6番手以下には、フェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、マックス・チルトン(カーリン/シヴォレー)と続いた。ローゼンクヴィストもルーキーながら、最初のプラクティスからキッチリ速さを見せている。開幕戦予選3位/決勝4位だった彼は、その前にここCOTAで行なわれた合同テストで6番手のタイムを出していた。先輩チームメイトのディクソンより速く、開幕戦の予選でも同じようにディクソンより上位の予選結果を残した。
 
テストでの好調の流れを維持するレイホールがこのセッショントップ5入り Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大

 ……と見ていくと状況は合同テストからほとんど変わっていない。アンドレッティ勢(ハーディング・スタインブレナー・レーシング含む)、ペンスキー、ガナッシがCOTAでは速い(……基本的にどのコースに行っても彼らがトップ・コンテンダーなワケだが……)。テストで7番手のタイムを出していたレイホールが、このセッションで5番手と奮闘を見せていた。

大物新人、パト・オーワード、カーリンからついに登場!

 チルトンのP10は、去年までのパフォーマンスを考えるとかなり良い。開幕戦セイント・ピーターズバーグでもカーリンの2台はスピードを見せていた。今回、チルトンのチームメイトはチャーリー・キンボールではなく、大型新人のパト・オーワード。カー・ナンバーは「31」とキンボールとは別のものを着けての登場となった(キンボールは「23」)。

おなじみのメキシカンなカラースキームをまとったマシンで登場したオーワード。サイドポッドのスポンサーロゴに注目Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 すでに昨年の最終戦ソノマでインディーカー・デビューしているパト。開幕戦で2019年初登場(ハーディング・スタインブレナー・レーシングから)のはずが紆余曲折あってカーリンからの出場になった。エンジンもホンダからシヴォレーに変わった。シーズン初の走行での彼のポジションは16番手。マシンのサイド・ポッドには”シヴォレー・アクセサリーズ”のロゴがあるが、「シヴォレーが彼の将来性を買ってスポンサーに名乗り出た……」のではなく、カーリンがシヴォレーに対して感謝の意を示すべくロゴを貼った。合同テスト直前にハーディングからのフル・シーズン出場が不可能と知ったパトは、開幕1ヶ月前にチーム探しを始めることとなり、17戦中の13戦にカーリンから出場する話に辿り着いた。しかし、もうテストをどこかで行う時間はないことから、シヴォレーがパトのシミュレーター使用をオファー。ノース・キャロライナのシャーロットにあるシミュレーターでパトとカーリンはCOTAを体験。ドライヴァーは走ったことのないコースでのラップを重ねることができ、チームも有効なデータ収集が可能となった。

このセッション、ほとんど走れなかった佐藤琢磨
「コースコンディションがすごく悪くクルマが言うことを聞かない」




Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は1分51秒0908のベストで19番手。ほとんど走っていないに近いのだから仕方ない。レッド・フラッグのタイミングが悪過ぎたが、チームメイトが上位につけているところに希望がある。
 走行を終えた琢磨は、「テストで良かったと思われるセッティングを施したマシンを持って来たんですけど、コンディションがテストとは大きく違っていて、1秒半から2秒ぐらい遅かったです。気温が大分上がっていたことも影響していたと思います。僕らとしては酷いセッションでしたね。まったくクリア・ラップが取れないで、ようやくタイムド・ラップに入れたと思ったらホイールをロックさせちゃった。その周を諦めての次の周となったら赤旗。トータル4周しかできなくて、最後に1ラップのアタックをしたけど、ちょっと消化不良です。コースのコンディションが凄く悪いので、クルマが言うことを聞かないっていうのが正直なところなんですけど、そういう中でマシンのレヴェルをあげて行くしかないですね」と語った。明日、明後日も気温は高い予報。タイヤ・ラバーが載った後でも路面のグリップが高まらず、滑り易いコンディションでの戦いとなる可能性もある。明日の予選、明後日の決勝、その時々で異なる路面コンディションにどれだけ正確に読んでマッチしたセッティングを用意できるか、刻々とへ変わるコンディションにドライヴィングをどこまでアジャストして走れるか。その重要性がより高い戦いが今週末のCOTAでは繰り広げられる。
以上

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