2011年7月29日金曜日

2011 INDYCAR レースアナリシス R10 エドモントン インディ その1:新レイアウト採用の年の悪天候、難しいコンディションで争われた決勝では二強が表彰台独占。佐藤琢磨は順応性の高さ見せた

ポールポジションからスタートし、安定した戦いぶりを見せた佐藤琢磨。
初走行となるボルチモアやインディジャパンへの期待が高まる。
Photo:INDYCAR(Daniel Incandela)

初日は雨でまったく走行できず、実質2デイに

 新しいコースレイアウトとなったのに金曜が雨で走行ゼロ。これはエントラントにとって非常に厳しい状況だった。予選前までに3時間以上与られるはずだったプラクティス時間は、1時間半と半分以下に減らされた。不幸中の幸いだったのは、土曜日の午前中も雨という予報が外れ、予選前の2回のプラクティスがどちらもドライコンディションで行われたこと。最初のセッションはまだコースの一部に水溜りが残っていたが……。
 予選もどうにかドライコンディションで行われた。プラクティス終了後に小雨がパラついたが、天気は何とか持ってくれたのだ。そして、レース当日の朝のファイナルプラクティスも快晴下のドライコンディションでの30分間となった。

難しいコンディションへの適合で強さを見せた二強チーム

 レースデイは朝から快晴に恵まれ、気温も路面温度も徐々に上昇して行った。
 この日のファイナルプラクティスを含め、レース前にインディカーが走ったセッションは、どれもが7月とは思えない非常に涼しいコンディション下であった。気温と路面温度が最も高かったのは予選時で、それぞれ17℃と24℃しかなかった。ファイアストンのエンジニアによれば、これらの温度は想定範囲内だが、パフォーマンスをフルに発揮させるためには、もう少し路面温度は高い方が良いということだった。
 そして、レースがスタートしようという時、気温は22℃、路面温度は36℃にも達していた。寒いコンディションでプラクティスを重ねた後に、暖かいコンディションでレースを行うこととなったのだ。オーバルほどではないにしろ、これだけ温度の条件が異なれば、マシンに及ぼされる影響は変わって来る。それらを最も的確に読んで対処し、レース中に進む更なる変化にも素早く反応し、セッティングや走り方などに調整を加えることが、エドモントンの新コースでのレースでは必要となったのだった。
 そして、レース結果はというと、優勝はウィル・パワー(チーム・ペンスキー)で、2位はエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)、3位はダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)と、やはり二強がトップ3を占めた。今回のような難しい条件が重なると、チームの総合力がモノを言うのだ。

PPの琢磨、決勝でも安定した戦いぶりを見せ期待が高まる

 佐藤琢磨(KVレーシング・テクノロジー・ロータス)は、短時間のプラクティスでマシンを仕上げてポールポジションを獲得。決勝に向けてのマシン・セッティングもまずまずのものを用意した。しかし残念なことに、琢磨はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)にブツケられ、勝機を失った。そこまでの彼は非常に冷静に周回を重ねていた。第1スティントでは終盤にタイヤがタレ気味となってパワーにパスを許した。ターン13でパワーにラインを譲った時、少しアウト側へワイドにラインを採し過ぎてタイヤかすを拾ったのか、続くラップでスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)とダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)のふたりにも先行を許してしまった。
 しかし、ピットストップで次のスティント内でのペースダウンを防ぐべくタイヤの空気圧を調整した。ピット作業でライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)を前に出したのは、彼らがショートフューエルという作戦(給油量を敢えて少なくしてでも順位を上げようとするもの)を採用したためだ。この作戦が裏目に出て、ブリスコーは最終ラップの1周前にピットに給油に入り、4位から10位に順位を下げてのゴールとなっていた。「たられば」の話をしても空しいが、セオリーどおりに戦っていた琢磨は、燃費セーブも上々だったので、不運なアクシデントさえなければブリスコーの前でフィニッシュしていた可能性が高かっただろう。
 初走行の新レイアウトのコースで、しかも決勝のコンディションがプラクティスや予選、決勝前のウォームアップと異なるという条件となっていても、琢磨が安定したパフォーマンスを見せたことで、ボルティモアやインディジャパンが楽しみになった。どちらも今年から新レース(もてぎは初のロードコース開催)だからだ。ただし、ボルティモアはストリートなのでKVレーシング・テクノロジー・ロータスがバンピーなコースに対するマシンセッティングを向上させて来ないと活躍は期待しにくいが……。

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