2014年4月18日金曜日

2014 INDYCAR レースアナリシス 第2戦ロング・ビーチ:2014年ペナルティ考

Photo*INDYCAR (John Cote)
インディーカーの新しいポリシーとは?
 

 ロング・ビーチでのシリーズ第2戦は、少々腑に落ちない部分が皆さんあったのでは? ペナルティに関しての話だ。
 インディーカーの競技長であるボー・バーフィールドはこの件に関して、「今年のインディーカー・シリーズは、レース・コントロールがいちいち指図をするんじゃなくて、レーシング・ドライバーたちが自ら取り仕切るものとする」との新ポリシーを掲げ、それがロング・ビーチでのペナルティの少なさに現れたんだと述べている。彼は開幕前からドライバーやチームに対し、彼、もしくはインディーカーの新しい方針を伝えて来ているんだそうだ。開幕戦セント・ピーターズバーグでもドライビングに関するペペナルティがほとんどなかったのは、同じ理由からだという。
 ペナルティが乱発されれば、笛の鳴り過ぎて中断ばっかりのサッカーの試合と同じで、おもしろさが削がれてしまう。しかし、「ドライバーに委ねる」というバーフィールドとインディーカーの新ポリシーもどうなんだろう。

ペナルティを取られなかったことに驚くパワー!
 ロング・ビーチの序盤、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がシモン・パジェノー(シュミット・ピーターソン・ハミルトン・モータースポーツ)に追突してタイヤ・バリア送りとしたが、レース後にパワー自身が、「ペナルティを取られなかったのが驚き」とコメントしていた。
 レース終盤にはスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)がジャスティン・ウィルソン(デイル・コイン・レーシング)に幅寄せ。3度もチャンピオンになっているヴェテラン・ドライバーが真横にライヴァルに並ばれたコトに気づかなかったというのも驚きだし問題だが(本人がそうコメントしている)、彼がスペースを与えなかったことによって接触は発生、壁側にいたウィルソンはアクシデントによりリタイアに追い込まれた。こちらもペナルティは発せられなかった。
 「ジョニー・アンサーとブライアン・バーンハート、そして私は、これらふたつのアクシデントのリプレイを見た。昨年までならいずれもペナルティの対象だったが、今年の我々はどちらもペナルティとしなかった。両ケースとも悪意はなかったからだ」とバーフィールドは説明してる。

悪意の有無は問題ではないはず……
 

 インディーカーのオフィシャルは、ペンスキーとガナッシの2チームになかなかペナルティを科さない。バーフィールドの前任者であるバーンハートの時代からそれは言われて来ている。そして今、3人いる審判のうちの2人がバーフィールドとバーンハートなのだから、この疑いに関して改善がなされる可能性は低い。
 パワーは明らかなミスジャッジをし、ディクソンは注意力が散漫だったために競争相手にぶつかった。他陣営に取り返しのつかない被害を与えてしまったのだから、そこに悪意が存在したかどうかは問題ではないはずだ。彼らにも相応のマイナス、例えばペナルティが科せられるべきだった。今からでも遅くない。彼らにはプロベーション(執行猶予)措置などが取られるべきだろう。

インディカーのフェアな運営への道のりは遠い!?


 開幕戦のセント・ピーターズバーグでは、リスタートでパワーがエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)に対してブレーキ・チェックを行い、そのおかげでジャック・ホウクスワース(BHA/BBM・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)が3台に大きなダメージを与えるクラッシュを引き起こした。ここでもパワーに対してペナルティは出されなかった。そこに悪意がなかったからか?
 確かに、あの一件でパワーはルールに触れることはしていない。しかし、彼の行動によって多重アクシデントが引き起こされたのも事実だ。パワーは豊かな才能を持ったピュア・スピード・ジャンキーで、悪意を持ってドライビングをするタイプではない。彼はカストロネヴェスのフライングに対抗する策として急減速をした。それで中団グループにアコーディオン効果が発生、大きな被害が出ようなどとは考えもしなかったはずだ。悪意がないのは救いだが、同時に思慮もなかった。その点が問題にされるべきで、バーフィールドたちはそうした指摘を行ったり、取り締まったりするために雇われているはずなんだが……。
 それでも彼らは、少なくともしばらくの間、何もしないというスタイルを貫いて行くんだろう。そして、それはインディーカー・シリーズに大きなダメージを与える危険がある。「インディーカーはフェアに運営されていない。ヴェライゾン・ドライバーは何をしてもペナルティを科せられない」などという悪評が世間にバラまかれる可能性は否定できないからだ。実際、ファンにそう受け取られても不思議のない事態が2レースで2回も起こっている。
以上

2 件のコメント:

  1. ほんとそう思います。そもそも危険だし。

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  2. ボー・バーフィールドが新たに試み始めた"ドライバー任せ”のレース運営はドライバーたちに混乱を与えている。バーバー・ モータースポーツ・パークでのレースの前にバーフィールドはドライバーたちと話をするというので、何らかの解決策が見出されることを期待するしかない。
     前任者のようにでしゃばり過ぎず、ロング・ビーチでのように放任に過ぎない、いい塩梅での運営を実現させて欲しい。

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