2015年6月28日日曜日

2015 INDYCARレポート R11 MAVTV500 Race Day 決勝:フォンタナの500マイル・レースはグレアム・レイホールが優勝

Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
テキサスと異なるエアロルールが生んだワイルドな展開
 パック・レーシングがほぼ復活していた。2011年ほどではなかったが、それに近いワイルドさになっていた。その裏には幾つかの事情が絡んでいた。
 まず、今回のフォンタナは日中のレースとされたので、インディーカーがウィングのルールをテキサスとは違えた。バンクの傾斜角度が14度とフォンタナは小さい(テキサスは24度)ので、リヤ・ウィングのアングルを0度まで立ててよいことにした。今年のテキサスではマイナス6度~マイナス10.5までとされていた。


 次に、テキサスで摩耗の激しかったタイヤを、ファイアストンに依頼し、右フロントを摩耗の少ししにくい仕様にしてもらった。
 そして、各チームはというと、テキサスで欲を張り過ぎて痛い目に遭った=ダウンフォース少なく設定し過ぎてハンドリングがおぼつかなかった=面々が、今回は日中のレースということでダウンフォース不足に陥ることを警戒し、ウィングを立てて行っていた。

レース序盤から終盤まで3ワイド、4ワイドの展開が続いた Photo:INDYCAR (Chris Jones)
 曇り空で路面温度上昇が抑えられたこともあり、出場23台のほとんどはダウンフォースが充分過ぎるほどにある状態となっていた。インからアウトへ、一気にラインを変更するなどのアグレッシブなドライヴィングが可能となっていた。
レイホール、2008年開幕戦以来の勝利!

 そんなレースを制したのはグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)だった。ピット作業のミスで給油ホースが繋がった状態で発進し、燃料をバラまきながらピットアウトしたレイホールは、給油リグをコース上に落とす事態を巻き起こしたが、ペナルティは発せられなかった。インディーカーの最近の新ルールにより、レース後の審議でペナルティは決するということのようだ。
 「やっと勝てた。初勝利から2勝目までが本当に長かった」とレイホール。2008年の開幕戦セント・ピーターズバーグ以来となる勝利は、父ボビーのチームで記録する初めてのものともなった。
 「チームが本当に頑張って来ている。ホンダも休み無く働いて来てくれている。今年はシボレーに完敗しているが、エンジンはすごく良くなっているし、エアロでも彼らは努力を続けてくれている」とレイホールは語った。

「レースが楽しかったとは言えない」とリスクを憂えるカナーン
 2位はトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング)。豪快な走りを冷静な状況判断で行える彼ならではのパフォーマンスだった。「今日のレースが楽しかったとは言いたくない。リスクが大きなレースになっていたからだ。しかし、僕らは与えられたマシンで戦うために雇われている」とカナーンはコメントした。






Photo:INDYCAR (Chris Jones)
 エアロキットが導入された初年度であるため、どのコースにどれだけのダウンフォースが適正量なのか、インディーカーも把握をし切れていない。今回の経験から、今後の各レースでのダウンフォース量=エアロ・パッケージのルールが作られることになる。テキサスでのレースは接近戦バトルこそ少なかったが、エアロを駆使した興味深い戦いになっていた。テキサスのものに近く、しかし、もう少し接近戦の多くなるエアロ・パッケージが来年は設定されることと期待したい。

アンドレッティ、ニュータイヤで勝負をかけたが及ばず
 3位はマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)。予選3位。スタート直後にトップに立った通り、マシンの仕上がり具合は非常によかった。レース中盤は燃費セーブも心がけて大人しくしていた。彼は残り3周でのリスタートを前にピットロードへと滑り込み、フレッシュ・タイヤへと交換。グリーンフラッグにどうにかギリギリ間に合って、タイヤの高いグリップ力を武器に3位まで浮上。しかし、優勝には届かなかった。
 「あそこでインに行くべきじゃなかった。グレアムがそう出るのを見越してアウトに行くべきだった。そうしたら勝っていたのは僕だった」と彼は悔しがった。

レースを通じてトップ争いを演じた琢磨だったが……

 佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)はパック・レーシングで生き生きと戦っていた。1回目のピットストップ後にトップに立ち、レース中盤に一時ポジションを落としたが、そこから復活。さらにはリヤ・ウィングのダメージ(フロントも1回ダメージ=ともにセイジ・カラムが接触して来たため)によって周回遅れに陥ったが、そこからリード・ラップに返り咲いた上、三度トップ争いへ。そのファイターぶりは素晴らしいものがあったが、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)とスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)のサンドイッチになってパワーとともにクラッシュした。優勝の可能性充分だっただけに、残念な結果だ。 
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  「本当に残念」と琢磨も悔しがっていた。しかし、トップ争いをレースを通じて行えたことに充実感を感じてもいた。「レイホールとカラムには気をつけて走ってました。彼らは危なっかしい運転をしてたので。最後にバトルをしていたのはシリーズでも経験豊富な、信頼している2人だったのに、ディクソンは上がって来たように見えたし、パワーも下がって来たような感じでしたね。優勝する気でいただけに残念です。今日のマシンの仕上がりはトップ・レヴェルだった。確かにインサイドのレーンを保つドライバーがいるとパスするのは大変だったけれど、アウトから攻める続けることでトップを奪うことは充分可能だった。僕らのマシンは優勝できるマシンだった」。

 ホンダは今シーズン3勝目。シボレーとのヘッド・トゥ・ヘッドでの戦いを行っての勝利を地元フォンタナで飾った。
以上

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