2018年6月9日土曜日

2018 INDYCARレポート R9 DXC テクノロジー600 Day1 プラクティス1:エアロ・ルールに手直し! 最速はウィッケンズとカナーン=同一タイム

新エアロ規定での走行となったプラクティス1で、ホンダのウィッケンズとシボレーのカナーンが全くの同タイムでセッショントップに! Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
ダウンフォースを減らしてマシン同士が接近しすぎないための変更
 インディーカーはテキサスでのレースに向けて新エアロ・パッケージを導入した。インディー500と同じ前後ウィングを使うが、リヤは最大でマイナス3度までしか角度をつけられない(マイナス6度からの変更なので、ここではダウンフォースを増やす方向)ことになった。そして、アンダー・トレイのサイド・ウォールは取り外しが義務付けられ(大幅ダウンフォース減)、逆向きのガーニー・フラップをフロア後端に着けることに(こちらもダウンフォース減)。去年のレースはかなりの”パック・レーシング”になっていたので、今年はダウンフォースを減らしてマシン同士が接近し過ぎないよう注意が払われている……のだが、近づけなくてパスもできない事態に陥らないか心配だ。


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予選前に新エアロをトライ出来るのはこのセッションのみ!
カナーンとウィッケンズが全くの同タイム!


 プラクティス1は90分間。普段よりは長いが、これを終えたら次はもう予選。そして、タイヤ・テストでブリスターが出たことから、このセッションで4セット以上のタイヤをスカッフィングすることが義務付けとなった。
 このセッションではみんな新エアロでのマシンの理解に時間を投じ、トラフィックでのテストはほとんど行わないようにしていた。予選に向けてもマシン・バランスのベース・ラインを出すのは非常に重要なのだ。

 気温が31~33℃、 路面が44~52℃だったセッション1、トップ・スピードは220.014mph=40秒0143を出したトニー・カナーン(AJ・フォイト・エンタープライゼス)とロバート・ウィッケンズ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)。二人は1万分の1秒まで同じだった。エンジンはカナーンがシボレー、ウィッケンズがホンダだが……。
 3番手はセバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)=219.619mph、4番手はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)=219.355mph、5番手はギャビー・シャヴェス(ハーディング・レーシング)=219.064mphだった。
 これらのスピードはほぼすべてがドラフティングを使って出されたものだった。予選でのパフォーマンスを予想するデータとはしにくい。もちろん、遅いより速いに越したことはないのだが……

ドラフティングなしではディクソンが最速
佐藤琢磨はドラフティングなしで8番手


 ドラフティングの助けなしのスピードでは、6番手だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)の218.589mphが最速。次がロッシの216.212mph。ディクソンの速さが突出していた。3番手はルーキーのザック・ヴィーチ(アンドレッティ・オートスポート)による215.862mphだった。彼はドラフティングありだとポジションは14番手だった。
 ドラフティングなしで4番手のスピードを出していたのはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)の215.097mphで、5番手はウィッケンズの214.475mph。6番手はジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、7番手はカナーンで、佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が213.560mphで8番手だった。琢磨はドラフティングありだと217.842mphでこのセッション11番手だった。チームメイトのグレアム・レイホールは214.881mphのベストで20番手で、ドラフティングなしだと14番手。今回はフンコス・レーシングが来ていないので22台のエントリー。レイホールの位置は最後尾から数えて3番目だ。
 インディーカーで競技及び技術部門の副社長を務めるビル・パパスに走行直後、「スピードはだいたい想定内だ。タイヤが新品の時だけは全開で行けているのでは?
摩耗が進んだらターン1はアクセルをリフトしないとならないだろうが……」と話していた。

昨年とは一転、ホンダ勢が優勢
パワー、パジェノー、ハンター-レイが出遅れ気味


 トップ5を見るとホンダx3対シボレーx2、トップ10だとホンダx6対シボレー4。インディー500ではシボレー優位だったが、テキサスではホンダが優勢だ。ドラフティングなしのスピードでもホンダはトップ3を独占し、トップ10に8人が入っていた。
 インディー500ウィナーで昨年のテキサス・ウィナーでもあるウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は15番手で、ドラフティングなしが10番手。シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)7番手で、ドラフティングなしは18番手だった。
 デトロイトのレース2で勝ったばかりのライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)も総合18番手、ドラフティングなし=17番手と低迷気味だ。

 インディー500予選のファスト9はシボレーx7対ホンダ2だった。今日の予選は果たしてどうなるか?

「接近戦は明らかに厳しくなると思います
自分たちのマシンのフィーリングは良くなってきています」

 

Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 琢磨の走行後のコメントは以下の通り。

「単独走行に関してはそんなに問題はないと思います。去年よりは勿論ダウンフォースはこれでも少ないんですけれども。
 予選に関しては、おそらく今よりダウンフォースを削って行くので、そんなに去年とバランス的には大差はないと思います。
 前を走るクルマへの接近の度合いは、去年とはかなり変わると思います。接近できなくなります。まだいまのセッションではトラフィック・ランはやっていません。クルマのセッティングを見極めること、予選への取り組みを行っていたので。
 去年よりも400ポンド以上ダウンフォースが減っているので、明らかに接近戦は厳しいと思います。オーバーテイクはしにくいでしょう。
 タイヤはテストでブリスターが出たみたいなので、ファイアストンが右側タイヤにより硬めのコンパウンドを採用しました。左側は少し柔らか目にしたみたいなんですね。全体的なグリップ感はそんなに変わらないんだけれど、多分、タイヤの保ちがすごく良くなっている。ダウンフォースを削ったことによってトレッド表面が滑るから、それによってブリスターを起こしちゃう。それをコンパウンドを硬くして止める。要は、今までのように最初の数ラップは良くても、その後はデグラデーションで悩まされるってパターンからはちょっと遠ざかっている。タイヤの状態は数ラップをした後でもしばらくはそこそこいいものが続く。ただし、いいというのは、安定しているけれどダウンフォースがあるわけじゃないので、単独ではそこそこのバランスで走れるけれども、トラフィックでの走りは相当厳しくなると思います。
今日はタイヤは4セット以上スカッフすること、時速190mph以上の平均スピードを出してのものとすること推奨……と、ヒート・サイクルを1回入れて、タイヤがブリスターを出しにくいようにしているわけです。それをレースで最初の4セットとして使用するルールです。
 今の自分たちのマシンのフィーリングは、このセッションの中で良くはなって来ていますが、でもやっぱりスピードが足りない。メカニカル・グリップが良ければウィングをトリムすることができるので、それを今、ちょっとしかできなかったから、どうやってもうちょっとのスピードを見つけようか……と、これから予選に向けて検討をしたいと思っています」

以上

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