2018年6月4日月曜日

2018 INDYCARレポート シボレー・デュアル・イン・デトロイト デュアル2 決勝:ライアン・ハンター-レイがレース2で優勝

ロッシとの一騎打ちを制したハンター-レイを祝福するマイケル・アンドレッティ Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大 
計算しつくした3ストップ作戦で2ストップのチームメイトと真っ向勝負

 早めにピットインする3ストップ作戦で昨日2位フィニッシュしたライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が、今日も同じ作戦にトライし、ポール・ポジションからセオリーどおりに2ストップで逃げ切りを狙ったチームメイト、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)との一騎討ちを展開した。そして、勝利はハンター-レイのものとなった。 


序盤からハードにプッシュし続けたハンター-レイ Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大
 「序盤のレース展開を見て2ストップか3ストップかを決める」とエンジニア兼ストラテジストのレイ・ガスリンはレース前に言っていた。彼らにとっては、もはやデトロイトでの3ストップはギャンブルではなく、十分に計算のし尽くされた作戦なのだ。ライバル勢の中にもレース2で同じ作戦を試みたチームがあったが、この作戦を最も理解しているハンター-レイ陣営を上回る結果は残せなかった。
ロッシがスタートからレースをリード。パワー、エド・ジョーンズを引き離し、独走態勢を築いていく Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大
 残り10周、激しいチャージでロッシを追い詰める

 レース2のクライマックスは終盤のチームメイト・バトルだった。70周のレースの52周目にハンター-レイが3回目のピット作業を終えてコースへダッシュ!
その時ロッシはコース上のコントロール・ラインを通過。ハンター-レイがターン2の先へとピット・アウトすると、ロッシはその先のストレート・エンドでターン3にアプローチするところだった。
 コールド・タイヤのハンター-レイと、すでに温まり切ったタイヤで走るロッシ、次のラップで両者の差は7秒6もあった。2周後には7秒9までさらに広がった。しかし、ハンター-レイが諦める事はなく、全力で後輩チームメイトを追った。
 気迫あふれる走りが続けられ、59周目に一気に差が縮まり、62周目、ついにハンター-レイはロッシに追いついた。ロッシはどこまで耐えられるのか?
アンドレッティ・オートスポートのチームメイト・バトルはどのような結末を迎えるのか……。決着は意外に早くついた。64周目のターン3進入でロッシがブレーキをロックさせ、タイヤから白煙を上げてエスケープゾーンへ飛び込んだのだ。


 昨シーズンに急成長し、自信も身につけたロッシは今シーズンはチャンピオン候補として戦って来ている。ハンター-レイはチームのリーダーであり続けるためにも今日の勝負に勝ちたかった。そして、それを実現させた。

「プレッシャーをかけ続けた結果、相手は自ら弱点を露呈した」
 

ポディウムの後ろのスコットメモリアル噴水に飛び込み、2015年ポコノ以来の美酒を味わう Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
 「最後のピットストップを終えた時、エンジニアのレイから”最後に必ず勝負に持ち込めるから、集中して全力で行け”と言われた。そのとおりになった。まずは追いつくことを目標にした。差は縮まり、チャンスがあると確信した。さらに距離を詰めてからは、コースのどの部分で相手が強く、どこでこちらが速いのかを見た。僕らの強みはターン1、ターン2にあるとわかった。プレッシャーをかけ続けた結果、相手は自ら弱点を露呈した」とウィナーとなったハンター-レイは語った。
 「これでチャンピオン争いに加われる。今はまだ20点の差があるが、それを少しずつ削って行く。2012年に僕らは3連勝を記録した。それを再現したい。見ていて欲しい」と2度目のタイトルに賭ける意欲を語った。

落胆するロッシ「残り10周を切ってから流れが変わった」

 
ロッシがターン3でブレーキをロックさせてコースアウト。コースに復帰したが12位に終わる。コースアウト時に痛めた左フロントタイヤは再スタートしてピットに戻る間に完全にバーストしてしまっていた Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大
 ロッシはガックリ来ていた。「ライアンは異次元の速さだった。脱帽だ。今日は彼らが勝つ日だったと思う。しかし、僕らも2位でゴールできていたはずだ。残念ながらレースが残り10周を切ってから流れが変わった。マシンに何が起きたのかはわからない。ワークショップに戻って調べる必要がある。あんな症状はデトロイトの週末で一度も経験していなかった」と彼は話した。
 ホンダはレース1、レース2を両制覇。ホンダ・グランプリ・オブ・アラバマでのジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)の優勝、インディー500で1-2フィニッシュを飾ったシボレーに対し、彼らの地元デトロイトでの逆に勝利を飾ることでリベンジを果たした。

佐藤琢磨、追い上げならず17位「全部が上手くいきませんでした」

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)はレース1と違い、レース2は予選から不運に見舞われ過ぎた。ウェットの予選ではポールポジション候補だったが、グループ1で最下位に近い10番手。おかげでレース・スタートは20番手。トップグループと違う作戦で戦うことで活路を見出すしかなくなった。
 

上位陣と異なるピットシークエンスでジャンプアップを目指した佐藤琢磨だったが…… Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大
  9周目にピット・インした琢磨。目の前からトニー・カナーン(AJ・フォイト・エンタープライゼス)もピットした。しかし、カナーンについて上位へと駒を進めることはできなかった。2回目のピット・タイミングが失敗だったからだ。カナーンのようにステイ・アウトすれば上位進出がなったが、琢磨陣営はピットし、そこからは何もかもが期待の逆、裏目に出てばかり。
「全部がうまく行かなかった、そういうレースになりました。作戦も当たらなかったし、タイミングはどれも悪過ぎでしたね。一時的に速く走れた時期がありましたが、前の集団に追いつくと、そこからはペースが上げられなかったし、オーバーテイクをして行くこともできなかった。ダウンフォースがなくて前のクルマに高速コーナーで近づけなかった。追いつくだけでパスまで行かなかった」と琢磨は悔しがっていた。

1 件のコメント:

  1. 天野さん、取材おつかれさまです。デトロイトは、録画で観ました。レース2でペースカーがクラッシュ!結局、セルビアが乗っていたのかがわからず…。ブルデーも、危なかったですね。チームメイトも大変でしたし。デトロイトは、好きなレースですし琢磨選手もグラハムもブルデーも得意としているのに今回は残念な結果に。次のテキサスで挽回してほしいです。天野さん、取材おつかれさまでした。

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