2020年8月23日日曜日

2020 INDYCARレポート 第104回インディー500:佐藤琢磨、優勝した2017年と同じピットから2勝目を狙う

Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

予選上位から決勝のピットを選択
 
 インディー500で各チームが決勝で使うピットは、予選上位から順番に選んで行くルールになっている。
 今年もセオリー通りにポール・シッターはターン1に一番近いピットを選んだ。レースでのマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート・ウィズ・マルコ・アンドレッティ・アンド・カーブ・アガジェニアン)は、前に誰もいない1番ピットからまっすぐステアリングを大きく切らずにコースへ戻って行ける。これは間違いなく、ひとつのアドヴァンテージだ。
 予選2位だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は、マルコのすぐ後ろの2番ピットを選んだ。レースで上位を走っている限り、ピットは前の方が有利と考えられている。後ろの方のピットだと、作業を終えたタイミングで遅いマシン群がピットに雪崩れ込んでくる場合があり、接触などのトラブルが起こり易い。


佐藤琢磨、9番ピットを選択
「ゲンを担いだわけではありません」


 予選3位の佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)はマルコ、ディクソンに続く3番ピットではなく、少し離れた9番ピットを選んだ。その理由は、ピットの後方にガレージ・エリアからの通路があって、そのさらに後はファイアストンのピットブース。ピットふたつ分以上のスペースを使ってマシンを滑り込ませることができるので、タイムロスがすくないのだ。「ディクソンが取らなかったので、自分たちが手に入れました」と琢磨は話していた。「優勝した2017年と同じピットなのですが、ゲンを担いだわけではありません。あのピットはスコアリング・パイロンの真下なので、ピットに入ってきた時にすぐに自分の場所が見つけ易いというメリットも有ります」とも彼は選択の理由を説明した。

琢磨の前はヒンチクリフ、後ろはハンター‐レイ

 前方のピットが有利であることは、琢磨の選ばなかった3番~琢磨の前の8番までをリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)=予選4位、アレックス・パロウ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チーム・ゴー)=予選7位、グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)=予選8位、コルトン・ハータ((アンドレッティ・ハーディング・スタインブレナー・オートスポート)=予選10位、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート=予選9位、ジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)=予選6位が取ったことでも明らか。ヒンチクリフが琢磨の前の8番を選んだことで、その前をロッシ、そのもうひとつ前をハータとアンドレッティ勢が並んで使うこととなった。そして、予選5位だったライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)は琢磨の後方、通路とファイアストン・ブースのすぐ後ろ=ピット・アウトがし易いところを選んでいる。

ピゴット、オーワード、フェルッチも“穴場”の好位置を確保
 予選12位だったスペンサー・ピゴット(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング・ウィズ・シトロン・ブール・オートスポート)は、スタート/フィニッシュ・ラインのすぐ前、パゴダとヴィクトリーレーンに繋がる通路とオフィシャルの使う2ピットの前のピット・インし易い場所をチョイス。
 他にもう一箇所ある通路は、その前を予選15位だったパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)、後ろを予選19位だったサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・ヴァッサー・サリヴァン)が確保した。

ペンスキー勢は後方のピットに
そして最後方ピットを選択したのはアロンソ!


 チーム・ペンスキーの面々は、予選順位が良くなかったために後方のピットしか残っていなかった。予選13位とチーム内でトップだったジョセフ・ニューガーデンがスタート/フィニッシュ・ラインのすぐ後ろの19番ピットを手に入れた。ここは前方2ピットをオフィシャルが使うので、琢磨とは逆にピット・アウトし易い。それ以外の3人は前後にスペースのないピットを使う。そこしか選べなかったに近いが、ピットインし易いファイナル・ピットは選ばなかった。少しでも前のピットを取りたいという意思がそこには見える。
 その最後方ピットは、予選26位だった元F1チャンピオンのフェルナンド・アロンソ(アロウ・マクラーレンSP)が使うことになった。ある意味では琢磨、ピゴット、オーワードより自らのピット・ストールへアクセスはし易い。しかし、やはり後方ピットはライヴァルと交錯する危険があるため敬遠されるのだ。さらには、コースでアクシデントを起こしたマシンが滑り込んで被害を被るリスクも考えられる。今年のプラクティス中、ターン4でクラッシュし、スピンしながらピット・ロードに滑り込んできたマシンがあった。それはアロンソのものだった。
以上

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