2020年10月26日月曜日

2020 INDYCARレポート R14 インディーカー・ファイアストン・グランプリ・オヴ・セイント・ピーターズバーグ Race Day 決勝:ウィナーはジョセフ・ニューガーデン チャンピオンはスコット・ディクソン

 ニューガーデン、予選8位から圧巻の優勝
しかし、ディクソンも3位フィニッシュ!


 タイトル獲得の条件である優勝をジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は実現した。8番手スタートからの勝利は見事と言うしかない。しかし、2年連続、3回目のタイトル獲得を、若きペンスキーのエースは果たせなかった。11番手グリッドからスタートしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)もやるべきことを着実にやり遂げたからだ。ニュージーランド出身のヴェテラン・ドライヴァーは6回目のシリーズ・タイトルを獲得した。11位以上でゴールできればチャンピオンという状況下、彼はニューガーデンを常に視界に収めて戦うことを目指し、最終的に表彰台に上る3位でゴールして見せたのだ。



アンドレッティ軍団、ミスにより自滅

 レース前半をリードしたアンドレッティ軍団は、ゴールまでそのスピード、力強さを保ち続けることができなかった。予選での速さ、スタート直後のスピードをレースを通した速さに変換することができていなかった。そこには暑さというコンディションが影響していたのか、尖ったマシンでミスに対する寛容性が低くなっていたのか、ドライバーたちの若さによるものなのか……。

パワー、シフトトラブルで後退し、最後はクラッシュ

 予選で驚異的な速さを見せたのがウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だった。ポールポジションはキャリア62回目、セントピーターズバーグでの9回目だった。しかし、今回のような飛び抜けた速さをパワーが見せる回数は、このところ明らかに減っている。その上、レース序盤をリードしていたが、あっという間にシフトトラブルに見舞われてトップを明け渡し、クラッシュしてリタイア。彼が二度目のタイトルを獲得する日は来ない気がする。私個人としては、今年のチャンピオン候補に彼を挙げていたのだが……。
 来シーズンのチーム・ペンスキーは、いったいどんな戦い方をするのだろう?
 いつまでもニューガーデンを若手扱いせず、彼を中心としたチーム体制にするのが得策と思えるが、パワーとパジェノーを残留させ、そこにスコット・マクロクリンという新人を起用しての4カー……。何か方針がハッキリ定まっていないように映っている。

ニューガーデン、ラスト20周のリスタートで鮮やかに首位奪取
しかしその背後でディクソンも3位に浮上!


 100周のレースが80周目を迎えた時、リスタートでニューガーデンがチャンスを掴んだ。ターン1へのアプローチが慎重になり過ぎていたハータにアレックス・パロウ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・チーム・ゴー)がアタック。2台がアウト側に膨らんだ隙を突いて、ニューガーデンは一気にトップへと躍り出た。しかし、その後ろではディクソンがまんまと3番手に浮上していた。
 ニューガーデンはディクソンと並ぶシーズン4勝目を記録。通算18勝目は、セントピーターズバーグ2連勝でもあった。しかし、16点差でディクソンがチャンピオンに輝いた。1996年にジミー・バッサーとともに初タイトルを獲得したチップ・ガナッシ・レーシングにとっては13回目のシリーズ・タイトル獲得となった。
 

自身6回目のタイトルを喜ぶディクソン
「今までとは違った不思議なプレッシャーがかかり続けていた」

 「オフの間にエンジニアリング・グループの層が厚くされ、それが効果を発揮した。タイトル獲得は誰か一人の力ではなく、チーム全体のパフォーマンスによるものだ。今年は開幕戦で優勝してポイントリーダーになった。その後も勝利を重ね、私はずっとポイントリーダーであり続け、ついには最終戦を迎えた。こんなことは自分も初めての体験だったから、今までとは全然違った、何か不思議なプレッシャーがかかり続けていたように感じていた。こうしてタイトルに手にでき、本当に嬉しい」とディクソンは喜んだ。

オーワード、2位でフィニッシュしランキング4位に
かつての僚友ハータはランキング3位と若手大躍進


 2位でゴールしたのはパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)だった。彼の初勝利は今年はとうとう記録されなかったが、シリーズ・ランキング4位となった。1勝したハータは、そのひとつ上のランキング3位になっている。20歳台になったばかりの二人がランキング・トップ4に2人も入ったのだ。ルーキー・オヴ・ザ・イヤーはリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)が獲得した。

佐藤琢磨、6位まで浮上するもペナルティなどもあり10位に
シリーズランキング自己ベストの7位でシーズンを終了

 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は13番手スタートから10位でゴールした。レース終盤に6番手を走行。さらに上位を狙ってアタックしたが、ジャック・ハーヴィー、マルコ・アンドレッティとの接触があり、ペナルティを課せられ、トップ5入りのチャンスを失った。レース後にインディーカーのスチュワードのところへ琢磨が話をしに行くと、「ちょっとペナルティが厳し過ぎた」とアリー・ルイェンダイクらオフィシャル側から告げられたという。
 「確かにマシン同士による接触は少しあったけれど、こちらだけペナルティ。トップ10でのゴールにはなりましたけれど、残念」とレース後の琢磨は悔しがり、「今年のレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングはオーバルでのスピードが上がったけれど、ロード/ストリートでのパフォーマンスが今ひとつでした。このオフにそこを改善しないと」とも、今週末に来年度の契約を発表した彼は話していた。RLLでの3年連続、4シーズン目となった今年、琢磨のシリーズ・ランキングは7位と自己ベストとなった。
以上

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