2022年5月20日金曜日

2022 INDYCARレポート R6 第106回インディー500 Day3 プラクティス4:佐藤琢磨が走行2日目も最速

初日の午後のセッション、そして雨での1日のインターバルを経てのこの日のセッションで佐藤琢磨はトップタイムをキープ。マシンのレース用セッティングは順調なようだ Photo:Penske Entertainment クリックして拡大

脈々と息づくDCR、インディー500の実績
佐藤琢磨トップタイム、そしてルーキー、マルーカス3番手!!

 2017年にはセバスチャン・ブルデイが予選アタック2周目までの平均が231.5mphに達していた。その日の最速4ラップはエド・カーペンターによる230.468mphだったから、ブルデイの方が1mph以上も速かった。彼は2018、2019年にも予選で5位、7位になっている。2020年にはオーバル経験がほとんどないアレックス・パロウが同じマシンで予選7位に食い込んだ。デイル・コイン・レーシングはインディー500の予選で速い。レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングからの移籍が決まった後の琢磨は、「DCRのマシンで走るインディが楽しみ」と話していた。
 4月に行われたインディでの合同テスト2日間で琢磨はジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)に続く2番手につけるスピードをマークした。そして一昨日、第106回インディー500の公式練習1日目には最速ラップを叩き出し、今日、走行2日目にまたしても最速の存在となってみせた。今年もDCRのインディー500予選仕様のマシンが速いことが実証された。


トウを利用しての速さ=トラフィックでの速さ
手応え感じる琢磨「チームとしても良かったです」

Photo:Penske Entertainment クリックして拡大

 2日連続のトップとなったラップは、いずれもドラフティング、それもかなり大きなものを利用してのものだった。タイミングよく集団の後ろについて大きなトウを得られた結果で、フレッシュタイヤのグリップが高いうち……というプラス要素もあった。しかし、簡単に”運も味方につけての速さ”と片づけていいものでもない。ブループ・ランではタービュランスを浴びてマシンの挙動が不安定になる。トラフィックでも速いのは、高いメカニカル・グリップが得られているということ。セッティングの仕上がりが良いと考えられるのだ。

Photo:Penske Entertainment (Matt Fraver)
琢磨はセッション終了後、「マシンは初日よりも良くなってきていると思います。昨日が雨で走れなかったので、その分データをゆっくり見直す事が出来ました。おかげで一段高いレベルから作業を進める事が出来たし、トラフィックの中の動きも良くなって来ました。ただバランスを取るのは難しい部分もあって、暑くなったり涼しくなったりで、それに合わせるのが大変でしたが、チームメイトのデイビット・マルーカスも3番手のタイムが出たし、チームとしても良かったと思います。今日は充実した1日でした。クルマもトップグループのスピードはあると思いますが、もう少し詰めたい部分もありますし、ブースト圧の上がる明日は予選を想定したテストになるので、楽しみにしています」とコメントした。

*今日のトップ10:
佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR) 227.517mph
スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング) 227.335mph
デイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD) 226.869mph
JR・ヒルデブランド(AJ・フォイト・エンタープライゼス) 226.846mph
ジミー・ジョンソン(チップ・ガナッシ・レーシング) 226.409mph
パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP) 226.048mph
マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング) 225.937mph
フェリックス・ローセンクヴィスト(アロウ・(マクラーレンSP) 225.788mph
シモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング) 225.606mph
エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング) 225.493mph


マルーカスも3番手タイム! Photo:Penske Entertainment クリックして拡大

 今日の琢磨は集団の中ばかり走っており、ノー・トウのラップが記録されないままかなり長い時間が流れたほどだった。そして、最終的にノー・トウ・ランキングは33台中の30番手となった。琢磨のチームメイト、ルーキーのデイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD)もノー・トウのランキングは23番手と順位は低かった。予選でのマシンに自信がある彼らは、今日もレース・モードにフォーカスしてセッティング変更を繰り返し、ハンドリング向上という大きな成果を得た。マルーカスは自信も着々と深めて行くことができている。

トップこそ明け渡したが、ディクソンも盤石

 1日の大半をトップで過ごしながら、残り30分で2番手に押し下げられてしまったのがスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)。昨日とほぼ同じシナリオだった。しかし、彼は今日までの段階で順位に拘る必要がないことを十分理解している。

Photo:Penske Entertainment (Karl Zemlin)クリックして拡大

「今日の自分たちは半分以上の時間をレース用セッティングに割いた」と走行後の彼は語っていた。彼らは予選シミュレーション的な走りにもトライしたが、その回数は少なく、ノー・トウは13番手と決して成績は良くはなかった。

パワー、ノートウではトップタイムをマーク
ノートウ2番手はヴィーケイ

 ノー・トウで速かったのはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だ。今日、6時間もあった走行でパワーは21番手のスピードしか出せなかったが、ノー・トウはトップ。それも、224.325mphと昨日の最速ノー・トウ・ラップより2.7mphも速かった。チームメイト2人もスコット・マクロクリンが5番手、ジョセフ・ニューガーデンが7番手と揃って速かった。レース・モードでの順位はマクロクリンが17番手、ニューガーデンが31番手と苦戦気味だったが……。

ノートウ走行に徹して気を吐くパワー。レースセッティングはすでに完成されているということだろうか? Photo:Penske Entertainment クリックして拡大

 今日のノー・トウ2番手は、昨日のノー・トウで最速だったリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)。彼は日中の気温、路面温度ともにそこそこ高い時間帯に予選シミュレーションを行い、223.961mph、223.581mph、223.367mph、223.153mphと223マイル台を4周回続けて記録した。予選に向けての準備がかなり整っているようだ。ノーマル・ブーストで走った走行2日目だったが、ECRもペンスキー同様に予選に向けた準備に力を入れており、それが成果を表していた。ただ、彼らが今日、予選向けにあてがった時間は必要以上に長かったようにも映っている。決勝用セッティングはもう研究し切り、かなりのレヴェルに到達させているとの自信があるということなのだろうか。

*ノー・トウ・ランキング3番手以下:
3 エド・カーペンター(エド・カーペンター・レーシング) 223.925mph
4 アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート) 223.656mph
5 スコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー) 223.614mph
6 サンティーノ・フェルッチ(ドレイヤー&レインボールド・レーシング) 223.469mph
7 ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)
8 コナー・デイリー(エド・カーペンター・レーシング) 223.417mph
9 ロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート 223.312mph
10 デヴリン・デフランチェスコ(アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポート) 223.193mph


 今日の総合の順位でカーペンターは10番手だった。ノー・トウ・ランキングの高いメンバーの中では彼が最高位だ。

いまいち目立たないアンドレッティ勢
明日のエクストラ・ブーストでの走行に注目

 スーパースピードウェイを得意としているはずのアンドレッティ・オートスポートは、走行1日目も今日も特に目立っていなかった。ノー・トウ・ランキングではロッシが4番手につけ、グロジャンも9番手だったが、レース・モードでの順位は技術提携組=メイヤー・シャンク・レーシングのシモン・パジェノーによる9番手が最高位。本家ではスポット参戦のマルコ・アンドレッティによる15番手がトップだった。

Photo:Penske Entertainment (Chris Jones)クリックして拡大

 明日はエクストラ・ブーストがかけられた予選スペックでの走行となるが、デイル・コイン・レーシング、チップ・ガナッシ・レーシングの優位は保たれるだろうか?
あるいは、チーム・ペンスキーやアンドレッティ勢が奮起し、今日までと勢力図は大きく違ったものになるだろうか?

以上

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