2023年4月30日日曜日

2023 INDYCARレポート R4 チルドレンズ・オヴ・アラバマ・インディー・グランプリ Day2 予選:ロマイン・グロジャンが早くも今年2個目のポール・ポジション

 

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 グロジャン、ロード、ストリートの好調を維持してポール・ポジション獲得

 朝は快晴だったアラバマ州バーミンガムだったが、午後2時からの予選は曇り空の下で行われた。気温は午前中のプラクティス2とほぼ変わらない22℃だったが、路面温度は℃度と低くなった。
 ポール・ポジションはフランス出身の元F1ドライヴァー、ロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)が、Q3で1分05秒8396を記録して獲得した。今シーズン早くも二度目のPPだ。

ニューガーデン、Q1グループ1でコースレコードに迫るタイムをマーク
ポイントリーダーのエリクソンはQ1敗退

 2グループに分かれてのQ1では、グループ1をジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シヴォレー)が2021年にパト・オーワード(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)が樹立したコース・レコード=1分05秒5019に迫る1分05秒5883をマークしてトップでクリア。2番手がグロジャンで、3〜6番手はアレクサンダー・ロッシ(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)、カイル・カークウッド(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)0、リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング/シヴォレー)だった。意外にもポイント・リーダーでセイント・ピーターズバーグ・ウィナーのマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)がQ2に進めず。カルーム・アイロット(フンコス・ホリンジャー・レーシング/シヴォレー)とデイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD/ホンダ)もQ1で敗退した。

グループ2ではハータが敗退

最終的にペンスキーとマクラーレンは3台すべてがQ2進出

 Q1グループ2はアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)が1分05秒5871を出してトップ。2〜6番手はパト・オーワード(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)、スコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー/シヴォレー)、クリスチャン・ルンドガールド(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)、フェリックス・ローゼンクイスト(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)だった。パワーがギリギリでQ2に進み、コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン/ホンダ)は7番手でQ1敗退となった。

 Q2を戦うメンバーを見渡すと、ペンスキーとマクラーレンがエントリーしている3台すべて、ガナッシとアンドレッティは4カー・エントリーのうちの2台、カーペンターとレイホールが1台ずつだった。搭載エンジンで見るとシヴォレーが7台、ホンダが5台だった。

Q2はグロジャンがトップで通過
ファスト6には5チームのドライバーが進出


 そのQ2ではパロウ、カークウッド、ディクソン、オーワード、グロジャンが代わる代わるトップに立ち、最終的にグロジャンが1分06秒0289でトップ通過。2第2戦テキサス・ウィナーのニューガーデン、昨年のバーバー・ポール・シッターのヴィーケイ、パワー、第3戦ロング・ビーチ・ウィナーのカークウッドがファイナル進出を逃した。Q3を戦うファイアストン・ファスト6はグロジャン、オーワード、ルンドガールド、パロウ、マクロクリン、ディクソンと決まったのだ。
 不可解なことに、Q2のラップ・タイムはQ1より劣っていた。Q1をトップで通過したニューガーデンとパロウは、2021年にオーワードが記録したコース・レコード=1分05秒5019に迫ったが、Q2で最速だったグロジャンでもそこまでのラップ・タイムは出せなかった。
 ファスト6にはアンドレッティ、マクラーレン、レイホール、ガナッシ、ペンスキーと5チームのドライヴァーが駒を進めた。複数のドライヴァーを送り込んだのは、Q2まででは苦戦気味に見えていたガナッシのみとなった。ファスト6進出ドライヴァーの出身国はフランス、メキシコ、デンマーク、スペイン、ニュー・ジーランドの5カ国で、今回はアメリカ人ドライヴァーのQ3進出はゼロ。エンジン別だとホンダが4台、シヴォレーは2台とQ2終了時とは形勢が逆転されていた。


グロジャン、オーワードは今季ここまでファスト6進出率100%
一方、パワー、ニューガーデンは未だQ2を勝ち抜けず

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 三段階の予選は今回が今シーズン3回目だが、すべてでQ3に進出しているのはグロジャンとオーワードの二人のみ。2回進出がカークウッド、エリクソン、ディクソン、パロウ、マクロクリンの5人。今日、ルンドガールドは今年初めてのファイナル進出を成し遂げた。その一方でインディーカー史上最多のPP獲得数68回を誇るパワーは今年はまだ一度もファイナルを戦うことができておらず、二度のタイトル獲得経験を持つニューガーデンも同様だ。

ファスト6のユーズド・レッド1セット目ではグロジャン、オーワードのオーダーに
2セット目はマクロクリンが最初トップに立つも、オーワード、そしてグロジャンが逆転

 ファイナルでは6人全員がユーズドのレッド・タイヤ2セットを投入して2回のアタックを行った。すでに全員がQ2までで2セットのレッド・タイヤを使っており、コース・レコードの更新はほぼ期待できない状況となっていた。
 Q3で先手を打ったのはグロジャン。最初のアタック1周目で1分06秒0289をマークしてトップに立った。1セット目で2番手につけたのはオーワード=1分06秒0630。ルンドガールドは1分06秒1725で3番手につけた。
 勝負を決する2セット目でのアタックでは、マクロクリンが1分05秒9515を出してトップに立った。ユーズド・セットでも1分06秒を切って来たのだ。それをオーワードが1分05秒9382で逆転し、さらにはグロジャンが1分05秒8396を叩き出してトップとなった。彼の最速ラップの後にパロウもセッション内の自己ベストを更新する1分05秒9130を出したが、PP奪取には至らなかった。彼ら二人の差は0.0734秒しかなかった。それでもパロウはオーワードから予選2位、フロント・ロウ・グリッドからスタートする権利を奪うことにはなった。
 グロジャンの今季2回目のPP獲得がなり、アンドレッティ・オートスポートとホンダは今季のストリート2戦に続き、初のロードコース・イヴェントでもPP獲得を果たした。予選3位以下はマクロクリン、ディクソン、ルンドガールドの順となった。

「マシンを自分の好みに仕上げることができている」と語るグロジャン
「明日はポイント獲得、ゴールまではしることを目指したい」

 「ポール・ポジション獲得ってこんなに嬉しいものだったかな?」とセイント・ピーターズバーグで喜んでいたグロジャンは、4戦で2回目、ロード&ストリート3戦中2戦でPPを獲得を果たして満面の笑顔だった。「予選はとてもうまく行った。マシンはブラック・タイヤでとても速く、レッドでも同じように速く走れることができていた。ファイスト6の1セット目のタイヤではターン12、13でミスがあったが、今年の私たちのチームはストリート&ロードコース用のマシン・セッティングが非常に良くなっており、オーヴァル用も向上中。優れたチームメイトたちにも頼ることでマシンを自分の好みに仕上げることができている。明日はポイント獲得、ゴールまでの完走をまずは目指したい。チャンピオンシップ獲得を目指すドライヴァーとして。レッド・タイヤの持ちがどのぐらいになるのか、現時点では把握ができていないし、今晩雨が降れば路面のグリップ・レヴェルも下がるから、明日のレースをどのような作戦で戦うかは今はまったく予測がつかない。明日のウォーム・アップを走れば、少しまた見えて来ることがあるだろうが……」と彼は語っていた。

バーバーに強いパロウは2番グリッドからスタート
「僅差でPPを逃したが、この現実を受け入れるべき」

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 予選2位はパロウ。彼のデビューした2020年にはバーバーでのレースがCOVID-19パンデミックのために開催されなかった。パロウはガナッシ入りしたデビュー2年目にバーバーを初めて走り、予選3位からキャリア初優勝を飾った。昨2022年も予選は3位で、決勝は2位。そして今年の予選は2位。驚くべきことに予選・決勝のいずれでもトップ3を外したことがない。ここまでの相性の良さについて彼は、「バーバーはヨーロッパのコースに似ている。ロード・アメリカも同じ。だからなのか、両方とも自分が大好きなコースだ。チームの用意してくれるマシンが良いので、ドライヴァーである自分は良い走りができているのだとも思うけれど……。それにしても、バーバーでの予選はいつも物凄い接戦になるね。今日、僕はPPは惜しくも獲り逃した。その点はPPを獲得したロマインを讃えたい。自分としてはフロント・ロウからスタートできることでハッピー。僅差での2位だったのは確かだけれど、その点は現実を受け入れるべきだと思う。誰もがアタック・ラップ中には小さなミスを冒すものだから」と語っていた。今日の予選ファイナルではトップ3が0.0986秒差の中に収まっていた。

オーワードはプラクティス2後のセッティング変更が奏功
「明日の戦略はタイヤの減り具合をチェックしてから」

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 シヴォレー勢トップの予選3位となった昨年度バーバー・ウィナーのオーワードは、「今日のプラクティス2から予選に向けて自分たちがマシンに施したセッティング変更はとても大きな効果をもたらした。PPからコンマ1秒以内だった。PP争いが僕らにはできていたということだ。望んでいた戦闘力を予選でようやく手に入れた。自分たちはレース用セッティングに力を注いで来てもいる。ただし、明日は3ストップか2ストップか、作戦が物を言う。3ストップの方が速いだろうが、イエローに妨害されるリスクも高い。過去2年のレースは2ストップの燃費セイヴ合戦だった。そうなるとガナッシ勢がとても速い。グロジャンが今季2度目のPPを獲得。明日は彼も速いだろう。どちらの作戦で行くか、現時点ではわからない。とにかく好いスタートを切ること、クリーンにレースを始めることがまずはポイントになる。作戦については、明日のウォーム・アップでタイヤの減り具合をチェックしてから決めることになるだろう」と語った。

「誰がその作成を選ぶのか楽しみ」とマクロクリン。ニューガーデンは決勝に自信
パワーは交換時期が迫ったエンジンのパワーダウンに苦しむ

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  マクロクリンは、「悪くない1日だったと思う。予選結果は4位。マシンは良かったが、PPを獲得できるところまでの仕上がりではなく、自分のドライヴィングも今ひとつのところがあった。今晩データをもう一度見直し、明日少しでも速く走れるようにしたい。作戦がポイントとなるレースになるかもしれない。2ストップなのか、3ストップなのか……。誰がどの作戦を選ぶのか……楽しみだ」とコメント。ニューガーデンは「予選7位なら満足」とレースで好パフォーマンスを見せることに自信を見せていた。その一方で予選11位だったパワーは、交換時期の迫っているエンジンがパワー・ダウンしているのかストレートでのスピードが伸び悩んでいるという。しかし、規定マイレッジ達成前にエンジン交換(例えば明日のレースを前に)を行えばグリッド・ペナルティがあるため、このレースはこのまま行くものと見られる。

決勝の気温は下がる見込み
ウォームアップの状況に注目

 明日、決勝レースの前に走れる最後のチャンス、ウォーム・アップ・セッションは午前11時から30分間開催される。レースにグリーン・フラッグが振り下ろされるのは午後2時30分過ぎというスケジュールだ。
 天気予報によれば、今晩バーミンガムに雨が降る可能性は70パーセント。明日のウォーム・アップでの気温は今朝のプラクティス2より涼しい19℃。レース時の気温は今日の予選時よりやや低い21℃ほどと、タイヤに過酷なコンディションとはならない見込みだ。
以上


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