2016年4月20日水曜日

2016 INDYCAR 佐藤琢磨コメント R3 トヨタ・グランプリ・オヴ・ロングビーチ Race Day 決勝 その2:「今回、試行錯誤の末に、非常にロジカルな手法で良いセッティングを見つけることができた。これが今の僕らのチームのエンジニアリングの強さだと思います」

「タイヤストラテジーにミスはなかった
最後のニュー・レッド投入で、狙い通りにトップに追いつくことができた」

Jack Amano(以下ーー):今日はペンスキー勢、フレッシュ・レッドでスタートして行きました。琢磨選手はユーズド・レッドでスタート、中盤をブラックで走って、終盤に“とっておきの”フレッシュ・レッドを投入していましたが、自分たちのタイヤ・ストラテジーをどう評価しますか?

佐藤琢磨:自分たちの作戦は良かったと思います。最初のレッドは防御、プロテクションのために使ったんです、ホントはブラックでスタートしたかったんだけどね。僕としてはそれが得意技だったから。でも、それで順位を落としちゃったら元も子もないので、安全にということで、ユーズドの方だけどレッドで行きました。何て言うんだろう……キープ・ポジションが狙いだったって言うか……。それは最低でもできていましたよね。そして、それは必要でした。

スタートをニュー・レッドで行っちゃうと、意味のないというか、タイヤの持つパフォーマンスを本当に使い切ることができないんですよね。自分としては最後に勝負をかけたかった。そのためにニュー・レッド投入はやっぱり最後が良かったと思います。特に、レース終盤にリスタートとかがあった場合など、クリティカルなシーンでニュー・レッドにはホントにちょっとしたエキストラのグリップの高さとかがあって、ブレーキでもほんの少し奥に突っ込めたり、トラクションがあったり……ということがあるので、そうした面を狙っての最後のニュー・レッド投入で、その狙い通りに一度引き離されたトップ・グループに追いつくこともできたし、よかったと思います。ストラテジー的にミスはなかったですね。

「今日は本当にストレートな勝負になっていました
そのなかでチームはベストジョブをしてくれたし、僕もプッシュし続けましたよ

ーー今日は後ろから誰かに追いかけられるシーンがほとんどなく、前をプッシュし続けるレースになっていましたね? ライアン・ハンター-レイもジョセフ・ニューガーデンも、パワーさえも着いて来ることができなかった。

佐藤琢磨:そういう点からも順位以上にいいレースを戦えていたと思います。チーム全体の達成感も高いと思います。

ーー防御的な戦いはまったくする必要がなかった。

佐藤琢磨:そうでした。だからもう、本当に本当のストレートな勝負になっていたと思います。天候とか運に恵まれたとか、前がいなくなっちゃったっていうのではなく、ガッツリとペンスキーとガナッシがいて、そこを引っ掻き回しに行けた。おそらくパッケージでのディスアドバンテージがあると思うので、その中でチームはベスト・ジョブをしてくれましたよね。僕もそれに応えるように、集中力を途切れさせることのないように注意をしていたし、プッシュし続けていましたよ。

「2台体制の強みを生かせるようになりました
シーズン通じてこのポジションで戦えるようにしたいです」

ーー今年のチームは、また一段レベルを上げている?

佐藤琢磨:そうですね。2台体制の強みをうまく引き出せるようになってきていると思うし、チーム全体のエンジニアリングも強くなっていると感じてます。だから、こういうレースを続けることができていれば、前がいなくなった時とか、チャンスが巡ってきた時にいい展開を作れるんじゃないかと思います。とにかく、このポジションをシーズンを通じて戦える、そういう年にしたいです。

ーー次は今年初のパーマネント・ロードコース=バーバー・モータースポーツ・パークですが?

佐藤琢磨:ウチが一番苦手なとこだね。ロードコースは元々ウチのチームは強くないんだけど、こないだのテストではソコソコ良かったから。まぁ、良かったといってもガナッシはかけ離れて良かったけど……。でも、悪くはないと思います。あそこも抜くのが難しいから、本当に予選を頑張って行きたいですね。まずはプラクティス、シッカリと2日ともトラブルとかを出さないようにして、行きたいです。

ーーロング・ビーチでは走り出しが良く、プラクティス2、3で苦しみ、予選で挽回して、決勝日にさらに良くなったという流れでしたね?

佐藤琢磨:でも、良い目で始まったというプラクティス1は、みんな、最初の15分間で5周を走らなければならないとかいうルールでクルージングをしてたでしょ? あの段階で僕はパパッとタイムを出しちゃっていた。やっぱり、グルグル回っていると、タイヤを傷めない走りをしているつもりでもオイシイところはなくなってっちゃうんですよ。最終的に上位陣のチームはみんな速くなって行きましたけど、僕らは5番手でとどまることになりました。でも、あれは参考程度にしかならないセッションだったんです。それが、プラクティス2、3では、僕らは手を抜いていたワケじゃなく、上位に残ることができなかった。でもまぁ、ロングビーチではコンマ数秒で順位がガラッと変わってしまう。ガナッシもプラクティスはボロボロだった。それが、予選で急に良くなった。ちょっとディクソンとTKと話をしたんだけど、彼らも相当苦労してましたね。で、そこからはちょっとしたコトなんですよね。バランスがうまく行くとポンッとタイムが上がる……みたいなね。僕らもそれに近いものがありました。色々と試行錯誤して良いセッティングを見つけたんですが、それは非常にロジカルな手法で達成したもので、それができたっていうのが、今の僕らのチームのエンジニアリングの強さだと思います。

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