2016年4月18日月曜日

2016 INDYCARレポート R3 トヨタ・グランプリ・オヴ・ロングビーチ Race day 決勝::シモン・パジェノーがロング・ビーチを制す! 佐藤琢磨、ホンダ勢最上位の5位!!

Photo:INDYCAR (Richard Dowdy) クリックして拡大
ペンスキー2シーズン目でついに移籍後初優勝

 第3戦トヨタ・グラン・プリ・オヴ・ロング・ビーチをポイント・リーダーとして迎えたシモン・パジェノー (チーム・ペンスキー)は、予選3位からトップでチェッカード・フラッグを潜り、念願のチーム・ペンスキーでの初勝利を飾った。移籍2年目の今回の優勝は、彼にとってのキャリア5勝目となった。 
きれいに切られたスタート。結局レースはフルコース・コーションが一度もないままに終了した Photo:INDYCAR (Richard Dowdy) クリックして拡大 
 イエロー・フラッグが一切出なかったことで2ストップのガチンコ・レースとなった今回、スピードにプラスして燃費セーブも勝つためには重要なファクターとなっていた。そして、それらを最も高い次元で両立させたのがパジェノーだった。第2スティントを長くし、前に誰もいなくなったところで全力疾走。イン&アウト・ラップも攻めたパジェノーはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)のギリギリ前にピット・アウトした。そして、コールド・タイヤでもロング・ビーチの昨年度ウィナーを封じ込め、0.3032秒というロング・ビーチでのレコードとなる僅差で勝利のゴール・ラインを横切った。
先手を打ったピット戦略でレースの主導権を握ったディクソンだったが Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
光ったディクソンのレース・タクティクス

 トップ争いをしたドライバーたちの中で、2回目の、つまりは今日最後のピット・ストップに真っ先に飛び込んできたのはディクソンだった。予選2位からユーズド・レッド・タイヤ装着でスタートした彼は、フレッシュ・レッドのグリップを武器とするパジェノーにパスされて3番手にポジションを落としたが、1回目のピット・ストップを引っ張り、パジェノーの前にピット・アウト。ポール・シッターのエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)の後ろの2番手に復活した。おそらく、この時のディクソン陣営はショート・フューエルを行っていたのだろう、2回目のピット・ストップには、優勝を争うライバルたちより早いタイミングで滑り込んできた。トップを走り続けるカストロネヴェスを逆転する狙いも、ピット・タイミングをズラした理由だったのだろう、そして、見事にそれは成功。ディクソン&ガナッシがまんまとトップに躍り出た。

パジェノー、ディクソンの前、紙一重のピットアウト!

  これで彼らがフェニックスからの2連勝……かと思われたが、ディクソンより3周遅く2回目のピットに向ったパジェノーが、ギリギリ紙一重のタイミングでディクソンの前にピット・アウトしてきた。55周目のことだ。この時のピット・ロードから本コースへの合流でパジェノーはダブル・ラインをカット。その行為は審議の対象となったが、処分は警告だけだった。インディカー・オフィシャルは、ダブル・ライン・カットを三段階に分類、危険を誘発しないなど最も緩やかなケースだと警告のみ、二番目のレヴェルだと同一周回の最後尾へとポジション・ダウン、最も危険なカットの仕方だった場合にはピットのドライヴ・スルー、もしくはストップ&ゴーのペナルティに処すると決め、ドライバー及びチームに伝えてあったという。そして、今回のパジェノーのケースは、警告だけという裁定が下された。
  コールド・タイヤでもディクソンをどうにか封じ込めることに成功したパジェノーは、残る25周に渡ったバトルでもトップを明け渡すことはなく、チェッカード・フラッグを受けた。


「ロー・ダウンフォース・セッティングが功を奏した」

  「2006年にアメリカに来て、最初のレースがロング・ビーチ。思い出の地でチーム・ペンスキーでの初勝利を飾れて感無量だ。スポーツカー時代に最終ラップの逆転で勝ったのも素晴らしい思い出だが、今日、ディクソンという強敵を封じ込めての勝利は、大変だっただけに嬉しさもひとしおだ。今日の勝利については、クルーたちに感謝しなくてはいけない。ピット・タイミングと彼らの作業の速さが僕らに勝利を呼び込んだ。素晴らしいチーム・ワークだと感激している」とパジェノーは喜び、スーパー・チームで走るドライバーに期待される勝利を達成したことによる安堵感も漂わせていた。
フィニッシュするパジェノー。ディクソンはチェッカーに隠れた位置だ。Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大 
 パジェノーは、「プラクティスからトライし続けたロー・ダウンフォースのセッティングが、レースでアドバンテージとなっていた。この作戦を考え出したエンジニアに脱帽だ。タイヤを労る走りが難しくなるけれど、その苦労は報われた」とも勝因を語った。

ディクソン、チームの素晴らしい仕事ぶりに感謝の2位
そしてシボレー勢は2戦連続の1-2-3-4フィニッシュ


 ディクソンは、「まだビデオで確認していないが、チームに聞いた限りでは、パジェノーは四輪ともラインを横切っていたということで、そうだったらドライブ・スルーか、ゲインしたポジションを手放す……などのペナルティが課せられるべき違反だ。ロング・ビーチのレースはいつもエキサイティングなものになり、今日も僕らはチームの素晴らしい仕事ぶりによって、あと一歩で優勝という戦いを見せることができた。ポイントもたくさんゲットした。もちろん、本音は優勝してトロフィーとともにこの場を去りたかったところだけれどね」と語った。
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 カストロネヴェスは2戦続けてポール・スタートを切りながら、ファイナル・スティントでスピードが不足しており、今回も優勝を手にすることができなかった。それでも、ようやく今年最初の表彰台フィニッシュは達成できた。
  予選でトップ6をスウィープしたシボレー軍団は、レースでは表彰台を第2戦フェニックスに続いて独占。4位でゴールしたファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)もシボレー・ユーザーで、フェニックスに続いて2戦連続の1-2-3-4フィニッシュを達成した。開幕戦セント・ピーターズバーグでの彼らは1-2フィニッシュだった。
  開幕からの3戦で、2位、2位、優勝とすべて表彰台に上っているパジェノーは、ポイント・リーダーの座を堅持。2番手のディクソンとは6点差だ。
  4位はモントーヤ。5位は佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)だった。

佐藤琢磨、堂々のホンダ勢トップ
モントーヤをあとわずかまで追い詰める5位!


  琢磨、そしてフォイト・チームのファイトは素晴らしかった。ピット・ストップでジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)とウィル・パワー(チーム・ペンスキー)をパス。コース上でトニー・カナーン(チップ・ガナッシ・レーシング・チームズ)をパスし、上位で3ポジション・アップを達成した。ユーズド・レッドからフレッシュ・ブラック、そしてフレッシュ・レッドと繋ぐタイヤ・ストラテジーが良かった上に、両方のタイヤで非常に安定して速いラップ・タイムを刻み続けることのできるハイ・レべルなマシンを作り出すことに成功していた。
素晴らしい走りを見せた琢磨 Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
「今日の結果はとても嬉しいものです。プラクティスでの自分たちのポジションは厳しいものでしたが、予選で素晴らしいカム・バックを達成して8番グリッドを獲得。今日のコーションなしのレースでは、スタート後の2周目から燃費をセーブする戦いを続けていました。本当にタフなレースになっていたんです。ひとつの小さなミスも許されないレースとなっていましたが、自分は冷静さを保っていました。攻めるべきタイミングで限界まで攻め、トニー・カナーンをパスでき、ファン・パブロ・モントーヤに迫っての5位でゴールできました。本当にエキサイティングで、楽しいレースとできました。クルーたちのピット作業も最高に速かったから、僕もコースで思い切り攻撃的に戦い続けることができていました。ピットの考えた作戦も良かった。マシンもレースを通して速かった。チーム全体で手にした素晴らしい戦いぶりだったと思います」と琢磨はコメント。チームの成長、レべル・アップに大きな手応えを感じていた。

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