2021年4月25日日曜日

ジャック・アマノのINDYCARレポート メールマガジン:セイント・ピートのPPはハータのものに

マシンの良さに自信を持っていたハータが今シーズン初のPP獲得 Photo:INDYCAR(Chris Jones)クリックして拡大
 開幕戦から唯一2戦連続ファスト6進出のオーワード
ファイナルをブラックで戦う作戦をチョイス!


 バーバー・モータースポーツ・パークでの開幕戦で予選ファイナルに進んだのは、パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP=AMSP)、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポー=AA)、アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、マーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)の6人だった。オーワードとAMSPというフレッシュなコンビネーションが開幕戦のポール・ウィナーとなった。

 

Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大
 今日、第2戦セイント・ピーターズバーグの予選でファイナルに進んだのは、コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)、ジャック・ハーヴィー(メイヤー・シャンク・レーシング)、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)、シモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)、セバスチャン・ブルデイ(AJ・フォイト・エンタープライゼス)、オーワードだった。2戦続けてファイナルを走ったのはオーワードだけだった。NTTインディーカー・シリーズの競争は激しく、多くのチームがトップを狙えるポジションにいる。そして、オーワードとAMSPは非常に高い戦闘力をキャラクターの大きく異なるふたつのコースで見せつけた。今回はファイナルで最下位の6位という結果に終わったが、その一番大きな原因はファイナルをブラック・タイヤで戦うというチームの作戦にあった。

開幕戦3ストップ作戦に続く失敗にも
オーワード「明日は勝つことを目指す」と語る

 「プラクティス2とは路面が違っていた。ユーズドのレッドか新品のブラックか、最後に使うタイヤの判断も良くなかった。それでも自分たちのレース用セッティングは良いと思うので、どう戦うべきかを今晩考える。明日は勝つことを目指して走る」とオーワードは語った。開幕戦では3ストップ作戦を選んだために2ストップ組に敗れ、今回はタイヤ・チョイスが失敗だった。まだAMSPは全面的にトップ・レヴェルに達することができていないということだ。

ハータ、今季初、キャリア5回目のPP獲得
「僕らのマシンがここで速いことはわかっていた」

Photo:INDYCAR(Joe Skibinski)クリックして拡大

  気温28℃、路面51℃と昨日のプラクティスより若干温度の高いコンディションで予選は始まり、気温は同じまま路面は最終的に49度まで下がった。そうしたコンディション下でハータは1分00秒3210をマークした。ジョーダン・キングが2018年に記録した予選レコードは今回も破られずとなった。ハータにとっての今シーズン初PPは、早くもキャリア5回目で、「セイント・ピーターズバーグに来る前から、僕らのマシンがここで速いだろうことはわかっていた。今回はQ1、Q2をクリーンに通過することにフォーカスすればよかった。クルーたちのためにもこうしてPPを獲得できたことは嬉しい。明日のレースが楽しみだ」とハータはコメントした。

ハーヴィー、キャリア3回目のフロント・ロウ

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 そして、予選2位となったのはハーヴィー。ファイナルで彼の出したベストは1分00秒5709。ハータとの差は0.2499と結構な大さがあった。それでも、ハーヴィーにとっては3ステージ制の予選を戦ってのフロント・ロウ・スタートは昨年のGMRグラン・プリに続く2回目。ロード・アメリカでは2グループに分かれての予選で2位という成績を残しており、フロント・ロウ外側グリッドからのスタートは明日がキャリア3回目になる。PP獲得も初優勝も射程距離内にあると言えそうだ。ホンダ陣営のメイヤー・シャンク・レーシングも着々と力を付けて来ている。「前にもこのコースで速かったことがあるので、今日も自信があった。チームメイト的な存在であるハータとフロント・ロウをシェアできることとなってハッピーだ。アンドレッティ・オートスポートと技術提携している我々にとって非常に嬉しい結果になった」とハーヴィーは話していた。

セントピート9PPのパワー、衝撃のQ1敗退
「明日は2ストップ作戦で戦うことになるかもしれない」

 ハータのPP、オーワードが2レース連続でファスト6進出、メイヤー・シャンク・レーシングとハーヴィーの大奮闘とは対照的に、パワーはQ1での敗退を喫した。セイント・ピーターズバーグでポール・ポジション獲得9回(!)、レースでも2勝しているパワー、開幕戦の予選でも4位につけたパワーがQ2に進出できなかったはショッキングですらあった。彼は明日のレースに20番グリッドから臨むこととなった。
 「自分たちはマシン・セッティングを正しく行えていなかった。今のインディーカー・シリーズは競争があまりにも激しく、マシンを良い状態に仕上げられなかったら、その対価を支払うことになる。自分たちは2ストップ作戦で戦うことになるのかもしれない。何度かイエローが出ることを期待して。明日のレースでの目標はトップ10入りぐらいとしておくべきだろう」とパワーは語った。このコメントの通りの冷静な戦いぶりを彼は明日果たして見せることができるのか……興味深い。


新たなシェヴィーユーザーチームが躍進
AMSPの決勝での走りに注目


 シヴォレーといえばペンスキー……という時代が長く続いて来ていた。この文章を完了形にするのは時期尚早かもしれないが、近年のインディカーでは5月の”500”でエド・カーペンター・レーシング(=ECR)が速さを見せることこそあったものの、その他のコースに行ったらシヴォレーが頼れるのはペンスキーだけだった。それが今日のQ2にはAMSPのオーワード、フォイトのブルデイ、ECRのリナス・ヴィーケイといったシェヴィー・ユーザーたちが食い込んでいた。ペンスキー以外にシヴォレー・エンジンを使う3チームがQ2で戦っていた。そして、その中からAMSPはシリーズ中唯一の2戦連続ファスト6入りを果たすチームとなった。彼らは2レースの予選で続けてペンスキーの上を行くパフォーマンスを見せたといういことだ。ECRはヴィーケイとコナー・デイリーという若いコンビで戦うロード/ストリート・レースで昨シーズンから健闘を続けて来ている。さらに、ブルデイの本格加入とエンジニア体制の強化でフォイトまでもが大幅なレヴェル・アップを果たした。

予選3位のニューガーデン
「3番手スタートなら優勝を狙える」


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   ペンスキー勢ではニューガーデンが予選3位で最上位。プラクティス2セッション連続で最速だったが、そのままPP獲得を果たすことは叶わず、予選3位となった。パジェノーも予選4位と今回は好パフォーマンスを見せている。開幕戦が0周リタイアだったニューガーデンは、「自分たちのマシンは良い。気温も湿度も高いので、レースは体力的にハードなものになるだろう。ここまでの自分たちは予選のファイナル以外、とても良いパフォーマンスを見せて来ている。今回はユーズド・レッドの性能を引き出す戦いでライヴァルたちに敗れた。3番手スタートなら優勝を狙える。レース用のセッティングも良いはずなので、勝つチャンスはある」と話した。

 予選5位はセイント・ピーターズバーグ在住のブルデイ。7位以下はヴィーケイ、ディクソン、グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)、パロウが並んだ。そして11位から14位はロッシ、ジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート)、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、スコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)だった。

佐藤琢磨、開幕戦に続くQ1敗退
「マシンのフィーリングはよくなっていただけに残念」

ストレートのスピードが伸びないためQ1敗退となった佐藤琢磨 Photo:INDYCAR(Chris Jones)クリックして拡大
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は予選15位。ベストは1分00秒9167。2戦連続のQ1敗退となった。バーバー、セイント・ピートともに琢磨が得意とするコースだが、今回もマシンに何かトラブルが出ているようだ。

 「ふたつあるスピード・トラップの両方で僕らは一番遅かった。ストレートだけでコンマ1秒、コンマ2秒をロスしてしまっていた。それがなければ自分たちはQ2に進めていた。マシンのどこかに空気抵抗があるのか、駆動系に何かがあるのか原因は今のところ不明。マシンのフィーリングは良くなっていただけに残念」と琢磨は苦しい状況を説明し、「グレアムが予選で調子の良さを見せていたので、彼のセッティングの良いところも取り入れることになるのかも。明日のウォーム・アップが雨にならなかったら、そこでまだ幾つか試したいこともある」と続けた。

以上

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