2023年3月5日日曜日

2023 INDYCARレポート R1 ファイアストン・グランプリ・オヴ・セイント・ピーターズバーグ Day2 プラクティス2:プラクティス2の最速はコルトン・ハータ

2日目もハータは好調をキープ Photo:Penske Entertainment クリックして拡大

今季からオルタネート・タイヤ5セットの新ルール適用
植物由来のコンパウンドで、サイドウォールはグリーン!

 土曜日。またも快晴。午前10時10分のスタートだったというのに気温はすでに27℃、路面温度は36℃もあり、風は昨日と比べるとかなり穏やか……というコンディションとなりました。
 今年からオルタネート・タイヤは去年までより1セット多い5セットが供給されることとなっています。各エントラントには予選までに4セット、予選後に1セットが供給されます。プラクティス2終了後に1セットをファイアストンに返却するルールは今年も存在しますが、予選前に行われるプラクティス2回で、いつ、何セットを使うかはチーム次第というルールに変わりました。

 
Photo:Penske Entertainment

 今日、初めてこの新ルールがトライされたわけですが、全チームがプラクティス1では使用ほぼゼローーオルタネート装着でピットを出たけれど、フライング・ラップを行う前にピットに戻ったルーキーのアグスティン・カナピーノ(フンコス・ホリンジャー・レーシング/シヴォレー)という例はありましたがーーで、プラクティス2では序盤にクラッシュしたデヴリン・デフランチェスコ(アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポート/ホンダ)とスティング・レイ・ロブ(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR/ホンダ)は使用ゼロで、その他は1セットのみの使用としていました。

 今回のオルタネート・タイヤは植物由来のコンパウンドがサイドウォールに使われているため、レッドではなくグリーンのリボンがサイドウォールにプリントされています。レッド・タイヤ、ブラック・タイヤという呼び方に慣れ親しんできましたが、グリーン・タイヤと呼ぶまで”グリーン”でもないし(北米産の植物を原料としている点は高く評価しますが)、プライマリー・タイヤとオルタネート・タイヤという呼び分けを今年は使うこととします。

昨年から舗装状況が変わり、チームも対応に苦慮
ヴェテラン勢もタイヤバリヤに突っ込む

 バンピーでグリップの低いことで有名なセイント・ピーターズバーグのストリート・コースですが、今年はあちこちで路面の舗装が変わっているため、去年までのノウハウとセッティングでは対応し切れていない……というのが全チームの置かれた状況です。それでもドライヴァーたちは昨日以上にアグレッシヴに走り、プラクティス2では壁を擦る、ぶつかるが昨日以上に頻発。ヴェテラン勢でもそれは変わらず、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シヴォレー)はセッション序盤に、セッションの最後には昨日の最速ランナーだったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)がタイヤ・バリアに突っ込んだぐらいでした。

ハータ、赤旗頻発の影響もあり
2番手以下を大きく引き離しこのセッショントップに

 所謂”荒れたセッション”となった中、最速ラップをマークしたのは一昨年のウィナー=コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン/ホンダ)でした。オルタネート・タイヤを履いてのベスト・ラップ・タイムは1分00秒0779。昨日のディクソンによる最速ラップが1分01秒6145でしたから、セットアップ向上とオルタネート・タイヤの高いグリップとの相乗効果で1.5366秒も速くなったわけです。

 ハータの速さがこのセッションでは飛び抜けており、2番手にきた昨年度レース・ウィナーのスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー/シヴォレー)に0.1732秒も突き放しました。そこにはセッション終盤がアクシデントやコース・オフ後のエンジン・ストールによって何度も赤旗が出されたことが大きく影響しています。タイミングよくアタックを完了させることができたのがハータのみであった……と見ることすらできるかもしれません。トップと5番手の差が0.6224秒というのは、インディーカー・シリーズとしては大きな差です。

マクロクリンはマシンの向上に成功するも
ニューガーデン、パワーはタイム出ず
シヴォレー勢ではヴィーケイが好調を維持


 マクロクリンは昨日は10番手でしたから、予選を前に大きくマシンを進歩させたと見ていいでしょう。その一方で彼の先輩チームメイトたちは、ニューガーデンがアクシデントを起こしたこともあって15番手(1分01秒2205)と出遅れ(昨日は22番手!)、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)は27周を走りながらベストが1分01秒4284で19番手と、プラクティス1は8番手と決して悪くない状況でしいたが、プラクティス2は苦しい戦いとなっていました。
 

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 昨日はホンダ勢がトップ5を占めましたが、今日はマクロクリンが2番手につけ、その後ろの3番手もリナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング/シヴォレー)でした。昨日も6番手とまずまずのポジションにつけていたヴィーケイは、プラクティス2では1分00秒4601をマークしました。トップ3はホンダx1、シヴォレーx2。4~7番手がホンダ、8~10番手がアロウ・マクラーレン/シヴォレー勢でした。昨日トップ10にひとりも入れていなかったマクラーレンが、今日は3人揃ってトップ10入り(最後の3ポジションでしたが)と状況を好転させています。

日付が変わっても、アンドレッティと
チップガナッシの優位は崩れず


 4番手はカイル・カークウッド(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)。カリフォルニアでの合同テストでも速さを見せていた彼が、昨日のプラクティス1と同じ4番手に1分00秒5294のベストでつけました。
 5、6番手がアレックス・パロウとマーカス・エリクソン(ともにチップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)。7番手はロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)。
 昨日7番手と奮闘していたデイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD/ホンダ)が11番手。
 苦戦気味のレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングは、昨日に続いてジャック・ハーヴィーがチームの最速で、そのポジションは昨日の17番手より5つ上の12番手でした。
 オルタネート・タイヤでのアタックを始めたラップにクラッシュしたディクソンは13番手。ルーキー最速は今日もマーカス・アームストロング(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)でしたが、そのポジションは昨日のようにトップ10ではなく、20番手でした。オルタネート・タイヤで走るのは初めてだったため、その性能をフルに引き出せていなかったのでしょう。

予選でのオルタネート・タイヤの使い方に注目

 次はいよいよ今シーズン最初の予選。アンドレッティ・オートスポートとチップ・ガナッシ・レーシングが優勢でここまでは来ていますが、そのトレンドは予選でも保たれるのか。3セグメントで構成される点は去年までと変わりませんが、1セット多くのオルタネート・タイヤが全エントラントに供給されているので、それらをどう使うのか、幾つかのパターンが考えられます。最初のセッションに2セットを注ぎ込んででもセカンド・ステージ進出を狙う……というチームが増え、ファイナルへと進む競争がこれまで以上に激しくなる可能性も考えられます。その一方で、ユーズド・オルタネート・タイヤしかない状況下でどのようにファイナル・セッションを戦うが勝負どころだった去年までとは違う戦いになることも十分考えられます。
以上

 

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