2018年4月16日月曜日

2018 INDYCARレポート R3 トヨタ・グランプリ・オブ・ロングビーチ Day3 予選:ロング・ビーチPPをアレクサンダー・ロッシが獲得

プラクティスから好調だったロッシがポールポジション Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
初日から抜きんでていたロッシが堂々のファスト6制覇
 ロング・ビーチでのインディーカーの予選を前に行われていたのは、IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップ・シリーズのスプリント・レース。それを見ていたロビン・ミラー(インディカーの古参ライターでTVでピット・レポーターも務める)が、「誰がポール・ポジションだと思う?」と解説者のポール・トレイシーとタウンゼント・ベルに質問し、「俺のPP予想はライアン・ハンター-レイで、レース・ウィナーも彼で決まり!」と自信満々で言っていた。するとトレイシーは、「PP本命はアレクサンダー・ロッシだろ」と実に彼らしい予想で返し、ベルもまた彼のキャラクターを発揮して、「レースでその二人、きっとぶつかっちゃうと思うよ」とロビンを笑わせていた。
 正解はPT。でも今日はロッシのPPって、彼以外でも予想していた人が多かったと思う。昨日のプラクティス2から一歩抜きん出てた感じだったので。そして、今日の彼の戦いぶりを見ていると、今後彼はさらに速くなって行きそうだという期待感が湧き上がって来た。




予選、1ラップのみのアタックで11コーナーを攻めるロッシ。ライバルとの差が少ないことを意識して選んだファスト6の作戦が見事に的中した Photo:INDYCAR (Chris owens) クリックして拡大
1ラップだけのアタック、という斬新なファスト6戦略

 予選で使えるレッドは2セット。3セグメントあるから1セット足りない。ファイナルは余程のことがない限りユーズドタイヤでのパフォーマンス勝負になる。そこでロッシは新しい戦い方にトライした。ファイナルが始まってもピットで待機し、最後の最後になって1ラップだけアタックしたのだ。チーム・ペンスキーのトリオとチップ・ガナッシ・レーシングのスコット・ディクソンがブラック・タイヤでマシン・チェックなどを行なったのとは対照的に、燃料をギリギリ必要な分だけ搭載したマシンのコクピットでじっと出撃の時を待った。「僕らのマシンはレッド装着の場合、ベスト・ラップがアタック1、2ラップ目に出るケースがほとんどだったから、できる限りマシンを軽くして勝負した」とロッシは説明した。集中力を高め、一発勝負に出て、彼らはそれに勝った。今後このスタイルで戦うドライバヴァーは増えるかもしれない。体力や精神力をセーブするという面からも、この戦い方は成功率が高いと考えられるからだ。しかし、見る側としたら、アタックラップは多いほどいい。これはジレンマだ。

「ギリギリのダウンフォースで、完璧なラップに近いものを完成させることができた」
 「タイム差には僕は注目をしていないよ。それはあまり大した基準にはならないと思うから。自分たちとしては、とにかくフロントローを目指した。だから100分の1秒だろうが、コンマ3秒だろうが、その大きさは関係なかった。今週の僕らが強力なのは間違いない。ライアン(・ハンター-レイ)が常に僕とほぼ同じスピードを見せて来てもいた。彼がペナルティを受けなかったら、おそらく僕の横のフロント・ロウ・グリッドは彼が手にしていたと思う。ジョセフ(・ニューガーデン)とウィル(・パワー)もセッションによって速い時があった。その中から誰がベストのタイミングを掴み、ベストの走りをするかがポジションの違いに現れていた。ほんの僅かだがセットアップがコンディションに合わなくなってしまうケースだって起こり得る厳しい状況の下、今日の僕らはマシンが滑り過ぎないギリギリのダウンフォースで、完璧なラップに近いものを完成させることができた。そういうことだと思う」とロッシは謙虚に語った。

2位のパワー「今日の僕は限界で走り続けていた」
 予選2位となったパワーも表情はサバサバしていた。「マシンは良いものに仕上げられていたし、予選では良い走りもできた。ギリギリまでせめて走っており、予選中に何度か壁にタッチした。みんなが考えている以上にハードにアタックしたよ。信じられないぐらいにハードに。もう次はないって言うぐらいハードに。ダウンフォースが小さからマシンは滑る。だからコース幅をいっぱいまで使って走らないとならない。今日の僕は限界で走り続けていた」と振り返り、「PP獲得に十分なだけ速くなかった。それだけのことだ。明日のレースで勝ちに行く」とパワー。「予選でトップを取れずとも決勝にチャンスあり」。パワーはそう強く確信していると言うことだろう。
 しかし、存分に攻めたというパワーをもってしても敵わないのが今日のロッシだった。こういうシーンを見る機会は、今後さらに増えることとなりそうだ。

ペナルティに泣いたハンター-レイは7番手に
印象的だったSPM勢の予選での巻き返し

 RHRはピットロード出口の走り方がレギュレーション違反だとしてペナルティを課せられ、セカンド・ステージで敗退。グリッドは7番手に決まった。ファイナルに進んでロッシとのPP争いを見せて欲しかったが……。
 予選3位はシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)で、4位はスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング。
5位はグレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)でディフェンディング・チャンピオンでポイントリーダーのニューガーデンは、2戦連続でファスト6入りに失敗することはなかったが、ファイアストン・ファスト6では最下位の6位となった。
 予選8位は昨年のロング・ビーチ・ウィナー=ジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)。ここまで濃いメンバーの中から、ファイナルに進めるのは6人だけ。「その戦いの厳しさがいい」と考えられなくもないが、「ファイアストン・ファスト8」だったら、もっとエキサイティングになるのでは?
ストリート&ロードコースはどこもアタッカーが8人いたって混雑することはないでしょう。そうしたら8人でのバトルの方が見ていて楽しくなると思う。今日の場合、ファイナル進出を逃した予選9位はセントピーターズバーグ・ウィナーで現在ポイント2位のセバスチャン・ブルデイ(デイル・コイン・レーシング・ウィズ・バッサー・サリヴァン)で、予選10位は今年大注目のロバート・ウィッケンズ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)だった。彼らを加えての8人によるポールポジション争いの方がおもしろそうでしょ?

 予選ではシュミット・ピーターソン・モータースポーツの復活ぶりも印象的だった。もう上位にくる可能性はないのかと考えられるぐらいプラクティス3での彼らは苦戦し、ウィッケンズが14番手、ヒンチクリフが21番手だった。その彼らが予選で8、10位まで挽回。今シーズンの彼らは開幕2戦で見せたもの以上の力を身につけているということのようだ。

佐藤琢磨はP1で敗退、予選22番手「残念な予選でした」
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、レッド・タイヤを装着してアタックを開始したラップでマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポート)がスピン。その次のラップで目の前を走られたため、アタックのチャンスを完全に失って予選結果は22位となった。出せたベストは1分08秒6340。
 予選前の午前中に行なわれたプラクティス3、琢磨は15番手と振るわなかった。上位陣が1分06秒台を気力した中、琢磨は1分7秒8120がベストで15番手につけることしかできなかった。予選では運にも恵まれず、ファースト・ステージのグループ2走行のみで敗退という厳しい結果となった。
  「残念な予選でした。最初のラップは、トラフィックに巻き込まれてタイアのウォームアップができませんでした。2ラップ目はターン1で黄旗が提示。その後はマルコに行く手を塞がれ、まるまる1ラップを費やしたため、ペースを上げられませんでした。これですべてが終わりました。とても残念です。できれば、明日までに強力なレースカーに仕上げ、ライバルをぐんぐん追い抜くレースを演じたいと思います」とのコメントを琢磨はリリースした。
以上

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