2022年9月5日月曜日

2022 INDYCARレポート R16 グランプリ・オヴ・ポートランド Race Day 決勝:スコット・マクロクリンが完璧なポール・トゥ・ウィン

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 マクロクリン、誰にも脅かされることなく完勝!


 今年のグランプリ・オヴ・ポートランドはフル・コース・コーションが1回しか出なかった。それもレースが終盤に入ってから。ジミー・ジョンソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がターン1でクラッシュしてのことで、“またかよっ!”と思ったら、リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)にブツケられてのアクシデントだった。NASCARチャンピオンのこと、疑ってしまって申し訳なかった。

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 イエロー1回=4周、アクシデントによるリタイア1台で超ハイペースでゴールを迎えたレースは、ポール・スタートだったスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)の完勝となった。予選3位だがフロント・ロウ外側グリッドからのスタートだったウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は、最初のスタート、1回だけあったリスタートですらマクロクリンのトップを脅かすアタックを仕掛けることができなかった。ゴール前5周で1秒以内に迫った時が今日一番のチャンスと映ったが、マクロクリンの方がプッシュ・トゥ・パスの残り時間も多く、先輩ドライヴァーが相手でも余裕をもって戦えていたようだ。

スタート方法の変更によって、1コーナーシケインでの混乱はなく、クリーンなオープニングラップとなった。ポールスタートのマクロクリンはこのシケインでパワーをかわして2位に浮上したルンドガールドを引き離し、序盤にして独走態勢を築いた Photo:Penske Entertainment (James Black)クリックして拡大

最後まで盤石だったと語るマクロクリン
「スタートから大きなリードを築くことができ、
その時点で勝負はほぼ決まっていたと思う」


 「ウィルとの差はコントロールできていた。接近はしたけれど、自分の前に周回遅れが現れる可能性もなかったし、心配は要らなかった。彼とすれば、アタックをするためにはタイヤに負担をかける必要がなる。そうなったら、こちらもペースを上げて対抗するだけだった。今日はスタートから大きなリードを築くことができた。そこまでの時点で戦いの行方はほぼ決まっていたと思う」とマクロクリンは語った。大きな達成感の得られたレースとなったことだろう。

パワー、マクロクリンには届かず2位もポイントリードは20点に拡大
「今日は接触もあったが幸運だった。自分はただただエンジニアやクルーのためにタイトルを獲りたい」


 パワーはまたしても勝てなかった。一番若いチームメイトであるマクロクリンがこれでシーズン3勝目。チャンピオンの座を争っているジョセフ・ニューガーデンの方は5勝も挙げている。パワーは1勝しただけでポイント・リードを保ち続けている。このまま2度目のチャンピオンへと逃げ切ることができるだろうか。残るは1戦。今日3位フィニッシュしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)と、ニューガーデンがともにパワーと20点差でランキング2番手タイにつけている。

 マクロクリンがパワーに進路を譲り、今日のレース・ウィナーがパワーになっていたら、彼のニューガーデンとディクソンに対するポイント・リードは、残り1戦で30点という大きなものになっていた。しかし、勝利を譲るようチーム・オーダーは出されなかった。

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  「今日もまた、自分たちのできる仕事をすべてやり遂げたという1日になった。最初のスタートでクリスチャン・ルンドガールド(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)にパスされていなかったら、スコット(・マクロクリン)にアタックするチャンスがあったかもしれない。パト・オーワードと接触があったが、問題なく走り続けることができたのは幸運だった。自分はただただ、もう10年以上も一緒に働いてきてくれているクルーやエンジニアたち、たとえばデイヴ・ファウスティーノやロビー・アトキンソンらのためにチャンピオンシップを獲得したい。最終戦でトップ3フィニッシュしたらタイトル確定? まだまだ大変な仕事が残っているということだ。チップ・ガナッシ・レーシング勢はラグナ・セカでテストを行っているから、かなり手強い相手となるだろう」とパワーは語った。

ニューガーデン、ラストスティント上位陣唯一のブラック装着が裏目に
「勝つか、不運かの奇妙なシーズンになっている」

6グリッド降格のペナルティで序盤こそ苦戦していたが、レース中盤から力強くポジションアップを果たしていたニューガーデン。ラストスティントでのフルコース・コーションが誤算だった Photo:Penske Entertainment (James Black)クリックして拡大

 ニューガーデンは8位でゴールした。最終スティントを迎える前は4番手を走っていた。8番手スタートとしてはかなりの奮闘をしていたといえる。しかし、最後に装着したのがブラック・タイヤだったため、終盤のリスタート後の戦いでレッド装着勢に対して大きな不利を抱えることとなり、4つもポジションを落としてのゴールとなってしまった。「フルコース・コーションがゴール前のあのタイミングで出ることは予測していなかった。スタートからずっとグリーンで戦い続けていたこともあり、最終スティントも長くなった場合にはブラックの方が耐久性の高さで有利だろう……と考えてしまった。残すは最終戦のみ。ポイント差は20点。もう、ここまで来るとなるようにしかならない。最終戦は勝利だけを目指して戦う。それだけだ。今年は本当に奇妙なシーズンになっている。勝つか何か不運なことが起こるか……のどちらかだ。今日のあのイエローは、自分たちにとってはまったくもって不要だった。あれが良い方に出たチームもあっただろうけれどね」とニューガーデンはコメントした。


佐藤琢磨、ノーコーションが続く戦局に上位進出のチャンスを阻まれる

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  佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)は22番手スタートから18位フィニッシュ。燃費セイヴでチャンスを掴む作戦だったが、イエローが一切でないままレースがどんどん進み、ピット回数をライヴァル勢より少なくしてゴールすることは不可能になった。イエロー中に前車との間隔を詰めない……という不可解なペナルティ(琢磨としてはアクシデント車の処理も続いていたので、安全性も考慮して遅いペースで走っていた)もインディーカーによって課せられ、15位フィニッシュのはずが18位となってしまった。

最終戦モンテレー、チャンピオンシップの可能性は5人に

ディクソンは予選グリッド16番手からスタートし、3位に入賞し、ポイントスタンディングでもニューガーデンと並んで首位パワーに20ポイント差に急浮上。チップ・ガナッシ・レーシングはラグナ・セカでプライヴェート・テストを済ませていることもあり、最終戦でチャンピオンシップの行方を大きくかき回しそうな雰囲気だ Photo:Penske Entertainment (James Black)クリックして拡大 

 ポイント・リーダーのパワーからポイント・ランキング5番手のマクロクリンまで、5人が41点のポイント差で最終戦へと向かう。
ポートランド終了時点でのドライバー・ポイント(暫定)
パワー 523点
ニューガーデン 503点
ディクソン 503点
エリクソン 484点
マクロクリン 482点
以上

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