2022年9月10日土曜日

2022 INDYCARレポート R17 ファイアストン・グランプリ・オヴ・モントレー Day1 プラクティス1:ジョセフ・ニューガーデンがラグナ・セカ最初のプラクティスでトップ・タイム

Photo:Penske Entertainment (James Black) クリックして拡大

 モントレーらしい気候の下、26台で最終戦のプラクティスがスタート
セッション前半のブラック・タイヤではマクロクリンがトップに


 2022年NTTインディーカー・シリーズの最終戦が始まった。気温が22〜23℃と、いかにもカリフォルニア州モントレーらしい、気温は低めだけれど空は快晴……というコンディション下でプラクティス1が行われ、出場26台がブラックとレッド、両タイヤでの走行が重ねた。赤旗はジミー・ジョンソン(チップ・ガナッシ・レーシング)がターン6単独でコース・オフしてタイヤ・バリアに突っ込んだアクシデントによる1回のみだった。
 ジョンソンのマシンがグラベル・トラップから引っ張り出されてグリーン・フラッグが振られた時、セッションの残り時間は20分強となっていたため、ここから続々とレッド・タイヤを装着して走るチームが現れた。ブラック・タイヤではポートランドで完全勝利を飾ったスコット・マクロクリン(チーム・ペンスキー)が1分12秒2219でトップ。2番手はパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)の1分12秒2529。3番手はコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)の1分12秒2597だった。ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)のブラックでのベストは1分12秒3497で、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は1分12秒3512、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)は1分12秒8054だった。


赤旗後のセッション後半、レッドの走行で速さを見せるアンドレッティ勢
しかし、トップタイムはニューガーデン!


 レッドでの走行、まずはシモン・パジェノー(メイヤー・シャンク・レーシング)が1分11秒9921でトップに立ったが、レッドのラバーが乗ってくるとタイムが少しずつだが着々と縮められて行った。アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が1分11秒9034でパジェノーからトップを奪うと、チームメイトのハータが1分11秒8266でロッシを上回った。アンドレッティ軍団の1−2となったのだ。しかし、そのままセッション終了とはならなかった。ポイント2番手で逆転チャンピオンの可能性を持っているニューガーデンが1分11秒4103で最速ランナーとなったのだ。

ラグナ・セカで連勝中のハータはこのセッション2番手。タイトルの可能性はないハータはとにかく勝ちに来るハズ Photo:Penske Enteitainment (Chris Owens)クリックして拡大

  最終的に2番手となったのはハータ(前述のタイム)。3番手には最後の最後で1分11秒8697を出したロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート)が食い込んだ。彼らはチャンピオンになる可能性がないため、最終戦での優勝を目指してくる。トップこそニューガーデンに取られたものの、アンドレッティ・オート勢は並2〜4番手を占めた。ルーキーのデヴリン・デフランチェスコ(アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポート)も13番手という好位置。このコースではアンドレッティのマシンが速い。昨年もその前にレースがあった2019年も勝ったのはハータ(2019年はハーディング・スタインブレナー・レーシングからのエントリーだったが、アンドレッティ・オートスポートと技術提携していたチームだった)。予選は2レースともハータがPPで、昨年の予選2位はロッシ、2019年は予選2位はガナッシのディクソンだったが、予選3位はロッシだったのだ。

ガナッシ勢の後の5番手にはアイロット
ポイントリーダーのパワーは7番手に

 5番手にはルーキーのカルーム・アイロット(フンコス・ホリンジャー・レーシング)が食い込んできた。彼はルーキーだが、昨年の最終3戦に出場しているので、ラグナ・セカをインディーカーで走るのは今回が2回目というアドヴァンテイジを持っている。

 パジェノーが前述のタイムで6番手。ポイント・リーダーのパワーはレッドではベストが1分11秒9858で7番手。オーワードは前述のタイムで8番手。9番手はシーズン後半の躍進が著しいデイヴィッド・マルーカス(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMD)。そして、10番手はマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)=1分12秒0418だった。

事前テストとは違うセッティングで走行したディクソンは苦戦

プラクティス1は思わぬ結果となったディクソン Photo:Penske Entertainment (Chris owens)クリックして拡大

 ポイント2番手タイのディクソンは1分12秒3911がベストで17番手。彼のチームメイトであるアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)は1分12秒3102で14番手と、事前テストを行ったガナッシが予想外の苦戦を強いられている。マクロクリンもレッドでは1分12秒0877がベストでポジションは11番手だった。

慎重な姿勢を崩さないニューガーデン

「自分たちは最速だったが自己ベストでラップをまとめ上げることはできていない」
 

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 幸先良く最初のプラクティスでトップとなったニューガーデンだったが、「まだ週末が始まったばかり。戦力を採点するには時期尚早だ」と語った。「多くのドライヴァーがコースからはみ出して砂埃をコース上に掻き出して来るので、グリップが大幅に下がっているところを走るケースは避けられない。良い1周をまとめ上げるのは本当に難しく、自分たちは最速だったが、自己ベストでラップを完成できてはいなかった。それはみんなも同じだったと思う」と話しぶりは慎重だった。
 

「タイヤの摩耗の激しいレースとなることは間違いない」と語るディクソン

 17番手とパフォーマンスの良くなかったディクソンはセッション直後の記者会見に姿を見せず。チームがコメントをリリースした。「テストでトライしたものとは大きく異なるセッティングで今日は走った。違ったセッティングも幾つか試したかったからだ。マーカス(・エリクソン)のマシンがそのセッティングの良さを今日確認できていた。彼は良い方向にマシン・セッティングを進めることができている、ということだと思う。しかし、今日トップ10に食い込めなかった自分たちは、まだマシンの状態は目指すレヴェルに達していない。現在自分たちの置かれている地点から改善を施し、どこまでマシンを良くできるかが大事だ。タイヤの摩耗の激しいレースになることは間違いない」。

佐藤琢磨、タイヤの内圧を間違えてセッティングの判断ができず

 佐藤琢磨(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)は18番手だった。ブラックでもレッドでもタイヤの内圧設定が間違っていたのだから、上位に食い込むのは不可能だった。


Photo:Penske Entertainment (Joe Skibinski)クリックして拡大

  「テストで試したセッティングを見直し、より良いものになるだろう……というセッティングを施したマシンで今週末を迎えています。チームメイトのデイヴィッド(・マルーカス)とは、今回も異なるジオメトリーでプラクティス1を走り出しました(レッド・タイヤで9番手、トップと0.6315秒差のタイムをマーク)。マシンはテスト時よりも良くなっているはずなのですが、タイヤの内圧が間違っていたので、上位に行けるだけの良いラップ・タイムが出なかった理由がタイヤにあったのか、セッティングだったのかを判断するのは難しかったですね。レースに向けたリヤ・サスペンション・セッティングの方向性は、今日決めるべきなんです。しかし、その決断を下すのがとても難しい状況となっています。これからチームの2台のデータをよく見て考えます」と琢磨の表情は険しかった。
以上


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