2012年6月23日土曜日

2012 INDYCARレポート:第9戦アイオワ 予選レースは事前の予想に反して(?)後方グリッド決定レースの方がパッシングありの見応えのあるレースに。

初めての予選レースでダリオ・フランキッティがポールポジション獲得
佐藤琢磨は予選24位


予選レースという新しい試みは、成功だった……と思う。もちろん改良の余地はある。しかし、それは何に対しても言えることなので。
今回インディーカーが試した方式では、2回目のプラクティスタイムで25台が3グループに分けられた。ここで肝心なのは、トップ8で構成されるグループ以外、予選レースはあまり大きな意味を持たない点。トップ8はポールポジションを争い、フロントロウからの4列目までという、勝利に手を届かせる可能性が高いグリッドを競い合う。おのずとバトルも熱くなる。上位陣の方が順位同士のタイム差も小さいので尚更だ。しかし、他の2レースは9位以下のグリッドを決めるだけのため、緊迫感に欠ける。奇数順位と偶数順位に分けるので、順位間のタイム差も大きく、バトルになりにくい事情を抱えてもいた。さらに言えば、これら2レースに参加するドライバーたちは、敢えて大きなリスクを冒してまでポジションアップを実現したいと考えていなかっただろう。マシンを壊せば、クルーたちに負担をかけ、チームのバジェットにも悪影響を与える。幸い、今日の3レースでは誰もアクシデントを起こさなかった。

レースはどれも30周だった。今回用意されていたタイヤの摩耗状況などを考えると、もう少し長いレースにすれば、さらに順位変動が見られたのかもしれない。長くするにも限度はあるが。

予選レース1ではグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)が勝った。テキサスで逃した勝利を埋め合わせるまでには行かないが、こういう勝利でも自信には繋がるものだ。このレースでは順位変動がほとんどなかった。マシン同士の間隔も大きく離れた、実に淡々とした周回になっていた。唯一、JR・ヒルデブランド(パンサー・レーシング)がEJ・ビソ(KVレーシングテクノロジー)をパスした。

予選レース2では、せっかくプラクティス2で奮闘して9位となったルーベンス・バリケロ(KVレーシングテクノロジー)が、アレックス・タグリアーニ(ブライアン・ハータ・オートスポート)とトニー・カナーン(KVレーシングテクノロジー)にパスされた。そのタグリアーニも、カナーンにパスされ、優勝を逃しての2位となった。
予選レース1に比べ、予選レース2には見応えがあった。トップの座をかけた戦いが繰り広げられ、交代劇が2回も見られたのだ。ただし、勝ったカナーンはエンジン交換で10グリッド降格となることがアイオワ入りする前から決まっていた。

トップ8による予選レース3は盛り上がった。ポールスタートだったマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポーツ)は序盤こそ後続を突き放す態勢と見えたが、6周目にフランキッティが急接近し、一気に横に並んだ。そして、1ラップに渡るサイド・バイ・サイドのバトルの末、7周目にフランキッティはトップに躍り出た。その後はもうフランキッティのひとり旅。アンドレッティはタイヤを酷使したのか、ギヤ比が合っていなかったのか、15周目にはエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)にもパスされて3位となった。
今週もジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポーツ)は好調だ。彼はプラクティス6位だったが、予選レースでウィル・パワーとライアン・ブリスコー、ペンスキー勢を2人もパスして予選4位となった。

初めての予選レース、順位を上げた代表はフランキッティ、ヒンチクリフ、そしてキャサリン・レッグ(ドラゴン・レーシング)。彼女は23番手だったが、予選順位は19位となった。しかも、エンジン交換によるペナルティ組がグリッド降格され、彼女は16番グリッドに着くことになった。

予選レースなんて余計なことを……と考えているのは、アンドレッティがその筆頭。昨年のアイオワ・ウイナーは、ポールからのスタートができると思ったら、3番手とフロント・ロウ・スタートすら行えなくなった。ポイントリーダーのパワーも4位ではなく、6位からとふたつポジションを落としてのスタートとなる。

2 件のコメント:

  1. 画期的で面白い予選だ!すごい!と思っていますが、こんな予選方式を実行してしまうアメリカンモータースポーツって本当にすごいですね。

    F1や日本だとなかなか理解が得られないんじゃないかなと思うんですが、発案者は周りの人にどう理解してもらってるんでしょうか?反対者はいないのかな?レース要素が増えておもしろいじゃん、だけなんでしょうかね。。。

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    1. 匿名さん、コメントありがとうございます。
      予選レース、3レースもやるなんてと思いましたが、新しい発想でしたね。
      ジャックの予選レースに関する感想は先程、メールマガジン・プレミアムで、現地から直接、配信がありました。
      週末のメールマガジンでは簡単なまとめをお送りしたいと思いますので、お楽しみに。(事務局担当)

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