2011年4月13日水曜日

2011 INDYCAR R2 バーバー・モータースポーツ・パーク レースアナリシス1「パーフェクトウインをもたらしたパワーのセッティング調整能力、そして勝利への執念」


Photo:INDYCAR(Dan Helrigel)
一度も首位を譲らない完全な勝利

 第2戦ホンダ・インディ・グランプリ・オブ・アラバマは、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)によるパーフェクトウィンだった。
 スタートからゴールまで、パワーはトップを一度も明け渡さなかった。何度もリスタートが行われたというのに。そして、2回行われたピットストップの最中もトップを保ち続けた。クルーたちのピットでの仕事ぶりもパーフェクトだった。
 レース序盤はライアン・ブリスコー(チーム・ペンスキー)が、28周目からはスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)が2位を走行。彼らがトップを走るパワーを脅かすシーンは見られなかった。ブリスコーは最初のスタートと3周目のリスタートの合わせて2回、ディクソンはその後のリスタート5回でパワーの真横に並んで加速するチャンスが与えられたが、トップ逆転劇は一度も起こらなかった。
Photo:INDYCAR(Dan Helrigel)

決勝前のセッティング変更に成功したパワー

 パワーは最終的にディクソンに3秒以上の大差をつけてゴールした。ディクソンは激しくアタックしたが、そのせいでタイヤを先に消耗させてしまったのだ。「ウォームアップからセッティングを少しだけだが変更した。それでマシンは今週初めてバランスが良くなった。そのマシンの力をフルに引き出し、ミスなしでゴールまで走り切れた」とレース後のパワーは満足感を語った。
 今年のバーバー・モータースポーツ・パークでのレースでは、どのチームもマシンセッティングでおおいに戸惑っていた。去年のテストやレースと違うだけでなく、1ヵ月前のオープンテストとも感触が違っていたからだった。路面の変化が激しく、その対応が非常に難しくなっていた。
 バーバーでのレースはプラクティス時間が短く(雨があったのと、3回目は20分のみというスケジュール)、プラクティス3回目と予選、ウォームアップは午前中の走行で気温や路面温度が低かった。しかし、レースは今週最も暑いコンディション下で行われたのだから、セッティングの調整能力がおおいに試された。

90ラップをノンミスで走りきったドライバーとチームの総合力の勝利

 開幕戦ではダリオ・フランキッティ(チップ・ガナッシ・レーシング)が完全にレースをコントロールしていた。誰をも寄せ付けない速さを彼は手にしていた。今回はパワーが、レッド(ソフト・タイプ)とブラック(ハード・タイプ)、どちらのタイヤでもベストのハンドリングを手にしていた。
「僕のマシンの方がリスタートからの15周では速かったと思う。しかし、オーバーテイクはできなかった。10分の何秒といった差しかない場合、このコースでは相手がミスしない限りパスは不可能だ。前を行くマシンに接近して走り続けた結果、少ないダウンフォースでタイヤを摩耗させ過ぎたのかもしれない」とディクソンは話した。フランキッティは予選7位から3位に入ったが、最後のレッド(ソフト・タイプ)装着(予選で使用した中古)での走りで上位2人との間に明確な差があり、ディクソンにでさえ12秒も離されてのゴールとなった。
 90周に渡ってドライビングミスがゼロだったパワー。その原動力は去年味わった悔しさにあった。「去年のここでのレースは僕が勝てたはずだった。プラクティスからずっと最速だった。しかし、ピットタイミングが悪かった。今年は絶対に勝つ! そう強く考えていた」。まんまとリベンジを成功させたパワーは語った。

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