2011年5月23日月曜日

2011 INDYCAR インサイド情報&レポート R5 インディ500 Pole Day 意外だったチーム・ペンスキーの予選での不振

前日の228.611mphの今月最速をマークしていたカストロネベスだったが、
思わぬ予選での不調に記念撮影の表情もいまひとつ冴えない。
Photo:Naoki Shigenobu

3年連続のPPを狙ったエリオ、1日にしてスピードを失う
 エリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)は、記念すべき100周年イベントのポールポジションを狙っていたはずだ。そうするだけの実力と実績が彼と、彼のチームにはある。エリオはインディで3勝していて、ポールも3回獲得してきているのだ。09年、10年に続いての3年連続ポールとなれば、それはインディの新しいレコードとなるところでもあった。
しかし、彼が手にしたグリッドは16番グリッドだった。ファスト9を逃して……というレベルになかった。予選前日には228.611mph(=約367.835km/h)を出し、今月のトップに躍り出たエリオだったが、ポール獲得の最有力候補と見られていたというのに予選本番ではまるでスピードを出せなかった。マシンを降りた彼の顔は青ざめていた。



「コースのコンディションが昨日とはまるで違う。それは皆にとって同じ条件なわけだけど……。風の影響も大きい。朝のプラクティスで慎重に行き過ぎ、調子が良くなかった。そこで安定した速さが得られていた昨日のセッティングに戻したんだが、そうしたら突然、225.2(=約362.347km/h)しか出せなくなった。ギヤ比も合ってなく、思うようにスピードが上がって行かなかった。少し慎重に行ったが、それが狙い通りの成果をもたらさなかった」とエリオは話した。226mph(=約363.634km/h)ぐらいは行けると考えてのアタックだったが、225.216(=約362.373km/h)しか出せなかった。ポールを狙うにはファスト9に入らなければならない。彼は、「もちろん、もう1回アタックする。雨は降らないさ」と天気が持つことまで断言し、ガレージへと戻って行った。
金曜に絶好調だったエリオだが、土曜日のコンディションにマシンをマッチさせられなかった。ポールデイの天候は、気温と路面温度が低く、湿度の高くなっていた。金曜はほぼ無風だったが、土曜日は結構強い風が吹いた。湿度の高さはダウンフォースを増加させていた。そうしたコンディションへの対応でチーム・ペンスキーは失敗したのだ。
予選アタックを行う者がいなくなり、午後3時過ぎにコースがプラクティス用にオープンされると、エリオは再アタックに備えるための走行を開始した。しかし、10分もしないうちにグレアム・レイホール(チップ・ガナッシ・レーシング)がアタックを宣言。プラクティスはストップさせられた。スピードアップができる確信を持てなければアタックはやりにくい。結局、エリオに再アタックのチャンスはやって来なかった。彼は16番グリッドからのスタートを受け入れるしかなくなった。

期待のパワーもファスト9では不発に


パワーもコンディションの変化に対応できず・・・・・・。
Photo:INDYCAR(Ron McQeeney)
 エリオより1時間以上前、正午をまたいてアタックを行なったウィル・パワーは、「全開だったがスピードが十分ではなかった」と話していた。226mph台を彼は出し、「チームメイトたちがアタックを行えば、彼らの走りからも良いデータが入る。ファスト9で走ることになれば、今より良いアタックができるはずだ」と語っていたが、ふたりのチームメイトは彼を大きく下回るスピードしか出せなかった。
それでもパワーはファスト9に残った。しかし、注目や期待度とは裏腹に、彼は予選第2ラウンドで大きくスピード・アップすることができなかった。今年のロードレース4戦で彼はすべてポールを獲得してきているが、インディでの初ポールも開幕5連続ポールも実現されなかった。
ファスト9でも今年のペンスキーは不発だった。インディでの予選5位は素晴らしい結果だが、彼らに期待されているのはポール争いだ。「ちょっとした驚きの1日になったね」と予選を終えたパワーは話した。「もう僕のマシンはトリム・アウトされていて、何もやることは残されていなかった。それでもスピードが足りなかったんだ。コンディションがちょっと良くなり過ぎていたね」。3人が227mph(=約365.243km/h)台のアベレージを出したが、パワーは226.773mph(=約364.878km/h)止まり。彼のケースは、1回目のアタックからのスピードアップの度合いが小さかったのだ。1回目のアタックを行なった正午と、予選第2ラウンドが行なわれた午後6時前ではコンディションが当然違っていた。風がなくなり、気温や路面の温度が少し上がっていた。コンディションはパワーが言うとおりに良くなっていたのだ。しかし、チーム・ペンスキーはそうしたコンディションにセッティングをマッチさせるという仕事をうまくこなせなかった。

7年ぶりにフロントロウにチーム・ペンスキーの姿なし


総帥ロジャー・ペンスキー、決勝レースでの巻き返しのシナリオはどうなる?
Photo:ONDYCAR(Ron McQeeney)
ライアン・ブリスコーは、予選日の朝のウォーム・アップでプライマリー・カーをクラッシュさせる大失態を犯した。Tカーへのスイッチした彼はポール・デイに24位以内に入ることさえできなかった。予選前日には4番手につけていたというのに、セッティングに磨きをかけたプライマリーカーを壊すのは、御法度中の御法度だ。
ブリスコーがTカーでスピードを上げられず、グリッド確保に躍起になった。そのこともチーム・ペンスキーの総合力を下げる結果になっていた。ファスト9でいかに力を発揮するかに3人のドライバーとエンジニアたちの力を集中させることができなかったからだ。
プラクティス開始から、チーム・ペンスキーはレース用セッティングを重点的に行なっていた。3台体制を見事に活用し、自らトラフィックを作ってシミュレーションを行っていた。彼らの中には、レース用セッティングから何をどう変えるのが予選用セッティング……という考えがあるんだと思う。しかし、今年のインディでは彼らのその方程式は通じなかった。
インディ500のフロントローにチーム・ペンスキーのマシンがいないのは、2004年以来のこととなる。ホンダ・エンジンが他を圧倒した年で、ペンスキーは他メーカーのエンジンを使っていた。

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