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「ポートランドは大好きなコースだが、それ以外はいつもと同じ全く同じ週末
ただチャンピオンが決まるかもしれない特別な週末であることは理解している」
――ポートランドでチャンピオン決定……の可能性アリ。経験者として、こういう週末には、どう臨む?
アレックス・パロウ:とても興奮している。その理由はたくさんあるけれど、特に大きいのは、ポートランドが自分が大好きなコースで、とても良い成績を残して来ているコースでもあるところ。僕らのシーズンはすでに驚くほど良いものになっている(8勝)のに、更に良いものとして(勝利を重ねて)シーズンを終える可能性が残されている。でも、今週末が特に他の週末と違う……ということはない。まったく普通の週末、という感じがしている。そういうアプローチを僕らがしているということ。チャンピオンが決まるかもしれない特別な週末であることは理解している。そして、まだ今シーズンは3戦が残されている。今週が最終戦で、ふたりのうちのどちらかがチャンピオン……という状況だったら、まったく違う気構えとかになるんだろうけれど。それに対して今週は、僕らにタイトル獲得を決めるチャンスがあり、しかも、そうなる可能性は結構高いものがある。自分たちがキッチリと良い仕事をすれば目標は達成される。最終的にチャンピオンになれれば嬉しいんだけれど、今週、ポートランドで決められたら、それはそれでとても嬉しい。
2025年8月9日土曜日
2025 INDYCAR R15 ビットライン・コム・グランプリ・オヴ・ポートランド Day1 プラクティス1:パロウ インタビュー「キッチリと良い仕事をすれば、目標は達成される。今週ここで決められたら、それはとてもうれしい」
2025 INDYCAR R15 ビットライン・コム・グランプリ・オヴ・ポートランド Day1 プラクティス1:全車セッションとグループ1クリスチャン・ルンドガールドが最速! アレックス・パロウはグループ2でトップタイム
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好天の下、2025シーズン終盤3戦がスタート
アメリカ北西部で開催される唯一のインディーカー・イヴェント=ビットナイル・ドット・コム・グラン・プリ・オヴ・ポートランドが今日、スタートした。フラットな高速ロードコースは全長が1.964マイルと短め。天気は快晴。路面は当然ドライ。気温は26〜28℃で、とても快適なコンディション下でのセッションとなった。路面温度は43〜47℃。
ルンドガールド、全車セッション最終盤にパロウを逆転!
40分間の全車セッションでは、全車がブラック・タイヤで走行。クリスチャン・ルンドガールド(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)が59秒1037で最速だった。セッション終盤、自身の13周目でそのラップ・タイムは記録された。
全車セッション2番手はポイント・リーダーのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)。彼のベストは59秒2060。16周をこなした彼は、そのうちの13周目で自己ベストをマーク。トップに立ったが、ルンドガールドが最後の最後で彼より0.1023秒速いラップを記録し、トップの座をかっさらった。
2025 INDYCAR R15 ビットライン・コム・グランプリ・オヴ・ポートランド Day1:逆転タイトルへの最大のポイントを迎えたオーワード
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優勝か、それに近い順位でパロウよりも上位フィニッシュが必須
ポイント・スタンディングで2番手につけているパト・オーワード(アロウ・マクラーレン/シヴォレー)がアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)を逆転してチャンピオンになるためには、今週末は必ずやパロウよりも上位でレースをフィニッシュしなくてはならない。
オーワードは、スピードがあるだけでなく、若いうちから(今でも26歳だが……)ポイントを確実に稼ぐという点でも優れた能力を発揮して来ているドライヴァーだ。2025年のNTTインディーカー・シリーズにおける彼は、開幕からの14レース=1870周のすべてを走り切って来ているただ一人のドライヴァーとなっている。しかし、今週末の彼に求められるのは完走ではなく、優勝かそれに近い成績だ。
2025年8月8日金曜日
2025 INDYCAR レポート R15 2025 2025 ビットナイル.com グラン・プリ・オヴ・ポートランド・プレゼンテッド・バイ・ROI プレビュー:パロウ、ポートランドでのタイトル決定なるか? 唯一タイトルの可能性を残すオーワード、そして事前テストを行ったアンドレッティ勢に注目!
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コース: ポートランド・インターナショナル・レースウェイ
オレゴン州ポートランド
全長=1.964マイル コーナー数=12
110周=216.04マイル
アメリカ北西部唯一のインディーカー・イヴェント
オレゴン州ポートランドにあるポートランド・インターナショナル・レースウェイ(PIR)での31回目のインディーカー・レース(CARTが1984-2003、チャンプカーが2004-2007、
インディーカーが2018、2019、COVID-19での休催を挟んで、2021-現在)は、アメリカ北西部で開催される唯一のインディーカー・イヴェント。NASCARはトラックのレースを2シーズンほどPIRで行ったことがあるが、トップ・シリーズは、このエリアでのレースを行なって来ていない。NHRAドラッグ・レーシングは、オレゴンの北隣りのワシントン州シアトルでのレース・イヴェントを長年行って来ている。
PIRは、ほぼフラットな高速ロードコース。メイン・ストレートはドラッグ・ストリップとしても使われるほど長く、その先にはタイトな右直角コーナーと、鋭角に曲がる左コーナーを組み合わせた”フェスティヴァル・シケイン”がある。コース前半の連続するコーナー群は、逆バンク気味になっているところもあり、繊細なマシン・コントロールが求められ、バック・ストレッチ・エンドには超・超高速コーナーが待ち構え、メイン・ストレートへと繋がる最終ターンはラップ・タイムに大きな影響を与える長い右コーナー。
ビットナイルはこれで3年連続のタイトル・スポンサー
スケジュール=すべて現地時間(パシフィック・タイム)
・プラクティス:金曜日 午後2時30分〜4時
:土曜日 午前9時〜10時
午後5時30分〜6時
・予選:土曜日 11時30分〜午後1時
・決勝:正午スタート
2024シーズンはパワーとパロウの一騎打ち
オルタネートを予選で温存したパワーの勝利に
昨年のウィナーはウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー)。
シーズン3勝目を挙げ、チャンピオン争いの2番手に浮上した。
ポール・ポジションはサンティーノ・フェルッチ(AJ・フォイト・エンタープライゼス/シヴォレー)だった=インディーカー・キャリア初。しかし、レースはパワーとアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ)の一騎打ちとなった。フェルッチは長いレースでも速いペースを保ち続けるレヴェルにはなかった。
タイヤ・ストラテジーは、パワーもパロウもスタートでプライマリー装着。
31周を終えて1回目のピット・ストップを先に行ったのはパワーの方で、彼はオルタネートにスイッチ。
次のラップでパロウはピット。パワーとは敢えて異なる作戦を採用=プライマリー連投とした。
プラクティス、予選に比べて気温も路面温度も若干高いコンディション下、速いのはオルタネートの方で、パワーが優位を築き上げた。パロウは珍しくプッシュ・トゥ・パスを多用して差を縮めようと試みるが果たせず。2回目のピット・ストップに先に飛び込んだ。56周終了時点で、ここでパロウはフレッシュ・オルタネートを履いた。
パワーはその次のラップにピットし、ユーズド・オルタネートを選択。予選ファイナルでオルタネートを温存した作戦が大きな効果をもたらした。
86周を終えてパワーは3回目のピット。残してあったフレッシュ・オルタネートで残り23周の逃げ切りにかかる。パロウも次の周にピット。しかし、プライマリーしか残されていないパロウは逆転のための猛チャージをかけることができず。9秒8という大差でパワーが勝利した。3位はジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シヴォレー)。
4位はコルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル・ウィズ・カーブ・アガジェニアン/ホンダ)。彼らのマシンはガナッシ、ペンスキーの2チームに対して劣勢にあり、表彰台を争える状況にはなかった。
ポートランドでのパロウのタイトル決定を防ぎたいオーワード
そして今年最後のロードコース戦に懸けるアンドレッティ勢も注目
しかし、先週のラグナ・セカを終えてからポートランドでプライヴェイト・テストを行なっているアンドレッティ・グローバル勢は、今週末に向けて戦闘力を上げている可能性アリ。ハータは今季未勝利なので、是非とも今年最後のロードコース戦で勝ちたいと考えていることだろう。カイル・カークウッドは自己ベストを更に更新するシーズン4勝目を目指す。そして、2年続けて不運に見舞われ続けているマーカス・エリクソンも快走・上位フィニッシュを熱望している。
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今年のロードコースでは、アロウ・マクラーレン/シヴォレー、エド・カーペンター・レーシング/シヴォレーのパフォーマンスが向上している。打倒パロウの可能性を少しだが残しているポイント2番手のパト・オーワード(マクラーレン)は、何としてでもポートランドでのタイトル決定は防ぎたい。彼のチームメイトのクリスチャン・ルンドガールドもキャリア2勝目、マクラーレンでの初勝利を狙って来る。デビュー2年目のクリスチャン・ラスムッセン(ECR)、彼のチームメイトのアレクサンダー・ロッシ、メイヤー・シャンク・レーシング・ウィズ・カーブ・アガジェニアン/ホンダのフェリックス・ローゼンクヴィストとマーカス・アームストロング、チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダの若手のキフィン・シンプソン、ルーキー・オヴ・ザ・イヤー獲得に最も近い位置にいるルイ・フォスター(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ)らの戦いぶりも楽しみだ。
タイトルと同時にシーズン最多勝に突き進むパロウ、ポートランド過去4戦で2勝!
2025年シーズンももう残すところ3戦。今年は、今週末のポートランドでの第15戦でパロウがキャリア4度目、3年連続のシリーズ・タイトルに手を届かせる可能性がある。パロウはすでに今シーズンの14戦で8勝を挙げて来ているが、その中にはインディアナポリス500マイルでの初優勝=スーパースピードウェイ初優勝と、アイオワ・スピードウェイでの優勝=ショート・オーヴァル初優勝が含まれる。
パロウがポートランドで勝つと、それは今シーズンの9勝目となり、残る2戦のどちらかで更に勝てば年間10勝でAJ・フォイトとアル・アンサーと並び、年間最多勝利ドライヴァーとなる。2戦とも勝てば新記録樹立ということ。ポートランドはパロウが得意とするコースで、インディーカー・デビューからの4シーズンで2勝(2021年、2023年)を挙げている(2022年は12位、2023年は2位フィニッシュ)。
ホンダ、マニュファクチャラーズ・タイトルここで決定なるか
今週末にはホンダの2025年マニュファクチャラーズ・タイトル獲得が決定する可能性もある。2021年以来となる通算7回目の栄冠獲得決定はなるか。
ホンダは今シーズンすでに行われた14戦で12勝という圧倒的な成績を残して来ている。その12勝の中には、インディアナポリス500マイルでの勝利も含まれる。そして、ロードコースにおけるホンダ勢は今シーズンの6戦で6勝とパーフェクト・パフォーマンスを見せて来ている。ポートランドでもホンダ・パワーを駆るドライヴァーが勝つ可能性は高い。2025年のロードコースx7=ホンダの完全制覇はなるか?
まだポートランドを含めて3戦が残されているが、すでにホンダは年間12勝=近代インディーカー・シリーズにおける最多勝記録(2023年:ホンダ)に並んでいる。ポートランドからの3レースにおいて、ホンダはその記録をどこまで伸ばせるだろうか。
今週末のオレゴン州ポートランドは、雨の降る確率が低く、最高気温はレース・デイの最高が35℃に届くとの予報。緯度の高いエリアで、最低気温は金曜が14℃、日曜は19℃と低めだが、全面ドライ・コンディションでの戦いとなりそうだ。
以上