2022年2月15日火曜日

2022 INDYCARレポート 2月14日 :セブリングで大量17台がテスト

マルーカスのテストをピット・スタンドで見守る琢磨 Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

 2週間を切った開幕戦を睨んで
セブリングプライベートテストに8チーム結集


天候:晴れ
気温:8~18℃

 2022年のNTTインディーカー・シリーズは2月27日決勝のセイント・ピーターズバーグでのストリート・レースだ。そこに照準を合わせたテスト日程は、集めたデータの解析や入念なメインテナンスを考えれば今週のアタマがベスト。そして、バンピーなストリート用のテストとなれば、それはセブリングのショート・コースしか考えられないため、プライヴェイト・テストながら多くのチームが殺到する2日間が実現している。

琢磨のチームメイトとなるルーキーのマルーカス。テスト初日に好走を見せる Photo:Penske entertainment(James Black)クリックして拡大

緊張に満ちた2日間がいよいよスタート
初日のデイル・コインはルーキーの走行のみ


 今日走ったのはチップ・ガナッシ・レーシング、アンドレッティ・オートスポート、AJ・フォイト・エンタープライゼス、チーム・ペンスキー、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング、デイル・コイン・レーシング・ウィズHMDモータースポーツ、フンコス・ホリンジャー・レーシング、アロウ・マクラーレンSP。8チームの合計17台だった。

17台も集まったのでピットは両サイド使用。左がマルーカス。向こう側後方にアイロット車。その間をロッシがすり抜けて行く Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

 アンドレッティ、ペンスキー、レイホール、フンコス、マクラーレンは今年のレギュラー全員が一斉に走行。フォイトはルーキー2人、コインはルーキー1人だけが走った。そして、ガナッシは昨年度チャンピオンのアレックス・パロウのマシンにケヴィン・マグヌッセンを“ドライヴァー・テスト”という名目で乗せ、データを収集していた。開幕まで2週間を切ったタイミングでのテストとあって、どのチームも真剣モードで、緊張感に満ちた1日となっていた。
 明日はデイル・コイン・レーシング・ウィズRWRの佐藤琢磨、ガナッシの4台、フォイトの1台、メイヤー・シャンク・レーシングの2台、エド・カーペンター・レーシングの2台が走る予定で、コインのマルーカスは2日連続で走ることになっている。

フロリダらしからぬ寒さの中で走行開始
初日、最速ラップをマークしたのはハータ!


 この冬のアメリカは多くの地域が例年より寒い気候に見舞われている。今日のセブリングも日中は素晴らしい快晴になったが、朝7時の気温は8℃というフロリダらしからぬ低さだった。9時になってようやく10℃に達するコンディション。そんな中でもテストは精力的に行われた。

クルーにステアリングのグリップ部などの調整加工をお願いする琢磨 Photo:Masahiko Amano クリックして拡大
 今日の最速ラップとなる51秒851を夕方にマークしたのはコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ)だった。なお、今回はプライヴェイト・テストのため、インディーカーによる公式機器を使った正確な計測は行われていない。ここに記す全ラップ・タイムはエンジン・マニュファクチャラーらが計った非公式な数字となっている。また、今回のテストではプッシュ・トゥ・パスの使用が許可されているため、ラップ・タイムの良し悪しだけで単純にパフォーマンス比較を行うべきではないだろう。

グロジャン、午前中トップ!総合でも3番手
目立ったアンドレッティ・オートスポーツの順調ぶり


長年ハンター‐レイがまとってきたイエローのDHLカラーを今シーズンから継承するグロジャン Photo:Penske entertainment(James Black)クリックして拡大

  ランチ・ブレイク前までの走行ではロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート)が最速だった。今回のテストは参加台数が多いため、走行が重ねられるに従って路面にタイヤ・ラバーが乗って行き、グリップが高まって行った。風も時として強めのものが吹いていた。このようにコンディションの変化が大きかった1日では、午前と午後でセッションが2回行われたと考える方が的確かもしれない。その場合、朝はグロジャン、午後はハータが最速。アンドレッティ・オートスポート勢が順調な仕上がり、と見ることができる。グロジャンは総合でも3番手につけた。

好調ぶりをアピールするハータ
「去年スペックのエンジンだが感触はとてもいい
ニューエンジンでの走りが今から楽しみ!」


 「セブリングはとてもバンピーで、セイント・ピーターズバーグに向けてピッタリのコース。今日の僕らはとても素晴らしいテストができた。久しぶりに乗るインディーカーだったが、感触が大変よかった。まだ去年スペックのエンジンを搭載していたというのに。今年用のパワーアップした新エンジンで走るのが楽しいだ。この調子でセイント・ピーターズバーグは2連勝と行きたいね」とハータは上機嫌で話した。「今年の僕らはオーヴァルでのパフォーマンス向上もできるはず。セイント・ピーターズバーグ連勝、さらには何勝かを実現し、シリーズ・チャンピオンになるのが目標だ」とも彼は語った。

衝撃!マルーカス、2番手タイムをマーク

 2番手は昨年度インディー・ライツでランキング2位だったルーキー=デイヴィッド・マルーカスだ。タイムは51秒858と、ハータのベストとほとんど変わらない。この二人が52秒の壁を破った。マルーカスのパフォーマンスは、チームメイトの佐藤琢磨にとっては嬉しいニュースだったことだろう。

コースサイドでチームメイトやライヴァル勢の走りをチェックする佐藤琢磨。隣りはインディー500優勝4回のリック・メアーズ Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

 グロジャンの今日のベスト・タイムは52秒021。チームメイトのハータとの差は0.17秒しかなかった。アレクサンダー・ロッシはこの二人にラップ・タイムでやや離され、グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)より後ろの8番手につけた。

ホンダ勢がトップ3をスウィープ
シヴォレー勢はニューガーデンの4が最高

 諸々の条件はあるが、出走台数はホンダが9台でシヴォレーは8台とほぼ互角。そうした中でトップ3をホンダ勢が占めた。開幕戦セント・ピーターズバーグに向け、ホンダがまずはアドヴァンテージを手にし、順調な滑り出しを見せたと言っていいだろう。

コースサイドでは2017年インディー500優勝時のオーナー、マイケル・アンドレッティとも談笑 Photo:Masahiko Amano クリックして拡大 

  その一方でシヴォレー勢は、ペンスキーのニューガーデンが4番手で、パワーがそのすぐ後ろの5番手。意外にも昨年3勝のパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)が14番手に低迷。彼のチームメイトのフェリックス・ローセンクヴィストは奮闘、7番手につけた。昨年度インディー・ライツ・チャンピオンのルーキー、カイル・カークウッド(AJ・フォイト・エンタープライゼス)は12番手と苦戦気味。チームメイトもルーキーのタティアナ・カルデロンという参戦体制も影響してのことだろう。

今日は走行なしの琢磨。チームとの仕事の進め方をチェックし、打ち合わせをして、走りのチェックも行っていた Photo:Masahiko Amano クリックして拡大

2月13日 プライヴェイト・テスト/ラップ・タイム

1. コルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ) 51秒851
2. デイヴィッド・マルーカス(R)(デイル・コイン・レーシング・ウィズHMDモータースポーツ/ホンダ) 51秒858
3. ロマイン・グロジャン(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ) 52秒021
4. ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー/シヴォレー) 52秒059
5. ウィル・パワー(チーム・ペンスキー/シヴォレー) 52秒211
6. グレアム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ) 52秒255
7. フェリックス・ローゼンクヴィスト(アロウ・マクラーレンSP/シヴォレー) 52秒281
8. アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート/ホンダ) 52秒297
9. スコット・マクロフリン(チーム・ペンスキー/シヴォレー) 52秒329
10. ジャック・ハーヴィー(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ) 52秒362

11. クリスチャン・ルンドガールド(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング/ホンダ) 52秒373
12. カイル・カークウッド(R)(AJ・フォイト・エンタープライゼス/シヴォレー) 52秒389
13. デヴリン・デフランチェスコ(R)(アンドレッティ・スタインブレナー・オートスポート/ホンダ) 52秒407
14. パト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP/シヴォレー) 52秒424
15. カルーム・アイロット(R)(フンコス・ホリンジャー・レーシング/シヴォレー) 52秒481
16. タティアナ・カルデロン(R)(AJ・フォイト・エンタープライゼス/シヴォレー) 52秒540
17. ケヴィン・マグヌッセン(R)(チップ・ガナッシ・レーシング/ホンダ) 52秒839

以上




1 件のコメント:

  1. 興味深い写真をたくさんありがとうございます!今年も現場の生の声をよろしくおねがいします!

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