2014年6月2日月曜日

2014 INDYCARレポート 第6・7戦デトロイト Day3 レース#2 決勝:エリオ・カストロネベスの今季初優勝は見事だったが…… またも疑義残るレースコントロールの裁定

カストロネヴェス、得意のスパイダーマン・パフォーマンスで優勝の喜びを爆発させる! Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
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シボレー、おひざ元の冠イベントで3年越しの初勝利

 デトロイトでのレースはロジャー・ペンスキーがプロモーターで、彼らのチームにエンジンを供給するシボレーと、GM系のクレジット会社が冠スポンサーを務める。
 そのイベントで過去2年はホンダ勢が優勝して来た。昨年からダブルヘダーとなったので、2年で3レースが行われ、ことごとく敗北を喫して来た。しかも、昨年の2レース目ではホンダ勢が1-2-3-4-5フィニッシュとコテンパンだった。
 2014年、そのリベンジが果たされた。レース・コントロールが妙なアシストをしているような胡散臭さも感じられたが、今週末のデトロイトのコースでエリオ・カストロネヴェス(チーム・ペンスキー)が素晴らしい走りをしていたのは紛れも無い事実だ。



タイヤ戦略も成功し、カストロネヴェスがレースを支配
 今日のエリオは11周目という早目のピットストップでタイヤをレッドからブラックへと換える作戦も的確で、ピットクルーたちが佐藤琢磨(AJ・フォイト・エンタープライゼス)の前にピット・アウトさせることに成功。彼にとって最強の競争相手となるはずだった琢磨が、ライアン・ブリスコー(チップ・ガナッシ・レーシング)に追突されてポジションを落としたこともあり、レース終盤は悠々とレースをリードし続けた。一時は10秒以上にも広がった差は、ゴール前10周を切って出されたフルコース・コーションによって霧散したが、2位に上がって来ていたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)は先輩チームメイトに対して何の策も持っていなかった。

レース2はシボレー1-2-3-4フィニッシュ!ダブルヘダーを制覇
 3位はチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ・レーシング)のものとなった。最終ラップのバック・ストレッチでインを狙ったジェイムズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ・オートスポート)をブロック。それでもヒンチは諦めず、プッシュ・トゥ・パス使用でアウトからオーバーテイクを仕掛けた。並んだままターン7に入った2台。結果はアウトにいたヒンチがタイヤ・バリアに接触。スピードが落ちたところをスコット・ディクソン(ターゲット・チップ・ガナッシ・レーシング)がすかさす突いて4位の座を奪った。ヒンチは5位でのゴールとなった。
 シボレーは地元の、自らが冠スポンサーを務めるイベントで、初優勝ばかりか2レース完全制覇を成し遂げた。それも、日曜日のレースは1-2-3-4フィニッシュ。完璧に昨年のレースのリベンジとなっていた。


ラフなドライビングの横行と安定しないジャッジメントの課題が残る
 コーションの回数は4回と決して多くはなかったが、今日のレースはクラッシュ・フェスト的だった。ぶつかっても壊れなかったらオーケー。接触してでも前に出たら勝ち……というレースは、オープンホイール・レースの美学に反している。
 インディーカーは、今すぐ何か行動を起こさねばならない。しかし、そうした立場にある彼らがフラフラと腰の据わらないレース運営を続けている。ペナルティの基準はまったく安定してない上(ライアン・ブリスコーは誰がどう見たってペナルティを受けるべきでしょ?)、今日はレッド・タイヤとブラック・タイヤ、どちらもグリーン下で最低2周というルールが突如として守らなくてオーケーになってもいた。1ラップ目のイエローでピットした面々は、アクシデントに関わっていた者以外(コレ自体がまたおかしなルールだが)、グリーン下での2ラップをレッド・タイヤで行っていなかったというのに、「それは不問に付す」との裁定が下されたのだ。またしても……の“理不尽なる臨機応変”が発揮されてしまっていた。
以上

3 件のコメント:

  1. いつも現地から軽快な情報ありがとうございます。


    琢磨は最初のピットストップさえ成功していれば。。。と思ってしまいますが、チームはいい方向に進んでいるようなので、これは次回にまた期待したいと思います。


    それにしても、ご指摘のようにインディカー主催者のジャッジには、きっと多くの視聴者が同様に感じていたのではないでしょうか。
    本来シンプルな戦いのはずなのに、ずいぶんと複雑な思考と判断を要しているようで、本来のフォーミュラレースを楽しめるように変わってほしいですね。。。


    天野さんも連戦で忙しいと思いますが、どうぞ取材頑張ってくださいねー(^^)/

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    1. 「琢磨選手の不運ぶり・・・残念でなりません。レース2での最初のストップは、彼がコメントで説明していた通り、エリオんとこには純粋にスピードで負けたようです。あそこで前に出れていたら・・・凄かったんですけどね、ホント。ブリスコーは今回は疫病神でしたね。ショート・フューエルなんて小賢しい戦術、結局コース上でのスピードはない彼らは、琢磨陣営への嫌がらせ的な意味しか持たなかった。その上で追突とは、いやはや・・・。1レース目までが大苦戦で、2レース目には大活躍というのは、超・短期決戦のダブル・ヘッダーではなかなか実現が難しい話です。それをやってのけた琢磨&フォイト・チーム、実力は間違いなくレベル・アップしています」

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  2. もうジャッジを信用出来ません。毎度毎度何らかの公平性を欠いた裁定では、折角の面白いレースが半減してしまいます。アメリカの観客やファンは、とにかくシボレーエンジンが勝ってたら文句言わないのでしょうか?アマノさんのレポートは毎回拝見しているのですが、今回ばかりは琢磨選手絡みを除いても、書き込まずにはいられませんでした。今後も現地の生情報を宜しくお願いいたします。

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