2019年3月9日土曜日

2019 インディーカー・レポ―ト R1 ファイアストン・グラン・プリ・オヴ・セイント・ピーターズ・バーグ Day1:セイント・ピーターズバーグでの開幕戦初日、プラクティス1ではフェリックス・ローゼンクヴィスト、プラクティス2ではライアン・ハンター-レイが最速

2019シーズン開幕戦初日は、午後のセッションにトップ・タイムをマークしたハンター-レイが制した Photo:INDYCAR (Joe Skibinski) クリックして拡大
開幕戦に24台がエントリー

 2019年のNTTインディーカー・シリーズ開幕戦=ファイアストン・グラン・プリ・オヴ・セイント・ピーターズバーグへのエントリーはチャンピオン7人、ルーキー5人を含む「24」となった。オースティンでの合同テストに不参加だった新チーム=スポーツカーの世界選手権を戦っているドラゴンスピードは、開幕戦で初お目見え。1台体制の彼らはドライヴァーにイギリス出身のベン・ハンリー(34歳)を起用している。
 去年もパーシャル・エントリーだったフンコス・レーシングは、今年もフル・エントリーを実現できず、開幕戦にはエントリーしていない。2017年インディー・ライツ・チャンピオンのカイル・カイザーを数戦で走らせることは決まっているが……。
 カーリンは去年と同じ面々=マックス・チルトンとチャーリー・キンボールをセイント・ピーターズバーグで走らせているが、昨年度インディー・ライツ・チャンピオンのパト・オーワード(メキシコ出身)をインディー500を含む12戦に出場させることになった。彼の今シーズン最初のレースは第2戦のサーキット・オヴ・ジ・アメリカスになる予定。オースティンのテストを走ったRC・エナーソンに出場できるレースはあるのだろうか……。


テストから好調ぶりをアピールしていたローゼンクヴィストが開幕戦最初のセッションでトップに Photo:INDYCAR (Karl Zemlin) クリックして拡大

快晴の下始まったセッション1では
ルーキーのローゼンクヴィストがトップタイム

 今年最初のプラクティスは、快晴で完全ドライのコンディション。グリーン・フラッグが振られた時の気温は21℃で、路面温は32℃だった。45分間のセッションでのベスト・ラップは、フェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)による1分01秒8215。1セット多くのタイヤを使用できるレギュレーションとはいえ、ルーキーが2番手に0.2421秒と結構な差をつけてのトップ君臨を果たした。
 2番手はライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)=1分02秒0636。3番手はマーカス・エリクソン(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)の1分02秒0811だった。彼もルーキーだ。

佐藤琢磨は一時セッション首位となる走り
「今までの開幕戦の中で一番スムーズ!」

 4番手は昨年5度目のタイトルを獲得したスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)=1分02秒1309。5番手はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)の1分02秒1470だった。
 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は5周目に1分02秒1571を出してウィル・パワー(チーム・ペンスキー)からトップを奪ったが、最終的には6番手となった。


佐藤琢磨、セッション1で6番手と順調なスタート Photo:INDYCAR (James Black) クリックして拡大


 走行を終えた琢磨は、「そこそこ良かったと思います。ソリッドな滑り出しでしたね。イニシャル・セッティングは悪くないと思います。セブリングでのテストをやったことで、いいところでセッティングはまとまっているのかな、というところです。手応えのあったファースト・セッションでした。これまでの開幕戦の中では一番スムーズです。ここでは最初のパフォーマンスが悪くても、必ず予選までには毎年何とか盛り返しているので、スタートでこの位置だったら、非常にコンペティティヴに走れる週末になるかな、と感じました」と話した。

気温が上昇した午後のセッションでは
ハンター-レイがレッドタイヤでトップに


午前中のセッションで2番手につけていたハンター-レイは、午後の気温が上がったコンディションでもタイムアップをはたし、トータルで1位に Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

 午後のプラクティス2は気温が24℃までの上昇したものの、路面は一気に47℃まで、午前中より10℃もアップしていた。全チームがハード・コンパウンドのブラック・タイヤで走り出し、セッション半ばからソフト・コンパウンドのレッド・タイヤにスイッチ。ブラックでの最速ラップはマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・ハータ・オートスポート・ウィズ・カーブ・アガジェニアン)が記録した1分01秒1011で、レッドではハンター-レイが1分00秒8969で最速だった。昨年の予選でジョーダン・キングの記録したコース・レコードは1分00秒0476。明日、これが破られる可能性は十分にある。
 午後の2番手はトップと0.0843秒差の1分00秒9812をマークしたスペンサー・ピゴット(エド・カーペンター・レーシング)。 

 
プレシーズン・テストで驚異的な速さを見せたハータは、セッション1こそ17番手だったが午後は4番手タイムを叩き出して、初日の通算でルーキー最上位となった Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大

 マルコはレッドでも1分01秒0351を出し、3番手だった。そして、オースティンでの合同テストで最速ラップをマークしたルーキー、コルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)が1分01秒0776をレッドで記録し、4番手につけた。彼はプラクティス1ではトップと0.6875秒差の17番手だったが……。
 5番手はシヴォレー2番手の1分01秒1171を出したマックス・チルトン(カーリン)。チームメイトのチャーリー・キンボールも8番手と揃って好調だ。6、7番手はアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)とジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)。9、10番手がジョセフ・ニューガーデンとウィル・パワー(ともにチーム・ペンスキー)だった。

ハンター-レイ「マシンは今も手に負えない感じが残っているが
ベストを出せた時の走りは非常に良かった」

 開幕戦初日をトップで終えたハンター-レイは、「プラクティス1とプラクティス2の間でセッティングを変更した。変えたマシンは、やや手に負えないものになっており、そこから幾つかの調整を加えた。まだ今も手に負えない感じが残っているが、ベストを出せた時の走りは非常に良かった。明日に向けては、あと幾つかの部分を、ほんの少しだけでもいいから行儀の良いものにしたい」と話していた。 

 
セイント・ピーターズ・バーグ初日のシヴォレー勢のトップはピゴットの2位。午前の14番手からジャンプアップ Photo:INDYCAR (Chris Owens) クリックして拡大

 ピゴットは、「オフの間にストリート・コースでの回頭性の良さを求める努力をして来た。その成果が今日のプラクティス2で出ていたと思う。エンジンに関しては、シヴォレーが本当に頑張ってくれている。あらゆるコースにおけるエンジンの性能の向上を実現すべく、このオフにシヴォレーと話し合った。それで幾らかの前進ができたものと感じている」とコメントした。今年のシヴォレー・エンジンは、ストリート・コースで求められるドライヴァビリティが向上しているということのようだ。

レッドタイヤでブラックの速さを体現できない
佐藤琢磨、レイホール、チップガナッシ勢ら

 

午後の路面温度とレッドタイヤにコンディションに、チップ・ガナッシ勢、パンスキー勢もやや苦戦Photo:INDYCAR (Karl Zemlin) クリックして拡大
 琢磨は午後のセッションで12番手。レッドでの走りがブラックに比べて良くなかった。チームメイトのグレアム・レイホールも彼のすぐ上の11番手のタイムをレッドで出すにとどまった。チップ・ガナッシ・レーシングもブラックでの速さをレッドで再現できず、プラクティス1ではフェリックス・ローゼンクヴィストがトップ、スコット・ディクソンが4番手だったが、プラクティス2ではディクソンが13番手、ローゼンクヴィストが14番手だった。

収穫が多い一日、と振り返る佐藤琢磨
「レッドでは少しアンダーが強くなってしまった」

 

Photo:INDYCAR (Karl Zemlin) クリックして拡大
 走行初日を終えた琢磨は、「収穫の多い1日。競争は非常に激しく、ブラック・タイヤでは午前中に引き続き、マシンはとても良かった。ただ、レッド・タイヤ用のセッティングに関しては、もう少しバランスを調整しないといけない。とは言っても、そんなに心配はしていません。今日はブラックからレッドへのタイムのジャンプが少なかった。みんなも僕らと同じような状況だったのかもしれない。レッドでの僕らはアンダーステア傾向が強くなってしまっていた。セッティングをアグレッシヴにするとリヤが早く無くなっちゃうので、そうならないように気をつけていた。ちょっとコンサーヴァティヴになり過ぎていたのかもしれない」とコメントしていた。開幕戦の初日、彼とチームは確かな手応えを感ずることができたようようだった。
以上

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