2019年9月23日月曜日

2019 INDYCARレポート R17 ファイアストン・グラン・プリ・オブ・モントレー Race Day 決勝:優勝はコルトン・ハータ、チャンピオンはジョセフ・ニューガーデン

第2戦サーキット・オブ・ジ・アメリカスに次ぐ今季2勝目でルーキー・イヤーを締めくくったハータ。アンドレッティで走る来シーズンが今から楽しみだ Photo:INDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
ハータ、堂々のポール・トゥー・フィニッシュで今季2勝目

 2019年NTTインディーカー・シリーズの最終戦は、2004年以来となるウェザーテック・レーズウェイ・ラグナ・セカで開催され、予選でルーキーながら自身3回目、2戦連続のポール・ポジション獲得を果たしたコルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)がポール・ポジションを獲得。彼は2時間近いロング・バトルでも強さを誇示し続け、見事な圧勝を飾った。スタートから中盤戦までは5回のタイトル獲得歴を持つスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、2016年チャンピオンのシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)からのプレッシャーを受け、終盤には彼らに代わって2番手に浮上して来た2014年チャンピオンのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)から猛チャージを受けた。しかし、19歳のルーキーはまるで動じることなく、90周のうちの83周をリードしてキャリア2勝目でシーズンを締めくくった。

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「今日のマシンはタイヤをいたわって走れる仕上がりになっていた
今シーズンの自分にはとても満足している」


 ハーディング・レーシングからハーディング・スタインブレナー・レーシングへと体制変更して臨んだ初シーズン、彼らはチームとしても素晴らしい奮闘を見せ続け、最終戦では大きなプレッシャーもかかっていただろうが、3回のピット・ストップすべてを素早く、ミスなく行って88号車をコースへと送り返した。最終戦はダブル・ポイント。PP、リード・ラップ、最多リード・ラップとボーナスも総取りしたハータのポイント・スタンディングはレース前の13番手から7位まで大きく浮上した。
 

チームオーナーのスタインブレナーと抱き合うハータ Photo:IDYCAR (Chris Jones) クリックして拡大
 「マシンが最高だった。タイヤにダメージを与えずに走れるマシンになっていた。そこが今日のレースでは重要なポイントになっていたと思う。常に誰かからプッシュされ、簡単に勝たせてはもらえなかった。ポートランドでも僕らは速かったんだが、あの時の自分たちのミスから学び、今日のレースではタイヤを労わるマシンを実現していた。ディクソンやパジェノーより僕らはタイヤをうまく使えていた。しかし、パワーだけは違った。インディーカーのレースで勝てた時というのは、そのチームが完璧なレースを戦ったということだと思う。ミスを犯しても勝つ……というのは難しい。どんなレースでも何人かに勝てる力が備わった状況になるからだ。今日の僕らは、そういった相手に対して、ずっと優位を保ち続けることができていた。勝つに足る力を発揮できていた。今シーズンの自分に対しては、満足をしている。チームも本当に頑張ってくれていた。来年が今から本当に楽しみだ。1ヶ月ほど休んだら、今年の自分に何が足りていなかったかなど、来年目指す改善点などについて考えたい」とハータは語った。  
 
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 来年、彼はアンドレッティ・オートスポートの一員となる。ハーディング・スタインブレナー・レーシングが彼らに吸収されるためだ。今年も彼ら2チームは技術提携をしていたが、アレクサンダー・ロッシ、ライアン・ハンター-レイ、ザック・ヴィーチ、マルコ・アンドレッティのレギュラー4人との共同作業をより一層親密に行ってマシンを仕上げて行くこととなる。その体制をフル活用して一気にチャンピオン争いへと加わって行くことが彼の新たな目標になる。

パジェノー、4位フィニッシュでポイントスタンディングも2位に浮上
ルーキー・オブ・ザ・イヤーは5ポイント差でローゼンクヴィストに


 2位は予選7位だったパワー。3位はディクソン。パジェノーは予選6位から4位フィニッシュし、ロッシをランキングで抜き返し、2位でシーズンを終えた。
 5位はフェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ・レーシング)で、彼はルーキー・オブ・ザ・イヤー獲得を果たした。今日のレースで104点を加算したハータが合計420点となったのに対して、予選14位から5位フィニッシュする大奮闘を見せたことで、ローゼンクヴィストは425点までポイントを伸ばすことに成功し、栄えあるルーキー王座に就いた。

ニューガーデン、苦しみながらも8位フィニッシュ
2017年以来2年ぶりのチャンピオンに

 

最終戦は苦しい展開となったが、何とか耐え抜いてチャンピオンシップ獲得 Photo:INDYCAR (Joe Skibiski) クリックして拡大
 ポイント・リーダーとして最終戦を迎えたジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)は、4位フィニッシュすればライバルのポジションに関係なくチャンピオンという状況下で予選4位となった。しかし、彼が4番手のポジションを守れたのは序盤だけで、タイヤの磨耗に苦しんだ彼は8位でゴール。チームメイトのパジェノーに25点の差をつけて2度目のシリーズ・チャンピオンとなった。表彰式で涙を浮かべたニューガーデンは、「自分でもこんな感情が込み上げてくるとは思いもよらなかった。ポートランドのレースを終えて、ポイント争いの熾烈さ、チャンピオンになることの難しさを改めて痛感し、ずっと大きなプレッシャーに苛まれ続けていたから、今日、こうしてシーズンが終了。自分がチャンピオンになることができ、ホッとしている」と彼は語った。
 
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  「レースで勝つことはできても、シリーズ・チャンピオンになるのは本当に大変。そのチャンスが巡って来たら、確実に手にしなければいけない。2度とそれは訪れないかもしれないから。今日のレースでは、”チーム・ペンスキーのドライバーがチャンピオンになる”というのが究極の目標となっていた。結果的に自分がその一人になれて嬉しい。2度目のタイトルは、1度目よりも喜びが大きい。それがなぜなのかは自分にはわからないが、今日の方がタイトルの重みを強く感じた」とも彼は語った。

佐藤琢磨、追突されマシンにダメージを負い21位
ランキング9位で今シーズンを終える


 佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)はトップ10入りは確実というレースを戦っていたが、レース終盤のリスタートでルーキーのサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)にヒットされてスピンし、最後尾まで後退し、その後さらに発生した接触でサスペンションを壊したことから、21位でのフィニッシュとなった。最終戦を迎えた時点での琢磨はランキング6番手につけていたが、ダブル・ポイントの最終戦で20番手以下という成績になったことから、ローゼンクヴィスト、ハータ、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)に抜かれて年間ランキングの自己ベスト(2017年の8位)更新はならず、今年はシリーズ9位となった。

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 「2ストップで行く作戦でしたが、走り出してみて、それは難しいとわかって早めのピットストップを行いました。変則的な3ストップで戦うこととなって、いいペースで走れていました。グレアム・レイホールの後ろまで上がって、彼よりペースも良かったからトップ10でのゴールはできると考えていました。しかし、リスタートで時速30マイル以上オーヴァー・スピードのサンティーノ・フェルッチ(デイル・コイン・レーシング)が突っ込んで来て、その後の接触でフロント・サスペンションも傷めたためにハンドリングが安定しなくなって、ピットで確認も行ったことで21番手まで下がってのゴールになってしまいました。本当に残念。ダブル・ポイントのレースなので、最後まで走って、何かが起こった時に備えましたが、結局21位のままだったから、ランキングも大きく落とすことになりました。しかし、今年は2勝できたし、良いシーズンを戦うことができていましたから、来年はもっと良い戦いができるようオフの間も頑張って行きたいと思います。今シーズンもセント・ピーターズバーグでの開幕戦からずっとファンの皆さんに応援をして頂き、その力を得て戦って来ました。1シーズン、ありがとうございました」と琢磨は語った。
 以上

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