2021年8月15日日曜日

2021 INDYCARレポート R12 スパイクド・クーラー・グランプリ Race Day 決勝:ウィル・パワーが今季初勝利。タイトル争いはさらに混沌

ついに勝った! Photo:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大

 シーズン12戦目にして実現した完璧な勝利


 ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が半年ぶり以上の優勝を飾った。ほんの6日前、ナッシュヴィルのストリートでチームメイト2人を弾き飛ばしたドライヴァーと同一人物なのか? という冷静かつ安定した走りでライヴァル勢を寄せ付けず、インディアナポリスのロードコースでの85周のレースを見事コントロールし切った。

序盤ポールポジションからレースをリードしたオーワードをパスして以来、パワーはトータルで56周のラップリードで逃げ切った Photo:INDYCAR(Joe Skibinski)クリックして拡大

 ペンスキー御大がオーナーとなったIMSでの記念すべき優勝
パワー、インディーカー歴代5位となるキャリア通算40勝目

 ロジャー・ペンスキーがオーナーとなったIMSで、ついにチーム・ペンスキーが勝利を飾る時が来た。その栄えあるドライヴァーとなったのはパワーだった。アル・アンサーを抜く通算40勝目。パワーは勝利数でインディカー歴代単独5位になった。次なる目標はマイケル・アンドレッティの43勝。その上はスコット・ディクソンの50勝。さらに上はマリオ・アンドレッティの52勝、そして、最多の67勝を挙げているのがAJ・フォイトだ。


Photo:INDYCAR(Aaron Skillman)クリックして拡大

 パワーはやっとのことでシーズン初勝利を実現した。17戦のはずが16戦に減ったシーズンの、12戦目にしてのことだ。ランキングも11番手から9番手へとふたつ上昇。二度目のタイトルを獲得するには、少し点差をつけられ過ぎているが……。

レース終盤、素晴らしい走りを見せたグロジャンが2位に

Photo:INDYCAR(Walt Kurn)クリックして拡大

 2位はロマイン・グロジャン(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)。インディアナポリスのロードコースはとても相性が良いようで、2回目の2位。来週末にはミズーリ州セイント・ルイス郊外のワールド・ワイド・テクノロジー・レースウェイでオーヴァル・デビューも果たすグロジャン。その後にはポートランド、ラグナ・セカ、そしてロング・ビーチのストーとでのレースが残されているが、これらの4戦で彼のインディーカーでの初勝利は達成されるだろうか?


オーワード、タイヤマネジメントに失敗するも
パロウのエンジントラブルでランキングポイント急接近

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  ポール・シッターだったパト・オーワード(アロウ・マクラーレンSP)は、5位でのゴールとなった。スタートにレッド・タイヤを選んだ彼はトップを保ったまま1回目のピット・ストップに向かったが、そこで履いたブラックでペースが上がらず、パワーにパスを許し、さらにジリジリと順位を落として行った。
 しかし、彼が昨日の予選後に発していた「このレースをターニングポイントにしなければ……と考えていた」という言葉は、彼ら自身の目覚ましいパフォーマンスによってではなく、ポイント・リーダーのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)がメカニカルトラブルに襲われたことで実現された。

スタート直後、エンジン不調が生じるも、マッピング変更で解決。その後順調にポジションアップを果たしてオーワードを射程内に完全にとらえていたパロウだったが、ベストラップをマークした3周後の69周目にエンジン右バンクから白煙を噴き上げてレースを終えた Photo:INDYCAR(Joe Skibinski) クリックして拡大

 セイント・ピーターズバーグでの17位、デトロイトでのレース1での15位以外ではシングル・フィニッシュを重ねて来ていたパロウだが、今回は27位に沈んで5ポイントしか加算できなかった。

タイトル獲得に向け意気上がるオーワード
「次のゲイトウエイは僕らにとっていいコースとなるはず」

 オーワードは、「興味深い1日になった。ポール・スタートで5位フィニッシュし、チャンピオンシップ争いで大きなゲインを遂げた。パロウと21点差の2番手につけることになった。レースのスタート前よりポイント差を50パーセント以上も削り取った。おおいにポジティヴなことだ。今日のレースではパロウとバトルした。そこで彼はエンジントラブルに見舞われた。それで自分たちは大きく差を縮めることになった。来週のゲイトウェイは僕らにとって良いコースとなるはず。残り4戦が楽しみだ」とコメントした。パロウとのポイント差は、レース前の48点から21点に縮まった。


Photo:INDYCAR(Joe Skibinski) クリックして拡大

 オーワードのレースでのパフォーマンスは、彼とアロウ・マクラーレンSPの想定や期待を下回っていた。優勝争いを行うはずが、ジリジリと順位を落とし、パロウのリタイアがなければ6位フィニッシュとなってポイント差を広げられていたところだったのだ。リタイア時にパロウは4番手を走っていたのだ。しかし、オーワードはポイント差を大きく縮めた点を喜び、勢い付いている。

残り4戦、タイトルの行方はパロウ、オーワードの2人が軸に

レース残り2周となった84周目に佐藤琢磨を強引にパスしてニューガーデンは何とか8位でフィニッシュPhoto:INDYCAR(Chris Owens)クリックして拡大 
 

  残るは4戦。その内訳はショート・オーヴァルが1戦、常設ロードコースが2戦、そして、最終戦はストリートだ。栄冠を掴むのはパロウか、オーワードか……。トップから34点差のスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ・レーシング)、同55点差のジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)にもまだ可能性は残されていると思うが、果たして?
以上

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