2022年5月14日土曜日

2022 INDYCARレポート R5 GMR グランプリ Day1 予選:ポール・ポジションはウィル・パワーの手に

Photo:Penske Entertainment (Aaron Skillman)

  パワー、今シーズン5人目、自己通算64回目のPP獲得


 気温は31℃まで上がり、路面も54℃となった午後4時からの予選、暑さの中での戦いで見事ポール・ポジションを獲得したのはヴェテラン代表のウィル・パワー(チーム・ペンスキー)だった。彼にとって通算64回目、インディーのロードコースでは6回目となるPPだ。今シーズンは5戦で5人目のポール・ウィナー誕生ともなっている。

Photo:Penske Entertainment

プラクティスから大幅にマシンを向上させたペンスキー
パワー、ファスト6の最後の最後でパロウを逆転!


 プラクティス1で3番手とまずまずのスタートを切ったパワーだったが、プラクティス2でのポジションは10番手。レッド・タイヤ装着でのパフォーマンスは今ひとつと映っていた。しかし、チーム・ペンスキーは予選で底力を発揮し、3人が揃ってQ2へと進出。Q3=予選ファイナルにはパワーとジョセフ・ニューガーデンの2人が進み、高温のコンディションのためにアタック1周目でしか好タップ・タイムは記録できないという難しい状況下、セッション終了間際にアタックを開始したパワーが、先に1分09秒8090を出してトップに立っていたアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ・レーシング)を上回る1分09秒7664を叩き出した。0.026秒という僅差でパワーは今シーズン初のPP獲得を成し遂げた。

「競争が激しい今のインディーカーでのPPは
とてもいい仕事をしたということ」


 インディーカー歴代最多PPはマリオ・アンドレッティの67回。パワーはあと3回で伝説のドライヴァーが持つ記録に肩を並べ、4回で単独トップに躍り出る。現在、パワーは41歳。2005年にチャンプカー・シリーズでインディーカーにデビューして以来、多い年には8回ものPPを獲得したが、昨年の彼が記録したのは1回だけ。それもショート・オーヴァルでだった。「もうパワーがマリオの記録を抜くのは難しいかもしれない」との見方も広がる中、今日のパワーは全盛期へ戻ったかのような走りでPPをまたひとつ重ねた。
 「とても気分がいい。ロードコースでのPPは久しぶりなので本当に嬉しい。今回も順位間のタイム差は本当に小さかった。プラクティスでは0.6秒の間に18人がひしめき合っていた。近頃では余力を残しておくことなんていう戦い方は絶対に不可能になっている。今のインディーカー・シリーズでPPを獲得できたら、非常に好い仕事をしたということ。10分の1秒の差で順位は大きく変わってしまう」とパワーは満足感に浸って語った。

「逆転PPに十分かどうかわからなかったが
ユースド・レッドとしては非常にいいタイムを出せた」

Photo:Pense Entertainment (Chris Jones)

 「最後にコースに出て行って、自分が持っている力をすべて出し切って1周をまとめ上げた。それがPP獲得に十分なものかどうかは、走っている時点ではわからなかった。ただ、レッドの新品で走った時とほとんど変わらないラップ・タイムを出せたのは知っていた。ユーズド・タイヤとしては非常に好いタイムだった。近頃はPP獲得が信じられないほどに難しくなっている。毎週違うドライヴァーがベストの1ラップをまとめ上げ、PPを手にしている。1シーズンで2回以上のPPを獲得するのは至難となっている。2回か3回獲得できたら、それはかなりの好パフォーマンス。自分としては、これからも一歩一歩進んで行くだけだ。以前ほど歴代最多PPのことを考えないようになってもいる。自分のベストを尽くすことを続けていれば、記録に手を届かせることができると思う。しかし、正直なところ、ここまで記録に近づけただけで幸せだ。マリオ・アンドレッティとAJ・フォイトをPP獲得数を競えるまでになるなんて考えたことは一度もなかった」とパワーは続けた。

ポールポジションを逃したパロウ
「ユーズド・レッドでの戦いで僕らはまだ何かが不足している」

Photo:Penske Entertainment

  惜しくも2位となったパロウは、「仕方がない。相手がパワーだったから……」と笑った。「インディーカーでのPP獲得が今日で64回目? それって僕が経験してきたシングルシーターでのレース数より大きな数字だと思う。今日、僕はもちろんPPを手に入れたかった。正直言って、僕らのマシンは本当に良かったし、スピードもあった。でも、ユーズド・レッドでの戦いで僕らはまだ何かが不足している。それは経験なんだと思う。タイヤの性能を100パーセント引き出せていない。そこがウィル・パワーとの違いだろう。PPは欲しかった。それを僕らは逃した。でも大きなショックは受けていない。相手がパワーだったから」とパロウはコメントした。
 6人による予選ファイナル・ステージは、ユーズド・レッドでの勝負。パロウは6人の中で最初にアタックを敢行し、素晴らしいラップを完成させた。それに対してパワーは、最後のアタッカーとなるためにギリギリまで自らのピットでコース・インを待った。そして、ライヴァル5人のアタックで路面に載ったラバーを自分の優位に変え、PP獲得をやってのけた。

レースにフォーカスしていると語るパワー
ペンスキーの取り組みにも変化が

 パワーならでは、という戦いぶりでのPPを獲得した直後だったというのに、「自分は予選よりレースにフォーカスしている。今年は特にそうだ」と彼は言った。近頃のチーム・ペンスキーは、プラクティスでは目立たないのに予選になると上位に顔を出し、レースではさらに好いパフォーマンスを発揮するというレースが少なくない。今日のニューガーデンを見ていても、プラクティス2回はともに16位という苦しいポジションだったというのに、予選ではファイナルに進出してみせた。参戦2年目のスコット・マクロクリンはQ2で姿を消したが、彼にはまだブラックとレッドと二種類あるタイヤの力をフルに引き出すための経験が不足しているということなのだろう。
 競争の激化が毎年進んできているインディーカー・シリーズでは、予選順位の重要性がかつてないほどに高くなっており、出場チームは少ないプラクティス時間の大半を予選を強く意識したマシン・セッティングに費やしている。そんな状況下、チーム・ペンスキーだけはプラクティスでライヴァル勢よりレースに重点を置いたプログラムをこなすようになっているのかもしれない。
以上

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